ひとり親家庭の支援制度一覧:手当・医療費・住まい・仕事
この記事のもくじ
離婚後に使えるひとり親向けの制度は、国の手当、就業の給付金、貸付、生活の支援、住まいの支援に分かれ、自治体が実施するものが多くあります。この記事では、こども家庭庁の案内に沿って、分野ごとの制度と対象を一覧にします。実施の有無と細部は自治体で違うため、読んだあとは住所地の窓口で、使える制度を一つずつ聞いて回ってください。
ひとり親支援の全体像:4つの柱と主な制度
こども家庭庁は、ひとり親家庭への支援を「子育て・生活支援」「就業支援」「養育費確保等支援」「経済的支援」の4つの柱で案内しています。主な制度を、離婚後の困りごと別に並べました。
| 困りごと | 主な制度 | 窓口の目安 |
|---|---|---|
| 毎月の生活費 | 児童扶養手当、児童手当 | 住所地の市区町村 |
| 仕事・資格 | 自立支援教育訓練給付金、高等職業訓練促進給付金 | 市(町村は都道府県) |
| 急な出費・学費 | 母子父子寡婦福祉資金の貸付 | 都道府県・指定都市・中核市 |
| 住まい | 公営住宅、住宅支援資金貸付、母子生活支援施設 | 住宅課・福祉事務所 |
| 子育ての手助け・学習 | 日常生活支援事業、こどもの生活・学習支援事業 | 市区町村 |
| 養育費 | 養育費・親子交流の相談、離婚前後家庭支援事業 | 相談支援センター・法テラス・自治体 |
手当:毎月の収入を支える
児童扶養手当は、父母が離婚した児童を育てる親などに支給される国の手当で、令和8年度の月額は全部支給が48,050円、一部支給は48,040円から11,340円までです(資料上は見込額)。対象と所得の見方は児童扶養手当とは?離婚後に受け取れる条件と申請の流れに書きました。
児童手当は、0歳から高校生年代までの児童を養育している人に支給され、月額は3歳未満が15,000円、3歳以上高校生年代までが10,000円、第3子以降は30,000円です。申請は現住所の市区町村で、遅れた月の分は原則受けられないため、引っ越しや離婚のあとに早く申請します。
養育費は手当ではありませんが、ひとり親の収入の柱です。取り決めや相談先は養育費・親子交流の相談先:相談支援センターと家庭裁判所の使い分けで確かめられます。
仕事と学び:資格を取る間の給付
仕事で収入を上げたい人向けに、母子家庭自立支援給付金と父子家庭自立支援給付金があります。制度を設けていない自治体に住んでいる場合は対象外なので、先に自治体へ確かめてください。
- 自立支援教育訓練給付金:対象講座の受講料の6割が支給されます(下限12,001円)。雇用保険の一般教育訓練給付の対象講座は上限20万円、専門実践教育訓練の対象講座は修学年数×40万円で最大160万円です。修了後1年以内に資格を取って就職した場合は、受講費用の25%(上限は年間20万円)が上乗せされて最大85%、最大240万円になります。受講前に、都道府県等から講座の指定を受ける必要があります。窓口は市で、町村に住む人は都道府県です。
- 高等職業訓練促進給付金:看護師・保育士・介護福祉士などの資格を取るために、6か月以上のカリキュラムを修業する期間の生活費を支えます。対象は、児童扶養手当を受けているか同等の所得水準にあり、就業や育児と修業の両立が難しいと認められる人です。こども家庭庁の資料では、月額10万円(住民税課税世帯は70,500円)、最終年限の1年は4万円が加算され、期間は上限4年(准看護師から看護師などは5年)です。修了後に修了支援給付金(5万円、課税世帯は25,000円)も出ます。
- ひとり親家庭学び直し支援事業:高校卒業程度認定試験の講座の費用などを、自立に向けた計画にもとづいて一部支給する事業です。
働き方を変える前に、収入が下がる期間の収支を表にして確かめると、無理のない計画になります。表の作り方は離婚後の生活費の見通し:収入・手当・支出の表の作り方にあります。
貸付と住まい:返済が必要なものと、そうでないもの
貸付は、返済が必要です。給付と混同しないでください。
- 母子父子寡婦福祉資金:事業開始、事業継続、修学、技能習得、修業、就職支度、医療介護、生活、住宅、転宅、就学支度、結婚の12種類です。利子は、保証人がいれば無利子、いなければ年1.0%で、償還は据え置き期間のあと資金ごとに決まった期限(3年から20年)です。実施主体は都道府県、指定都市、中核市です。
