ダブル不倫が発覚したら:2つの家庭で起きることと整理の順番
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ダブル不倫(W不倫)が発覚すると、問題は一つの家庭の中では収まりません。あなたのほかに、自分の配偶者、不倫相手、不倫相手の配偶者という3人それぞれに立場があり、慰謝料の請求・離婚の話・子どもへの影響が、2つの家庭で同時に動き出します。最初にすることは、2つの家庭で起きうることを分けて書き出し、今日決めることと急がなくてよいことを分けることです。 この記事は不倫をした側の立場で、それぞれの家庭で起きうることと、発覚から1か月までの整理の順番を示します。お金の請求の向きを詳しく知りたい人はダブル不倫の慰謝料はどうなるかを先に読んでください。
ダブル不倫が発覚すると2つの家庭で何が起きるか
独身の相手との不倫なら、当事者は3人です。ダブル不倫では相手の配偶者が加わり、4人の関係になります。自分の家庭では配偶者が「やり直すか、離婚するか」「不倫相手に請求するか」を考え始め、相手の家庭でも同じことが、相手の配偶者が知った時点から始まります。
責任の土台になる考え方は、どちらの家庭でも同じです。民法709条と710条は、故意または過失で他人の権利や利益を侵害した人に、精神的な損害も含めた賠償の責任を定めています。最高裁昭和54年3月30日判決は、夫婦の一方と肉体関係を持った第三者は、故意または過失がある限り、誘惑したかどうかにかかわらず、他方の配偶者の精神的苦痛を慰謝する義務を負うと判断しました。民法719条は、共同で不法行為をした人は各自が連帯して責任を負うと定めています。
この考え方を当てはめると、あなたは「相手の配偶者から請求を受けうる立場」、あなたの配偶者は「不倫相手に請求しうる立場」になります。同時に、あなた自身もあなたの配偶者に対して責任を負う当事者です。
| 項目 | 自分の家庭 | 相手の家庭 |
|---|---|---|
| 気持ち・話し合い | 配偶者からの質問、謝罪、今後の話し合い | 相手の配偶者が知っているかどうかで状況が大きく違う |
| 慰謝料 | 配偶者が不倫相手に請求しうる。離婚するなら配偶者からあなたへの請求も | 相手の配偶者があなたに請求しうる |
| 離婚 | 配偶者が離婚を望むこともあれば、やり直すこともある | 相手の夫婦が別に決める |
| 子ども | 生活の変化、親の様子への不安 | 相手の家庭の子どもにも影響が及ぶ |
| 仕事・周囲 | 職場が同じなら噂や配置の問題 | 相手の配偶者が職場や親族に知らせようとすることがある |
自分の家庭で起きうること:話し合い・離婚・やり直し
配偶者がどう動くかは、あなたが決められることではありません。離婚の方法は、夫婦の話し合いで決める協議離婚(民法763条)が基本で、話し合いがまとまらなければ家庭裁判所の調停を先に申し立てるのが原則です(家事事件手続法257条)。裁判で離婚を求める場合の理由として、民法770条1項1号は「配偶者に不貞な行為があったとき」を挙げています。ただし同条2項は、一切の事情を考慮して婚姻の継続が相当と認めるときは請求を棄却できるとしており、不貞があれば自動的に離婚になるわけではありません。
離婚に進んだ場合、「離婚させられたこと」を理由とする慰謝料の向きにも注意が要ります。最高裁平成31年2月19日判決は、不貞の相手方は、夫婦を離婚させる意図で婚姻関係に不当な干渉をしたなどの特段の事情がない限り、離婚に伴う慰謝料の請求を受けないと判断しました。判決は不貞行為そのものの責任は別だとしています。つまり、離婚に伴う慰謝料の請求は、不倫相手ではなく夫婦の間で問題になる構図です。具体的にどう扱われるかは事情ごとに違うので、弁護士に確かめてください。
やり直す場合は、別の点で家計が関わります。あなたの配偶者が不倫相手に請求し、相手の配偶者があなたに請求すると、同じ家計からお金が出ていき、また入ってくる形になります。この構図はダブル不倫の慰謝料の考え方で図にしています。自分から離婚を求めたい場合は、浮気をした側からの請求が問題になる理由を有責配偶者とはで確かめてください。
相手の家庭で起きうること:知られる・連絡が来る・子ども
相手の家庭の動きは、相手の配偶者がすでに知っているかどうかで分かれます。
- まだ知らない場合:あなたの配偶者が、相手の配偶者に伝えるかどうか迷うことがあります。あなたが「伝えないでほしい」と強く求めると、配偶者の怒りを深めやすくなります。された側の迷い方は浮気相手も既婚者だったときに整理されているので、配偶者が何を考えているかを知る材料になります。
- 知った場合:相手の配偶者からあなたに連絡や請求が来ることがあります。民法724条は、損害と加害者を知った時から3年、不法行為の時から20年で請求権が時効で消えると定めているので、すぐに来なくても後から届くことがあります。連絡が来たら、返事の前に不倫相手の妻や夫から連絡が来たときの対応を読んでください。
