証拠の集め方と線引き / Q&A

浮気調査にGPSは使える?位置情報の無断取得を禁じる法律と代わりの方法

この記事のもくじ
  1. GPSで配偶者の位置を取ることを規制する法律の要点
  2. 夫婦や自分名義の車なら大丈夫?よくある思い込み
  3. 位置情報アプリはどうか
  4. GPSの代わりに位置や行動を確かめる方法

浮気調査のために、配偶者の車や鞄にGPS機器を無断で付けて位置を取ることは、ストーカー規制法が「位置情報無承諾取得等」として規制している行為に当たりえます。この法律には「恋愛感情などを満たす目的」という要件があるため、どの場合でも当てはまるとは言い切れませんが、夫婦を除く定めはありません。位置が気になるときは、記録・話し合い・合意した共有といった代わりの方法を選び、それでも機器を考えるなら、実行する前に弁護士に確かめてください。

追跡されているかもしれないときは、見覚えのない機器を自宅に持ち帰らず、交番か警察署に相談してください。身の危険を感じるなら110番、窓口の一覧は浮気・不倫の相談先一覧にあります。

GPSで配偶者の位置を取ることを規制する法律の要点

ストーカー規制法2条3項は、恋愛感情その他の好意の感情、又はそれが満たされなかった怨恨の感情を満たす目的で、次の行為をすることを「位置情報無承諾取得等」と定めています。

  • 1号:相手の承諾を得ないで、相手が持っているGPS機器など(位置情報を記録・送信する装置)の位置情報を取ること
  • 2号:相手の承諾を得ないで、相手が持っている紛失防止タグのような装置の位置情報を取ること
  • 3号:相手の承諾を得ないで、相手の持ち物にこうした装置を取り付けること、取り付けた物を渡すことなど

3条は、こうした行為で相手に不安を覚えさせることを禁じ、警察は警告(4条)、都道府県公安委員会は禁止命令(5条)を出せます。2025年12月30日からは、相手の申出がなくても警察が職権で警告できます。同じ相手に繰り返すと「ストーカー行為」となり、1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金の対象です(18条)。GPS機器を使う行為は2021年の改正で規制対象に加わり、2025年の改正で紛失防止タグも加わりました。

GPSを使う場面と関係する法律の早見表
場面 関係する法律 主な論点
配偶者の車・鞄に、黙ってGPS機器を付ける ストーカー規制法2条3項3号 承諾がないこと、目的の要件
付けた機器から位置を取る 同1号 取るたびに問題が重なりうる
配偶者のスマホに、位置を送るアプリを黙って入れる 同1号、刑法168条の2 使う人の意図に反するプログラムかどうか
保護命令を受けた人が、相手の位置を取る DV防止法10条2項 命令で禁じられた行為になる
位置を取ったことが知られ、相手が苦痛を受けた 民法709条 罪にならなくても損害賠償を求められうる

警察庁が公表した令和7年(2025年)のストーカー事案の集計には、行為の形として、GPS機器等の取付け等が393件、GPS機器等による位置情報の取得が118件挙がっています。位置を追う行為は、警察が実際に相談を受けている類型です。

夫婦や自分名義の車なら大丈夫?よくある思い込み

「夫婦だから」「自分の車だから」という理由で問題ないと考える人がいますが、条文はそう読める作りになっていません。

  1. 夫婦であること:2条3項に、配偶者を除く定めはありません。目的の要件を満たすかどうかは事情によりますが、浮気への怒りや執着が関わる場面では、当てはまるおそれを考えておくべきです。
  2. 車の名義が自分であること:条文の言葉は、相手が「所持する」装置や物です。名義ではなく、相手が使って持っているかどうかが問われる書き方なので、名義が自分というだけでは安心材料になりません。
  3. 1回だけなら:反復がなければ「ストーカー行為」の罰則には届かなくても、警告や禁止命令の対象にはなりえます。
  4. 証拠のためなら:目的が証拠集めでも、ほかの法律や民事の責任は別に残ります。集め方が争点になり、話し合いや裁判で不利な材料にされることもあります。

刑事の面に加えて、相手の行動をひそかに追うことは、プライバシーを侵したとして損害賠償を求められる理由にもなりえます(民法709条)。ほかの証拠集めの行為と並べた全体像は浮気の証拠集めで違法になりうること:スマホ・GPS・侵入の線引きにあります。

