離婚の相談先の選び方:無料で使える窓口と弁護士の違い
この記事のもくじ
離婚の相談先は、手続の方法を案内する窓口、制度や費用を案内する窓口、個別の判断や交渉を頼める弁護士の3つに分けて選ぶと迷いにくくなります。無料で使える窓口は複数ありますが、無料の窓口が担うのは案内までです。あなたの事情に合わせた判断、相手との交渉、家庭裁判所での代理は、弁護士の仕事です。この記事では、相談先ごとにできることとできないことを比べ、使う順番の目安を示します。
離婚の相談先を比べる:できること・できないこと
主な相談先を、役割と費用の面から並べます。番号と受付時間は変わることがあるため、このページには載せず、浮気・不倫の相談先一覧にまとめています。
| 相談先 | できること | できないこと・注意 |
|---|---|---|
| 自治体の女性相談・家庭相談 | 暮らしや子どものこと、DVの心配を聞き、利用できる制度や窓口につなぐ | 全国共通の番号はなく、住んでいる市区町村・都道府県で確かめる。法的な判断は行わない |
| 家庭裁判所の家事手続案内 | 調停の申立ての方法を案内する | 手続の方法の案内で、どうするべきかの判断はしない。電話での案内を行わない裁判所もある(東京家庭裁判所は窓口のみ) |
| 法テラス(日本司法支援センター) | 制度や窓口の案内。一定の収入などの条件を満たせば無料の法律相談、弁護士費用の立替え | サポートダイヤルは法制度や相談窓口の案内が中心。依頼の費用は立替えで、あとで返す |
| 養育費・親子交流相談支援センター | 養育費と親子交流の取り決めや不払いの相談(電話・メール) | 電話・メールでの相談。法的な悩みの相談先としては、こども家庭庁のページが法テラスを案内している |
| 弁護士 | 離婚の条件の整理、相手との交渉、調停・審判・裁判の代理 | 費用がかかる。相談料、着手金などは事務所ごとに違う |
| 司法書士・行政書士 | 書類の作成(行政書士は離婚協議書など、司法書士は家庭裁判所に出す書類) | 家庭裁判所の調停の代理や、相手との交渉は担えない |
家庭裁判所に出す書類は司法書士が作成でき、離婚協議書は行政書士が作成できます。ただし司法書士の代理は簡易裁判所の手続が中心で、離婚調停の代理は含まれません。職種ごとの違いは弁護士・司法書士・行政書士の違いで、離婚協議書の頼み先は離婚協議書は行政書士と弁護士のどちらに頼む?で扱います。
悩み別に選ぶ:何を知りたいかで窓口が変わる
相談先は、知りたいことで選ぶと無駄が減ります。
| いま知りたいこと | 向いている窓口 |
|---|---|
| 離婚の手続の全体と、使える制度を知りたい | 自治体の窓口、法テラスのサポートダイヤル |
| 調停の申立て方を知りたい | 管轄の家庭裁判所の家事手続案内 |
| 養育費・親子交流の取り決めや不払いで困っている | 養育費・親子交流相談支援センター、自治体 |
| 慰謝料、親権、財産分与で相手と争う見通しがある | 弁護士 |
| 合意した条件を書面にしたい | 行政書士、弁護士、公証役場(公正証書) |
| 暴力や脅しがある | 警察、配偶者暴力相談支援センター(先にDVの相談窓口) |
| 弁護士費用が払えるか不安 | 法テラス |
家庭裁判所の夫婦関係調整調停(離婚)では、離婚そのものに加えて、親権者を父母の双方とするか一方とするか、親子交流、養育費、財産分与、年金分割の割合、慰謝料も一緒に話し合えます。申立ての費用は収入印紙1,200円分と連絡用の郵便切手です。管轄の裁判所のページで、申立書の書式と受付の方法を確かめてください。
無料で使える窓口の範囲と限界
「無料」と聞いても、無料なのは相談の一部です。
法テラスは、経済的に余裕のない人を対象に、弁護士・司法書士による無料の法律相談を行うと法務省が案内しています。報復的な感情を満たすだけの場合は利用できません。収入や資産の基準は地域や時期で変わりうるため、数字は法テラスのサイトで確かめてください。依頼する段階では費用の立替えを受けられる場合があり、総合法律支援法30条が、民事裁判等手続に先立つ和解の交渉で特に必要と認められるものを立替えの対象に含めています。立替えなので、あとで返す必要があります。くわしくは法テラスで離婚の相談をするにはに分けています。
