離婚協議書は行政書士と弁護士のどちらに頼む?できることの違い
離婚協議書の作成は、夫婦の間で内容が決まっていて書面にする段階なら行政書士にも頼め、相手と条件で争っている、交渉が要るなら弁護士、というのが線引きです。行政書士は権利義務に関する書類の作成を業とし、相手との交渉や代理は、行政書士の業務に含まれません。浮気が原因の離婚でも同じで、慰謝料の金額で折り合わないときは弁護士の領域になります。この記事では、頼める範囲の違いを表で比べ、頼む前に確かめる点をまとめます。
結論:合意済みなら書面作成、争いがあるなら弁護士
次の表は、離婚の場面で誰に何を頼めるかの早見表です。
| できること | 行政書士 | 弁護士 | 公証人 |
|---|---|---|---|
| 合意した内容を離婚協議書にする | できる | できる | 公正証書にできる |
| 離婚の条件の相談に乗る | 書類作成に関する相談 | できる | 公正証書にする内容の相談(無料) |
| 相手と条件を交渉する | できない | できる | できない |
| 家庭裁判所の調停で代理人になる | できない | できる | できない |
| 公正証書の原案を整える | できる | できる | 夫婦の合意を記録する(金額は算定しない) |
司法書士は、家庭裁判所に出す書類の作成までで、離婚の条件の交渉や調停の代理はできません。3職種の線引きの全体は弁護士・司法書士・行政書士の違い:浮気・離婚で頼めることの範囲で比べています。
行政書士に頼めること・頼めないこと
行政書士法1条の3は、他人の依頼を受け報酬を得て、権利義務または事実証明に関する書類を作成することを行政書士の業務としています。離婚協議書は、夫婦の権利義務を定める書類なので、これにあたります。1条の4は、契約に関する書類を代理人として作成することと、作成できる書類についての相談も業務にしています。
頼めること:
- 夫婦で合意した内容を、離婚協議書の条項に整える
- 条項の抜けや書き方の相談(書類作成に関する範囲)
- 公証役場に出す文案の準備
頼めないこと:
- 相手と条件を話し合って決める交渉
- 慰謝料の請求を、依頼者に代わって相手に伝える代理
- 調停・裁判の代理
行政書士法1条の3第2項は、他の法律で制限されている業務はできないと定め、1条の4も、他の法律で制限されている事項は除いています。弁護士法72条はその一つで、法律事件に関する代理や和解は弁護士の仕事です。「行政書士が相手と話をまとめる」「慰謝料を代わりに請求する」と案内するサービスがあったら、それが弁護士の仕事でないかを確かめてください。弁護士法72条は、報酬を得る目的で、法律事件に関する代理や和解を業とすることを、弁護士でない者に禁じています。
行政書士でない者が報酬を得て書類作成を業とすることは、名目を問わず禁じられています(行政書士法19条)。「サポート料」「会費」といった名目の離婚サポート業者に頼むときは、書類を作るのが資格を持った人かを確かめます。
弁護士に頼む場面
弁護士は、依頼を受けて一般の法律事務を行うことを職務とします(弁護士法3条)。離婚の場面で、行政書士や司法書士ではなく弁護士の領域になるのは、主に次の2つです。
- 相手との交渉の代理:慰謝料の金額、親権、財産分与の割合などで対立しているとき
- 家庭裁判所の手続の代理:調停や審判・訴訟で代理人になる(家事事件手続法22条は、原則として弁護士でなければ手続代理人になれないと定めています)。ただし本人が自分で申し立て、出席することはできる
浮気が原因で、相手が不貞を認めない、慰謝料の金額で折り合わない、親権で争っているといったときは、書面を整える段階ではなく、弁護士の領域です。弁護士に頼むかどうかの判断材料は離婚に弁護士は必要か:自分で進められる場合と頼んだ方がよい場合、探すときは離婚の弁護士の選び方:浮気が原因の事件で確かめる5つのことにまとめています。
頼む前に確かめること
次の項目を、問い合わせの段階で聞くと、頼む範囲の食い違いを防げます。
| 確かめる点 | 聞き方の例 |
|---|---|
