浮気・不倫が原因の離婚 / 手順

離婚届の不受理申出とは?勝手に出されるのを防ぐ手続き

この記事のもくじ
  1. 不受理申出で防げること・防げないこと
  2. 不受理申出の手順:届出先・必要なもの・流れ
  3. 効果と期間:取り下げるまで続く
  4. 不受理申出をするタイミングと、決まっていないこと
  5. 申出のあと:話し合いと記録を進める

離婚届を勝手に出されるのを防ぐには、本籍地の市区町村に「不受理申出」をして、自分が出頭して届け出たのでない離婚届を受理しないようにあらかじめ申し出る手続があります。申出は本人が役場に出向いて書面で行い、取り下げるまで効力が続く書き方になっています。ただし、調停や裁判で離婚が決まったときの届出は止められません。この記事では、仕組み、届出先、手順、効果と限界を、戸籍法と法務省の案内に沿って示します。

不受理申出で防げること・防げないこと

協議離婚は、離婚届が受理されると成立します(民法764条が739条を準用)。役場が離婚届を受け取るとき、窓口に来た人が誰かを確認する決まりがありますが、本人確認ができなくても届出そのものは受理されるのが原則です。法務省の案内では、本人確認ができなかった場合は受理したうえで、届出人に通知書を送る流れになっています。つまり、本人確認だけでは、勝手に出された離婚届を受理前に止められません。

そこで使うのが不受理申出です。戸籍法27条の2第3項は、何人も、本籍地の市町村長に対し、あらかじめ、自分が出頭して届け出たのでない場合は受理しないよう申し出ることができると定めています。申出があると、その届出は受理できません(4項)。受理できなかったときは、申出をした人に、届出があったことが通知されます(5項)。

早見表:不受理申出で止められるものと止められないもの
場面 不受理申出で止められるか
配偶者が、自分の出頭なしに協議離婚届を出そうとした 止められる(申出者本人が出頭していなければ受理されない)
申出をした本人が窓口に出向いて離婚届を出した 本人確認ができれば受理される
調停や裁判などで離婚が決まり、その結果を報告する届出 止められない(報告的な届出は申出があっても受理される)
すでに受理された離婚届 申出は「あらかじめ」するもので、受理後は対象外

対象は離婚届に限りません。法務省の案内では、婚姻、離婚、養子縁組、養子離縁、認知の届出が対象です。

不受理申出の手順:届出先・必要なもの・流れ

手順は次のとおりです。

  1. 本籍地を確認する:条文は「本籍地の市町村長に対し」と定めています。本籍地は、戸籍謄本や、本籍の記載がある住民票の写しで確かめます。
  2. 役場に出向く時間を決める:申出は本人が自ら役場に出頭して行います(戸籍法施行規則53条の4第1項)。平日の開庁時間を確認します。
  3. 本人確認の書類を用意する:氏名と住所または生年月日が分かる運転免許証やマイナンバーカード、旅券などは1枚で足りるとされています。資格確認書や年金証書などは、2枚以上が必要になる場合があります。
  4. 不受理申出書を書く:書面には、申出の旨、年月日、氏名、生年月日、住所、戸籍の表示を書きます(同規則53条の4第2項)。様式は役場の窓口に用意されています。
  5. 窓口で本人確認を受けて提出する:出頭した人が本人であることを明らかにします(同3項)。

本籍地以外の役場で受け付けてもらえるかどうかは、条文と法務省のページには書かれていません。遠方に本籍がある場合は、まず本籍地の役場に電話で、郵送の可否と持ち物を聞いてください。病気などで役場に行けないときは、書面を本籍地の市町村長に送る方法が規則に定められています(同4項)。この場合は、本人であることを公正証書の提出などで明らかにします。

効果と期間:取り下げるまで続く

申出の効果は、申出をした人が出頭して届け出たのでない届出を受理しないというものです。配偶者が離婚届に署名を済ませて自分で提出しようとしても、申出をした人が窓口に来ていなければ受理されません。

