離婚の方法は4種類:協議・調停・審判・裁判の流れと選び方
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離婚の方法は、協議離婚・調停離婚・審判離婚・裁判離婚の4種類です。多くの人は、夫婦で話し合う協議から始め、まとまらなければ家庭裁判所の調停に進み、それでも終わらなければ裁判に進みます。離婚だけは、調停を飛ばして裁判に行けないのが原則(調停前置)で、離婚と慰謝料は同じ調停・同じ訴えで扱える場面があります。この記事は、4つの違いと流れ、選ぶ順番をまとめた入口です。暴力や脅しがある場合は、話し合いより先に安全の確保が必要です。差し迫っているときは110番、その他は浮気・不倫の相談先一覧から窓口を選んでください。
離婚の4つの方法:違いを一覧で見る
まず、決める人と必要な手続きが違うことを押さえます。
| 方法 | 離婚を決めるのは | 主な手続き | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 協議離婚 | 夫婦の合意 | 離婚届を市区町村に出し、受理される | 民法763条・764条 |
| 調停離婚 | 調停での合意 | 家庭裁判所に夫婦関係調整調停(離婚)を申し立てる | 家事事件手続法257条・268条 |
| 審判離婚 | 家庭裁判所の審判 | 調停に代わる審判が出て、2週間以内に異議が出ない | 家事事件手続法284条・286条 |
| 裁判離婚 | 判決、または裁判上の和解・認諾 | 家庭裁判所に離婚の訴えを起こす | 民法770条・人事訴訟法37条 |
どの方法でも、離婚するだけでなく、未成年の子の親権者・養育費・親子交流(面会交流)・財産分与・年金分割・慰謝料を一緒に決める必要があります。2026年4月1日施行の改正で、親権者は父母の双方または一方と定める形になりました(民法819条)。改正の全体は離婚の法改正2026年4月施行:共同親権・法定養育費・財産分与の変更点にまとめています。
協議離婚:夫婦の話し合いと離婚届
協議離婚は、夫婦が話し合って合意し、届出をする方法です(民法763条)。裁判所を通さないので、費用も期間も少なく済みますが、決めた内容を書面に残さないと、後で言った言わないになります。流れは次のとおりです。
- 離婚するかどうかと、子の親権者・養育費・親子交流・財産分与・慰謝料を話し合う(子に関する事項は、子の利益を最優先に協議で定めます。民法766条1項)
- 合意した内容を離婚協議書にし、支払いが続く項目は公正証書にしておく
- 離婚届に、当事者2人と成年の証人2人以上が署名して市区町村に出す(民法764条・739条)
- 届出が受理されると、その日に離婚が成立する
離婚届は、未成年の子がいる場合、親権者が定められているか、親権者の指定を求める審判・調停が申し立てられていることが受理の条件です(民法765条・戸籍法76条)。書き方は離婚届の書き方と出し方で確かめられます。相手が勝手に離婚届を出すのが心配なら、本籍地の市区町村にあらかじめ不受理申出をしておく方法があります。ただし、これは協議離婚の届出を止める制度で、調停や裁判で決まった離婚の届出は止められません。
調停離婚・審判離婚・裁判離婚:調停が先になる理由
話し合いができない、または合意できないときは、相手の住所地の家庭裁判所(または双方が合意した家庭裁判所)に、夫婦関係調整調停(離婚)を申し立てます。離婚の訴えを起こす前に、まず調停が必要なのが調停前置です(家事事件手続法257条1項)。調停を経ずに訴えを出しても、裁判所は原則として職権で事件を調停に付します(同条2項)。
調停は、裁判官1人と民間から選ばれた調停委員2人以上が、双方の事情や意見を聴いて合意を探る手続きです。合意が成立して調書に記載されると、確定判決と同じ効力があり(同法268条)、成立の日が離婚の日になります。申立てから終了までの詳しい流れは離婚調停の流れ:申立てから成立・不成立までと浮気が原因のときの準備に分けました。
合意できなければ調停は不成立で終わります。通知を受けた日から2週間以内に離婚の訴えを起こすと、調停を申し立てた時に訴えを起こしたものとみなされます(同法272条3項)。このとき、婚姻費用や養育費のような審判事件と違い、離婚の調停は自動では裁判に移りません。自分で訴えを起こす必要があります。
調停が成立しなくても、家庭裁判所が相当と認めれば、職権で調停に代わる審判をすることがあります(同法284条)。2週間以内に当事者が異議を出すと、審判は効力を失います(同法286条)。離婚の調停では、審判に従う共同の申出で異議を封じる方法は使えないため、審判離婚が確定するのは、双方が異議を出さなかったときです。
裁判離婚は、家庭裁判所に離婚の訴えを起こす方法です。民法770条1項は、①配偶者に不貞な行為があったとき、②悪意で遺棄されたとき、③生死が3年以上明らかでないとき、④その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき、に限って離婚の訴えを起こせると定めます。①から③の理由があっても、裁判所が一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めれば、請求は棄却されます(同条2項)。判決だけでなく、裁判の途中で和解や請求の認諾によって離婚が成立する場合もあります(人事訴訟法37条)。裁判の流れは離婚裁判の流れ:浮気を理由に訴えるときの訴状・証拠・判決で扱います。
司法統計で見る調停の終わり方
裁判所の令和7年(2025年)司法統計年報(家事編)で、婚姻関係事件の終局区分を見ると、調停の位置づけが分かります。