位置情報アプリはどうか

相手のスマホに無断で入れた位置情報アプリで位置を取ることは、警察庁の資料が規制対象の例に挙げています。分かれ目は、相手が知っていて、やめる自由があるかどうかです。合意して使う場合の決め方と、共有を拒まれた後の扱いは、専用の位置情報の共有アプリと浮気:合意して使う場合と無断で使う場合の違いにまとめました。

GPSの代わりに位置や行動を確かめる方法

位置を知りたい気持ちの裏には、たいてい「言っていることと実際が合っているか」を確かめたい、という目的があります。その目的なら、GPSを使わずに近づける方法があります。

確かめたいこと GPSの代わりにできること 残し方
帰りが遅い日の行き先 本人の説明(どこに・誰と)を聞き、帰宅時刻と並べる 日付・時刻・説明を言葉どおりにメモ
決まった曜日の外出 曜日ごとの帰宅時刻を2〜4週間記録して偏りを見る 一覧表にして並べる
車での外出先 家族で使う車の走行距離を、出かける前後で見る メーターの写真を日時つきで撮る
お金の使い道 家族で共有している口座やカードの明細を見る 気になる行を写真とメモで残す
位置を共有してほしい 不安を伝え、合意のうえで共有を始めることを提案する 合意した日と条件をメモ
出張や外泊の裏づけ 宿泊先の名前と日程を聞き、家計の明細や領収書と並べる 聞いた日と答えを言葉どおりにメモ
職場にいるはずの時間 職場の代表番号や共有の予定表など、家族が日ごろ使う連絡手段の範囲で確かめる 連絡した日時と返答をメモ
毎回同じ日に起きる外出 日付をカレンダーに印し、1か月分を並べて偏りを見る カレンダーを日付ごと撮影

記録の付け方は浮気の記録ノートの付け方:日時・行動・やりとりを書く型と見本に見本があります。行動を第三者に調べてもらう道として、探偵業者の浮気調査もありますが、探偵業法6条により、探偵もほかの法律で禁じられた方法は使えません。GPS機器などの道具を買おうとしているなら、その前に浮気調査の道具を買う前に:GPS・盗聴器・カメラで問題になる点も読んでください。

自分の車や持ち物に機器を見つけたときの窓口と受付時間は、浮気・不倫の相談先一覧:悩み別の窓口と番号・受付時間の早見表にまとめています。

GPS機器と並んで考える人が多いのが、紛失防止タグです。こちらは2025年の改正で明記された点など事情が異なるため、浮気調査にエアタグなど紛失防止タグを使うと危うい理由と見つけたときの窓口で分けて説明します。

よくある質問

Q. 探偵に頼めば、GPSで追ってもらえますか?

探偵業法6条は、探偵業の届出をしていても、ほかの法律で禁じられた行為ができるようになるわけではないと定めています。探偵業者の調査の中心は、尾行・張込み・聞込みなどの方法です。調査の方法として何を使うのかは、契約前の説明の書面で確かめてください。

Q. 子どもの見守り用に家族で入れている位置情報アプリで、配偶者の位置を見るのはどうですか?

家族全員が合意して始めた共有であれば、無断の取得とは事情が違います。ただ、共有の目的は見守りであり、配偶者が共有をやめたいと示した後も別の方法で位置を取り続けると、無断で取る行為に近づきます。合意の中身と、やめる場合の扱いを話し合っておくのが安全です。

Q. 自分の車にGPSが付けられていたら、どうすればよいですか?

取り外す前に、付いていた場所と機器の写真を撮り、見つけた日時をメモしてください。身の危険を感じるなら110番、急ぎでない相談は警察相談専用電話の#9110(受付時間は都道府県警察ごとに異なる)や最寄りの警察署へ。相談の際は、写真やメモを消さずに持っていきます。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

浮気の証拠集めで違法になりうること:スマホ・GPS・侵入の線引き

浮気調査にエアタグなど紛失防止タグを使うと危うい理由と見つけたときの窓口

位置情報の共有アプリと浮気:合意して使う場合と無断で使う場合の違い

浮気調査の道具を買う前に:GPS・盗聴器・カメラで問題になる点