期間については、条文にも施行規則にも有効期間の定めはなく、取下げはいつでもできる(同5項)と書かれています。「一度出せば取り消すまで続く」と読めますが、運用の細部は市区町村で異なる可能性があるため、申出のときに「期限はあるか」「取下げの方法」を窓口で聞いて、控えを残してください。

受理できなかった届出があったときは、役場から申出者に通知されます。申出のときの住所に変更があった場合の連絡の方法は、役場で聞いておきます。

不受理申出をするタイミングと、決まっていないこと

申出は「あらかじめ」するものなので、勝手に出されるおそれが出てきた時点で早く行うほうが効果があります。次のような場面では、検討する理由になります。

  • 離婚の話し合いがこじれ、相手が「離婚届に署名したから出す」と言っている
  • 別居していて、相手が自分の署名を求めてくる
  • 切り出した直後で、相手の反応が読めない(切り出し方は離婚の切り出し方で扱っています)

注意点が3つあります。

  • 不受理申出は離婚を拒む意思表示ではありません。離婚するかどうかの条件の話し合いは、別に進めます。
  • 相手に申出が知られるかどうかは、条文に決まりがありません。申出のときに、役場にどのような扱いになるか確かめてください。
  • 協議離婚が成立するには、夫婦の合意が必要です(民法763条)。合意がない離婚届が受理されたときは、離婚の効力が争いになりえます。受理された後の対応(協議離婚の無効を求める家庭裁判所の手続など)は、事情ごとに違うため、弁護士や家庭裁判所の窓口に相談します。

離婚届の受理には、未成年の子がいる場合は親権者の定めがされていること、または親権者の指定を求める家事審判・調停の申立てがされていることの確認も条件になっています(民法765条1項)。

申出のあと:話し合いと記録を進める

申出をしたあとは、勝手に出される心配が減る分、離婚条件の話し合いに集中できます。次の順で進めます。

  1. 不受理申出書の控えを保管する:提出日と役場名を記録しておきます。
  2. 話し合いの日と内容をメモする:離婚の話し合いの進め方にある型を使うと、あとで整理しやすくなります。
  3. 離婚を決める段階で、協議の流れを確認する:協議離婚の流れに、決める項目と書面の残し方があります。
  4. 相談先を決める:相手が弁護士を立てた、離婚届に関して争いが起きたときは、離婚の相談先の選び方で窓口の違いを見てください。

準備全体の抜けは浮気が原因の離婚準備チェックリストの「書類」の欄で確かめられます。

よくある質問

Q. 不受理申出は郵送でできますか?

原則としてできません。法務省は、不受理申出は原則として郵送ではできないと案内しています。戸籍法施行規則は、申出を本人が自ら市区町村の役場に出向いてすると定めています。病気などのやむを得ない事由で出向けない場合は、本籍地の市町村長に書面を送る方法がありますが、本人であることを公正証書の提出などで明らかにする必要があります。

Q. 不受理申出の有効な期間はありますか?

戸籍法とその施行規則に、有効期間の定めは見当たりません。申出は取り下げるまで続く書き方になっていて、取下げはいつでもできます(施行規則53条の4第5項)。実際の運用は市区町村で確かめてください。

Q. 不受理申出をしたあとで、自分も納得して離婚届を出すときはどうなりますか?

申出をした本人が窓口に出向いて届け出て、本人確認ができれば、届出は受理されます。納得して離婚する日が決まったときは、役場に「申出を出している」と伝えて取り下げるか、そのまま出頭して届け出るかを確かめてください。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

離婚の相談先の選び方:無料で使える窓口と弁護士の違い

浮気・不倫が原因の離婚:準備・話し合い・調停の流れと決めること

協議離婚の流れ:浮気が原因のときに決めることと書面の残し方

浮気が原因の離婚準備チェックリスト:証拠・お金・住まい・子ども