- 相手の家庭の子ども:昭和54年の同じ判決は、子どもからの慰謝料の請求については、子への監護を害意をもって積極的に阻止したなどの特段の事情がない限り不法行為にならないとしました。ただ、法的な請求の話と、子どもが実際に受ける影響は別の問題です。
相手の家庭の話し合いに、あなたが入り込むことはできません。相手の夫婦が離婚するか、やり直すかを、あなたの都合で急がせないことも、もめごとを大きくしないための大切な線です。
発覚から1か月までの整理の順番
2つの家庭の問題を一度に片づけようとすると、言葉が荒くなったり、その場の約束を重ねたりしがちです。時期ごとに、することを絞ります。
- 当日〜48時間:身の安全を確かめます。誰かが押しかけてくる、暴力をふるわれそうなときは110番です。不倫相手への連絡は「関係を終える」「しばらく連絡を控える」だけにします。やり取りの履歴や受け取った書面は消さずに残します。
- 1週間以内:いつ始まり、どこで会い、相手の家庭は知っているか、という事実を時系列で書き出します。配偶者からの質問に答える準備にもなります。謝罪と話し合いの進め方は不倫がバレたときにすることを参考にしてください。
- 2週間〜1か月:お金と子どもの見通しを立てます。請求の書面が届いたら、無視も即答もせずに慰謝料を請求されたらすることの順番で動きます。ここで弁護士に一度相談しておくと、2つの家庭の問題を一つの図で見てもらえます。
不倫相手に送る短い連絡の例:「家族に知られました。関係はここで終わりにします。今後の連絡は控えてください。必要な連絡があるときは、こちらから書面でお伝えします」
不倫相手と同じ職場の場合は、ここに仕事の接点の整理が加わります。処分のリスクや距離のとり方は職場不倫・社内不倫を続けるか迷うときで扱っています。
弁護士に相談するときに持っていく材料
ダブル不倫は関係する人が多く、口頭だけでは状況が伝わりにくい相談です。次の材料を紙1〜2枚にまとめて持っていくと、短い相談時間でも見通しを聞きやすくなります。
- 4人の関係図(それぞれの婚姻の状況、子どもの有無と年齢、同居か別居か)
- 関係の時系列(始まった時期、発覚した日、相手の配偶者が知った日)
- 受け取った連絡・書面の写し(日付が分かる形で)
- 自分の希望(離婚したいのか、やり直したいのか、まだ決められないのか)
- 聞きたいこと(自分の家庭と相手の家庭の請求が家計にどう響くか、示談で何を決めるか、時効はいつから数えそうか)
費用が心配なときは、法テラスなどの公的な窓口から入る方法もあります。窓口の一覧と番号は浮気・不倫の相談先一覧で確かめられます。不倫そのものをやめられずに苦しんでいる場合は、不倫を終わらせる手順と相談先から始めてください。2つの家庭のことを一人で抱え込まず、書き出して、分けて、順番に手をつけることが、いちばん現実的な進め方です。
よくある質問
Q. ダブル不倫が発覚したら、両方の家庭が離婚することになりますか?
離婚するかどうかは、夫婦ごとに別々に決まります。協議離婚は夫婦の話し合いで成立し(民法763条)、まとまらなければ家庭裁判所の調停、それでも決まらなければ裁判という順に進むのが原則です。片方の家庭は離婚し、もう片方はやり直すという組み合わせも起こりえます。
Q. 不倫相手と連絡を取り合って、配偶者への説明をそろえてもいいですか?
事実と違う説明をそろえると、食い違いが後で見つかったときに信頼をさらに失い、話し合いや調停でも不利な材料になりかねません。不倫相手との連絡は「関係を終える」「今後は連絡を控える」といった必要なことに絞り、配偶者への説明は自分の言葉で、事実に沿って準備してください。
Q. 子どもには何と説明すればいいですか?
不倫の中身を子どもに話す必要はありません。親どうしの問題で子どものせいではないこと、生活で変わることと変わらないことを、年齢に合わせて伝えるのが基本です。伝え方の例は[離婚を子供にどう伝えるか](/kodomo-tsutaekata/)でまとめています。
出典・参考にした公的な情報
- 民法 第709条・第710条・第719条・第724条・第763条・第770条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 家事事件手続法 第257条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 最高裁判所 昭和54年3月30日 第二小法廷判決(不貞の相手方の責任・子からの請求)(裁判所)
- 最高裁判所 平成31年2月19日 第三小法廷判決(不貞の相手方への離婚に伴う慰謝料)(裁判所)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。