再構築の契約書の書き方:夫婦の約束を書面にする項目と文例
再構築の契約書は、浮気をした側が一人で誓う誓約書とは別に、夫婦二人が今後の暮らし方を約束する合意書として作ります。入れる項目は、目的、不倫相手との関係の終わり、生活のルール、話し合いの場、見直しの日、守れなかったときの扱い、作成日と二人の署名が基本です。この記事では、項目ごとの書き方と全体の文例を示し、書面にしても強制できないことや、書かないほうがよい条項も整理します。
再構築の契約書と浮気の誓約書の違い
浮気の後に作る書面には、大きく分けて二つの形があります。どちらか一方だけでもよく、両方を作る夫婦もいます。
| 比べる点 | 浮気の誓約書 | 再構築の契約書(合意書) |
|---|---|---|
| 書く人 | 浮気をした側が書き、相手に渡す | 夫婦二人が合意して作る |
| 中心になる内容 | 浮気の事実を認め、二度としないと誓う | これからの生活のルールと、関係を続けるための約束 |
| 向いている場面 | 発覚直後に、事実と誓いを残しておきたいとき | 再構築を選んだ後、二人の約束をまとめておきたいとき |
| 書き方の詳しい記事 | 浮気・不倫の誓約書の書き方 | この記事 |
再構築の契約書では、された側にも約束が入ることがあります。例えば「話し合いの時間以外には浮気の件で責めない」「不安になったときは決めた方法で伝える」といった約束です。どちらか一方だけが縛られる書面より、二人が守ることを並べた書面のほうが、対等に話し合う関係に近づきます。
書面にしてもできること・できないこと
書面に残すと、何を約束したかが後から分かる、言った言わないの争いを減らせる、約束を見直すときのたたき台になる、といった利点があります。一方で、書いた内容がそのまま強制できるわけではありません。
- 夫婦の間の約束も、契約として扱われる:以前の民法には「夫婦間の契約は婚姻中いつでも取り消せる」という754条がありましたが、2026年4月1日に施行された改正で削除されました。
- それでも無効になりうる約束がある:民法90条は、公の秩序や善良の風俗に反する約束を無効としています。相手の自由を過度に縛る約束や、極端に重いお金の約束は、無効と判断されるおそれがあります。
- 違約金を決めることはできるが、取れる保証ではない:民法420条は、約束を破ったときの賠償の額を前もって決めておくことを認めています。ただ、金額が妥当かどうかは事情によって判断され、払われなければ別に手続きが要ります。
- 生活のルールそのものは強制できない:「毎日連絡する」「休日は家族と過ごす」といった約束は、守られなくても裁判で守らせる性質のものではありません。書面の役割は、守るための目印と、話し合いの土台です。
書面の効力について、誓約書の場面で問題になりやすい点は浮気の誓約書に効力はある?違約金や離婚の約束が問題になる場面で詳しく扱っています。
再構築の契約書に入れる8つの項目
次の8つが基本です。全部を細かく書く必要はなく、自分たちに必要な項目を選んでください。
- 目的:「夫婦関係を再構築するために、次のとおり合意する」と、何のための書面かを一文で書きます。
- 事実の確認:浮気の事実を簡潔に書きます。詳しい経緯は書かず、「○年○月ごろから○年○月まで、第三者と交際していたことを認める」程度にとどめます。
- 不倫相手との関係の終わり:関係を終えたこと、連絡を取らないこと、相手から連絡があれば伝えることを書きます。
- 生活のルール:連絡・お金・スマホ・外出などの約束です。内容の決め方は浮気の再発防止に夫婦で決めることの例を参考にしてください。
- 話し合いの場:週に一度、月に一度など、浮気の件や不安について話す時間を決めます。
- された側の約束:話し合いの時間以外には責めない、不安は決めた方法で伝える、など。
- 見直しの日:「○年○月○日に内容を見直す」と書きます。
- 守れなかったときの扱い:まずは「話し合いの場で理由を説明する」「第三者に相談する」といった手順を書きます。
最後に、作成日と二人の氏名を書きます。同じものを2通作り、それぞれが1通ずつ持ちます。
再構築の契約書の文例
次は一般的な形の例です。自分たちの事情に合わせて言葉を変えてください。お金に関する約束を入れる場合は、作る前に弁護士に相談してください。
