浮気・不倫が原因の離婚 / 基本ガイド

浮気・不倫が原因の離婚:準備・話し合い・調停の流れと決めること

この記事のもくじ
  1. 浮気が原因の離婚の全体像:4つの段階と決めること
  2. 準備:離婚を切り出す前にそろえておく材料
  3. 協議離婚:合意したら離婚届の前に書面に残す
  4. 調停:家庭裁判所で話し合う(夫婦関係調整調停)
  5. 裁判:調停で決まらないときは民法770条の理由が問われる
  6. 決めること:親権・お金・住まいの早見表

浮気・不倫が原因の離婚は、準備 → 話し合い(協議離婚) → 家庭裁判所の調停 → 裁判の順に進み、どの段階で終わっても「親権・養育費・親子交流・財産分与・年金分割・慰謝料・住まい」を決める必要があります。浮気があったからといって手続きが特別になるわけではなく、違いが出るのは、証拠をどう扱うか、慰謝料を一緒に決めるか、裁判になったときに浮気が離婚の理由として主張されるか、という点です。この記事は、その全体を一枚の地図にして、各段階の詳しい記事へ案内する入口です。

浮気が原因の離婚の全体像:4つの段階と決めること

協議で合意できれば、調停や裁判には進みません。家庭裁判所の手続きは、話し合いがまとまらない・できないときに使うものです。まずは自分がいまどの段階にいて、次に何が起きるかを確かめてください。

地図:浮気が原因の離婚の4段階
段階 何をするか 成立の条件 主な費用 詳しい記事
準備 証拠・家計・子どもの記録・住まいの案をそろえる ― 書類の取得費など 離婚準備チェックリスト
協議離婚 夫婦で条件を決め、離婚届を出す 夫婦の合意と届出 公正証書にするなら公証人手数料 協議離婚の流れ
調停 家庭裁判所で調停委員を交えて話し合う 夫婦の合意 収入印紙1,200円分+郵便切手 離婚調停の流れ
裁判 離婚の訴えを起こし、判決か和解で終わる 民法770条の理由が認められるか、和解 収入印紙(離婚のみなら13,000円)+郵便切手 離婚裁判の流れ

迷っている段階なら、離婚したいと思ったら最初に整理することから読むと、気持ち・子ども・お金の順に考えをまとめられます。離婚しない道を考えたい人は浮気されても離婚しない選択、相手から離婚を求められて応じたくない人は離婚したくないのに離婚を求められたらへ進んでください。方法の違いだけを比べたいときは離婚の方法は4種類:協議・調停・審判・裁判の流れと選び方が正本です。

司法統計では、離婚の調停を申し立てた人が挙げた動機のうち「異性関係」は、夫の申立てで11.9%、妻の申立てで12.8%でした(令和7年、筆者の計算)。表の全体と読み方は離婚の理由として認められるものにあります。

準備:離婚を切り出す前にそろえておく材料

準備は、相手に離婚を伝える前のほうが進めやすいものが多くあります。切り出した後は、通帳や郵便物を見られなくなったり、相手が警戒して話し合いが固くなったりするためです。

  1. 浮気の証拠:写真・メッセージの画面・記録ノートを、消えない形で保管する。相手のスマホへのログインやGPSの取り付けは禁じる法律があるので、浮気の証拠集めで違法になりうることを先に読む
  2. 家計の一覧:双方の収入(源泉徴収票)、預貯金、保険、住宅ローン、退職金の見込みを書き出す
  3. 子どもの記録:送り迎え・食事・通院など、毎日の世話を誰がしているかを1〜2週間メモする
  4. 住まいの案:今の家に残る、実家に戻る、部屋を借りる、の3つを費用つきで比べる
  5. 相談先:弁護士の初回相談、家庭裁判所の手続案内、自治体の相談の予約を入れる

項目ごとの点検表は浮気が原因の離婚準備チェックリスト:証拠・お金・住まい・子どもにまとめています。相手に暴力や脅しがある場合は、準備より安全を先にし、浮気・不倫の相談先一覧の窓口に相談してください。

