探偵・浮気調査の選び方と費用 / 用語

探偵とは?できること・できないこと:浮気調査で頼める範囲と探偵業法の線

この記事のもくじ
  1. 探偵とは:探偵業法2条が決めている3つの要素
  2. 浮気調査で探偵に頼めること
  3. 探偵にできないこと:法律の線を表で確かめる
  4. 依頼する側にも決まりがある:誓約の書面と秘密保持
  5. 頼む範囲を誤解しないための確かめ方

探偵(探偵業者)は、依頼を受けて特定の人の所在や行動を、聞込み・尾行・張込みなどの実地の調査で調べ、結果を依頼者に報告する仕事を、公安委員会に届出をして営む業者です。浮気調査で頼めるのは「調べて、報告すること」までです。配偶者や不倫相手との話し合い、慰謝料の請求や示談の交渉は探偵の仕事に入らず、代わりに進められるのは弁護士です。この記事では、その線を条文の言葉に沿って整理します。

探偵とは:探偵業法2条が決めている3つの要素

探偵業法(探偵業の業務の適正化に関する法律)2条1項は、探偵業務を次の3つがそろった業務と定めています。

  1. 他人の依頼を受けて、特定人の所在または行動についての、その依頼に関わる情報を集める目的があること
  2. 面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法で、実地の調査を行うこと
  3. その調査の結果を依頼者に報告すること

この業務を営業として行うのが「探偵業」で、4条1項の届出をして探偵業を営む者が「探偵業者」です(2条2項・3項)。報道機関の依頼で報道に使う目的のものは除かれます。警察庁の案内は、作家やフリージャーナリストなどの取材活動、調査結果に分析や評価を加えることが前提の学術調査、特定の人の所在や行動を集める依頼を受けているとはいえない弁護士活動や税理士活動を、探偵業務の例外として挙げています。

探偵業は許可制ではなく届出制です。営業所ごとに、その所在地の公安委員会に届出をします(4条)。破産して復権を得ていない人や暴力団員など、3条の欠格事由にあたる人は営めません。警察庁の「令和7年中における探偵業の概況」によると、令和7年末の届出数(営業所数)は7,354件でした。

浮気調査で探偵に頼めること

2条の定義に沿うと、浮気調査で頼めるのは次のような依頼です。

  • 決めた日時に、配偶者の行き先と、会った人、出入りした建物を尾行・張込みで確かめる
  • その様子を、日時の入った写真や映像で記録する
  • 周りへの聞込みなど、実地で情報を集める
  • 結果を、契約で決めた方法と期限で報告書にまとめる

どこまでの業務を提供できるかは業者によって違います。探偵業法8条1項5号は、契約の前に「提供することができる探偵業務の内容」を書面で説明するよう求めています。浮気調査の進め方の全体は浮気調査とは?探偵に頼む流れ・費用の仕組み・選ぶときの確認点、調べ方の種類は探偵の浮気調査の方法にまとめています。

探偵にできないこと:法律の線を表で確かめる

探偵には、警察のような特別な権限はありません。次の表は、浮気調査で誤解されやすい「頼めないこと」と、その理由になる法律です。

探偵にできないこと 理由になる法律
配偶者・不倫相手との話し合い、慰謝料の請求、示談の交渉を代わりにする 弁護士法72条(弁護士以外の者が報酬目的で法律事務を扱うことの禁止)。国民生活センターも、届出をした探偵業者でも返金交渉などは探偵業法で認められていないと注意を呼びかけている
調停や裁判で代理人になる 民事訴訟法54条・家事事件手続法22条(代理人は原則として弁護士)
他人のアカウントへのログイン、住居への立ち入りなど、ほかの法律が禁じる行為 探偵業法6条(この法律でほかの法令の禁止・制限が外れるわけではない)
調査結果が犯罪や違法な差別、その他の違法な行為に使われると知ったうえでの調査 探偵業法9条1項
届出をしていない者に調査を下請けに出す 探偵業法9条2項
相手を別れさせるための働きかけ 2条の探偵業務は「調べて報告する」業務で、働きかけは定義に入っていない。6条は人の生活の平穏を害しないことを求めている
探偵・弁護士・依頼者の役割の分かれ目
場面 探偵 弁護士 依頼者本人
行動を調べる 尾行・張込み・報告 ― 自分の見たことの記録
相手と話す・請求する できない 代理できる 本人として話せる
調停・裁判 代理できない 代理できる 本人として出られる

