発覚後の話し合いと誓約書 / 悩み整理

浮気相手も既婚者だったとき:相手の配偶者に伝えるか考えるための材料

この記事のもくじ
  1. 浮気相手も既婚者だと、何が変わるか
  2. 相手の配偶者に伝える場合に起きうること
  3. 伝えない場合に起きうること
  4. 伝えるなら:方法と避けたい伝え方
  5. 決める前に弁護士に聞いておきたいこと

浮気相手も既婚者だったと分かったとき、「相手の配偶者に伝えるべきか」で迷う人は少なくありません。伝えるかどうかは、急いで決めなくて大丈夫です。 伝えると、相手の家庭でも慰謝料の請求が起こり、その請求はあなたの配偶者に向かうことがあります。やり直すつもりなら自分の家計から出ていくお金が増え、離婚するつもりなら影響は小さくなる、というように、あなたの今後の選択で意味が逆になります。この記事では、伝える場合と伝えない場合に起きうることを並べ、決める前に確かめておくことを整理します。

浮気相手も既婚者だと、何が変わるか

浮気相手が独身なら、関係する人はあなた・配偶者・浮気相手の3人です。浮気相手も結婚していると、相手の配偶者が加わって4人の関係になります。いわゆるダブル不倫の状態です。

民法709条と710条により、不貞行為で精神的な損害を与えた人には賠償の責任が生じえます。最高裁昭和54年3月30日判決は、夫婦の一方と肉体関係を持った第三者は、故意または過失がある限り、他方の配偶者に対して責任を負うと判断しました。この考え方を4人に当てはめると、あなたは浮気相手に、相手の配偶者はあなたの配偶者に、それぞれ請求できる立場になりうる、という構図になります。ただし、肉体関係を持った当時すでに婚姻関係が破綻していたときは、特段の事情がない限り不貞の相手は責任を負わないとした最高裁平成8年3月26日判決もあり、「破綻していた」と主張されるかどうかで話が変わることがあります。2026年6月5日の最高裁判決は、不貞相手の過失を考えるとき、相手が破綻していると信じたか、そう信じる相当の理由があったかまで検討する必要があるとしました。結論は事情しだいなので、どちらの側になっても、見聞きした経緯を記録して弁護士に伝えてください。

関係図:浮気相手も既婚者のとき、4人の間で起こりうる請求
請求する人 請求される人 関係する条文・考え方
あなた 浮気相手(と、あなたの配偶者) 709条・710条。配偶者と浮気相手は719条の共同不法行為として連帯して責任を負う形になる
浮気相手の配偶者 あなたの配偶者(と、浮気相手) 同じ考え方が、相手の家庭の側でも成り立つ
払った人 もう一方の当事者 負担部分を求める「求償」の話になりうる

民法719条1項は、数人が共同の不法行為で損害を加えたときは各自が連帯して賠償の責任を負うと定めています。配偶者と浮気相手のどちらかが払った後、2人の間で負担を分け合う求償の問題が出てくることもあります。慰謝料の請求し合いの考え方はダブル不倫の慰謝料はどうなるか、求償は不倫の求償権とはで詳しく扱っています。

相手の配偶者に伝える場合に起きうること

伝えると決める前に、起きうることを一つずつ見ておきます。

  1. 相手の配偶者から、あなたの配偶者に請求が来る:やり直すつもりなら、そのお金は自分たちの家計から出ることになります。
  2. 相手の家庭が揺れる:相手の夫婦が離婚に向かうこともあれば、関係を立て直すこともあります。相手の家庭の子どもも影響を受けます。
  3. 相手の配偶者の怒りが、こちらに向く:自宅や職場に来る、何度も電話をかけてくるといったことが起こる場合もあります。
  4. 時効の数え始めにかかわる:民法724条1号は、損害と加害者を知った時から3年で請求権が時効で消えると定めています。伝えたことで相手の配偶者が事実を知る形になるため、数え始めがいつになるかは事情で変わります。時効の見通しは弁護士に聞いてください。
  5. 相手の配偶者がすでに知っていることもある:伝えたつもりが、すでに相手の家庭で話が進んでいた、ということもあります。

一方で、伝えることで得られるものもあります。相手の配偶者が事情を知れば、相手の家庭の側からも関係をやめさせる力が働くことがあります。また、相手の家庭で隠されたまま関係が続く状態に、区切りをつけられる面もあります。

伝えない場合に起きうること

伝えない選択にも、良い面と気をつける面があります。

伝えない場合 起きうること
良い面 相手の家庭からの請求が、今は起きにくい。自分の家庭の立て直しに集中できる
気をつける面 秘密を自分ひとりで抱え続ける重さがある。後から相手の配偶者が別の形で知り、時間がたってから請求や連絡が来ることもある
話し合いの場で 浮気相手が「配偶者には言わないで」と求めてくることがある。示談の中で口外しない約束を入れるかは、弁護士と相談して決める

