子どもと親権 / Q&A

祖父母と孫の面会交流は求められる?2026年改正で加わった仕組み

この記事のもくじ
  1. 2026年改正で加わった条文:民法766条の2と817条の13
  2. 祖父母が自分で申し立てられるのは、限られた場面
  3. 孫に会えなくなったとき、実際にとれる道
  4. 調停の費用・書類・申立先
  5. 全体の流れと、ほかの記事

祖父母が孫との交流を、家庭裁判所に定めてもらう仕組みは、2026年4月1日施行の改正民法で加わりました。 ただし、祖父母に会う権利が当然に認められるという規定ではありません。家庭裁判所が、子の利益のため特に必要があると認めるときに限り、父母以外の親族と子との交流を定めることができる、という仕組みです。祖父母が自分で申し立てられるのも、他に適当な方法がない場合に限られます。この記事では、条文と裁判所の案内に沿って、誰が・どんな場面で・どう使えるかを整理します。

2026年改正で加わった条文:民法766条の2と817条の13

改正前の民法には、父母以外の親族と子との交流を家庭裁判所が定める規定がありませんでした。2026年4月1日に、離婚後の場面を扱う766条の2と、離婚前の別居中など766条以外の場面を扱う817条の13第4項・第5項が加わりました。2026年10月23日時点で施行済みです。

早見表:父母以外の親族と子との交流を定める仕組み
項目 内容 根拠
請求できる親族の範囲 父母以外の親族(祖父母などの直系尊属、兄弟姉妹。それ以外の親族は過去に子を監護していた者に限る) 民法766条の2第2項2号、817条の13第5項
家庭裁判所が定める条件 子の利益のため特に必要があると認めるときに限る 民法766条の2第1項、817条の13第4項
父母が請求する場合 離婚後は父母が請求できる 民法766条の2第2項1号
親族が自分で請求する場合 他に適当な方法がないとき(父母の一方の死亡や行方不明など)に限る 民法766条の2第2項2号、817条の13第5項ただし書
離婚の前(別居中など) 817条の13の枠組みで同様に定められる 民法817条の13

「特に必要があると認めるとき」は、父母の間の交流を定めるときの「子の利益を最も優先して考慮する」より、絞られた書き方です。祖父母が孫に会いたいという気持ちだけでは足りず、会うことが子の利益のために特に必要といえるかが見られます。必要といえる場面の具体例は、条文には書かれていません。個別の判断は家庭裁判所が行います。

祖父母が自分で申し立てられるのは、限られた場面

裁判所の案内では、父母以外の親族と子との交流について、申立人は原則として父または母です。祖父母などが申立人になれるのは、父母の一方の死亡や行方不明などの事情で、父母間の協議や父母による申立てができない場合です。

この整理から、よくある場面は次のように分かれます。

場面 考え方
孫の父母の一方が生きていて、連絡がとれる まず父母間の協議、または父母による申立てが検討される。祖父母が直接申し立てる場面は限られる
父母の一方の死亡や行方不明などで、父母間の協議や父母による申立てができない 親族が申立人になれる場面にあたりうる。裁判所の案内が挙げる例
自分の子(別居親)が孫と会えているが、祖父母は会えない 別居親が、親子交流の取り決めに祖父母との交流を入れる形が考えられる
孫と暮らす親から、祖父母が連絡を断たれた 父母の協議や、同居親との話し合いから始める。申立ての可否は個別に判断される

