浮気・不倫が原因の離婚 / 文例

離婚協議書の書き方:浮気の慰謝料・養育費・財産分与の条項の例

この記事のもくじ
  1. 離婚協議書とは:書式の決まりと、できること・できないこと
  2. 離婚協議書に入れる条項の型
  3. 条項の文例(一般的な形の例)
  4. 浮気が原因のときに気をつけること
  5. 書いた後:公正証書にする・専門家に見てもらう

離婚協議書は、決まった書式がなく、離婚の条件を書いて夫婦が署名する私的な契約書です。入れる条項は「離婚の合意・親権と子の監護・養育費・親子交流・財産分与・年金分割・慰謝料・清算と通知義務」の8つに分けると整理しやすく、浮気が原因なら慰謝料の条項に、事実の特定と支払いの方法を入れます。この記事では、条項の型と一般的な形の例を示します。個別の事情に合わせた作成は、弁護士や公証人に見てもらってください。

離婚協議書とは:書式の決まりと、できること・できないこと

民法には離婚協議書の書式の定めがなく、決める内容は夫婦が自由に選べます(日本公証人連合会も「当事者の希望・必要に応じて」条項にすると説明)。そのため、同じ「離婚協議書」でも、項目を絞った短いものから、細部まで書き込んだものまで幅があります。

比べる点 離婚協議書 離婚公正証書
作る人 夫婦(専門家に書面作成を頼んでもよい) 公証人(合意の内容を証書にする)
費用 書類代などで済み、公証人手数料はかからない 公証人手数料が別にかかる
支払いが止まったとき 訴訟や調停を経ないと強制執行できない 強制執行認諾の文言があれば、金銭の請求は裁判なしで強制執行できる
離婚の効力 書面だけでは離婚は成立しない(離婚届の受理で成立) 同じ

養育費などの金銭の約束を守らせる手段としては、公正証書のほうが強い一方、費用と手間はかかります。分岐点の目安は離婚公正証書の作り方:公証役場での流れと強制執行できる条項に書いています。

離婚協議書に入れる条項の型

次の表は、条項を並べる順番の例です。「抜けやすい点」の列は、後から困りやすい部分です。

早見表:離婚協議書の条項と抜けやすい点
条項 書く内容 抜けやすい点
1 離婚の合意 協議離婚に合意し、離婚届を出す日 届出をする人と期限
2 親権・監護 親権者(双方か一方)、子と暮らす人 子が複数のときは子ごとに書く
3 養育費 月額、始期と終期、支払日、振込先 増減の見直し、進学時の費用
4 親子交流 頻度、方法、連絡の取り方 日時を細かく決めすぎて守れなくなる
5 財産分与 対象財産、分け方、名義変更 ローン、保険、退職金
6 年金分割 按分割合、手続きをする時期 請求の期限(離婚の翌日から5年。2026年3月31日以前は2年)
7 慰謝料 金額、支払方法、期日 浮気の事実の特定、不倫相手との関係
8 清算・通知義務 これ以外に債権債務がないこと、住所変更の通知 清算の範囲

条項の文例(一般的な形の例)

以下は、型を知るための例です。甲は元配偶者の一方、乙は他方、金額や日付は空欄を想定した「○」で示しています。実際の書面にそのまま使うのでなく、事情に合わせて整えてください。

親権・監護と養育費

第○条(親権者)甲と乙は、長男○○(令和○年○月○日生)の親権者を乙と定め、乙が監護養育する。

第○条(養育費)甲は乙に対し、長男の養育費として、令和○年○月から長男が○歳に達する日の属する月まで、毎月末日限り月額金○円を、乙の指定する口座に振り込んで支払う。振込手数料は甲の負担とする。

2026年4月1日以降の離婚では、親権者を「父母の双方または一方」と定められます(民法819条1項)。双方を選ぶ場合は、日々の監護を誰がするかと、重要な事項の決め方を条項に入れておくと、後で止まりにくくなります。

養育費の金額は、裁判所の算定表が目安になります(父母の収入と子の年齢・人数から標準的な額を見る表)。公証人は金額を算定しないので、自分たちで決める必要があります。終期は成年が18歳でも、「大学卒業まで」と定める例があり、夫婦の考えを書いて決めます。

浮気の慰謝料

第○条(慰謝料)甲は乙に対し、甲が令和○年○月頃から令和○年○月頃までの間に第三者と不貞行為を行ったことにより乙に精神的苦痛を与えたことを認め、慰謝料として金○円の支払義務があることを認める。

2 甲は乙に対し、前項の金員を、令和○年○月○日限り、乙の指定する口座に振り込んで支払う。

3 甲が前項の支払いを怠ったときは、甲は当然に期限の利益を失い、残額を一括して支払う。

事実の書き方は、期間と内容を特定しすぎても、あいまいにしすぎてもよくありません。争いになりそうな点(回数や時期)は、書面の段階で確かめ、書けないことは書かない選択もあります。違約金を入れるときは、民法420条の「賠償額の予定」にあたり、金額が行き過ぎると有効かが問題になりえます。

