探偵と興信所の違いは?法律上はどちらも「探偵業者」と言える理由
探偵と興信所に、法律上の違いはありません。探偵業法(探偵業の業務の適正化に関する法律)には「興信所」という区分がなく、名乗り方に関係なく、依頼を受けて聞込み・尾行・張込みなどで特定の人の所在や行動を調べて報告する営業をしていれば、同じ「探偵業者」として届出と決まりの対象になります。浮気調査を頼む先を選ぶときは、名前で迷うより、標識・書面・見積もりで中身を比べるほうが確かです。
探偵と興信所の違い:法律上はどちらも「探偵業者」
探偵業法2条1項は、探偵業務を「他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報」を集める目的で、聞込み・尾行・張込みなどの実地の調査を行い、結果を依頼者に報告する業務と定めています。この業務を営業として行うのが探偵業、4条1項の届出をして営むのが探偵業者です。条文の要件は「何をするか」で、看板に何と書くかは入っていません。
警察庁も、探偵業法ができた背景を説明する中で「探偵社、興信所等の調査業」とひとまとめに書き、そのうち探偵業を法律で規制したと説明しています。つまり「〇〇探偵社」「〇〇興信所」「〇〇リサーチ」「〇〇調査事務所」のどれでも、浮気調査を引き受けているなら同じ法律の同じ決まりに従います。
| 名乗り方の例 | 浮気調査を引き受けている場合の法律上の扱い |
|---|---|
| 〇〇探偵事務所・〇〇探偵社 | 探偵業者(届出・標識・書面の決まりの対象) |
| 〇〇興信所 | 探偵業者(同上) |
| 〇〇リサーチ・〇〇調査事務所 | 探偵業者(同上) |
| 探偵社を紹介するだけのサービス | 自分では調査をしない。実際に調べる業者が誰かを確かめる |
最後の行は見落としやすい点です。複数の探偵社をつなぐ紹介のサービスは、自分では調査をしない形もあります。その場合は、実際に契約して調べる業者の商号と標識を確かめます。
たとえば、サイトの運営会社がA社、実際に調べる調査会社がB社だとします。重要事項説明書の商号と届出をした公安委員会の名称、営業所の標識の受理番号は、調べるB社のものと照らします。A社の名前しか書かれていなければ、契約の相手が誰か分からないので、B社の名前と標識を見せてもらうまで署名しません。
文例:「このご契約で実際に調査をされるのは、どちらの会社ですか。重要事項説明書の商号と、営業所の標識の商号・受理番号が同じものか、見せていただけますか。」
名前で業者の中身を判断できない理由
探偵業者は届出のときに、営業所で広告や宣伝に使う名称も届け出ます(4条1項)。一つの業者が、本来の商号とは別の屋号で広告を出すことは珍しくありません。「興信所」という言葉が古くからある、「探偵」のほうが新しい印象がある、といった受け止め方は人によって違い、どちらの名前が付いているかで、届出の有無や料金の決め方、報告書の出来は分かりません。
警察庁の「令和7年中における探偵業の概況」によると、令和7年末の届出数(営業所数)は7,354件で、個人の営業所が5,293件、法人の営業所が2,061件でした。規模も形もさまざまな業者が同じ法律の下にいるので、名前より「法律が求めていることを、目の前の業者が満たしているか」を見ます。
| 確かめる点 | どこで見るか | 根拠 |
|---|---|---|
| 届出をしているか | 標識(ウェブまたは営業所) | 探偵業法12条2項 |
| 広告の名前と届出の名前が合うか | 標識の「広告又は宣伝をする場合に使用する名称」と商号 | 4条1項 |
| 契約前に書面で説明があるか | 重要事項説明の書面 | 8条1項 |
| 調査を下請けに出すか | 書面の「委託に関する事項」 | 8条1項6号・9条2項 |
| 行政処分を受けていないか | 都道府県警察・公安委員会の公表 | 15条ほか |
興信所か探偵かより先に確かめたい5つのこと
- 標識を見る:探偵業者は、届出をしたことを示す標識を営業所に掲げ、ウェブサイトでも見られるようにすることになっています(12条2項)。常時使用する従業者が5人以下の業者や、自社のサイトを持たない業者はウェブ掲載の対象外なので(施行規則6条)、サイトになければ面談で営業所の標識を見せてもらいます。2024年4月から、以前の「届出証明書」は標識に置きかわりました。
- 名前をそろえる:標識に書かれた商号・営業所・広告に使う名称が、広告、見積書、重要事項説明の書面、振込先の名義と合っているかを見ます。合わないときは理由を聞きます。
- 書面を先にもらう:契約の前に、料金の概算額と支払時期、解除、資料の処分などを書いた書面を受け取り、持ち帰って読めるかを確かめます。
- 委託の有無を聞く:調査をほかに任せることがあるか、あるなら委託先も届出をした探偵業者か(9条2項は届出のない者への委託を禁じています)。
- 行政処分の公表を見る:警察庁によると、営業停止命令や営業廃止命令、一定の指示を受けた業者は、各都道府県警察や公安委員会のホームページで処分の日から3年間公表されます。指示は、その業者が過去3年以内に指示を受け、または過去5年以内にそのほかの処分を受けていた場合に限って公表されるので、公表に名前がないことは問題がないことの証明にはなりません。
ここまでを満たしているかで、「探偵」と名乗る業者と「興信所」と名乗る業者を同じ物差しで比べられます。
興信所に頼めること・頼めないことも探偵と同じ
法律上同じ探偵業者なので、興信所に頼める範囲も探偵と変わりません。尾行・張込み・聞込みで行動を調べ、報告するところまでです。配偶者や不倫相手との交渉、慰謝料の請求、調停や裁判の代理は、名前にかかわらず探偵業者の仕事ではなく、弁護士の仕事です。
依頼する側にも共通の決まりがあります。契約のとき、依頼者は「調査の結果を犯罪行為、違法な差別的取扱いその他の違法な行為のために用いない」旨の書面を業者に出します(7条)。業者は、調べた結果が違法な目的に使われると知ったら調査をしてはなりません(9条1項)。頼める範囲と法律の線は探偵ができること・できないことで詳しく扱っています。
業者を決めた後の進み方は探偵に依頼する流れで、浮気調査の全体像は浮気調査とは?探偵に頼む流れ・費用の仕組み・選ぶときの確認点で確かめてください。選ぶときの物差しを一覧で見たい人は探偵・興信所の選び方へ。
よくある質問
Q. 興信所に頼むと、探偵より料金が高いのですか?
名前で料金が決まるわけではありません。料金は調査の時間・日数・人数・経費などで決まり、業者ごとに料金表の形も違います。探偵業法8条1項で、契約の前に料金の概算額と支払時期を書面で説明することになっているので、その書面と見積もりで比べてください。
Q. 「調査会社」「リサーチ」と名乗る業者も、探偵業の届出が要りますか?
探偵業法2条は、名乗り方ではなく、依頼を受けて聞込み・尾行・張込みなどで特定の人の所在や行動を調べ、報告する営業かどうかで対象を決めています。その仕事をしているなら、名前に「探偵」が入っていなくても届出の対象です。標識を見せてもらえるかで確かめられます。
出典・参考にした公的な情報
- 探偵業の業務の適正化に関する法律 第2条・第4条・第8条・第9条・第12条・第15条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 探偵業の業務の適正化に関する法律施行規則 第6条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 探偵業について(探偵業の業務の適正化に関する法律の概要)(警察庁)
- 令和7年中における探偵業の概況(警察庁生活安全局生活安全企画課)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。