夫婦カウンセラーの資格の見方:公認心理師・臨床心理士などの違い
夫婦カウンセラーの資格は、国家資格の「公認心理師」、公益財団法人が認定する民間資格の「臨床心理士」、そしてそれ以外の民間の認定や肩書きの3つに分けて見ると整理できます。「夫婦カウンセラー」「離婚カウンセラー」という呼び名そのものは国の資格ではありません。確かめ方は、資格名と発行元を聞き、公認心理師なら登録証や登録番号、臨床心理士なら認定の証明を見せてもらうことです。以下、よく出る問いに順に答えます。
夫婦カウンセラーに国の資格はある?
「夫婦カウンセラー」という名前の国家資格はありません。心理の相談に関わる国家資格は公認心理師で、公認心理師法にもとづき、厚生労働省と文部科学省が所管しています。
| 区分 | 例 | 誰が認めるか | 法律上の守秘義務 | 更新 |
|---|---|---|---|---|
| 国家資格 | 公認心理師 | 国(試験に合格し、登録簿に登録) | あり(公認心理師法41条) | 更新手続はない |
| 民間資格(大学院修了などが前提) | 臨床心理士 | 公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会 | 法律の定めはない(協会の決まりを聞く) | 5年ごと |
| その他の民間の認定・肩書き | 夫婦カウンセラー、離婚カウンセラー、心理カウンセラーなど | 発行する団体ごと、または名乗る本人 | 団体や事業者の決まりによる | 団体ごと |
この区分は、上が良くて下が悪いという順位ではありません。どの区分でも、夫婦の相談をどれだけ受けてきたかは人によって違います。ただ、国家資格は法律で決まった義務があり、民間の肩書きは中身を自分で確かめる必要がある、という違いは押さえておきます。離婚カウンセラーと弁護士の役割の違いは離婚カウンセラーとは?資格の有無・弁護士との違い・頼めることで扱っています。
公認心理師はどんな資格?
公認心理師は、国家試験に合格し(公認心理師法4条)、公認心理師登録簿に登録を受けた人です(同法28条)。法律が定める業務は、心理に関する支援が必要な人の心理状態の観察・分析、その人の相談への助言・指導、その人の関係者への相談・助言、心の健康についての教育・情報提供の4つです(同法2条)。浮気をされた側が、配偶者との関係について相談するのも、この範囲に入ります。
夫婦の相談で知っておきたい決まりは次の3つです。
- 秘密保持義務:正当な理由なく、業務で知った人の秘密を漏らしてはならず、公認心理師でなくなった後も同じです(同法41条)。違反には罰則があります(同法46条)。
- 主治医の指示:相談する人に主治医がいるときは、その指示を受けなければなりません(同法42条2項)。心療内科などに通っているなら、最初に伝えます。
- 名称の制限:公認心理師でない人は「公認心理師」を名乗れず、名称の中に「心理師」の文字を使うこともできません(同法44条)。違反は30万円以下の罰金です(同法49条)。
公認心理師試験研修センターの公表では、登録者は全国で76,675人です(2026年9月末日現在)。ただし、公認心理師は名前を独占する資格で、カウンセリングという行為を独占する資格ではありません。公認心理師でない人がカウンセリングをすること自体を禁じる規定はない、という点も覚えておきます。
臨床心理士とはどう違う?
臨床心理士は、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が行う試験に合格し、認定を受けて名乗る資格です。国家資格ではありませんが、協会の説明では、受験には協会が指定する大学院の修了などの条件があり、筆記と口述面接の試験を経て認定されます。
| 項目 | 公認心理師 | 臨床心理士 |
|---|---|---|
| 根拠 | 公認心理師法(国家資格) | 協会の認定(民間資格) |
| 名乗れる人 | 登録簿に登録した人 | 協会の認定を受けた人 |
| 人数(協会・センターの公表) | 76,675人(2026年9月末日現在) | 44,289名(2026年4月1日現在) |
| 更新 | 更新手続はない(氏名などの変更は届け出る) | 5年ごとに更新。研修などで所定のポイントが要る |
| 秘密の扱い | 法律で秘密保持義務 | 法律の定めはない(本人と協会の決まりを聞く) |
協会は、「心理カウンセラー」「心理相談員」などの名称には明確な資格があるわけではない、とも説明しています。臨床心理士を名乗る人に相談するなら、認定を受けていて更新が続いているかを聞いておくと安心です。
「心理師」と「心理士」はどう見分ける?