財産分与と年金分割

第○条(財産分与)甲は乙に対し、財産分与として金○円を、令和○年○月○日限り、乙の指定する口座に振り込んで支払う。

第○条(年金分割)甲と乙は、年金分割のための情報通知書に基づき、対象期間に係る按分割合を○○%と定める。

財産分与は、対象の財産を表にして添付すると、後でもめにくくなります。住宅ローンの残る家を渡す場合は、金融機関の承諾が多くの場合必要で、名義変更の登記もしないと第三者に主張できないおそれがある、と日本公証人連合会が注意しています。年金分割の按分割合は、合意分割では夫婦で決める必要があり、3号分割(2008年4月以降の、扶養されていた配偶者の期間が対象)は2分の1で相手の合意が要りません(日本年金機構)。

清算・通知義務

第○条(清算)甲と乙は、本協議書に定めるほか、互いに債権債務がないことを確認する。

第○条(通知)甲と乙は、住所または勤務先が変わったときは、相手に遅滞なく通知する。

清算条項は、書面に書いたこと以外を「なかったこと」にする条項です。慰謝料や財産分与を別途に決めるつもりなら、清算条項の前に入れておきます。また、清算条項は夫婦の間の約束なので、不倫相手との関係に及ぶと読まれる書き方になっていないかを、専門家に見てもらうと安心です。DVなどで住所を知らせたくない場合の通知の書き方は、公証人に相談できます。

浮気が原因のときに気をつけること

  • 離婚後に浮気が分かったとき:清算条項で「互いに債権債務なし」と書いていても、書いた時点で知らなかった事情をどう扱うかは別の問題になります。離婚後に不倫が発覚したら慰謝料は請求できる?時効と証拠の考え方で考え方を整理しています。
  • 署名と保管:夫婦が署名し、同じ内容の原本をそれぞれ1通ずつ持ちます。保管場所は、相手に見られない場所に決めておきます。
  • 離婚届との順番:協議書を結んでから、離婚届を出します。出した後は、条件を詰める余地が小さくなります。
  • 税金:財産分与や慰謝料には、原則として受け取る側に贈与税や所得税はかかりませんが、過大な場合などは課税されることがあります(日本公証人連合会)。不動産を渡すときは、渡す側に譲渡所得税がかかる場合もあるため、税務署や税理士に確かめてください。

書いた後:公正証書にする・専門家に見てもらう

協議書の案ができたら、次の2つを考えます。

  1. 公正証書にするか:養育費や慰謝料の分割払いがあるなら、検討する価値があります。手順は離婚公正証書の作り方:公証役場での流れと強制執行できる条項、費用は離婚の公正証書の費用:公証人手数料の決まり方と必要書類にあります。
  2. 誰に見てもらうか:合意済みの内容を書面にするなら行政書士にも頼め、交渉や争いがあるなら弁護士です。違いは離婚協議書は行政書士と弁護士のどちらに頼む?できることの違いで比べています。

書面の内容を相手と詰めている途中で、条件がまとまらない、相手が応じないといったときは、弁護士に依頼する選択肢があります。依頼先を比べるなら、協議書の案を見てもらえる範囲と、費用がどこまで含まれるかを、初回の相談で聞いておきます。

離婚が決まるまでの全体の順番は、協議離婚の流れ:浮気が原因のときに決めることと書面の残し方で確かめられます。

よくある質問

Q. 離婚協議書は手書きでもよいですか?

書式や手書きかパソコンかに法律上の決まりはありません。大切なのは、誰と誰がいつ何を約束したのかが読み取れることと、双方が署名して各自が1通ずつ持つことです。印鑑は実印でなくても書面としては成り立ちますが、署名と日付を忘れないでください。

Q. 浮気の慰謝料も、離婚協議書に書いてよいですか?

夫婦の間で慰謝料の支払いを約束するなら、離婚協議書に書けます。浮気をした配偶者に払ってもらう金額と期日を入れるのが一般的な形です。不倫相手への請求は別の話なので、同じ書面に混ぜず、[不倫の示談書の書き方:入れる条項の例と作るときに気をつけること](/jidansho/)の考え方で別に整えます。

Q. 離婚協議書を作れば、養育費が止まっても強制執行できますか?

当事者が作った離婚協議書だけでは、強制執行はできません。強制執行は判決などの債務名義が必要で、公証人が作る公正証書に強制執行認諾の文言がある場合は、その証書が債務名義になります。差が出るのは、支払いが止まったときです。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

協議離婚の流れ:浮気が原因のときに決めることと書面の残し方

離婚公正証書の作り方:公証役場での流れと強制執行できる条項

離婚協議書は行政書士と弁護士のどちらに頼む?できることの違い