別居 / Q&A

別居のための部屋探しと引越し:収入が少ないときの手段

この記事のもくじ
  1. 先に決める:家賃の上限と、最初にかかるお金
  2. 民間の賃貸で審査と保証をどうするか
  3. 公的な住まいの支援:何があり、どこで聞くか
  4. 引越しの手順:契約から14日以内の手続きまで
  5. 迷うときの相談の順番

収入が少ないまま別居先を探すときは、①毎月の家賃の上限と、最初にかかるお金を先に出す、②民間の賃貸で審査や保証をどう乗り切るかを考える、③公的な住まいの支援(住居確保給付金・公営住宅・住宅セーフティネット・ひとり親向けの貸付)を並行して調べる、の順に進めます。別居しただけで自動的に使える支援はなく、それぞれに条件があるので、窓口で自分の状況を伝えて確かめることが近道になります。

先に決める:家賃の上限と、最初にかかるお金

部屋を見に行く前に、毎月払える家賃の上限と、入居までに必要な総額を出します。ここが曖昧だと、審査に通っても生活が続かなくなります。

毎月の収入として数えるものは、自分の給与などの収入、児童手当や児童扶養手当などの手当、相手から受け取る婚姻費用の見込みです。婚姻費用(民法760条)は、取り決めや調停で決まるまでは、入るかどうか分からない収入です。見込みが確かな収入だけで家賃を考えておくと、あとで払えなくなる事態を避けられます。目安の読み方は婚姻費用算定表の見方:収入と子どもの数から目安を読む手順にあります。

入居までにかかるお金は、物件の見積書で一つずつ確かめます。

  1. 敷金・礼金・仲介手数料
  2. 保証会社に払う保証料(初回と、更新時にかかる場合)
  3. 火災保険などの保険料
  4. 鍵の交換や、クリーニングの費用
  5. 引っ越しの費用(見積もりを複数の業者から取る)
  6. 家具・家電の購入費、ライフラインの開通費用

「敷金・礼金なし」の物件は初期費用を抑えられる一方、毎月の家賃や退去時の費用の条件が違うことがあります。契約書の特約欄を読み、総額で比べてください。家財をどこまで持っていけるかは、出る前に相手と話しておくほうが、後の争いを避けられます。持ち出す書類や物の整理は別居の準備に必要なこと:お金・書類・子ども・住まいのチェックリストにあります。

民間の賃貸で審査と保証をどうするか

賃貸契約では、貸主や管理会社が、収入や勤務先を確認して入居審査を行います。収入が少ない、専業主婦(主夫)で収入がない、といった状況では、次のような工夫が考えられます。

  • 収入の説明を整える。 給与明細や源泉徴収票に加え、別居中の生活費として婚姻費用を受け取る取り決めがあれば、その書面(別居の合意書に書くこと:生活費・子ども・期間の項目と文例で書き方を紹介しています)も、説明の材料になります。
  • 預貯金の残高を示す。 数か月分の家賃を払える預貯金があると、説明しやすくなります。
  • 保証人・緊急連絡先を考える。 保証人が頼めないときは、保証会社を使える物件を探します。緊急連絡先は親族に頼むことが多く、別居の事情を伝えるかどうかは、家族との関係で決めます。
  • 一時的な住まいをつなぐ。 審査や資金の準備に時間がかかるときは、実家や親族の家に身を寄せる間に、公的な支援を調べる方法もあります。

審査は貸主ごとの基準で行われるため、断られても、自分に問題があるとは限りません。複数の物件に相談してください。

公的な住まいの支援:何があり、どこで聞くか

早見表:収入が少ないときに調べたい住まいの支援
制度・窓口 何が受けられるか 確かめる点
住居確保給付金(生活困窮者自立支援法) 離職や収入の著しい減少で家賃の支払いが難しくなった人に給付金が支給される 別居だけでは対象にならない。収入・資産の要件は厚生労働省令で定められる。窓口は自治体の自立相談支援機関
公営住宅 収入が基準以下で住宅に困っている人が、低廉な家賃で入居できる 入居の基準・募集時期・ひとり親世帯の優遇枠は自治体ごと
住宅セーフティネット制度 住宅確保要配慮者の入居を拒まない「登録住宅」の検索、居住支援法人の相談 登録住宅は検索システムで探す。家賃の補助は自治体による
ひとり親向けの貸付(こども家庭庁) 母子父子寡婦福祉資金(転宅資金など)、ひとり親家庭住宅支援資金貸付 離婚前の別居中でも対象になるかは、窓口で確かめる
配偶者暴力相談支援センター 暴力の被害者への緊急時の安全確保、一時保護、住宅確保に関する情報提供 暴力や脅しがある場合に限る

住居確保給付金。 生活困窮者自立支援法3条3項は、離職、または収入が著しく減少したと認められる事由(厚生労働省令で定める)で経済的に困窮し、家賃の支払いが困難になった人が対象と定めています。収入の減少の場合は、家計を改善するため新たな住居を確保する必要があると認められることが条件に入っており、家賃の安い部屋へ移る場面も想定された書き方です。5条で、都道府県等が生活困窮者自立相談支援事業を行うとされ、6条で、福祉事務所の所管区域内に居住地を持つ人へ支給するとされています。別居により収入がなくなった、パートの収入が大きく減った、といった場合に使えるかどうかは、自立相談支援の窓口に、事情を伝えて確かめます。