| 資格の有無 | 書類を作る人は行政書士または弁護士か。日本行政書士会連合会の会員検索で氏名と登録を調べられる |
| 頼む範囲 | 協議書の作成だけか、公証役場とのやり取りまで含むか |
| 交渉の有無 | 相手と連絡を取るのは誰か。相手との交渉が必要になったら弁護士につないでもらえるか |
| 費用の内訳 | 報酬に、公証人手数料、戸籍などの取得費、追加の修正の費用が含まれるか |
| 作成の流れ | 面談の回数、案の修正の回数、署名までの日数 |
| 浮気の慰謝料 | 事実の書き方や清算条項の範囲を、どこまで見てもらえるか |
日本行政書士会連合会の会員検索には「権利義務・事実証明」という取扱い業務の選択肢があります。ただし「主な取扱い業務」は各行政書士が任意で設定する情報なので、検索で絞ったうえで、最後は事務所に離婚協議書の作成を扱っているかを聞きます。
自分で作る・費用を抑えたいとき
費用の面で迷うときは、次の道があります。
- 条項の型は、離婚協議書の書き方:浮気の慰謝料・養育費・財産分与の条項の例の表と文例で自分で作り、できた案を専門家に見てもらう
- 法テラスの無料相談や費用の立替えを使えるか調べる。条件があるため、使えるかは法テラスで離婚の相談をするには:無料相談と費用の立替えの条件で確かめる
- 公証役場への相談は無料で、条項の案を見せて、公正証書の見積もりを聞ける
相手との交渉が必要、条件が複雑、調停まで進みそうといった場合は、弁護士に依頼する選択肢があります。依頼先を比べるなら、交渉と調停をどこまで受けるか、費用が段階ごとにどう変わるかを、初回の相談で聞いておきます。
離婚届を出したあとの手続きは、離婚後の手続き一覧:戸籍・氏・保険・年金・手当の順番で期限つきに確かめられます。
よくある質問
Q. 行政書士に頼むと、相手との話し合いも代わりにしてもらえますか?
条文の上では、行政書士の業務は権利義務に関する書類の作成と、その相談などで、他の法律で制限されている業務はできないと定められています(行政書士法1条の3第2項)。相手との交渉や争いの調整は弁護士法72条の領域で、弁護士の仕事です。依頼する前に、交渉まで頼めるのかを確かめてください。
Q. 費用は行政書士のほうが安いのですか?
報酬は事務所ごとに自由に定められ、公的な統計はありません。協議書の作成だけを頼む場合と、交渉や調停まで頼む場合では、頼む範囲が違うので比べる意味も変わります。各事務所の料金表で、何が含まれる金額かを確かめて比べてください。
Q. 当事者だけで作った離婚協議書を、後から専門家に見てもらえますか?
見てもらえます。作成後に条項の抜けや、浮気の慰謝料の書き方、清算条項の範囲をチェックしてもらう使い方もあります。公正証書にする前の案を見てもらうと、公証役場でのやり取りも進めやすくなります。公正証書の流れは[離婚公正証書の作り方:公証役場での流れと強制執行できる条項](/rikon-kouseishousho/)にあります。
出典・参考にした公的な情報
- 行政書士法 第1条の3・第1条の4・第19条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 弁護士法 第3条・第72条・第74条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 家事事件手続法 第22条(手続代理人)(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 司法書士法 第3条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 夫婦関係調整調停(離婚)(裁判所)
- 離婚(Q6 養育費の算定・公証人の役割)(日本公証人連合会)
- 手数料(公証業務に関する相談は無料)(日本公証人連合会)
- 行政書士会員検索(取扱い業務の絞り込み)(日本行政書士会連合会)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。