浮気と子供:影響を小さくするために親ができることと決めること
この記事のもくじ
浮気が発覚したあと、子どもへの影響を小さくするために親が選べるのは、その後にどう振る舞うかです。裁判所が父母向けに公開している資料は、子どもが「父母の争い」から受ける影響を年代別に整理しており、争いを見せない・聞かせない、子どもに相談や非難をしない、年齢に合わせて将来を伝える、という行動を挙げています。この記事は、その資料と2026年4月1日に施行された民法改正をもとに、親としてできることと親として決めることを一枚にまとめた入口です。
浮気が発覚したあと、子どもに起きやすいこと(裁判所の資料から)
裁判所の概要資料「子どもにとって望ましい話し合いとなるために」は、父母が争っているときに子どもが受ける影響を、次のように年代別に整理しています。浮気がきっかけの争いも、この整理にそのまま当てはまります。
年代ごとの違いを一行でまとめると、0歳頃〜3歳頃は親が争っている雰囲気を感じとり、4歳頃〜小学校入学頃は「自分のせいで父母がけんかしているのではないか」と不安になることがあり、小学校低学年頃は争いは分かっても理由や事情までは十分に理解できず不安になりやすく、小学校高学年頃は平気そうに見えて内面のつらさを抱え、中学生以上は自立が進む一方で親に頼りたい気持ちも持っています。5つの年代それぞれの様子と、親が気をつけたい接し方、様子の変化の見分け方は離婚が子供に与える影響は?年齢別の様子の目安と親が気をつけたいことにまとめています。
ここから読み取れるのは、子どもの反応は年齢で違うこと、そして**「自分のせいではないか」と考える年代があること**です。子どもが何も言わないから大丈夫、とは言えません。小学校高学年のように、平気そうに見えて内側ではつらさを抱えている場合もあります。
同じ資料は、別居や離婚は「一般的に、人生の中で最もストレスの高い出来事の一つと言われている」ため、親自身が様々な気持ちを抱えるのは自然なことだとも述べています。浮気をされた側も、した側も、まず自分の心の状態に目を向けると、子どものことを落ち着いて考えやすくなります。されたときの気持ちの整理は浮気されたらどうする?今日すること・急がなくてよいこと・気持ちの整理にあります。
親にできること:子どもを父母の争いに巻き込まない4つの行動
裁判所の資料が「子どもへの接し方」として示している内容を、浮気が発覚した家庭の場面に置き換えると、次の4つになります。
- 争いを見せない・聞かせない:問い詰め、泣き声、怒鳴り合いは、子どもが寝ている時間、外出中、別室など、子どもに届かない場所と時間に回します。資料は「父母の争いを見せたり聞かせたりしないようにすることが大切」としています。
- 子どもに夫婦の問題を相談しない、一方の親を非難しない:「お父さんがこんなことをした」「お母さんは冷たい」といった話は、子どもを争いに巻き込む行為だと資料は明記しています。子どもが聞きたがっても、裁判所に出す書類を見せたり、お互いの言い分を子どもに伝えたりするのは同じく巻き込む行為です。
- 年齢や発達に合わせて、これからのことを伝える:どこで誰と暮らすのか、学校や友だちはどうなるのかを、わかる言葉で伝えます。父母の不和や別居、離婚は子どものせいではないことも伝えるとよい、と資料は述べています。年齢別の言い方の例は離婚を子供にどう伝える?年齢別の伝え方の例と避けたい言葉にまとめています。
- 伝言を頼まない:養育費の支払いや荷物の受け渡しのように、親同士で話すべきことを子どもに頼むと、子どもが板挟みになります。資料は親子交流の場面で触れていますが、別居中の家庭でも同じです。
法律の面でも、親の責務は書かれています。民法817条の12は、父母は子の人格を尊重し、年齢や発達の程度に配慮して養育しなければならないと定め、婚姻関係の有無にかかわらず、子に関することでは互いに人格を尊重し協力しなければならないとしています。法務省のQ&Aは、暴言や誹謗中傷などがこの協力義務に違反すると評価されることがありうる、という考え方を示しています。相手の悪口を子どもに聞かせることは、子どもへの配慮の面だけでなく、親の責務の面からも避けたい行動です。
浮気のことを子どもにどこまで話すか
