別居 / Q&A

別居期間は何年で離婚できる?年数の考え方と浮気がある場合の違い

この記事のもくじ
  1. 別居は何年で離婚できる?協議・調停と裁判で違う
  2. 場面別の見方:浮気がある場合・ない場合
  3. 浮気をした側からの離婚請求:昭和62年の最高裁判決
  4. 別居の事実を残す:数えられるように記録しておく
  5. 悪意の遺棄との違いと、相談の使い方

別居の長さは、離婚の理由として条文に書かれているわけではなく、何年という線もありません。離婚をめぐる判断で、夫婦が破綻しているかを見る材料の一つとして使われます。浮気があるときは、浮気をされた側か、した側かで、別居の長さの意味が変わります。この記事は、民法770条と最高裁の判断にそって、場面ごとの見方と、別居の記録の残し方を整理します。

別居は何年で離婚できる?協議・調停と裁判で違う

離婚の方法によって、別居の長さが問われる場面が違います。

  • 協議離婚・調停:夫婦が合意すれば、理由を問わず離婚できます(民法763条)。別居の長さは条件になりません。
  • 離婚の裁判:民法770条1項が定める理由が必要です。①不貞な行為、②悪意の遺棄、③配偶者の生死が3年以上明らかでない、④その他婚姻を継続し難い重大な事由、の4つです。別居の長さが材料になるのは、主に④です。

2026年4月1日の改正で、旧4号(強度の精神病)が削除され、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」が5号から4号に繰り上がりました。古い資料の「770条1項5号」は、今の4号です。

④にあたるかを決める線として、「別居○年」という基準はありません。別居は、夫婦関係が壊れて戻らない状態かどうかを見る事実の一つで、ほかの事情と並べて総合的に判断されます。

場面別の見方:浮気がある場合・ない場合

早見表:場面ごとの別居期間の位置づけ
場面 離婚の方法 別居期間の位置づけ
双方が離婚に合意している 協議・調停 関係しない
浮気をされた側が離婚を求め、相手が拒む 調停→裁判 不貞な行為(1号)が理由になりうる。別居の長さに頼らなくてもよいが、不貞を示す材料は必要
浮気がなく、価値観のずれなどで離婚を求める 調停→裁判 4号の判断材料の一つ。別居の長さ、別居に至った経緯、修復の動きが見られる
浮気をした側が離婚を求め、相手が拒む 調停→裁判 最高裁昭和62年大法廷判決の枠組み。別居の長さが重要な要素になる
浮気をされた側が離婚を拒み、別居を続けている 相手の請求への対応 別居の長さのほか、離婚後の生活への影響が見られる

浮気をされた側が離婚を求める場合、民法770条1項1号が理由として挙げているため、別居が長いかどうかは本筋ではありません。ただし、同条2項により、裁判所は1号から3号の事由があっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却できます。調停の進め方は離婚調停の流れ:申立てから成立・不成立までと浮気が原因のときの準備に、離婚の方法全体は離婚の方法は4種類:協議・調停・審判・裁判の流れと選び方にあります。

浮気をした側からの離婚請求:昭和62年の最高裁判決

浮気をした側(有責配偶者)が離婚を求め、相手が拒んでいる場面では、別居の長さが大きな意味を持ちます。最高裁昭和62年9月2日大法廷判決は、有責配偶者からの請求でも、次の3つがそろうなら、有責配偶者からの請求であるという一事で退けることはできないとしました。

  1. 夫婦の別居が、両当事者の年齢と同居期間と比べて相当の長期間に及んでいる
  2. その間に、未成熟の子がいない
  3. 相手が離婚で、精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状態に置かれるなど、離婚を認めると著しく社会正義に反するといえるような特段の事情がない

この判決の事件では、夫が別の女性と同棲を始めて別居してから、原審の口頭弁論終結時まで約36年でした。最高裁は、特段の事情があるかを調べさせるために、原判決を破棄して差し戻しており、この事件の最終的な結論は判決からは分かりません。何年別居すれば認められる、という数字は判決に出てきません。 「年齢及び同居期間との対比で」と書かれているのは、同じ年数でも、夫婦の年齢や婚姻の長さによって意味が違うからです。