直系尊属・兄弟姉妹以外の親族(おじ、おばなど)は、過去に子を監護していた場合に限られます。祖父母と兄弟姉妹は、その限定を受けません。

孫に会えなくなったとき、実際にとれる道

浮気が原因で夫婦が別居・離婚した場合、孫に会えなくなる祖父母は、同居する親の側の実家にも、別居する親の側の実家にもいます。まず現実的なのは次の順です。

  1. 自分の子(孫から見て父または母)と話す。 親子交流の取り決めを作るとき、祖父母との交流や、交流の場への祖父母の同席を入れるかどうかは、父母の協議で決められます。同席者の取り決め方は面会交流に浮気相手を同席させたくないとき:取り決めでできることの考え方がそのまま使えます。
  2. 父母の一方が、家庭裁判所に求める。 父または母が親子交流の調停や審判を申し立てるときに、祖父母との交流も含めて定めてもらえるよう求める形です。定めるのは、子の利益のため特に必要があると家庭裁判所が認めるときに限られます。
  3. 他に適当な方法がない場合に、親族として申し立てる。 上で見た、限られた場面です。
  4. 窓口で進め方を聞く。 手続の進め方は、養育費・親子交流の相談支援センターや自治体の窓口で聞けます。こども家庭庁の案内では、センターは電話とメールで相談を受けています。個別の法律の判断が要る部分は、弁護士や法テラスで確かめてください。違いは養育費・親子交流の相談先:相談支援センターと家庭裁判所の使い分けで整理します。

連絡を断たれているときに、子の学校の前で待つ、直接会いに行く、といった行動は、子や同居する親の負担になり、話し合いをこじらせます。手紙やプレゼントを送るときは、子の年齢と同居する親の意向に配慮してください。

調停の費用・書類・申立先

「父母以外の親族と子との交流に関する調停」の概要は、裁判所の案内で次のとおりです。

  • 申立先:相手方の住所地の家庭裁判所、または当事者が合意で定める家庭裁判所
  • 費用:収入印紙1,200円分(子ども1人につき)と連絡用の郵便切手。交流の対象となる親族が複数の場合は、その親族の数ごとに、子ども1人につき1,200円分
  • 標準的な書類:申立書とその写し、未成年者の戸籍謄本(全部事項証明書)、事情説明書(父母以外の親族と子との交流)、進行に関する照会回答書(申立人用)、送達場所等届出書
  • 父母が申し立てるとき:交流の対象となる親族の戸籍謄本など、親族と父母または子との関係が分かるもの
  • 親族が申し立てるとき:申立人の戸籍謄本など、申立人と子との関係が分かるもの

調停では、子の年齢、性格、就学の有無、生活のリズム、生活環境などを考え、子に負担をかけないよう配慮して進みます。子の意見・意向は、年齢や発達の程度に応じて尊重されます。調停が不成立になると審判の手続が始まり、裁判官が一切の事情を考慮して判断します。審判で交流が定められるのは、子の利益のため特に必要があると認められるときに限られます。

全体の流れと、ほかの記事

祖父母の交流は、父母の親子交流の取り決めと切り離せません。決め方の基本は親子交流(面会交流)とは?決め方と取り決めておく内容に、親の浮気が子に与える影響と親ができることは浮気と子供:影響を小さくするために親ができることと決めることにあります。養育費や親子交流について親が相談できる窓口は、窓口の番号と受付時間をまとめた浮気・不倫の相談先一覧:悩み別の窓口と番号・受付時間の早見表で確かめられます。

よくある質問

Q. 祖父母は、自分で家庭裁判所に調停を申し立てられますか?

申立人になれるのは、原則として子の父または母です。祖父母などの親族が自分で申し立てられるのは、父母の一方の死亡や行方不明など、他に適当な方法がない場合に限られると、裁判所は案内しています。父母のどちらかと連絡がとれる場合は、まず父母の協議や、父母による申立てが検討されます。

Q. 孫に会えなくなったとき、最初に何をしたらよいですか?

子の父または母のうち、自分の子にあたる人と話すことから始めます。親子交流の取り決めを作るとき、祖父母との交流や同席を入れるかどうかは、父母の協議で決められます。話が進まないときは、養育費・親子交流の相談支援センターや自治体の窓口で、手続の進め方を聞けます。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

面会交流に浮気相手を同席させたくないとき:取り決めでできること

養育費・親子交流の相談先:相談支援センターと家庭裁判所の使い分け

親子交流(面会交流)とは?決め方と取り決めておく内容

浮気と子供:影響を小さくするために親ができることと決めること