「どこまで話すか」に、条文や公的な基準はありません。裁判所の資料の考え方(巻き込まない、非難しない、子どものせいではないと伝える)に沿うと、伝えるのは「親同士で大事な話し合いをしていること」「暮らしがどう変わるか(変わらないことも)」「子どものせいではないこと」までです。浮気の相手や時期、証拠、どちらが悪いかという評価は、年齢が上がっても詳しく話す必要はありません。年齢別の言い方の文例は離婚を子供にどう伝える?年齢別の伝え方の例と避けたい言葉に、子どもが先に気づいていたときの対応は親の浮気に子供が気づいたとき:その場の対応と年齢別の説明の仕方にあります。
子どもの前での喧嘩が続いている、子どもに暴言や暴力が向いている、という状況では、話し方の工夫より先に外部の窓口が必要です。子供の前での夫婦喧嘩が続くとき:子供を守るための相談先を先に読んでください。
親として決めること:親権・監護・親子交流・養育費
離婚する場合も、別居が続く場合も、子どもに関して決めることがあります。民法766条1項は、協議離婚のときに「子の監護をすべき者又は子の監護の分掌、父又は母と子との交流、子の監護に要する費用の分担」などを協議で定め、子の利益を最も優先して考慮するとしています。2026年4月1日に施行された改正(令和6年法律第33号)の要点をまとめると、次のとおりです。
| 決めること | 内容 | 詳しい記事 |
|---|---|---|
| 親権者 | 協議離婚では、父母の協議で「双方又は一方」を親権者と定める(819条1項)。共同が原則で単独が例外、という関係ではなく、個別の事情に即して子の利益の観点から判断される(法務省Q&A) | 親権とは?2026年4月からの共同親権・単独親権の決め方 |
| 日常の行為と重要事項 | 双方が親権者でも、その日の食事や服装、習い事の選択などは一方が単独でできる。進学先の選択や転居は父母で話し合う(裁判所の資料、824条の2) | 共同親権とは?2026年4月施行の仕組みと選ぶときの考え方 |
| 監護者 | 日々の世話をする人を定める。親権と分けて決めることもできる | 親権と監護権の違い:2026年改正後に分けて決めるときの考え方 |
| 親子交流 | 離れて暮らす親と子が会う・連絡をとる方法を決める(766条1項)。婚姻中の別居でも、817条の13で定められる | 親子交流(面会交流)とは?決め方と取り決めておく内容 |
| 養育費 | 子の監護に要する費用の分担を決める。取り決めがないまま離婚した場合の法定養育費は改正で新設された | 養育費とは?決め方・算定表・2026年からの法定養育費まで |
浮気をした側が親権者になれるのか、という点は多くの人が気にします。民法819条には、浮気をしたことを理由に親権者になれないという規定はなく、判断されるのは子の利益です。どんな事情が見られるかは浮気した親は親権をとれない?浮気と親権の関係と子の養育で見られる点で扱います。
子ども自身の意向も、手続のなかで考慮されます。家事事件手続法65条は、子が影響を受ける家事審判などでは、子の陳述の聴取や家庭裁判所調査官による調査などの方法で子の意思を把握するよう努め、年齢と発達の程度に応じてその意思を考慮しなければならないと定めています。「15歳になれば子どもが親権者を選べる」わけではないことは、親権は子供が選べる年齢がある?15歳以上の意見の聴取と子の気持ちで詳しく説明します。
話し合いがまとまらないときは、家庭裁判所の調停があります。親権の争いの進み方は親権で争うときの調停・審判・裁判の流れと家庭裁判所調査官の調査、離婚全体の方法の違いは離婚の方法は4種類:協議・調停・審判・裁判の流れと選び方にあります。
暮らしの変化をできるだけ小さく:転校・名字・別居の準備
裁判所の資料が伝えているとおり、子どもは先の見通しが立つほど安心しやすくなります。大人の都合で一気に変えず、変わること・変わらないことを分けて伝えられるよう、次の点を事前に考えておきます。
- 学校・園:転居や別居で通学先が変わるか。変わるなら、いつ、どの手続きが要るか。離婚・別居で子供が転校するとき:手続きと学校への伝え方
- 名字:離婚で親が名字を変えても、子の名字は自動では変わりません。子の名字を変えたい場合は家庭裁判所の許可が必要です。離婚後の子供の苗字はどうなる?変えるときの家庭裁判所の手続き
- 別居:子どもを連れて出るのか、残すのか。連れて出る前に考えたいことは別居するとき子供をどうする?連れて出る前に考えたいことに整理しています。
- 離れて暮らす親との関係:会う頻度や方法を、子どもの予定と気持ちを中心に決める。拒否したい・されたときは親子交流(面会交流)を拒否したい・拒否されたとき:考え方と調停へ。
