証拠の集め方と線引き / Q&A

位置情報の共有アプリと浮気:合意して使う場合と無断で使う場合の違い

この記事のもくじ
  1. 合意の共有と無断の取得はどこで分かれるか
  2. 合意して共有している場合に記録してよいこと・気をつけること
  3. 無断で位置情報を取る方法を選ばない理由
  4. 位置情報の代わりに確かめる方法と、追跡されている側の相談先

浮気を位置情報で確かめてよいかは、相手が共有に同意しているかどうかで大きく分かれます。夫婦で合意して共有している位置を、自分の端末の画面で見て記録するのは、相手が認めた範囲の利用です。一方、相手のスマホに無断で位置情報アプリを入れる、相手が共有をやめたあとも取り続ける、相手のアカウントにログインして位置の履歴を見る、といった方法には、ストーカー規制法や不正アクセス禁止法など禁じる法律があります。

自分が位置を追われているかもしれないときは、見覚えのない機器やアプリを見つけても自宅に持ち帰らず、交番か警察署へ。身の危険を感じるなら110番、窓口の一覧は浮気・不倫の相談先一覧にあります。

合意の共有と無断の取得はどこで分かれるか

政府広報オンライン(取材協力:警察庁)は、ストーカー規制法の規制対象の例として、相手のスマホに無断でインストールした位置情報共有アプリから位置を取ることと、交際中に入れたアプリで、別れたあと相手が共有を拒んだのに位置を取り続けることを挙げています。警察庁の規制対象行為の資料も同じ趣旨です。つまり、「アプリを入れたときに合意があったか」だけでなく、「今も相手が共有を続けるつもりでいるか」が分かれ目になります。

場面 相手の同意 考え方
夫婦で話し合って共有を始め、今も続いている ある 自分の端末に表示される範囲は、合意の中の利用
家族の見守りアプリに相手も参加している ある(仕組みへの参加) 表示される範囲の利用。外したいと言われたら従う
相手が共有をやめたのに、別の方法で取り続ける ない 政府広報の例示(別れたあとに拒まれても取り続ける行為)に近い形になる
相手のスマホに無断でアプリを入れる ない 政府広報の例示に挙がる典型。入れた手段そのものが問われる
相手のアカウントにログインして位置の履歴を見る ない 不正アクセス禁止法が禁じる行為にあたるおそれ

ストーカー規制法2条3項の「位置情報無承諾取得等」には、恋愛感情やそれが満たされなかったことへの怨恨を満たす目的という要件があります。夫婦の間で浮気を確かめる目的がこれに当たるかは事案によりますが、「配偶者だから対象外」と考えて動くのは危うい判断です。

合意して共有している場合に記録してよいこと・気をつけること

合意のうえの共有でも、記録のしかたを誤ると、後で話し合いや相談の場で説明しにくくなります。自分の端末の画面に出ている情報を、そのまま残すことに限ってください。

  1. 地図の画面を撮る:相手のアイコンの位置と、端末の時計(日時)が同じ画面に入るように撮ります。アプリによっては「何分前に更新」としか表示されないので、撮った時刻をメモに添えます。
  2. 同じ場所が続くかを見る:一度の位置より、同じ曜日・時間帯に同じ場所にいるかどうかに意味があります。日付ごとに一覧にします。
  3. 相手の申告と並べる:「会社にいる」「ジムに行く」と聞いていた時刻の位置と比べます。食い違いのある日に印をつけます。
  4. 設定には触れない:相手の端末で共有の設定を変える、履歴を残す設定に切り替える、といった操作はしません。
  5. 共有が止まった日を書く:止まったこと自体は理由がいくつも考えられるので、日付だけを残します。

位置情報が示すのは「その時刻にその端末がそこにあった」ことまでで、誰と一緒だったか、何をしていたかは分かりません。建物の中に複数の店や会社が入っていることも多く、地図の点だけで行き先を決めつけないでください。日付と行動の書き方は浮気の記録ノートの付け方の型を使えます。

図解:位置情報の「合意」が続いているかの見分け方
  • 始めたときに二人で話し合った → 今も相手が共有を続けている → 自分の画面の範囲で記録
  • 相手が共有をやめた・やめたいと言った → そこで止める。別の方法で取らない
  • そもそも相手が知らない → 取らない(アプリを入れない・ログインしない)

