子どもと親権 / Q&A

親権は子供が選べる年齢がある?15歳以上の意見の聴取と子の気持ち

この記事のもくじ
  1. 15歳という年齢が出てくる場面と、15歳未満の場合
  2. 家庭裁判所は、子の気持ちをどうやって確かめるのか
  3. 子に「選ばせる」ことの負担と、親が避けたい聞き方
  4. 子が15歳以上のとき、親が準備しておくこと

親権を「子供が自分で選べる年齢」は、法律で決まっていません。よく聞く「15歳」は、子が親権者を選べる年齢ではなく、家庭裁判所が子の陳述を聴かなければならない年齢です。親権者の指定・変更の審判では、子が15歳以上であればその陳述を聴く決まりがあります(家事事件手続法169条2項)。ただし聴くだけで、子の希望がそのまま結論になるわけではなく、最終的に判断するのは裁判所です。15歳未満の子についても、手続の中で子の意思を把握するよう努め、年齢と発達に応じて考慮する決まりがあります(同法65条)。

この記事では、条文ごとに「15歳以上」「15歳未満」「協議離婚」の違いを表で整理し、子に選ばせることの負担と、親が子の気持ちを聞くときの注意を具体的に示します。2026年4月1日に施行された民法の改正(令和6年法律第33号)後の条文にもとづいています。

15歳という年齢が出てくる場面と、15歳未満の場合

子の意思に関わる条文を、場面別に整理します。

場面 15歳以上の子 15歳未満の子 根拠
親権者の指定・変更、親権行使者の指定の審判(169条2項に明記) 陳述を聴かなければならない 子の意思の把握に努め、年齢・発達に応じて考慮 家事事件手続法169条2項・65条
離婚訴訟で親権者などを定める裁判 陳述を聴かなければならない 陳述聴取の義務は15歳以上の定め。家庭裁判所調査官の調査で事情を調べることはできる 人事訴訟法32条4項・34条
子の監護に関する処分の審判(養育費のみは除く) 陳述を聴かなければならない 子の意思の把握に努める 家事事件手続法152条2項・65条
協議離婚(話し合い) 子の意見の聴取義務の条文なし 同左 民法817条の12(人格の尊重)

ポイントは三つです。

  1. 15歳以上は「聴かなければならない」。聴取は義務ですが、決めるのは裁判所です。
  2. 15歳未満は「年齢に合わせて意思を把握する」。陳述を聴く、調査官が調べる、などの方法がとられます。
  3. 協議離婚には、子に意見を聞く手続はない。条文上は、父母が子の人格を尊重し、年齢と発達に配慮して養育する責務(817条の12第1項)が土台になります。法務省のQ&Aも、子の意見の尊重はこの「人格を尊重する」に含まれると説明しています。

なお、15歳という線は、親権の話以外にも出てきます。たとえば子の氏の変更は、15歳以上なら子本人が申立人になり、15歳未満なら親権者が法定代理人として申し立てます(裁判所のQ&A)。離婚の場面で「15歳」が単独で意味を持つわけではありません。

家庭裁判所は、子の気持ちをどうやって確かめるのか

裁判所が子の意思を把握する方法として、家事事件手続法65条は、子の陳述の聴取、家庭裁判所調査官による調査その他の適切な方法を挙げています。調査官の調査の流れは、親権で争うときの調停・審判・裁判の流れと家庭裁判所調査官の調査で整理しています。

ここで押さえておきたいのは、次の点です。

  • 裁判所は、子の性格、就学の状況、生活環境などの事情を聴いて、子の利益を優先した取決めができるよう話合いを進めると案内しています(子の監護者の指定調停のページ)。
  • 子の希望を聴くことと、子に責任を負わせることは別です。子が「お父さんがいい」「お母さんがいい」と言っても、そこには親への気遣いや、その時々の気分が混じります。
  • 子の意向は、判断材料の一つです。養育状況や生活環境など、ほかの事情と合わせて見られます。何を見られるかは親権は母親が有利?有利と言われる理由と裁判所が見る養育の実績にまとめています。