| 終局の区分 | 件数 | 割合(筆者の計算) |
|---|---|---|
| 調停成立 | 28,026件 | 48.7% |
| 調停不成立 | 11,003件 | 19.1% |
| 取下げ | 9,371件 | 16.3% |
| 調停に代わる審判 | 5,090件 | 8.9% |
| 認容(判決など) | 3,090件 | 5.4% |
総数は57,491件で、ほかに却下・調停をしない・当然終了があるため、割合を足しても全体にはなりません。この表は離婚調停だけの数字ではありません。円満を目指す調整調停なども含む「婚姻関係事件」の区分で、「調停成立」には離婚が決まった場合も、婚姻を続ける合意も含まれます。協議離婚は裁判所を通さないので、この表には入っていません。「離婚調停の約半分で離婚が成立する」とは読まないでください。
離婚と慰謝料を一緒に扱える場面
浮気が原因の離婚では、離婚と慰謝料を同じ手続きで話せるかが関心の的になります。整理すると次のとおりです。
- 離婚前の調停:夫婦関係調整調停(離婚)の中で、離婚・親権・養育費・財産分与・年金分割に加えて、慰謝料も話し合えると裁判所は案内しています。調停の申立書にも、慰謝料の支払いを求める欄があります
- 離婚後の調停:離婚の後に話し合う場合は、慰謝料請求調停を使います。申立人は離婚した元夫・元妻です
- 離婚の訴え:離婚の訴えと、その原因となった事実による損害賠償の請求は、一つの訴えでできます(人事訴訟法17条)。家庭裁判所が離婚と慰謝料をまとめて審理します
ここまでは、配偶者に対する請求の話です。不倫相手に対する慰謝料が、離婚の訴えと同じ手続きに入るかどうかは、条文の要件に当たるかで決まるため、依頼する弁護士に確かめる点です。管轄や手続きの分かれ目は慰謝料請求の管轄はどこ?不倫の訴えを出す裁判所の分かれ目、離婚後の調停は慰謝料請求調停とは?家庭裁判所での流れと申立ての費用で整理しています。
どの方法を選ぶか:話し合えるかで決める順番
選び方は、費用や期間ではなく、まず相手と安全に話し合えるかで分けると迷いません。
- 暴力・脅し・つきまといがある:話し合いに進む前に、窓口で安全を確保します。調停でも、顔を合わせない工夫を求められます
- 条件が近く、相手も応じる:協議離婚にして、決めたことを書面(できれば公正証書)に残します
- 話し合えない、条件で割れる、相手が応じない:家庭裁判所の調停を申し立てます。弁護士は必須ではありませんが、代理人になれるのは原則として弁護士です(家事事件手続法22条)
- 調停が不成立でも離婚を求める:離婚の訴えを、不成立の通知から2週間以内に起こします
費用は離婚調停の費用:申立ての実費と弁護士に頼む場合の違い、かかる期間は離婚調停にかかる期間:期日の回数の目安を司法統計で見るで確かめてください。弁護士に相談する場合、相手との慰謝料や条件の交渉を代理できるのは弁護士です(弁護士法72条)。依頼するなら、浮気が原因の離婚の取扱いと費用の説明を確かめて選ぶ選択肢があります。
相談先の違いは離婚の相談先の選び方:無料で使える窓口と弁護士の違いにまとめています。離婚が決まった後の手続きは、離婚後の手続き一覧:戸籍・氏・保険・年金・手当の順番で期限つきに整理しました。全体の準備から順に読みたい人は、浮気・不倫が原因の離婚:準備・話し合い・調停の流れと決めることから入ってください。
よくある質問
Q. 協議離婚をせずに、いきなり裁判を起こせますか?
離婚は調停が先になるのが原則です。家事事件手続法257条は、調停ができる事件で訴えを起こそうとする人は、まず家庭裁判所に調停を申し立てなければならないと定めています。調停を経ずに訴えを出しても、裁判所が職権で調停に付すのが基本です。
Q. 相手が離婚に応じない場合、調停は意味がありますか?
調停は、双方の出席と協力を前提に合意を探る手続きで、相手が出てこない・合意しないときは不成立で終わります。ただ、離婚を求めて裁判に進むには、原則として調停を先に経る必要があるため、応じない相手でも調停を申し立てる意味はあります。
Q. 離婚の話し合いで、慰謝料も同じ手続きで決められますか?
離婚前なら夫婦関係調整調停(離婚)の中で慰謝料も話し合えますし、離婚の訴えと、その原因の事実による損害賠償は一つの訴えにできます(人事訴訟法17条)。どの相手のどの請求が当てはまるかは、弁護士に確かめる点です。
出典・参考にした公的な情報
- 民法 第763条・第764条・第765条・第766条・第770条・第819条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 家事事件手続法 第244条・第257条・第268条・第272条・第284条・第286条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 戸籍法 第76条(離婚の届書の記載事項)(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 人事訴訟法 第4条・第17条・第37条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 夫婦関係調整調停(離婚)(裁判所)
- 離婚訴訟(人事訴訟)(裁判所)
- 家事調停手続(調停手続一般)(裁判所)
- 令和7年 司法統計年報(家事編)第14表 婚姻関係事件数-終局区分別-全家庭裁判所(最高裁判所)
- 戸籍の窓口での本人確認(不受理申出)(法務省)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。