無断で位置情報を取る方法を選ばない理由

無断の取得を避けるべき理由は、法律の問題だけではありません。

  • 刑罰の対象になりうる:位置情報無承諾取得等を反復すると「ストーカー行為」となり、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象です(ストーカー規制法18条)。2025年12月30日の改正の施行で、警察が被害者の申出がなくても職権で警告できるようになっています(4条)。
  • DVの保護命令が出たあとは明確に禁じられる行為:DV防止法10条2項は、裁判所が出す電話等禁止命令で禁じる行為に、承諾のない位置情報の取得や装置の取り付けを入れています。この命令は暴力や脅しを受けた側が申し立てるもので、命令が出る前の行為がただちにこの法律の違反になるわけではありません。ただ、暴力や脅しの問題が絡む夫婦では、位置を取り続ける行為が大きな争点になりえます。
  • アカウントへのログインは別の法律:地図サービスの位置の履歴を見るために相手のIDとパスワードを入れると、不正アクセス禁止法3条が禁じる行為にあたるおそれがあり、罰則は3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です(11条)。
  • 話し合いや慰謝料の相談で立場が弱くなる:無断で集めた材料を見せると、相手が「監視されていた」と主張して話がそれることがあります。プライバシーの侵害として逆に損害賠償を求められるおそれもあります。

探偵業者であっても、他の法律で禁じられた行為ができるようになるわけではありません(探偵業法6条)。車への機器の取り付けについては浮気調査にGPSは使えるか、アプリを相手の端末に入れることについては浮気調査アプリを使う前に知っておく危うさで詳しく扱っています。

位置情報の代わりに確かめる方法と、追跡されている側の相談先

位置を追わなくても、浮気を確かめる手がかりは残せます。帰宅時刻と申告の記録、家計に出てくる支払い、家族で使う車の記録、自分が加わる話し合いの録音などです。家族の車で見られる範囲は前のカーナビの履歴や車内の忘れ物は浮気の証拠になるか、自宅での録画の範囲は次の自宅に見守りカメラを置いて浮気を調べてよいかで扱います。誰とどこで会っているかを示す写真が必要な段階では、尾行・張込みを業として行う探偵業者に頼む方法もあり、浮気調査とは何か(探偵に頼む流れと費用の仕組み)で選ぶときの確認点を整理しています。

反対に、自分が配偶者や交際相手に位置を追われているかもしれないと感じている人もいるはずです。政府広報オンラインは、持ち物から見覚えのない紛失防止タグを見つけたら、自宅に持ち帰らずにすぐ交番や警察署に相談するよう案内しています。多くのスマホには、近くにある不審な追跡装置を知らせる機能があります(機種により異なります)。暴力や脅しがある場合は、証拠集めより身の安全を先にしてください。警察や配偶者暴力相談支援センターなどの番号と受付時間は浮気・不倫の相談先一覧にまとめています。

よくある質問

Q. 相手が位置情報の共有を急に止めました。浮気の証拠になりますか?

共有を止めたこと自体は、気持ちの変化や設定の見直し、電池の節約など、いくつもの理由で起こります。浮気を示す材料とは言いにくいので、止まった日をノートに書き、その前後の帰宅時刻や予定の説明と並べて残してください。止めた理由は、責める形ではなく「何かあった?」と聞くほうが、話し合いの糸口になりやすいです。

Q. 夫婦で位置情報を共有しようと提案するのは問題ですか?

お互いが内容を理解して同意し、いつでもやめられる形で始めるなら、二人の取り決めの一つです。浮気を疑っている最中の提案は、相手に監視と受け取られて関係が硬くなることもあります。提案するなら、共有する範囲と、やめたいときの言い方を先に決めておきます。

Q. 子どもの見守り用に入れたアプリで、配偶者の位置も見えてしまいます。

家族全員が参加している共有の画面に表示される位置は、相手がその仕組みに参加している範囲の情報です。ただ、相手が自分の位置は外したいと言った場合は、その意思に沿って設定を見直してください。外されたあとに別の方法で取り続けることは、本文で触れた例示にある行為に近づきます。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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