浮気が原因の別居:始める前の準備・別居中のお金・その後の選択
この記事のもくじ
浮気が原因で別居を考えているなら、まず押さえたいのは、別居しても夫婦のままで、生活費の分担などの義務は続くことです。別居は離婚の前段階とは限らず、離婚・やり直し・別居の継続のどれにも進めます。そのため、始める前に決めておくのは「いつ・どこで・誰がどう暮らすか」「別居中の生活費」「子どもの暮らし」の3点です。この記事は、別居の入口から、別居中のお金、その後の道の分かれ方までを順に整理します。
暴力や脅しがあるときは、準備より先に安全の確保です。窓口は浮気・不倫の相談先一覧:悩み別の窓口と番号・受付時間の早見表にまとめています。
別居とは何か:離婚との違いと、別居しても続くこと
別居は、夫婦が住まいを分けて暮らすことです。法律に「別居の手続き」はなく、役所に届け出る必要もありません。離婚が成立するのは、協議離婚なら離婚届の受理(民法763条)、調停や裁判なら調停の成立や判決の確定のときで、別居しただけでは婚姻は終わりません。
別居しても続くこと、別居で変わりうることを分けると、次のようになります。
| 項目 | 別居しても続く/変わる | 根拠と補足 |
|---|---|---|
| 夫婦の関係 | 続く | 離婚が成立するまで婚姻は続く |
| 協力・扶助の義務 | 続く | 民法752条 |
| 生活費の分担(婚姻費用) | 続く。別居中の生活費として請求できる | 民法760条。決まらなければ家庭裁判所の調停 |
| 親権 | 続く。婚姻中は父母の双方が親権者 | 民法818条2項 |
| 子との交流 | 別居中でも、父母の協議や家庭裁判所の手続で定められる | 民法817条の13 |
| 児童手当の受給者 | 変わりうる。離婚協議中などで別居しているときは、子と同居している人が優先 | こども家庭庁の案内 |
| 健康保険の扶養 | 自動では外れない。別居なら収入が被保険者からの仕送り額を下回ることなどが要件 | 日本年金機構の案内 |
| 住民票 | 自動では変わらない | 移すかどうかは本人が決める |
児童手当は、離婚協議中などで別居している場合に、子と同居している人に優先して支給される扱いです。申請が遅れると、遅れた月分は原則として受けられないとされているため、子を連れて出る人は、住まいが決まったら早めに市区町村の窓口で受給者の変更を相談します。手続きの詳細は別居中の児童手当・児童扶養手当:受け取る人の変更と申請で扱います。
健康保険の扶養は、年間収入が130万円未満であることに加え、別居の場合は被保険者からの仕送り額を下回ることが要件になっています。別居しただけで自動的に外れるわけではありませんが、仕送りが止まれば要件を満たさなくなることがあります。加入先の健康保険によって扱いが異なるため、別居中の保険証と扶養の扱いで確かめ方を整理します。
別居を始める前に整えること:お金・住まい・子ども・記録
浮気が分かった直後は、「いますぐ顔を見たくない」という気持ちで家を出たくなります。気持ちはもっともですが、出てから整えるのは難しいものがあります。始める前に、次の4つを分けて考えておきます。
- お金:自分の収入だけで暮らせるか、月々いくら足りないかを出します。預貯金・給与・ローン・保険の資料は、同居のうちのほうが集めやすいです。預金を引き出す前に、別居前の預金引き出しはどこまで?財産分与との関係と記録の残し方を読んでください。
- 住まい:実家・親族宅・賃貸のどれにするか、期間はどのくらいかを決めます。収入が少ない場合の手段は別居のための部屋探しと引越しにまとめます。
- 子ども:学校・保育園・習い事・かかりつけの病院をどうするか。子を連れて出るか残すかは、あとの親権や子との交流にも関わるので、独断で決める前に相談先を持っておきます。考える材料は別居するとき子供をどうする?連れて出る前に考えたいことに、保育園の申込みは別居中に保育園を申し込むとき:申込みの手続きと保育料の扱いにあります。
- 記録:別居した日、どちらが家を出たか、その理由、別居後の連絡と生活費の支払いを、日付つきで残します。別居の理由があとで争われたとき、書き留めた時系列が材料になります。
