別居 / Q&A

別居中の児童手当・児童扶養手当:受け取る人の変更と申請

この記事のもくじ
  1. 別居中の児童手当は子どもと同居している親が受け取る
  2. 受給者を変えるときの手順と申請の時期
  3. 児童扶養手当は離婚前の別居だけでは原則対象外
  4. 手当と婚姻費用、窓口に持っていく整理メモ

別居中の児童手当は、子どもと同居している親が受け取る決まりです。夫婦が離婚の話し合いをしながら別々に暮らしているときは、子どもと暮らしている側が、いまの住所の市区町村に申請します。一方、児童扶養手当は、離婚が成立していない別居だけでは原則として対象になりません。この記事では、二つの手当の違い、受け取る人を変える手順、窓口に伝えることを順に説明します。

別居中の児童手当は子どもと同居している親が受け取る

児童手当は、18歳になった最初の3月31日まで(高校生年代まで)の子どもを育てている人に支給されます。月額は、3歳未満が15,000円、3歳以上が10,000円、第3子以降は30,000円です(児童手当法6条)。支給額を定めるこの条文は、子どもの年齢と人数で区切られていて、所得による区分はありません。支給は2月・4月・6月・8月・10月・12月で、前の2か月分がまとめて振り込まれます。

別居したときに問題になるのは「どちらが受給者か」です。児童手当法4条4項は、子どもを監護し生計を同じくする父母のうち一方が子どもと同居していて、もう一方と生計を同じくしていない場合は、同居している方が受給者になると定めています。こども家庭庁の案内も、父母が離婚協議中などで別居している場合は、児童と同居している方に優先的に支給するとしています。

そのため、子どもを連れて家を出た親は、これまで相手が受け取っていた手当を、自分の名義で受け取る立場になります。反対に、子どもが家に残り、相手が一人で出て行った場合は、子どもと暮らす側が受給者のままです。受け取った手当は、児童手当法2条で子どものために使うものとされています。自分の生活費に回さず、子どもの費用として管理してください。

早見表:別居中に受け取る手当ごとの受け取る人と申請先
手当 別居中に受け取る人 離婚前の別居だけで対象になるか 申請先
児童手当 子どもと同居している親(法4条4項) 対象になる いまの住所の市区町村(公務員は勤務先)
児童扶養手当 子どもを監護する親 原則は対象外。1年以上の遺棄・保護命令などは対象になる余地がある 住所地の市区町村(認定が必要)

受給者を変えるときの手順と申請の時期

受給者を変えるには、子どもと暮らしている親が、いまの住所の市区町村に「認定請求書」を出します。こども家庭庁の案内では、支給は原則として申請した月の翌月分から始まり、申請が遅れると遅れた月の分は原則として受け取れません。引っ越して別の市区町村に移った場合は、転入した日の翌日から15日以内に、転入先で申請します。

手順は次の順番が進めやすい形です。

  1. 別居した日と、子どもがどちらの家で暮らしているかを、日付つきでメモする。
  2. 子どもと暮らしている親が、住んでいる市区町村の児童手当の窓口に行く(電話で持ち物を聞いてもよい)。
  3. 「離婚の話し合いをしていて別居している。受給者を変えたい」と伝え、認定請求の書類を受け取る。
  4. 今まで受給していた側の手続(受給をやめる届出)が必要かを窓口で聞く。
  5. 振込先は、受け取る親本人名義の口座を用意する。

相手が手続に協力しない場合でも、4条4項で受給者が決まる以上、窓口には「別居で生計が別々になっている」という事実を伝えられます。連絡を取りたくない、居場所を知られたくない事情があるときは、窓口で先に事情を話してください。

児童手当には、現況届が原則不要になった後も提出が必要な人がいます。こども家庭庁の案内に挙がっているのが、離婚協議中で配偶者と別居している人と、配偶者からの暴力などで住民票の住所地と異なる市区町村で受給している人です。毎年6月1日時点の状況を確かめるもので、提出がなければ6月分以降の手当が受けられなくなります。別居中の人は、市区町村から届く案内を見落とさないようにしてください。

住民票を移すか移さないかで手続が変わる場面は、別居で住民票を移す?移さない?手当・学校・安全で変わる判断で整理しています。DVやつきまといの心配があって住所を知られたくないときは、住民票の閲覧を制限する支援措置という制度があり、同じ記事から読めます。