6条の線は、実際の事件にも表れています。同じ警察庁の概況は、令和7年中に探偵業者や従業者が探偵業務に関してほかの法令に違反して検挙された主な例として、軽犯罪法違反、ストーカー規制法違反、建造物侵入等を挙げています。「探偵ならスマホの中身も分かる」「どこへでも入れる」という説明をされたら、その業者は避ける理由になります。自分で証拠を集める場合の線は浮気の証拠集めで違法になりうることで扱っています。

依頼する側にも決まりがある:誓約の書面と秘密保持

探偵業法は、業者だけでなく依頼の場面の決まりも置いています。契約をしようとするとき、探偵業者は依頼者から「調査の結果を犯罪行為、違法な差別的取扱いその他の違法な行為のために用いない」旨の書面を受け取らなければなりません(7条)。依頼者は、この誓約の書面に署名して契約に進みます。相手の居場所を突き止めて押しかける、調べた結果を職場に知らせて制裁する、といった使い方は、この誓約と正面からぶつかります。

業者の側には秘密を守る決まりがあります。10条は、探偵業者の業務に従事する者が、正当な理由なく業務上知った人の秘密を漏らしてはならず、辞めた後も同じだと定め、調査の資料の不正な利用を防ぐ措置も求めています。依頼の内容がどう守られるかは、重要事項説明の書面で説明される項目の一つです。

業者を選ぶときの書面の読み方は探偵と契約する前のチェックリスト、法律の全体は探偵業法で決まっていることにまとめています。

頼む範囲を誤解しないための確かめ方

相談のときに、次の3つを質問すると、頼める範囲と頼めない範囲がはっきりします。

質問の例:「今回の調査で、具体的にどこまでしていただけますか。報告書を受け取った後、相手との話し合いや請求が必要になったら、誰に相談することになりますか。」

  1. 調査の範囲:何日の何時から何時まで、何人で、何を記録するのか。
  2. 調査の後:相手とのやり取りが必要になったとき、探偵が何をして、何をしないのか。弁護士を紹介すると言われたら、紹介料の有無と、委任契約を弁護士と直接結ぶことを確かめます。
  3. 書面:今の説明が、重要事項説明の書面のどこに書かれているか。

「探偵」と「興信所」の呼び方の違いは探偵と興信所の違い、探偵と弁護士への相談の順番は浮気調査は探偵と弁護士のどちらに先に相談するかで扱っています。

よくある質問

Q. 探偵になるのに国家資格は要りますか?

探偵業法には探偵の資格や試験の定めはなく、営業を始める前日までに、営業所ごとに公安委員会へ届出をする仕組みです。民間の団体が独自の認定を出していることはありますが、法律上の資格ではありません。依頼先を選ぶときは、肩書きより標識と書面で確かめます。

Q. 探偵に「慰謝料の請求まで任せてください」と言われました。頼んでよいですか?

相手との慰謝料の交渉や示談は、弁護士法72条が弁護士以外の者が報酬を得る目的で扱うことを禁じている法律事務にあたり、探偵業法が探偵に認めている仕事でもありません。弁護士を紹介すると言われた場合も、委任契約は弁護士と直接結ぶものです。誰が何をするのかを書面で確かめてから決めてください。

Q. 探偵は警察のように特別な権限を持っていますか?

持っていません。探偵業法6条は、この法律によってほかの法令で禁止・制限されている行為ができるようになるわけではないと定めています。探偵ができるのは、一般の人に許される範囲での聞込み・尾行・張込みと、その報告です。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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