面会交流に浮気相手を同席させたくないとき:取り決めでできること
浮気相手を同席させたくないときは、「会わせない」と決める前に、同席者と場所を取り決めの項目にする方法があります。 親子交流(面会交流)は、父母が協議で内容を決めるもので、日時・場所・方法といった具体的な内容に、誰が同席するかを含められます。民法に、浮気相手の同席を禁じる規定も認める規定もありません。取り決めの中で明確にしておくと、当日のもめごとを減らせます。この記事では、書き方の例と、書面への残し方を整理します。
同席者は取り決めの項目にできる:条文と裁判所の考え方
民法766条1項と817条の13第1項は、親子交流について必要な事項を父母の協議で定め、そのとき子の利益を最も優先して考慮するよう求めています。裁判所は、親子交流の調停では回数・日時・場所などの具体的な内容や方法を話し合うと説明しています。誰が同席するかは、この「具体的な内容や方法」の一部として話し合えます。
家庭裁判所が親子交流の試行的実施を促すときの条文も参考になります。家事事件手続法152条の3第2項は、交流の方法、日時、場所、家庭裁判所調査官その他の者の立会いの有無を定め、子の心身に有害な影響を及ぼす言動の禁止などの条件を付けられると書いています。立会いの有無や言動の禁止といった条件が、裁判所の手続でも想定されている、ということです。
注意したいのは、拒否との違いです。浮気相手がいることへの怒りや不安は理解できますが、それだけを理由に交流自体を止めるのではなく、同席者や場所の条件で対応するほうが、手続でも説明しやすくなります。取り決めがあるのに交流を拒む場合の評価は、親子交流(面会交流)を拒否したい・拒否されたとき:考え方と調停で整理しています。
取り決めで決められること:同席者・場所・受け渡し
| 項目 | 決められること | 書き方の例(一般的な形) |
|---|---|---|
| 同席者 | 父母と子以外の第三者が同席するか。同席する場合の条件 | 第三者は同席しない。ただし事前に書面で同意した場合は除く |
| 場所 | 自宅、外出先、公共施設のどれにするか | 交流は子の通う学区内の公園、児童館、飲食店などで行う |
| 受け渡し | 誰が、どこで、何時に子を受け渡すか | 受け渡しは駅の改札前で行い、双方とも第三者を同行しない |
| 事前の連絡 | 会う相手の変更や追加を、いつまでに伝えるか | 同席者を予定する場合は、前日までにメールで知らせる |
| 子の連絡手段 | 電話・オンラインの時間帯と、誰が側にいるか | 通話は夕方に10分以内とし、父母のみが取り次ぐ |
| 守られないとき | 見直しの手順 | 変更が必要になったときは、まず書面で協議する |
文例は、次のような形です。個別の事情に合わせた条項の作成は、弁護士や公証人に相談してください。
文例:「親子交流には、父母及び子以外の第三者は同席しない。ただし、事前に書面(電子メールを含む。)で他方の同意を得た場合は、この限りでない。」
文例:「交流の場所は、あらかじめ書面で合意した場所とする。各種施設を使う場合は、双方が施設の利用条件を確認して利用する。」
二つ目の例で施設の利用条件に触れているのは、法務省のQ&Aが、父母間の協議は施設の管理者を法的に拘束しないとしているからです。親子交流の場所として施設を決めても、実際に使えるかは施設の管理者が判断します。あらかじめ管理者に事情を説明し、利用条件や開館日時を確かめておくのが適切だと、同じQ&Aは示しています。
また、取り決めの当事者は父母です。条項で守る責任を負うのは父母で、浮気相手本人ではありません。浮気相手本人に接触しない約束をしてもらいたい場合は、親子交流の取り決めとは別の話で、示談書の条項として扱います。この点は不倫の示談書の接触禁止条項とは?決め方と違反したときの扱いで説明します。
話し合いで気をつけたいこと
同席者の取り決めを求めるときは、次の点を意識すると、話し合いが進みやすくなります。
- 理由を、子の側から説明する。 「浮気相手が許せない」ではなく、「子が混乱しないように、最初は父母と子だけで会いたい」のように、子の年齢や様子に引きつけて伝えます。