最後の1文字で見分けます。 法律で守られているのは「心理師」の字で、使えるのは公認心理師だけです。「心理士」の字は、臨床心理士のほか、民間団体の資格や肩書きでも使われます。名刺やサイトに「○○心理士」とあれば、それはどの団体のどんな資格かを聞きます。
確かめる手順は次のとおりです。
- 資格名を正確に聞く:「カウンセラーの資格を持っています」ではなく、資格の正式な名前を聞きます。
- 公認心理師なら登録の証明を見せてもらう:公認心理師登録証や、希望者が申し込める顔写真付きの登録者カード、登録番号で確かめます。登録者カードは登録証と同じ効力を持つものではないとされています。第三者がネットで名前を入れて登録を調べられる公開の仕組みは、センターのサイトには見当たりません。
- 臨床心理士なら認定の証明と更新の状況を聞く:5年ごとの更新があるので、いまも有効かを確かめます。
- その他の民間資格なら中身を聞く:発行団体、取得までの学習時間や実習、試験の有無、更新の有無、倫理規程や苦情の窓口があるか。
資格のほかに確かめたいこと
資格は入口の目安にすぎません。夫婦の相談で役立つのは、次の点を合わせて見ることです。
- 夫婦や浮気の相談の経験:個人の相談が中心の人と、夫婦同席の面談に慣れた人では進め方が違います。
- 夫婦同席と個別面談の方針:片方とだけ話した内容をもう片方に伝えるか。
- 暴力があるときの対応:暴力や脅しがある夫婦の同席面談を受けない方針の相談先もあります。
- 法律の話の線引き:慰謝料や離婚条件の判断や交渉は弁護士の仕事です(弁護士法72条)。カウンセラーがそこまで引き受けると言う場合は、弁護士が担当するのかを聞きます。
文例:「お持ちの資格の正式な名前と発行元、公認心理師の場合は登録番号を教えてください。夫婦での相談をどのくらい担当されているかと、個別に話した内容を配偶者に伝えるかどうかの方針も知りたいです。」
相手がカウンセリングに乗り気でない場合の進め方は配偶者が夫婦カウンセリングを拒否するとき、一人で受ける場合の探し方は浮気されたつらさを一人でカウンセリングに相談する、夫婦カウンセリングの流れ全体は夫婦カウンセリングとは?受ける流れ・相談先の種類・選ぶときの確認点を参考にしてください。再構築の進め方は浮気からの再構築:やり直すと決める前の確認と、続けるための約束にまとめています。
よくある質問
Q. 公認心理師でないカウンセラーに夫婦の相談をしても大丈夫ですか?
公認心理師は名前の使い方を法律で守る資格で、カウンセリングという行為を公認心理師だけに限る法律はありません。民間の資格や経験で相談を受ける人もいます。その場合は、学んだ内容と夫婦の相談の経験、秘密の扱いの決まりを自分で聞いて判断材料にします。
Q. 臨床心理士と公認心理師の両方を名乗る人がいるのはなぜですか?
二つは別の仕組みの資格で、片方を持っていてももう片方が自動で付くわけではありません。両方の試験や審査を経た人は、両方を名乗れます。名刺やサイトに並んでいる場合も、それぞれの登録・認定を受けているかを分けて確かめます。
Q. 精神科の医師にも夫婦の悩みを相談できますか?
浮気の後で眠れない、食事がとれないなど心身の不調が続くなら、医療機関で相談するのが先です。夫婦の関係そのものを継続して話し合う場は、医療機関とは別に探すこともあります。通院中にカウンセリングを受けるなら、主治医に伝えておきます。
出典・参考にした公的な情報
- 公認心理師法 第2条・第4条・第28条・第41条・第42条・第44条・第49条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 公認心理師(厚生労働省)
- 公認心理師の都道府県別登録者数(2026年9月末)(公認心理師試験研修センター)
- 弁護士法 第72条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。