「浮気に強い弁護士」の見分け方:広告の言葉と確かめるべき点
「浮気に強い弁護士」という言葉は、その事務所が自分で付けた評価で、言葉だけでは強さを判断できません。日本弁護士連合会(日弁連)の業務広告の指針は、「専門」の表示は誤導のおそれがあるため控えるのが望ましいとし、「得意分野」は弁護士自身の主観的な評価と整理しています。見るべきは言葉ではなく、取扱いの範囲・費用の説明・見通しの説明・連絡のとり方が具体的に答えられるかどうかです。
広告の言葉は、日弁連の規程と指針でこう扱われる
弁護士の広告は、日弁連の「弁護士等の業務広告に関する規程」と、その運用の指針に従います。規程3条は、事実に合わない広告、誤導や誤認のおそれのある広告、誇大な広告や過度な期待を抱かせる広告、特定の事務所と比べた広告などを禁じています。浮気・不倫の事件でよく見る言葉を、指針の説明に沿って読み替えます。
| 広告の言葉 | 指針での扱い | 読み方 |
|---|---|---|
| 「専門」「スペシャリスト」「プロ」「エキスパート」 | 専門かどうかを決める客観的な基準がなく、表示を許すと誤導のおそれがあるため、控えるのが望ましいとされる | 事務所の自己評価。基準のある資格や認定ではない |
| 「得意分野」「力を入れている」 | 弁護士の主観的な評価であることが明らかなので、それだけで規程違反とはされない(得意でないものを得意とするのは別) | 好みや方針の表明。経験の量は別に確かめる |
| 「取扱い分野」「取扱い業務」 | 専門などの評価を伴わない表示 | 事実の列挙。中身(請求する側か、された側か)を見る |
| 「闘う弁護士」「懇切丁寧」などのキャッチフレーズ | 抽象的で説明が足りず、誤解を与えかねない。事実に反しない限り許される例として挙げられている | 姿勢の表明。やり方の説明は別に聞く |
| 「最も」「一番」「完璧」「信頼性抜群」「常勝」「不敗」 | 文脈によって、事実に合わない・誇大などの広告にあたることがあるので、使用に十分注意すべき用語 | 裏づけを示せない言葉と考える |
| 「勝訴率〇%」 | 規程4条1号で、訴訟の勝訴率は表示できない | 載っていれば、広告のつくりに疑問を持つ |
| 「〇〇事務所より豊富」 | 特定の事務所と比べた広告として禁じられる(規程3条5号) | 比較の言葉は根拠を求める |
「強い」という言い方そのものを名指しした記載は、この指針にはありません。ただ、上の表のとおり、専門・最上級・キャッチフレーズの扱いに照らすと、「強い」は裏づけの出しにくい自己評価に分類されます。広告の言葉を打ち消す必要はなく、「言葉は判断材料にしない」と決めておけば足ります。
言葉より先に確かめる四つの点
広告のどこを見れば確かな情報かを、規程から拾います。
- 氏名と所属弁護士会の表示:規程9条は、広告に弁護士の氏名と所属弁護士会を表示することを求めています。指針は、広告に不審な点があるとき、利用者が弁護士会に問い合わせる手がかりにする趣旨だと説明しています。事務所の名前だけで、担当する弁護士の氏名が出ていないページは、確かめる手間が増えます。
- 登録の確認:日弁連の弁護士検索では、現在登録されているすべての弁護士の基本情報を見られます。広告の弁護士が実在し、登録されているかを確かめます。ひまわりサーチは任意登録で自己申告のため、登録の確認には使えません。
- 費用の表示:電話やメールで依頼を受ける旨の広告には、受任する法律事務の範囲、報酬の種類・金額・算定方法・支払時期、委任契約の解除ができることと中途で終わったときの清算方法を表示することが、規程9条の2で求められています。これが書かれていない広告では、面談で書面をもらい、算定方法を読みます。「着手金0円」とあって、手数料などの名目で別に金銭を取る場合は、その旨が分かる表示が必要です(指針の誤導の例)。
- 広告の内容に疑問があるとき:弁護士会は、広告が事実に合っているか疑わしいとき、広告した弁護士に事実であることの証明を求められます(規程12条3項)。疑問があれば、所属弁護士会に問い合わせる道があります。
実績・件数・お客様の声の読み方
「解決実績」「相談件数」「お客様の声」は、頼る側にとって分かりやすい反面、読み方に注意が要ります。
- 件数の中身:指針は、別の分野の件数を含めて延べ件数を示し、その分野全般に習熟しているような印象を与える表現を、誤導のおそれのある広告の例にしています。浮気・不倫の件数なのか、離婚全般なのか、請求する側かされた側かを区別して書いてあるかを見ます。