浮気相手の側から「配偶者に知られたくない」という気持ちを見せられても、それに合わせて慰謝料を求めない約束をその場でする必要はありません。逆に、「配偶者に言われたくなければ払って」と迫るのは、刑法222条の脅迫や、払わせれば恐喝の問題になりかねないので避けてください。

決め方の目安として、あなたの今後の方向と組み合わせて考えます。

やり直す場合 離婚を考えている場合
伝える 配偶者への請求が自分の家計に響く。夫婦で話し合ってから決めたい 配偶者への請求は配偶者自身の問題になっていく
伝えない 家計への影響は小さい。秘密を抱える負担と、後から知られる可能性が残る 自分の請求や離婚の手続きに集中しやすい

伝えるなら:方法と避けたい伝え方

伝えると決めた場合も、伝え方で結果が大きく変わります。

  • 伝える相手は、浮気相手の配偶者ひとりに絞る:相手の職場、親、子ども、共通の知人には伝えない
  • 内容は事実に絞る:いつ、何が分かったか。相手を責める言葉や、相手の配偶者がどうすべきかの指示は書かない
  • 証拠を一度に全部送らない:画像や文面を渡すと、こちらの手を離れて広がることがある
  • 自分で伝えるのが不安なら、弁護士に相談する:慰謝料の請求とあわせて進めるか、別に伝えるかも含めて決められる

刑法230条は、公然と事実を示して人の名誉を傷つけることを罰の対象にしています。相手の配偶者の職場に知らせる、SNSに書くといった方法は、相手の配偶者に伝える目的であっても、この問題になりかねません。

文例(相手の配偶者に伝える最初の一文の例):「突然のご連絡で失礼します。私の夫とあなたの配偶者との関係について、お伝えしたいことがあります。お話しできる方法を教えていただけますか」

いきなり詳しい内容を送らず、まず話せる方法を尋ねる形にすると、相手が受け止める準備をする時間がとれます。相手の配偶者が暴力をふるう人だと聞いている場合や、伝えた後に押しかけられる心配がある場合は、伝えること自体を見送り、安全を先に考えてください。危険が迫ったときは110番です。ほかの窓口は浮気・不倫の相談先一覧にまとめています。

決める前に弁護士に聞いておきたいこと

相手の配偶者に伝えるかどうかは、法律・お金・気持ちが絡む判断です。弁護士に相談するときは、4人の関係を簡単な図にし、次の質問を持っていくと話が早く進みます。

  • 私が浮気相手に請求する場合と、相手の配偶者が私の配偶者に請求してくる場合、家計への影響はどう考えればよいか
  • 浮気相手と配偶者の間の求償は、私たち夫婦の家計にどう関わるか
  • 示談に口外しない約束を入れる場合、何に気をつけるべきか
  • 相手の配偶者に伝えるなら、どの方法が安全か
  • 私の請求の時効は、いつから数えることになりそうか

浮気相手そのものへの対応の全体は浮気相手にどう対応する?、友人・知人が相手だった場合は浮気相手が友達・知人だったときで整理しています。ダブル不倫が発覚した後に2つの家庭で起きることの全体は、ダブル不倫が発覚したらで整理しています。相手の配偶者から先に連絡が来た場合は、不倫相手の妻や夫から連絡が来たときを読んでから返事をしてください。

どちらを選んでも、あなた自身の気持ちが追いつかないのは当然のことです。決断に疲れたら、浮気されたときの気持ちの整理に戻って、今日することと急がなくてよいことを分けてみてください。

よくある質問

Q. 浮気相手の配偶者に伝えると、名誉毀損になりますか?

刑法230条の名誉毀損は「公然と」事実を示すことが要件の一つで、相手の配偶者ひとりに伝えることと、職場や知人に広めることは同じには扱われません。ただ、伝え方によっては脅しと受け取られたり、民事で争いになったりすることもあります。伝えると決めたら、その前に方法と文面を弁護士に見てもらうと安全です。

Q. 浮気相手の配偶者から、先に連絡が来たらどうすればいいですか?

その場で返事をせず、届いた連絡を保存して、配偶者と話す時間をとってください。相手の配偶者は、あなたの配偶者に慰謝料を求める立場にあることが多く、あなたの言葉が今後の話し合いに影響します。返事の前にすることと避けたい言葉は、不倫相手の配偶者から連絡が来たときの記事で整理しています。

Q. お互いの家庭で慰謝料を請求し合うと、結局お金は残らないのですか?

受け取る額と払う額は事情ごとに別々に決まるので、差し引きでいくらになるかは一律には決まりません。夫婦が離婚せずに家計を一つにしている場合、受け取るお金と払うお金が同じ家計を出入りすることになる、という点だけは押さえておきます。見通しは、4人の関係を図にして弁護士に相談すると話が早く進みます。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

ダブル不倫の慰謝料はどうなる?双方の家庭で請求し合う場合の考え方

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