離婚するかどうかが決まっていない段階でも、準備できることはあります。気持ち・子ども・お金の順に整理する方法は離婚したいと思ったら最初に整理すること:浮気が原因のときの順番に、離婚後の手続の全体は離婚後の手続き一覧:戸籍・氏・保険・年金・手当の順番にあります。
自分の状況に近いものから読めるよう、ここまでに出てこなかった記事を状況別に並べます。
- 親権を争いそうなとき: 父親の側の準備は親権を父親がとるには:監護の実績と準備しておくことの整理に、「母親が有利」と言われる理由は親権は母親が有利?有利と言われる理由と裁判所が見る養育の実績にあります。
- 暴力や脅しがあるとき: 親権の決まり方はDVがあるときの親権:単独親権と定めなければならない場合で、安全の窓口を先に確かめてください。
- 離婚後に取り決めを変えたいとき: 親権者の変更は親権者変更の手続き:離婚後に家庭裁判所で考慮される事情に整理しています。
- 浮気相手や祖父母が子と関わるとき: 親子交流に浮気相手を同席させたくない場合の取り決めは面会交流に浮気相手を同席させたくないとき:取り決めでできることで、祖父母との交流は祖父母と孫の面会交流は求められる?2026年改正で加わった仕組みで扱います。
困ったときの相談先
親の側が一人で抱えきれないときに、相談できる先があります。番号と受付時間は、浮気・不倫の相談先一覧:悩み別の窓口と番号・受付時間の早見表にまとめています。子どもの前で暴力や暴言があるときは、児童相談所虐待対応ダイヤル189が使えます。離婚の手続や費用の不安は、弁護士会や法テラスなどの窓口を法テラスとは?浮気・離婚の相談で使える無料相談と費用の立替えの条件から確かめられます。養育費や親子交流の取り決めは、養育費・親子交流の相談先:相談支援センターと家庭裁判所の使い分けが入口です。
親自身の気持ちがつらくて子どもに向き合えないときは、先に自分の相談を優先して構いません。浮気や不倫で死にたいほどつらいとき:今すぐ話せる相談先に、24時間受け付けている窓口があります。
最後に、この記事で伝えたかったことを三つにまとめます。争いは子どもに見せず聞かせない。浮気の詳細ではなく、これからの暮らしを年齢に合わせて伝える。親権や親子交流などの決めごとは、親の気持ちではなく子の利益から考える。浮気が発覚した直後は、どれも難しく感じるものです。できるところから、一つずつ始めてください。
よくある質問
Q. 子供への影響を小さくするために、親が今日からできることは何ですか?
裁判所の資料が挙げているのは、争いを見せない・聞かせない、子どもに夫婦の問題を相談したり一方の親を非難したりしない、変わること・変わらないことを年齢に合わせて伝える、の3点です。問い詰めや言い争いは、子どもが寝ている時間や外出中など、届かない場所と時間に回します。
Q. 子供がいると、浮気をされても離婚しないほうがいいのでしょうか?
離婚するかどうかに、法律上の正解はありません。裁判所の資料が整理しているのは、子どもが「父母の争い」から受ける影響です。争いを子どもに見せない・聞かせない工夫は、離婚する場合もしない場合も同じように役立ちます。迷っているときは、気持ち・子ども・お金を分けて考える順番を整理した記事から始められます。
Q. 浮気をした親は、親権をとれなくなりますか?
民法819条に、浮気をした側だから親権者になれないという規定はありません。親権者を父母の双方にするか一方にするかは、子の利益の観点から事情に応じて判断されます。個別の見通しは、弁護士など専門家に確かめてください。
出典・参考にした公的な情報
- 「子どもにとって望ましい話し合いとなるために」概要資料(令和8年3月31日)(裁判所)
- ビデオ「子どもにとって望ましい話し合いとなるために」(基本説明編・年代別説明編・親子交流編)(裁判所)
- 民法 第766条・第817条の12・第817条の13・第819条・第824条の2(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 家事事件手続法 第65条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について〔令和8年4月1日施行〕(法務省)
- 父母の離婚後の子の養育に関する民法等改正Q&A(民法編)(法務省)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。