平成6年2月8日の第三小法廷判決は、未成熟の子がいる場合でも、その一事で請求を退けるべきではなく、昭和62年判決の挙げる事情を総合して判断するとしました。事案では、別居が13年11か月余に及び、子4人のうち3人は成人で、残る子は高校2年生でした。夫は婚姻費用の審判に従った送金を続けており、離婚に伴う給付の提示もありました。こうした具体的な事情が判断を支えています。子がいても請求が認められるという一般論を示したものではありません。

浮気をした側の立場で別居を考えている人は、浮気した側が家を出たら?有責配偶者の別居と婚姻費用の関係、制度の全体像は有責配偶者とは?浮気した側からの離婚請求が問題になる理由を読んでください。

別居の事実を残す:数えられるように記録しておく

別居の長さは、争いになったときに、いつからいつまで、どのように別居していたかを説明できる必要があります。次の項目を、日付つきで残します。

残すもの 例
別居の開始日 家を出た日、荷物を移した日、賃貸契約の日
別居の理由 浮気が分かった、暴力を避けたかった、話し合いのため距離を置いた
どちらが出たか 自分/相手、子を連れたか
別居後の連絡 生活費、子の話、やり直しの話、離婚の話のやりとり
生活費の支払い 毎月の送金の日と額、振込の控え
会った日 子との交流、行事、話し合いの日

別居中に会ったり連絡を取ったりしたことが、すべて不利になるわけではありません。ただ、やり直しの話をしていたのか、離婚の条件を話していたのかは、のちに別居の意味を説明するときの材料になります。生活費の送金は、先に見た平成6年の判決でも判断の事情に挙がっており、日付と金額を控えておく意味があります。同じ家で距離をとる場合の考え方は家庭内別居とは?浮気の後に同じ家で距離をとるときの決めごとに分けて書いています。

悪意の遺棄との違いと、相談の使い方

家を出たことが相手から「悪意の遺棄」と言われることがあります。これは、別居期間とは別の離婚理由(770条1項2号)の話で、別居は悪意の遺棄に当たる?判断で見られる事情と浮気が原因の場合で扱います。別居を含む全体の流れは浮気が原因の別居:始める前の準備・別居中のお金・その後の選択から読めます。

離婚調停の申立てには収入印紙1,200円分と連絡用の郵便切手が必要で、申立先は相手方の住所地の家庭裁判所か、合意で定めた家庭裁判所です。別居の長さが争点になりそうなときは、記録と一緒に弁護士に見せて、自分の場合にどう見られうるかを聞いてください。

よくある質問

Q. 別居して3年たてば、離婚が認められますか?

3年という線は、民法にも最高裁の判決にもありません。民法770条1項3号の「3年」は、配偶者の生死が3年以上明らかでないときの規定で、別居の年数とは別の話です。離婚が認められるかは、別居の経緯、別居中の生活費の支払い、子の年齢、離婚後の生活など、事情を合わせて判断されます。

Q. 別居を始めたばかりでも、浮気があれば離婚の裁判を起こせますか?

民法770条1項1号が不貞な行為を離婚の訴えの理由に挙げているため、別居の長さを待つ必要はありません。ただし、離婚の訴えの前にまず家庭裁判所の調停を申し立てる決まり(調停前置)があり、不貞の事実を示す材料も必要です。2項で、一切の事情から婚姻の継続が相当と認められるときは請求が棄却される余地もあります。

Q. 別居の期間は、いつから数えますか?

条文に数え方の決まりはありません。家を出た日、生活の場を分けた日、生活費の流れを分けた日など、実態にそって見られます。争いになったときに説明できるよう、家を出た日、その理由、別居後の連絡と生活費の支払いを日付つきで残しておきます。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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