- 事例の書かれ方:受任中の事件や過去に扱った事件、依頼者の名前は、依頼者の書面などによる同意がある場合などを除いて広告に出せません(規程4条2号〜4号)。詳細な体験談が出ていれば、同意があるかを考えます。架空の事例や、実際はその結果になっていない事例を脚色することは、事実に合わない広告の例とされています。
- お客様の声:実在の依頼者が関与していない文章をお客様の声として載せることも、事実に合わない広告の例です。出典(誰の声か、いつか)が分かるかを見ます。
- 相談件数:弁護士が直接回答していない相談を含めて法律相談の実績として載せることは、虚偽の例に挙げられています。
ランキングや比較サイトの順位の読み方
「浮気に強い弁護士ランキング」のような記事は、弁護士自身の広告とは別の第三者が書いています。規程8条は、第三者が規程に反する表示をすることに、弁護士が金銭などの利益を与えたり協力したりすることを禁じ、指針は協力の例として原稿の提供やアンケートへの回答を挙げています。指針は、禁止の対象になる第三者の表示の例に、「勝訴率100パーセント」を含む記載と、弁護士の優劣を論じるランク付けの記事を挙げています。
順位がどう決まったかは、載せた側が決めたことです。順位の根拠が書かれているか、広告(PR)の表示があるか、「勝訴率」などの数字が出ていないかを見ます。この記事を載せているサイトも、弁護士の順位づけはしていません。選ぶための確かめ方は、次の質問と不倫慰謝料を弁護士に頼むときの選び方の記事にまとめています。
面談で、言葉を中身に変える質問
広告の言葉を確かめる場は、初回の面談です。次の質問に具体的に答える弁護士かどうかを見ます。
- 「浮気・不倫の慰謝料の事件を、請求する側・された側のどちらで多く扱っていますか」
- 「私の場合、争いになりそうなのはどこですか。証拠で足りない点はありますか」
- 「交渉で終わらなかったとき、次はどの手続で、費用はどう変わりますか」
- 「担当は先生ご本人ですか。連絡は何で、返事はどのくらいで来ますか」
弁護士職務基本規程29条は、受任のときに事件の見通し、処理の方法、報酬と費用を適切に説明することを求め、有利な結果になると請け合ったり保証したりすることや、見込みがないのにあるように装って受任することを禁じています。争点・不利な点・費用をそろって説明するかが、言葉より確かな手がかりです。
面談で言うことの例:「複数の事務所で話を聞いて決めたいので、見積書と委任契約書の案を持ち帰ってもよろしいですか」
依頼したあとに説明と実際が違うと感じたときは、依頼した弁護士を変えたいときの記事にある手順を確認してください。弁護士以外の資格者に頼める範囲は司法書士や行政書士にも頼めるかの記事に、慰謝料請求の全体の流れは浮気・不倫の慰謝料とは?請求できる場面・金額の決まり方・進め方の全体像にあります。
よくある質問
Q. ひまわりサーチに載っている弁護士なら、浮気や不倫の事件に詳しいと考えてよいですか?
そうとは言えません。日弁連は、ひまわりサーチは任意登録制で、掲載されている情報は各弁護士の自己申告にもとづくものであり、掲載内容について日弁連と弁護士会は責任を負わないと説明しています。取扱業務を絞り込む入口として使い、詳しさは面談での説明で確かめます。
Q. ホームページの「解決実績」の数字は、頼む判断の材料になりますか?
材料の一つにはなりますが、数字の中身を見る必要があります。浮気・不倫の事件の件数なのか、離婚や交通事故などを含めた総数なのかで意味が変わります。日弁連の指針は、別の分野の件数を含めて延べ件数を示し、その分野全般に習熟しているような印象を与える書き方を、誤導のおそれのある広告の例に挙げています。
Q. 「結果は保証します」と言い切る弁護士は、頼もしいと考えてよいですか?
慎重に受け止めてください。弁護士職務基本規程29条2項は、事件について依頼者に有利な結果になることを請け合ったり保証したりしてはならないと定めています。言い切る言葉は、説明の中身を比べる必要がある合図です。
出典・参考にした公的な情報
- 弁護士等の業務広告に関する規程(会規第44号) 第3条・第4条・第8条・第9条・第9条の2・第12条(日本弁護士連合会)
- 業務広告に関する指針(令和8年2月19日改正)第3・第4・第7(日本弁護士連合会)
- 弁護士職務基本規程 第29条(日本弁護士連合会)
- 弁護士検索(日弁連の弁護士検索・ひまわりサーチ)(日本弁護士連合会)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。