- 住宅支援資金貸付:児童扶養手当を受けている(または同等の所得水準の)ひとり親で、母子・父子自立支援プログラムの策定を受けた人が対象です。家賃の実費を月7万円を上限に原則12か月貸し付け、無利子です。1年以内に就職して1年間働き続けるなどの場合は、返済が免除されます。窓口は都道府県・指定都市です。
- 入学準備金・就職準備金の貸付:高等職業訓練促進給付金を受ける人に、養成機関への入学時に50万円、修了して資格を取ったときに20万円を貸し付けます。無利子(保証人がいない場合は有利子)で、修了後1年以内に資格を活かして就職し、5年間その職に就くと返済が免除されます。
住まいそのものの探し方は、公営住宅の優先入居や母子生活支援施設を含めて離婚後の住まい探し:公営住宅やひとり親向けの支援の調べ方に整理しました。
生活・学習・医療費:窓口で聞く項目
子育てと生活の手助けとして、ひとり親家庭等日常生活支援事業があります。就職活動や病気、出産などの一時的な事情や、長時間勤務のような継続的な事情があるときに、家庭生活支援員が育児や家事を手伝う仕組みです。こどもの生活・学習支援事業は、放課後に学習や生活習慣の支援を受けられる場で、対象の線引きは自治体が決めます。離婚前から使えるものに、ひとり親家庭地域生活支援事業があります。こども家庭庁の資料では、離婚前の困難に直面している親も対象に加えるとされ、母子生活支援施設や民間賃貸住宅などを一定期間使いながら、住まいと仕事を探す支援を行う事業です。実施する自治体は限られるため、市区町村のひとり親担当窓口で確かめます。
医療費は、こども家庭庁の令和8年4月の支援資料に、助成の事業が載っていません。国の資料にあるのは、母子父子寡婦福祉資金の医療介護資金(貸付)です。ひとり親家庭の医療費を助成する制度は、都道府県・市区町村が独自に設けている場合があり、あるかどうか、対象と自己負担は自治体で違います。住所地の市区町村のひとり親担当窓口か、国民健康保険・医療助成の窓口で、「ひとり親向けの医療費助成はありますか」と聞いてください。健康保険と年金の切り替えは離婚後の健康保険と年金の切り替え:扶養から外れるときの手続きで確かめます。
調べ方の手順:自治体で使える制度を洗い出す
制度の実施と細部は自治体で違うため、次の順で洗い出します。
- 「あなたの支え」(こども家庭庁が案内するひとり親向けの暮らし応援サイト)で、住んでいる地域と支援の種類から制度を検索し、一覧をメモする。
- 住所地の市区町村のホームページで、ひとり親支援のページと担当窓口の電話番号を確かめる。
- 担当窓口に電話して、離婚した(する予定の)事情を伝え、対象になる制度を聞く。
- 制度ごとに、申請の期限、必要な書類、審査にかかる期間を書き出す。
- 手当と給付を収支の表に入れて、足りない部分を貸付や別の制度で埋める。
お金の全体と期限は浮気が原因の離婚とお金:婚姻費用・養育費・財産分与・慰謝料の全体像にまとめてあります。
よくある質問
Q. 離婚前でも、ひとり親向けの支援制度は使えますか?
制度ごとに対象が違います。児童扶養手当は、離婚前の別居だけでは原則として対象になりません。一方、児童手当は離婚協議中で別居している場合に、児童と同居している人へ優先して支給されると案内されています。離婚前に使いたい制度は、制度ごとに窓口で確かめてください。
Q. 制度が多すぎて、どれから調べればよいか分かりません。
収入に直結する手当と、期限のある手続きから見ます。児童扶養手当と児童手当の申請、国民健康保険と国民年金の切り替えの順に確かめ、そのあとで仕事や住まいの支援を調べると、抜けが出にくくなります。
Q. 住んでいる自治体が制度を実施しているか、どう調べますか?
こども家庭庁が案内するひとり親向けの暮らし応援サイト「あなたの支え」では、地域や支援の種類から自治体の事業を検索できます。自治体のホームページか、ひとり親支援の担当窓口に電話して、実施の有無と申込み方法を聞く方法もあります。
出典・参考にした公的な情報
- ひとり親家庭等関係(こども家庭庁)
- 母子家庭自立支援給付金・父子家庭自立支援給付金(こども家庭庁)
- ひとり親家庭の就業支援(高等職業訓練促進給付金など)(こども家庭庁)
- ひとり親家庭の経済的支援(児童扶養手当・貸付)(こども家庭庁)
- 養育費・親子交流の相談をしたいひとり親の方へ(こども家庭庁)
- 児童手当制度のご案内(こども家庭庁)
- ひとり親家庭等の支援について(令和8年4月)(こども家庭庁)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。