公営住宅。 公営住宅法は、住宅に困窮する低額所得者に低廉な家賃で賃貸すると定め(1条)、入居者資格を、収入が条例で定める金額以下で、現に住宅に困窮していることが明らかな人としています(23条)。申込みが戸数を超えるときは、困窮の実情を調べて公正に選考されます(25条)。ひとり親世帯の優遇枠や、募集の時期は自治体の募集要項で確かめます。募集は随時ではない自治体もあるため、年間の予定を早めに調べておくと動きやすくなります。

住宅セーフティネット制度。 国土交通省の説明では、低所得世帯、高齢者、障害者、子どもを養育している世帯などの「住宅確保要配慮者」の入居を拒まない賃貸住宅を、貸主が都道府県や政令市に登録する制度です。登録された住宅は、インターネットの検索システムで探せます。また、都道府県が指定する居住支援法人が、住まいの相談や、家賃債務保証などの支援を行います。家賃や保証料の補助は、自治体によって実施の有無が分かれます。

ひとり親向けの貸付。 こども家庭庁の案内には、母子父子寡婦福祉資金(12種類のうち転宅、住宅など)や、ひとり親家庭住宅支援資金貸付があります。都道府県や市の窓口が実施し、利子は無利子または年1.0%とされています。別居中で離婚前の場合に使えるかは窓口で確かめます。離婚後の住まい探しは離婚後の住まい探し:公営住宅やひとり親向けの支援の調べ方にまとめています。

暴力があるとき。 配偶者暴力防止法3条3項は、配偶者暴力相談支援センターの業務として、緊急時の安全確保と一時保護、自立生活を促進するための就業や住宅確保などの制度利用に関する情報提供・助言、保護施設の利用に関する情報提供などを挙げています。安全が最優先なので、部屋探しより先に相談してください。窓口は浮気・不倫の相談先一覧:悩み別の窓口と番号・受付時間の早見表にあります。

引越しの手順:契約から14日以内の手続きまで

部屋が決まった後の流れです。

  1. 契約の前に、初期費用の総額と支払い期限を確かめる。 見積書を保存します。
  2. 相手との取り決めを確認する。 生活費の金額、荷物の分け方、子どもの交流の予定を、可能な範囲で書面にします。
  3. 電気・ガス・水道・通信の開通を予約する。 入居日に使える状態にしておきます。
  4. 引っ越しを行い、新しい住所での生活を始める。 新しい住所に生活の本拠を移したら、住民基本台帳法22条・23条により、14日以内に転入または転居の届出が必要になります。移すかどうかの判断は別居で住民票を移す?移さない?手当・学校・安全で変わる判断で整理しています。
  5. 手当・保険・学校・保育の手続きをする。 児童手当などの受給者の変更は別居中の児童手当・児童扶養手当:受け取る人の変更と申請に、子どもの転校は離婚・別居で子供が転校するとき:手続きと学校への伝え方にあります。
  6. 銀行・保険・携帯電話などの住所変更を届ける。

迷うときの相談の順番

窓口は、①お住まいの市区町村(福祉・住宅・子育ての担当課)、②都道府県の住宅担当や居住支援の窓口、③家庭裁判所の手続案内や、法テラス・弁護士会の法律相談、の順に使い分けられます。生活費と住居費のめどがつかないときは、婚姻費用の請求を早めに進めることも考えます。浮気が原因の別居全体の流れは浮気が原因の別居:始める前の準備・別居中のお金・その後の選択にまとめています。

よくある質問

Q. 配偶者の同意がなくても、別居先の部屋を借りられますか?

賃貸の契約は借りる本人が貸主と結ぶものなので、配偶者の同意が契約の条件になるわけではありません。ただ、入居審査で収入や勤務先、緊急連絡先を聞かれることがあり、別居の事情を説明する場面もあります。別居の理由や住所の扱いは、出る前に相手との関係や安全を考えて決めてください。

Q. 公営住宅は、別居してすぐ申し込めますか?

公営住宅は、収入が基準以下で住宅に困っていることが入居の資格とされ(公営住宅法23条)、申込みが多いときは困窮の実情を調べて選考されます(25条)。募集の時期や、ひとり親世帯などを優遇する枠の有無は自治体ごとに違うので、都道府県や市区町村の住宅担当の窓口で、募集要項を確かめてください。

Q. 敷金や引っ越し代を出せるお金がありません。

手元の預金だけで足りない場合は、住居確保給付金の対象にならないか、自立相談支援機関に相談する道があります。ひとり親向けの貸付や、配偶者からの暴力があるときの配偶者暴力相談支援センターの支援も、条件が合えば選択肢になります。相手に生活費を請求する婚姻費用も、並行して考えます。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

別居の合意書に書くこと:生活費・子ども・期間の項目と文例

別居中の児童手当・児童扶養手当:受け取る人の変更と申請

離婚後の住まい探し:公営住宅やひとり親向けの支援の調べ方

浮気が原因の別居:始める前の準備・別居中のお金・その後の選択