文例: 合意書 夫○○(以下「甲」という)と妻○○(以下「乙」という)は、夫婦関係を再構築するため、次のとおり合意する。 第1条(事実の確認)甲は、○年○月ごろから○年○月まで、第三者と交際していたことを認める。 第2条(関係の終了)甲は、前条の第三者との関係を終え、今後、業務上やむを得ない場合を除き連絡を取らない。相手から連絡があった場合は、その日のうちに乙に伝える。 第3条(生活の約束)甲は、帰宅が予定より遅れる場合は、分かった時点で乙に連絡する。家計の口座は二人が見られる形で管理する。 第4条(話し合いの場)甲と乙は、毎週○曜日の夜に30分程度、互いの気持ちや不安について話す時間を設ける。 第5条(乙の約束)乙は、前条の時間以外に、前記の交際の件で甲を責めることを控えるよう努める。不安を感じたときは、前条の時間に伝える。 第6条(見直し)甲と乙は、○年○月○日に、この合意の内容を見直す。 第7条(約束が守られなかったとき)この合意が守られなかった場合、守れなかった側は次の話し合いの場で理由を説明する。二人で解決できない場合は、第三者の相談機関を利用することを話し合う。 ○年○月○日 甲(氏名) 乙(氏名)
| 項目 | 入れる内容 | 避けたい書き方 |
|---|---|---|
| 事実の確認 | 時期と交際の事実を簡潔に | 性的な詳細、相手の個人情報 |
| 関係の終了 | 連絡しない、連絡が来たら伝える | 「相手を一生許さない」など感情の言葉 |
| 生活の約束 | 行動で書く(連絡する、見せる) | 外出の全面禁止、交友の全面禁止 |
| お金 | 家計の管理の方法 | 全財産の譲渡など極端に重い約束 |
| 見直し | 具体的な日付 | 「ずっと」「一生」 |
書かないほうがよい条項と、公正証書にするとき
次のような条項は、書いてもそのとおりにはならない、または二人の関係をかえって苦しくするので、入れる前に考え直してください。
- 相手の自由を過度に縛る約束:「仕事以外の外出を一切しない」「異性と口をきかない」など。守れず、守らせることもできません。
- 離婚の条件を先に決める約束:「次に浮気したら親権は乙」など。親権や財産分与は、離婚するときの話し合いや手続きで決めるもので、この書面に書いておいてもそのとおりになるとは限りません。
- 相手のスマホやアカウントを自由に操作してよいという約束:書面にしても、後で同意の範囲をめぐってもめやすくなります。見せるかどうかは持ち主が画面を開く形にとどめます。
公正証書にしたい場合は、公証役場に相談します。公正証書は公証人が作る公文書で、作られたことや当事者がそう述べたことの証明が強くなります。ただし公証人法26条により、公証人は法令に違反する事項や無効な行為について公正証書を作れません。また、公正証書で強制執行の対象になるのは、一定額のお金の支払いの約束に「支払わないときは直ちに強制執行を受けてよい」という陳述を入れたもの(民事執行法22条5号)で、生活のルールそのものは対象になりません。誓約書を公正証書にする場合の考え方は浮気の誓約書を公正証書にできる?で扱っています。
作った後は、見直しの日に二人で読み返し、守れたこと・守れなかったことを確かめます。書面の約束が日々の行動につながっているかを確かめる方法は、次の浮気の後の信頼回復:した側が続ける行動とされた側の確かめ方で示しています。
よくある質問
Q. 再構築の契約書は、手書きでないと意味がありませんか?
手書きかパソコンで作るかで、書面の意味が変わるわけではありません。大切なのは、二人が内容を読んで納得したことが分かる形にすることです。本文はパソコンで作り、最後の日付と氏名をそれぞれが自分で書く方法なら、作りやすく、誰が合意したかもはっきりします。
Q. 「次に浮気したら全財産を渡す」と書いてもいいですか?
書くこと自体はできても、そのとおりに実現できるとは限りません。民法90条は公の秩序や善良の風俗に反する約束を無効としており、極端に重い約束はこれに当たると判断されるおそれがあります。お金に関する約束を入れたい場合は、金額や書き方を弁護士に相談してから入れてください。
Q. 作った契約書を、後から書き直してもいいですか?
書き直して構いません。むしろ、見直しの日を決めて定期的に改めるほうが、再構築の実態に合った書面になります。書き直すときは古いものを捨てず、新しいほうに作成日と「○年○月○日付の合意書に代わるもの」と書いておくと、どちらが新しいかで迷いません。
出典・参考にした公的な情報
- 民法 第90条・第420条、第754条(2026年4月1日施行の改正で削除)(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 民事執行法 第22条第5号(執行証書)(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 公証人法 第26条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 公正証書(日本公証人連合会)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。