全項目のチェックリストは別居の準備に必要なこと:お金・書類・子ども・住まいのチェックリストに、住民票を移すかどうかの判断は別居で住民票を移す?移さない?手当・学校・安全で変わる判断にあります。
子を連れて出る場合は、親権の行使のルールにも注意が要ります。婚姻中の親権は父母が共同して行うのが原則で(民法824条の2)、転居は「日常の行為」に当たらない例として法務省のQ&Aに挙げられています。一方、DVや虐待から避難するための転居は、子の利益のための急迫の事情の例として挙げられています。いずれの場合に当たるかは事情で判断されるため、迷うときは配偶者暴力相談支援センターや弁護士に先に相談してください。
暴力や脅しがある、あるいは心配があるときは、準備の話より先に、上でも触れた窓口に連絡してください。
別居中のお金:婚姻費用の仕組みと、決まらないときの手続き
別居中の生活費は、民法760条の婚姻費用の分担として、収入の多い側から少ない側へ支払われるのが基本です。条文は「資産、収入その他一切の事情を考慮して」分担すると書くだけで、金額は書かれていません。目安には、家庭裁判所が使う養育費・婚姻費用算定表(令和元年版)があり、使い方は婚姻費用算定表の見方:収入と子どもの数から目安を読む手順で手順にしています。
話し合いで決まらないときは、家庭裁判所の婚姻費用の分担請求調停を使えます。費用は収入印紙1,200円分と連絡用の郵便切手で、申立先は相手方の住所地の家庭裁判所か、双方が合意した家庭裁判所です。調停が成立しないと、審判の手続に移り、裁判官が一切の事情を考慮して決めます。申立ての方法は婚姻費用の分担請求調停:申立ての方法・費用・いつの分から請求できるかに、円満調停との使い分けは別居中の調停の使い分け:円満調停と婚姻費用の分担請求調停にあります。
司法統計には、金額の分布が載っています。令和7年に、婚姻関係事件のうち婚姻を続ける形で終わり、婚姻費用の月額が取り決められた件数は10,412件で、最も多かった区分は「10万円超15万円以下」の2,227件(筆者の計算で約21.4%)でした。ただし、月額は収入の差や子の数で大きく変わるため、この分布を自分の金額の目安にはできません。自分の場合は算定表で収入と子の数から出します。
2026年4月の改正で、子の監護の費用の先取特権(民法308条の2)が設けられ、婚姻費用の定期金のうち子の監護に要する費用として相当な額の部分も対象に含まれました。額の上限や使える場面は離婚の法改正2026年4月施行:共同親権・法定養育費・財産分与の変更点で整理されています。
浮気をした側が家を出て、婚姻費用を請求する、あるいは請求される場合は、考え方が分かれます。有責配偶者の別居と婚姻費用の関係で扱うため、ここでは触れません。婚姻費用が終わるのは、離婚の成立や同居の再開などの場面です。
別居中の生活費の払い方、子の学費、住居費の負担を書面で残したいときは、別居の合意書に書くこと:生活費・子ども・期間の項目と文例を参考にしてください。
別居した後の3つの道:離婚・再構築・別居の継続
別居は、そのあとの道を決めるための期間でもあります。道は大きく3つあります。
| 道 | 内容 | 手続き・お金 |
|---|---|---|
| 離婚 | 協議・調停・裁判のどれかで婚姻を終える | 離婚調停は収入印紙1,200円分と郵便切手。養育費・財産分与・親権者・年金分割の割合も話し合える |
| 再構築 | 期間と会い方を決めて、やり直しに向けた時間をとる | 円満調停は離婚するか迷う場合にも利用できる。収入印紙1,200円分と郵便切手 |
| 別居の継続 | 結論を出さずに別居を続ける | 婚姻費用の分担が続く。期間が長くなると離婚の判断に影響しうる |
離婚を選ぶ場合の方法は離婚の方法は4種類:協議・調停・審判・裁判の流れと選び方で、全体の流れは浮気・不倫が原因の離婚:準備・話し合い・調停の流れと決めることで見られます。3つの道を並べて比べたいときは別居のその後:離婚・再構築・長く別居を続ける3つの道の比べ方へ進んでください。