- 期間や段階を区切る。 「当面は第三者の同席なし。子が落ち着いたら見直す」とすると、相手が受け入れやすくなります。
- 子の前で相手や浮気相手を悪く言わない。 民法817条の12第2項は、父母に互いの人格を尊重して協力するよう求めています。法務省のQ&Aは、子の面前で他方の親を誹謗中傷することを、事情によっては協力義務に違反すると評価されうる例に挙げています。
- 子を伝言役にしない。 子に事情を問いただしたり、相手への伝言を頼んだりすると、子の負担になります。
同席させたい側にとっても、相手の不安を聞いたうえで、段階を決める提案をするほうが、話は進みます。子が新しい人とどう出会うかは、浮気と子供:影響を小さくするために親ができることと決めることの考え方が参考になります。
書面への残し方:協議書・公正証書・調停調書
決まった内容は、書面に残します。形ごとの違いは次のとおりです。
- 協議書(合意書)。 父母が作る書面です。同席者・場所・受け渡しの条件を、上の表のように具体的に書けます。守られないときに、家庭裁判所の履行勧告は使えません。
- 公正証書。 同席者の条件のような金銭以外の約束は、書いても強制執行の対象にはならず、合意を確かな形で残す意味が中心です(強制執行の条件は、親子交流(面会交流)とは?決め方と取り決めておく内容の書面の節に整理しています)。
- 調停調書・審判書。 調停で合意が成立すると、確定した審判と同じ効力があります。守られないときは、取り決めをした家庭裁判所に履行勧告を申し出られます。同席者の条項を調書に入れたいときは、調停で希望を伝えます。
父母だけでは条件がまとまらないときは、親子交流調停を使います。実費は収入印紙1,200円分(子1人につき)と連絡用の郵便切手です。手続の全体は親子交流(面会交流)とは?決め方と取り決めておく内容に、親族の関わりは祖父母と孫の面会交流は求められる?2026年改正で加わった仕組みにあります。暴力や脅しの心配があるときは、条件の相談より先に、浮気・不倫の相談先一覧:悩み別の窓口と番号・受付時間の早見表の窓口に連絡してください。
よくある質問
Q. 浮気相手を同席させないと取り決めに書けば、その内容が通りますか?
取り決めは父母の合意で作るもので、書いたから通るという性質のものではありません。調停では、子の年齢、性格、生活環境などを考えながら、子の利益を中心に話し合われます。同席者の条件が認められるかは、子と浮気相手の関わりの有無や、親同士の対立の程度など、個別の事情で変わります。
Q. 取り決めを破られて浮気相手を連れてこられたら、どうなりますか?
取り決めが調停や審判で作られたものなら、その家庭裁判所に履行勧告を申し出られます。履行勧告は守るよう促す制度で、強制する力はありません。父母の書面や公正証書の場合は履行勧告の対象外です。繰り返されるなら、内容を見直す親子交流調停を検討します。
出典・参考にした公的な情報
- 民法 第766条・第817条の12・第817条の13(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 家事事件手続法 第65条・第152条の3・第258条・第268条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 親子交流調停・家事事件Q&A(親子交流の調停では、どういったことを話し合うのですか ほか)(裁判所)
- 履行勧告(家庭裁判所で定められた取決めを守らない場合)(裁判所)
- 父母の離婚後等の子の養育に関する見直しQ&A(民法編。Q1-3・Q2-1・Q5-1)(法務省)
- 民事執行法 第22条(債務名義。公正証書で強制執行ができる請求の範囲。e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 離婚(面会交流の条項の例、強制執行できる内容)Q&A(日本公証人連合会)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。