不倫の示談書の接触禁止条項とは?決め方と違反したときの扱い
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接触禁止条項とは、不倫の示談書の中で、不倫相手が今後配偶者と会わない・連絡しないことを約束する条項です。決めるのは、誰が・誰と・どの手段で接触してはいけないのか、仕事などの例外、期間、破ったときの違約金の5点です。違約金の約束は、損害賠償の額をあらかじめ決めておくもの(民法420条)として扱われますが、極端に高い額は無効とされるおそれがあります(民法90条)。また、会わない・連絡しないという約束そのものは、公正証書にしても強制執行で守らせることはできず、破られたときは違約金や慰謝料の請求という形で対応することになります。
接触禁止条項でできること・できないこと
接触禁止条項の役割は、関係を終わらせる約束を書面に残し、破られたときにお金で責任を取ってもらう道を作ることです。相手の行動を物理的に止める力まではありません。
| 期待されること | 接触禁止条項でできるか |
|---|---|
| 関係を終わらせる約束を形に残す | できる。署名した書面は約束の証拠になる |
| 破ったら違約金を払ってもらう | 違約金を定めておけば請求の根拠になる |
| 破られた行為をやめさせる強制執行 | できない。公正証書が執行証書になるのは、金銭の一定額の支払などを目的とする請求に限られる(民事執行法22条5号) |
| 違約金の取り立てを強制執行で | 公正証書にして違反の事実を文書で示せれば、その執行文を得て進む流れがある |
| 相手の転居や退職まで求める | 生活を過度に縛る約束は公序良俗に反して無効とされるおそれがある |
違約金を定めた条項を公正証書にした場合、違反という事実が起きたことを債権者が文書で証明したときに限って執行文が付与されます(民事執行法27条1項)。日本公証人連合会はこれを「事実到来執行文」として案内しており、証明する文書の提出が要ります。つまり、違反をどう証明するかまで考えて条項を作ることが、実際に効き目を持たせる分かれ目になります。
接触禁止条項の決め方:5つの項目と文例
条項を作るときは、次の5つを順に決めます。言葉があいまいだと、違反かどうかの判断で争いになります。
| 項目 | 決める内容 | 書き方の例 |
|---|---|---|
| 誰が | 約束する人(不倫相手・配偶者・双方) | 「乙は」「乙及び丙は」 |
| 誰と | 接触してはいけない相手 | 「丙と」(配偶者)、必要なら「甲及び甲の子と」 |
| どの手段で | 面会・電話・メール・SNS・手紙・第三者を通じた連絡 | 「面会、電話、電子メール、SNS、手紙その他方法を問わず」 |
| 例外 | 仕事上やむを得ない連絡、偶然の出会い | 「業務上必要な最小限の連絡を除く」 |
| 期間と違約金 | いつまでか、破ったときにいくらか | 「1回の違反につき金○万円」 |
一般的な形の例は次のとおりです(甲=不倫をされた配偶者、乙=不倫相手、丙=甲の配偶者)。
文例:「第○条 乙は、今後、丙と面会せず、電話、電子メール、SNS、手紙その他方法を問わず連絡をとらず、第三者を介して連絡することもしない。丙から連絡があった場合も、これに応じない。ただし、乙と丙の業務上必要な最小限の連絡はこの限りでなく、その場合は事前又は事後速やかに甲に知らせる。」
文例:「第○条 乙が前条に違反したときは、乙は甲に対し、違約金として違反1回につき金○万円を支払う。」
同じ職場で働いている、子どもの学校行事で顔を合わせるなど、接点を避けられない事情がある場合は、例外の書き方が要になります。「業務上必要な最小限」だけでは判断が割れそうなら、「業務上の連絡は会社のメールに限り、私用の携帯電話やSNSでは連絡しない」のように手段で線を引く方法もあります。示談書全体の条項の並びは不倫の示談書の書き方:入れる条項の例と作るときに気をつけることで確かめてください。
違約金を定めるときの考え方
違約金は、民法420条3項で賠償額の予定と推定されます。違反があれば、受けた損害の大きさを一つずつ証明しなくても、決めた額を請求できるのが利点です。一方で、次の点に注意が要ります。
- 額が高すぎると争いになる:民法90条は公序良俗に反する約束を無効としています。どの額から問題になるかは事情によるので、金額は弁護士に相談して決めます。公証人も法令に反する内容や無効な内容の公正証書は作れないため(公証人法26条)、公正証書にする段階で見直しを求められることがあります。