家庭裁判所の家事手続案内は、東京家庭裁判所の例では、費用は無料で予約は不要、平日の窓口で受け付けています。電話による案内は行っていません。ほかの裁判所では時間や電話の可否が異なるため、管轄の裁判所のページで確かめます。
自治体の相談は、住民向けの無料の窓口を設けている自治体があります。窓口の名前や受付の曜日は自治体ごとに違うので、市区町村や都道府県のホームページで「女性相談」「家庭相談」を探してください。
弁護士に相談する場面と、相談の前にそろえるもの
弁護士だけが担うのは、相手との交渉の代理と、家庭裁判所の手続の代理です。弁護士でない人が報酬を得る目的で法律事件の代理や交渉を業とすることは、弁護士法72条が禁じています。無料の窓口や民間のサービスに、交渉まで任せられると期待せず、誰が何を担当するのかを、依頼の前に確かめてください。
弁護士に聞くことを考えたほうがよいのは、次のような場面です。
- 相手が弁護士を立てた、または立てると言っている
- 親権や養育費、財産の分け方で意見が大きく割れている
- 財産の全体が見えない、隠している疑いがある
- 相手が離婚に応じず、調停や裁判を見すえている
相談の前には、次の4点をそろえます。
- 時系列のメモ:浮気に気づいた日、話し合いの経過、別居の日。
- 夫婦の収入と財産の一覧:離婚準備のチェックリストの「お金」の欄で作れます。
- 聞きたいこと:優先順位を3つに絞る。
- 希望する結果:離婚する・しない、親権、住まいなど。
弁護士の探し方は離婚の弁護士の選び方に、費用の内訳は離婚の弁護士費用の内訳にあります。
使う順番の目安:無料の窓口から弁護士へ
順番は人によって違いますが、次の流れが一つの目安です。
- 安全に不安があるなら、先に警察や配偶者暴力相談支援センター。
- 自治体や法テラスのサポートダイヤルで、使える制度と窓口を聞く。
- 資料をそろえ、争いになりそうな項目を書き出す。
- 争いの見通しがある項目は、弁護士に相談する。
- 切り出す前後に、勝手に離婚届を出されるのが心配なら離婚届の不受理申出を考える。
切り出し方は離婚の切り出し方で扱っています。
よくある質問
Q. 離婚の相談は、最初に弁護士にしないといけませんか?
最初から弁護士でなくてもかまいません。何から決めればよいか分からない段階なら、自治体の窓口や法テラスのサポートダイヤルで制度と窓口を聞き、争いになりそうな項目が見えたところで弁護士に進む順番もあります。相手が弁護士を立てた、親権で争う見通しがある場合は、早めに弁護士へ聞くほうが整理しやすくなります。
Q. 無料の相談だけで離婚の手続を全部進められますか?
協議離婚は夫婦の合意と届出でできるので、本人だけで進める人もいます。ただ、無料の窓口は手続や制度の案内が中心で、あなたの事情に合わせた判断や、相手との交渉を代わりにする役割は担いません。調停などの家庭裁判所の手続で代理人になれるのは原則として弁護士です(家事事件手続法22条)。
Q. 相談に行くとき、何を持って行けばよいですか?
時系列のメモ、夫婦の収入と財産の一覧、聞きたいことを3つに絞った紙を用意してください。戸籍謄本や源泉徴収票があれば役立ちます。準備の項目は[浮気が原因の離婚準備チェックリスト](/rikon-junbi/)にそろっています。
出典・参考にした公的な情報
- 弁護士法 第3条・第72条・第74条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 家事事件手続法 第22条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 司法書士法 第3条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 行政書士法 第1条の3・第1条の4(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 総合法律支援法 第30条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 法テラス・サポートダイヤル(法務省)
- 法務省広報誌「あかれんが」Vol.82(法テラスの無料法律相談)(法務省)
- 家事手続案内(東京家庭裁判所の例)(裁判所)
- 夫婦関係調整調停(離婚)(裁判所)
- 養育費・親子交流の相談をしたいひとり親の方へ(こども家庭庁)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。