協議離婚:合意したら離婚届の前に書面に残す

協議離婚は、民法763条で「夫婦は、その協議で、離婚をすることができる」と定められた方法です。理由は問われず、夫婦が合意して離婚届を出せば成立します。未成年の子がいる場合、離婚届は、親権者の定めがされているか、親権者の指定を求める家事審判・家事調停の申立てがされていることを確かめたうえでなければ受理されません(民法765条1項)。

浮気が原因のときに気をつけたいのは、早く終わらせたい気持ちから、お金や子どものことを決めないまま離婚届に署名してしまうことです。離婚届に書く欄は親権者などに限られ、養育費・親子交流・財産分与・慰謝料の取り決めは届には残りません。決めた内容は離婚協議書にし、支払いが滞ったときに備えたいなら公正証書にする方法があります。

調停:家庭裁判所で話し合う(夫婦関係調整調停)

協議がまとまらないときは、家庭裁判所に夫婦関係調整調停(離婚)を申し立てます。家事事件手続法257条は、離婚の訴えを起こそうとする人は「まず家庭裁判所に家事調停の申立てをしなければならない」と定めており、原則としていきなり裁判にはなりません(調停前置)。

項目 内容
申立先 相手方の住所地の家庭裁判所、または夫婦が合意で定める家庭裁判所(245条)
費用 収入印紙1,200円分と連絡用の郵便切手(切手の額は裁判所ごとに異なる)
主な書類 申立書とその写し、夫婦の戸籍謄本、事情説明書、子についての事情説明書など
話し合えること 離婚、親権者、親子交流、養育費、財産分与、年金分割の割合、慰謝料
進め方 裁判官1人と調停委員2人以上の調停委員会が、双方から事情を聞く
相手への通知 申立書の写しは原則として相手方に送られる(256条)

申立書の写しが相手に届くため、相手を責める言葉や、知られたくない住所は書かないようにします。遠方に住んでいる、同じ部屋で話すのが不安といった場合は、家庭裁判所が相当と認めればウェブ会議を使え、令和7年3月1日以降はウェブ会議で離婚調停を成立させることもできると裁判所は案内しています。DVがあるときの申出の方法はDVがあるときの離婚調停で扱います。

合意できれば調停調書が作られ、その記載は確定判決と同じ効力を持ちます(268条)。合意できなければ不成立で終わり、離婚を求める側は訴えを起こすことになります。裁判所が調停に代わる審判をすることもありますが、離婚の場合は2週間以内にどちらかが異議を出せば効力を失います(286条)。申立ての手順は離婚調停の流れ、かかる期間は離婚調停にかかる期間、実費と弁護士費用の違いは離婚調停の費用を見てください。

裁判:調停で決まらないときは民法770条の理由が問われる

調停が不成立になると、離婚を求める側は家庭裁判所に離婚の訴えを起こせます。不成立の通知から2週間以内に訴えれば、調停を申し立てた時に訴えたものとみなされます(家事事件手続法272条3項)。

裁判では、夫婦の合意ではなく、民法770条1項の理由があるかが判断されます。2026年4月1日施行の改正で旧4号(強度の精神病)が削除され、現在の理由は次の4つです。

  1. 配偶者に不貞な行為があったとき
  2. 配偶者から悪意で遺棄されたとき
  3. 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
  4. その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

浮気・不倫は主に1号の「不貞な行為」の問題として争われ、それを示す証拠が重く見られます。ただし同条2項は、1号から3号の理由があっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは請求を棄却できるとしています。古い資料にある「770条1項5号」は、いまの4号にあたります。理由の読み方は離婚の理由として認められるもの:民法770条と2026年4月の改正にまとめています。

離婚の訴えと、その原因となった浮気による慰謝料の請求は、人事訴訟法17条で一つの訴えにできます。手数料は、離婚だけなら訴額160万円とみなされ収入印紙13,000円です(裁判所の手数料額早見表の人事訴訟欄)。調停と違い、離婚訴訟は特別な事情がない限り公開の法廷で行われます。浮気をした側から離婚を求める場合の問題は有責配偶者とは?、訴状と証拠の考え方は離婚裁判の流れで扱います。