児童扶養手当は離婚前の別居だけでは原則対象外

児童扶養手当は、ひとり親家庭の生活を支える手当です。児童扶養手当法4条1項は、手当を受け取れる児童を挙げています。最初に書かれているのが「父母が婚姻を解消した児童」で、婚姻を解消する、つまり離婚していることが前提です。そのため、離婚が成立していない別居だけでは、原則として対象になりません。

ただし、法律の定めには、離婚していなくても対象になる場合があります。児童扶養手当法施行令は、次の児童も対象に挙げています。

  • 一方の親が引き続き1年以上遺棄している児童(施行令1条の2、2条)
  • 一方の親がDV防止法の保護命令を受けた児童(保護命令が、もう一方の親の申立てで出されたものに限る)
  • 一方の親が法令により引き続き1年以上拘禁されている児童

別居の場合に関係するのは「引き続き1年以上遺棄している」という部分です。どんな状態が遺棄にあたるかは、条文だけでは決まらず、市区町村が個別に認定します。生活費がまったく届いていない、連絡が途絶えている、といった事情があるときは、別居の始まりの日と、その後の生活費の状況を時系列で書いて窓口に相談してください。生活費を受け取っているかどうかが判断にどう影響するかは、自治体の窓口で聞くのが確実です。

令和8年度(2026年4月分から)の全部支給の月額は、こども家庭庁の資料に48,050円(見込額)と掲載されています。所得が一定を超えると、一部支給や支給なしになります。支給月は1月・3月・5月・7月・9月・11月の年6回で、受け取るには市区町村の認定を受ける必要があります。離婚が成立した後の申請の流れは、児童扶養手当とは?離婚後に受け取れる条件と申請の流れで説明します。ひとり親向けの制度の全体像は、ひとり親家庭の支援制度一覧:手当・医療費・住まい・仕事から確かめられます。

手当と婚姻費用、窓口に持っていく整理メモ

別居中の生活費は、手当だけでなく、婚姻費用でも支えられます。民法760条は、夫婦が資産や収入などを考えて婚姻から生ずる費用を分担すると定めていて、この分担は別居中も続きます。仕組みと進め方は婚姻費用とは?別居中の生活費を請求する仕組みと決め方にまとめました。

裁判所の算定表の説明書は、児童手当や児童扶養手当を、受け取る側の年収に含めないとしています。手当をもらっていることを理由に、婚姻費用の目安を下げる読み方は表にはありません。手当は子どものための給付、婚姻費用は夫婦間の分担、という別々の仕組みとして考えます。

窓口に行く前に、次のメモを用意しておくと話が早く進みます。

  • 別居を始めた日と、子どもがどちらの家で暮らしているか
  • 子どもの氏名・生年月日・人数(第3子以降の扱いに関わる)
  • いま受給している人の名前と、手当を受け取っている口座
  • 相手からの生活費の入金の有無と、最後の入金日
  • 連絡が途絶えている場合は、そのやり取りの記録
  • 保護命令や警察への相談があれば、その書類

別居先が決まっていない段階の準備は別居のための部屋探しと引越し:収入が少ないときの手段から、次の保育園の申込みは別居中に保育園を申し込むとき:申込みの手続きと保育料の扱いに続きます。

よくある質問

Q. 子どもを連れて家を出たのに、手当の振込先が相手の口座のままです。どうすればよいですか?

児童手当法は、別居していて生計も別々の父母については、子どもと同居している方が受け取る人になると定めています。子どもと暮らしている親が、いまの住所の市区町村に認定請求の申請をします。これまで受け取っていた側が受給をやめる手続も関係するので、窓口で「別居したので受給者を変えたい」と伝えて必要な書類を聞いてください。

Q. 別居して1か月たちますが、児童扶養手当は申請できますか?

離婚前の別居だけでは、法律が挙げる「父母が婚姻を解消した児童」には当たらないのが原則です。ただし、配偶者が引き続き1年以上子どもを遺棄している場合や、DV防止法の保護命令を受けた場合などは、対象になる余地があります。当てはまるかどうかは市区町村が認定するので、別居した日と生活費の状況を整理して窓口に相談してください。

Q. 手当をもらうと、婚姻費用は減りますか?

裁判所の算定表の説明書は、児童手当や児童扶養手当を婚姻費用や養育費を受け取る側の年収に含めないとしています。手当をもらっていること自体で算定表の読み取りが変わるわけではありません。個別の事情で調整が話題になるかどうかは、調停や弁護士への相談で確かめてください。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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