浮気・不倫が原因の離婚 / 手順

協議離婚の流れ:浮気が原因のときに決めることと書面の残し方

この記事のもくじ
  1. 協議離婚の流れ:6つの段階
  2. 離婚届を出す前に決めておくこと
  3. 浮気が原因のときに加えること
  4. 決めたことを書面に残す
  5. 話し合いが進まないとき・危険があるとき

協議離婚は、夫婦が話し合って離婚に合意し、離婚届が役所に受理された日に成立します。流れは「条件の洗い出し → 材料の準備 → 話し合い → 合意内容を書面にする → 離婚届に署名 → 提出」の順で、浮気が原因でも手続きは変わりません。変わるのは、慰謝料を一緒に決めるかどうかと、書面の中身です。この記事では、届出の前に決めて書面に残しておくことを、順番に並べます。

協議離婚の流れ:6つの段階

民法763条は「夫婦は、その協議で、離婚をすることができる」と定めています。裁判所を通さないので、費用は書類の取得費などで済みますが、そのぶん決め忘れも自分たちで防ぐことになります。

協議離婚の6段階と、各段階でやること
段階 やること 書き出しておくもの
1 洗い出し 決める項目を一覧にし、自分の希望と譲れない点を分ける 親権・養育費・財産分与・慰謝料・住まいの希望
2 材料の準備 収入と財産の資料、子どもの生活の記録をそろえる 源泉徴収票、通帳、保険、ローンの残高
3 話し合い 項目ごとに案を出し合い、決まったことをその場でメモする 日付入りの議事メモ
4 書面 合意した内容を離婚協議書にする。公正証書にする方法もある 双方が署名した書面を各1通
5 署名 離婚届に双方が署名し、成年の証人2人にも署名してもらう 証人の署名欄
6 提出 市区町村役場に出す。受理された日に離婚が成立する 本人確認書類

話し合いの進め方や、切り出し方は離婚の切り出し方:浮気が原因のとき伝える順番と避けたい言葉、浮気が原因のときに抜けやすい項目は離婚の話し合いの進め方:浮気が原因のときに抜けやすい項目と順番にまとめています。

離婚届を出す前に決めておくこと

離婚届に書く項目は少なく、離婚後の暮らしを左右する取り決めの多くは、届出書には載りません。次の表の項目は、届出の前に話し合って、結論か「いつまでに決める」を書面に入れておきます。

決めること 決める中身 根拠・目安
親権者 父母の双方にするか、一方にするか。子が複数なら子ごとに判断される 民法819条1項(2026年4月1日から「双方又は一方」)
子の監護 子と主に暮らす人、親子交流(面会交流)の頻度と方法 民法766条1項
養育費 月額、始期と終期、支払日、振込先、増減の見直しの方法 裁判所の算定表が目安。公証人は金額を算定しない
財産分与 対象の財産の一覧、分け方、名義変更、住宅ローンの扱い 民法768条。請求できるのは離婚の時から5年
年金分割 厚生年金の按分割合(合意分割)か、3号分割か 請求の期限は離婚の翌日から原則5年
慰謝料 金額、支払いの方法、期日。浮気が原因なら中身をここで決める 民法709条・710条
住まいと氏 誰がどこに住むか。婚姻中の氏を名乗り続けるか 氏の続称は離婚の日から3か月以内の届出(民法767条2項)

未成年の子がいる場合、親権者の定めがあること、または家庭裁判所に親権者を決めてもらう申立てをしていることが、離婚届を受理する条件です(民法765条1項)。2026年4月1日の改正前は「一方を親権者と決めなければ届出ができない」とされていましたが、いまは「父母の双方または一方」を定める形になり、申立て中でも届出ができます。親権の決め方は親権とは?2026年4月からの共同親権・単独親権の決め方で整理しています。

年金分割の請求期限は、2026年4月1日以降に離婚した場合は離婚等の翌日から5年、それより前に離婚した場合は従来どおり2年です(日本年金機構)。財産分与の請求期間と同じように、離婚の日によって期限が変わります。