子に「選ばせる」ことの負担と、親が避けたい聞き方

調停や話し合いの前に、親が子に「どっちと暮らしたい?」と聞いてしまう場面があります。気持ちは分かりますが、子にとっては「どちらかを選び、どちらかを傷つける」二択になります。年齢を問わず、次の聞き方は避けたいところです。

  • 「お父さんとお母さん、どっちがいい?」と二択で迫る
  • 「お母さんは、あなたがいないとダメなの」と、親の気持ちを背負わせる
  • 子の答えを、相手に伝えて責める材料にする
  • 返事を急がせる、何度も聞き直す

かわりに、次のような聞き方が負担を軽くします。

文例:「これから暮らす場所や学校のことで、いま気になっていることはある?」 文例:「お父さんもお母さんも、あなたのことが大切なのは変わらないよ。決めるのは大人の役目だから、あなたは選ばなくていいよ」

聞く目的は、子に決めさせることではなく、子が何を心配し、何を大切にしているかを知ることです。年齢別の伝え方の例は離婚を子供にどう伝える?年齢別の伝え方の例と避けたい言葉にあります。

子が15歳以上のとき、親が準備しておくこと

子が15歳以上で、親権者を調停や審判で決める場面になりそうなときは、次のように備えます。

  1. 子に直接の意思確認があるかもしれないことを、年齢に合わせて伝える(結論を誘導する話し方は避ける)
  2. 子の通学・部活・受験の予定を一覧にして、生活の連続性を示せるようにしておく
  3. 子が相手の親と会うことを、どう考えているか。親の側から制限しない
  4. 子の言葉を録音して証拠にするなど、子を巻き込む動きは控える

調停の途中で、子の意向が話題になったときの相談先は、家庭裁判所の家事手続案内や、弁護士会・法テラスです。相談先の番号は浮気・不倫の相談先一覧:悩み別の窓口と番号・受付時間の早見表にまとめています。

早見表:子への聞き方(避けたい聞き方と言い換え)
避けたい聞き方 言い換えの例
「お父さんとお母さん、どっちがいい?」 「これから暮らす場所や学校のことで、気になっていることはある?」
「お母さんは、あなたがいないとダメなの」 「決めるのは大人の役目。あなたは選ばなくていいよ」
子の答えを相手に伝えて責める 聞いた内容は、子の許可なく相手に伝えない
返事を急がせる、何度も聞き直す 「話したくなったら、いつでも聞くよ」と待つ

子の意思を聴く仕組みがあっても、子に責任を負わせるためのものではありません。結論は大人が子の利益から決めるもの、と覚えておいてください。

よくある質問

Q. 15歳になれば、子供が親権者を決められますか?

決められません。家庭裁判所は、親権者の指定や変更の審判をするとき、15歳以上の子の陳述を聴かなければなりません(家事事件手続法169条2項)。聴くことが義務になっているだけで、子の希望どおりに決めるという意味ではなく、判断するのは裁判所です。協議で決める場合は、父母が話し合って決めます。

Q. 15歳未満の子の気持ちは、まったく考慮されませんか?

考慮されます。家事事件手続法65条は、子の陳述の聴取や家庭裁判所調査官による調査などで子の意思を把握するよう努め、年齢と発達の程度に応じてその意思を考慮しなければならないと定めています。年齢で線を引くのではなく、年齢に合わせた方法で気持ちを確かめる仕組みです。

Q. 子供に「どっちと暮らしたい?」と聞いてもよいですか?

二択で聞くのは、子に重い負担をかけやすい聞き方です。裁判所も、手続の中で子に精神的な負担をかけないよう配慮すると案内しています。子の毎日の様子や好きなこと、困っていることを聞き、結論は大人が責任をもって決める形にするのが基本です。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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