- 「1回ごと」か「まとめて」かを決める:「違反1回につき」とすると、連絡を何十回も取った場合の額が大きくなりすぎることがあります。上限を設ける書き方も考えられます。
- 違約金と慰謝料の関係を書く:違約金とは別に、新たな不倫による慰謝料も請求する余地を残すのかどうかで、書き方が変わります。
公正証書にするかどうかは、不倫の示談書を公正証書にするメリットと公証役場での流れで比べています。
違反されたときの扱い:記録の残し方と請求の流れ
約束が破られたと分かったら、感情的に相手へ連絡する前に、事実を記録して落ち着いて動きます。
- 違反の事実を記録する:いつ・どこで・どのような接触があったかを、日付つきのメモに残します。自分あてに届いた連絡や、自分の目で見た場面の写真など、自分が正当に手に入れたものを中心にします。
- やってはいけない集め方を避ける:配偶者のスマホやSNSに無断でログインする、位置情報を勝手に取るといった方法には、禁じる法律があります。線の引き方は浮気の証拠集めで違法になりうること:スマホ・GPS・侵入の線引きで確かめてください。
- 書面で違約金を請求する:示談書の条項と違反の事実を示し、支払いの期限を区切って請求します。相手が違反と違約金の支払いを認めれば、その確認も書面に残します。
- 応じないときは手続きへ:当事者の示談書なら、調停や訴訟で支払いを求めます。違約金を定めた公正証書なら、違反を示す文書を添えて事実到来の執行文を申し立てる流れがあります。
相手が支払いを認める書面に署名すると、その時から時効が新たに進み始めるという効果もあります(民法152条1項)。違反のあとに配偶者との関係をどうするかまで含めた整理は浮気の誓約書に違反されたら:違約金や離婚を考える前の整理を参考にしてください。
接触禁止を破った相手から、逆に脅される・つきまとわれるといった危険を感じる場合は、記録や請求より安全を先にしてください。窓口の使い分けと番号は不倫で脅されたときの記事と浮気・不倫の相談先一覧:悩み別の窓口と番号・受付時間の早見表にまとめています。
違約金の支払いを分割で約束されたとき
違反のあと、違約金をまとめて払えないと言われて分割の約束をすることもあります。その場合は、回数・各回の額・遅れたときに残りを一括で払う約束などを決めて書面にします。決め方は慰謝料の分割払いの決め方:受け取る側・払う側と不払いに備える書面で、受け取る側と払う側の両方の目線から整理しています。
よくある質問
Q. 接触禁止の約束に期限を付けたほうがよいですか?
期限を付けるかどうかは当事者で決められます。期限を付けない形にすると約束の範囲が広くなる一方、相手が「いつまでも縛られるのは困る」と受け入れにくくなることがあります。子どもの学校や職場が同じで生活上の接点がある場合は、期間や例外を決めて現実に守れる形にしたほうが、違反をめぐる争いを減らせます。
Q. 不倫相手ではなく、配偶者のほうから連絡を取っていた場合も違反になりますか?
示談書で誰の行為を禁じたかによります。不倫相手だけが当事者の示談書で「乙は丙と連絡をとらない」と書いた場合、配偶者から連絡が来て不倫相手が応じたときの扱いが問題になります。配偶者も含めた三者の示談にして、配偶者にも同じ約束をしてもらう、あるいは「乙は丙からの連絡に応じない」と書くなど、どちらから連絡した場合も含む書き方を考えます。
出典・参考にした公的な情報
- 民法 第90条(公序良俗)・第420条(賠償額の予定)・第152条(承認による時効の更新)(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 民事執行法 第22条第5号(執行証書)・第27条第1項(事実の到来に係る執行文)(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 公証人法 第26条(法令に違反する事項等の制限)(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 離婚(Q26 金銭以外の給付と強制執行)(日本公証人連合会)
- 執行文付与申立て(Q6・Q7 事実到来執行文)(日本公証人連合会)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。