浮気が原因のときに加えること

浮気が原因の協議離婚では、上の項目に加えて次の3点を決めます。

  1. 慰謝料の扱い:離婚の話し合いの中で、浮気をした配偶者に慰謝料を請求するかを決めます。請求しないなら「慰謝料は請求しない」と書面に書き、請求するなら金額と支払い方法を入れます。慰謝料の仕組みは不貞行為の慰謝料は民法の何条?709条・719条・724条と最高裁の考え方に書いています。
  2. 不倫相手への請求との関係:夫婦の離婚協議書は、夫婦の間の約束です。不倫相手との話は別の書面になります。夫婦の書面に書く「これ以外に債権債務はない」という清算条項が、不倫相手との関係に及ぶと読まれないか、書き方を専門家に見てもらうと安心です。
  3. 証拠の保管:話し合いが決裂して調停や裁判になる可能性に備え、浮気の証拠や、話し合いのメモは消さずに残しておきます。

決めたことを書面に残す

口約束だけでは、後で「そんな約束はしていない」と言われても示せません。書面は2種類あります。

比べる点 離婚協議書(当事者が作る) 離婚公正証書(公証役場で作る)
作る人 夫婦、または依頼を受けた専門家 公証人(夫婦の合意を記録する)
費用 書類代のみ 公証人手数料がかかる
支払いが止まったとき 調停や訴訟で判決などを得てから強制執行 強制執行認諾の文言があれば、裁判なしで強制執行できる金銭の項目がある

書き方の型と文例は離婚協議書の書き方:浮気の慰謝料・養育費・財産分与の条項の例、公正証書にする手順は離婚公正証書の作り方:公証役場での流れと強制執行できる条項に分けています。公正証書を作っただけでは離婚は成立せず、離婚届が受理されて初めて離婚の効力が生じる点は、日本公証人連合会も説明しています。

話し合いが進まないとき・危険があるとき

相手が離婚に応じない、条件で折り合えない、話し合いの場で怒鳴られるといったときは、協議を続けるより家庭裁判所の調停が向いています。調停は、親権や養育費、財産分与、年金分割の割合、慰謝料まで一緒に話し合える場です(裁判所)。申立ての費用は収入印紙1,200円分と連絡用の郵便切手です。

暴力や脅しがあって安全が心配なときは、2人きりでの話し合いを避け、先に窓口へ相談してください。番号と受付時間は浮気・不倫の相談先一覧:悩み別の窓口と番号・受付時間の早見表にまとめています。

相手が条件に応じない、財産が多く複雑、親権で意見が分かれているといった場合は、弁護士に依頼する選択肢があります。依頼先を比べるなら、離婚事件をどれだけ扱ってきたか、費用がどう分かれているか、連絡手段は何かを、初回の相談で聞いておきます。聞く項目は離婚の弁護士の選び方:浮気が原因の事件で確かめる5つのことに載せています。

よくある質問

Q. 離婚届に判を押す前に、書面を作っておく必要はありますか?

法律上、離婚届を出すために離婚協議書は要りません。ただ、離婚届が受理されると協議離婚は成立し、そのあとで条件を詰めるのは交渉の材料が減ります。養育費や慰謝料の約束があるなら、届出の前に書面にして、双方が署名した控えを手元に置いてください。

Q. 浮気をした側が離婚に応じないとき、協議離婚はどうなりますか?

協議離婚は夫婦の双方が離婚に合意して届出をすることで成り立つので、一方が応じなければ成立しません。話し合いが進まないときの次の段階は家庭裁判所の調停です。流れは[離婚の方法は4種類:協議・調停・審判・裁判の流れと選び方](/rikon-hoho-tetsuzuki/)で比べられます。

Q. 離婚届を先に出して、お金のことは後で決めてもよいですか?

財産分与は離婚の時から5年(2026年3月31日以前に離婚した場合は2年)の間は家庭裁判所に請求できますが、それは決められないまま離婚した人のための道です。養育費の取り決めがないまま離婚すると、法定養育費という最低限の仕組みだけが働くので、決められるものは届出の前に決めておくほうが安全です。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

離婚協議書の書き方:浮気の慰謝料・養育費・財産分与の条項の例

離婚届の書き方と出し方:証人・親権の欄で注意すること

離婚の方法は4種類:協議・調停・審判・裁判の流れと選び方