決めること:親権・お金・住まいの早見表

どの方法で離婚しても、決める項目は同じです。2026年4月1日に施行済みの民法改正(令和6年法律第33号)で、親権は離婚のときに父母の「双方又は一方」を定める仕組みになり(819条)、財産分与を家庭裁判所に求められる期間も離婚日によって変わりました。数字の一覧は離婚の法改正2026年4月施行が正本です。

早見表:離婚で決めることと、あとから請求するときの期限
項目 決める内容 根拠 期限など
親権 双方(共同)か一方(単独)か、監護者を定めるか 民法819条・766条 未成年の子がいれば、届出までに定めるか、家庭裁判所に定めを求める申立てをする
養育費 月額・支払日・終わりの時期 民法766条 取り決めがないまま離婚したときの法定養育費は改正の正本で確かめる
親子交流 頻度・方法・連絡のしかた 民法766条 決まらなければ家庭裁判所の調停
財産分与 分ける財産・割合・方法 民法768条 2026年4月1日以後の離婚は5年、それより前の離婚は2年
年金分割 按分割合(上限2分の1) 厚生年金保険法 2026年4月1日以後の離婚は5年、それより前は2年(日本年金機構)
慰謝料 配偶者・不倫相手への請求の有無と額 民法709条・710条 時効は損害と加害者を知った時から3年(民法724条)。仕組みは浮気・不倫の慰謝料とは?請求できる場面・金額の決まり方・進め方の全体像で確かめる
住まい 誰が住むか、ローン・名義・家賃の負担 協議で決める 売る場合は査定と時期の検討が要る

お金の全体像は浮気が原因の離婚とお金、慰謝料の仕組みは浮気・不倫の慰謝料とは?請求できる場面・金額の決まり方・進め方の全体像、子どもの決めごとは親権とは?2026年4月からの共同親権・単独親権の決め方へ進んでください。立場ごとの整理として、夫の側は妻の浮気で離婚を考える夫へ、妻の側は夫の浮気で離婚を考える妻へ、決めた後の暮らしを点検したい人は離婚して後悔する人が見落としやすいことが役に立ちます。

目的別に読む:状況から記事を選ぶ

状況ごとに、読む記事を並べました。自分に近い行から開いてください。

相手が条件に応じない、財産が多い・複雑、子どもの親権で意見が分かれている、慰謝料も一緒に決めたいといった場合は、弁護士に依頼する選択肢があります。選ぶときは、離婚事件の取扱いの有無、費用の内訳、連絡の取り方を最初の相談で確かめると比べやすくなります。確かめる点は離婚の弁護士の選び方、相談する時期は離婚で弁護士に相談するタイミングにまとめています。

よくある質問

Q. 浮気をされた側が離婚したいと言えば、相手が嫌がっても離婚できますか?

話し合い(協議離婚)と調停は、夫婦の双方が合意しなければ離婚が成立しません。合意できないときは離婚の訴えを起こすことになり、民法770条1項1号は裁判で離婚を求める理由の一つに「配偶者に不貞な行為があったとき」を挙げています。ただし同条2項で、裁判所が婚姻の継続を相当と認めて請求を退けられる余地もあるため、自分の場合の見通しは弁護士に確かめてください。

Q. 浮気をした側から離婚を求めることはできますか?

協議や調停では、相手が合意すれば理由を問わず離婚できます。相手が応じず裁判になったときは、浮気をした側(有責配偶者)からの請求として、別居の期間や未成熟の子の有無などが問題になります。考え方は[有責配偶者とは?浮気した側からの離婚請求が問題になる理由](/yuuseki-haigusha/)で整理しています。

Q. 離婚と浮気の慰謝料は一緒に決められますか?

家庭裁判所の夫婦関係調整調停(離婚)では、親権や養育費と並んで慰謝料も話し合えると裁判所が案内しています。裁判の段階では、人事訴訟法17条により、離婚の請求とその原因となった事実による損害賠償の請求を一つの訴えで起こせます。不倫相手への請求をどこまで一緒に扱えるかは事案で変わるので、弁護士に確かめてください。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

浮気が原因の離婚準備チェックリスト:証拠・お金・住まい・子ども

協議離婚の流れ:浮気が原因のときに決めることと書面の残し方

離婚の方法は4種類:協議・調停・審判・裁判の流れと選び方

離婚したいと思ったら最初に整理すること:浮気が原因のときの順番