別居が長く続いたときの扱いは、浮気をした側からの離婚請求では特に問題になります。最高裁昭和62年9月2日の大法廷判決は、別居が相当の長期間に及ぶこと、未成熟の子がいないこと、相手が離婚で極めて苛酷な状態に置かれるなどの特段の事情がないことを挙げて判断するとしました。何年という線は示されていません。年数の考え方は別居期間は何年で離婚できる?年数の考え方と浮気がある場合の違いで、別居が「悪意の遺棄」にあたるかは別居は悪意の遺棄に当たる?判断で見られる事情と浮気が原因の場合で整理します。
やり直しを考えるなら、離婚の迷いがあっても使える夫婦関係調整調停(円満)があります。別居からやり直すときの期間や会い方は別居からの再構築:期間と会い方を決めてやり直すときの注意に、つらい気持ちは別居して後悔・つらいとき:戻るか続けるかを考える材料にあります。
別居中や別居の前後に不倫があった場合の慰謝料は、請求できる期限も含めて、別居中の不倫と慰謝料:別居の前後で考え方が変わりうる理由で整理しています。
切り出す前に相談しておくと進めやすいところ
別居の準備でつまずきやすいのは、お金の見通しと、書面の中身と、切り出し方の3点です。ここは一人で抱えず、相談先を使うと進めやすくなります。離婚まで視野に入るなら、弁護士に別居の前の段階で相談しておくと、別居の仕方や記録の残し方を聞けます。選ぶときは、浮気が原因の離婚の相談経験、料金の体系(相談料・着手金・報酬金・実費)、連絡の方法を確かめます。
費用が心配なときは、法テラスで離婚の相談をするには:無料相談と費用の立替えの条件を読んでください。弁護士に頼むタイミングの考え方は離婚で弁護士に相談するタイミング:浮気発覚・別居前・調停前の3時点にあります。
同じ家で暮らしながら距離をとる選択もあります。家庭内別居とは?浮気の後に同じ家で距離をとるときの決めごとを読んでください。配偶者に別居をどう伝えるかは別居の切り出し方:浮気が原因のときに伝える順番と言い方の例で、別居の後の選び方は別居のその後:離婚・再構築・長く別居を続ける3つの道の比べ方で続けます。
よくある質問
Q. 別居を始めると、法律上は離婚したことになりますか?
なりません。別居は住まいを分けることで、婚姻は続きます。離婚が成立するのは、協議離婚なら離婚届が受理されたとき、調停や裁判なら成立や判決の確定のときです。別居している間も、民法752条の協力・扶助の義務や、760条の婚姻費用の分担は夫婦の間に残ります。
Q. 別居中の生活費は、いつの分から請求できますか?
始期を一律に定める条文はないので、請求の意思を記録に残す日が大事です。請求したい意思を相手に伝えた日と方法(メールなど記録に残るもの)を控え、話し合いがまとまらないなら早めに婚姻費用の分担請求調停を申し立てると、日付がはっきりします。
Q. 浮気をした配偶者と別居すると、自分が不利になることはありますか?
別居したという事実だけで有利・不利が決まる規定はありません。家を出た理由、出たあとの生活費の支払い、連絡の取り方などの事情が、あとで見られることがあります。理由のない家出とみなされないよう、別居の理由と日付を書き残しておきます。詳しくは[別居は悪意の遺棄に当たる?判断で見られる事情と浮気が原因の場合](/bekkyo-akui-iki/)で整理しています。
出典・参考にした公的な情報
- 民法 第752条・第760条・第763条・第770条・第818条・第817条の13・第308条の2(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 婚姻費用の分担請求調停(裁判所)(裁判所)
- 夫婦関係調整調停(円満)(裁判所)(裁判所)
- 夫婦関係調整調停(離婚)(裁判所)(裁判所)
- 令和7年 司法統計年報(家事)第26表(裁判所)(裁判所)
- 養育費・婚姻費用算定表(令和元年版)(裁判所)(裁判所)
- 児童手当制度のご案内(こども家庭庁)(こども家庭庁)
- 被扶養者の認定(日本年金機構)(日本年金機構)
- 最高裁判所 昭和62年9月2日 大法廷判決(裁判所)
- 民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後の子の養育に関する見直し)Q&A(民法編)(法務省)(法務省)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。