離婚で家を売却するときの流れ:査定・売る時期・代金の分け方
離婚で家を売るときの基本の流れは、1. 売却額と残債を知る、2. 不動産会社に査定を頼む、3. 媒介契約を結ぶ、4. 買主と売買契約を結ぶ、5. 決済で代金を受け取り、ローンを返し、残りを分けるの五段階です。売る時期は離婚の前でも後でも選べますが、ローンの状況と、夫婦の連絡のとりやすさで向き不向きが変わります。この記事では、各段階でやることと確かめること、代金の分け方を、数字の例つきで説明します。
売却の流れ:5つの段階と、それぞれの確かめどころ
| 段階 | やること | 確かめること |
|---|---|---|
| 1 | ローン残高と名義を確認 | 残高証明書、登記事項証明書で名義と抵当権を見る |
| 2 | 複数社に査定を頼む | 査定額の根拠、類似物件の事例 |
| 3 | 媒介契約を結ぶ | 種類(専属専任・専任・一般)、有効期間、報酬 |
| 4 | 売買契約 | 売主として署名する人、引渡し日 |
| 5 | 決済・分配 | ローン完済、抵当権の抹消、代金の分け方 |
段階1:残高と名義を確認する。 売るときの出発点は、いくらで売れそうかと、いくら返さないといけないかの二つです。ローンが売却額を上回るオーバーローンかどうかは住宅ローンが残る家の財産分与で整理しています。
段階2:複数社に査定を頼む。 宅地建物取引業法34条の2第2項は、不動産会社が媒介契約書に記す価額に意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならないと定めています。査定額が高いか低いかだけでなく、なぜその額なのかを聞いて比べます。
段階3:媒介契約を結ぶ前に種類を選ぶ。 東日本レインズの整理では、専属専任と専任は1社のみに頼み、有効期間は3か月以内です。一般は複数社に頼めます。専任は契約の翌日から7日以内(専属専任は5日以内、業者の休業日は除く)にレインズへ登録する義務があり、業務の報告は専任が2週間に1回以上、専属専任が1週間に1回以上です。どれが得かは家の状況で変わるので、断定できません。
段階4:売買契約。 誰が署名するかは名義で決まります。共有名義なら、名義人どうしの足並みが必要です。夫婦の連絡がとれない時期は、窓口を不動産会社に一本化するなどの工夫を、契約前に相談します。
段階5:決済。 買主から代金を受け取る日に、ローンを返済して抵当権を外す手続を進めるのが一般的な流れです。具体的な段取りは金融機関と不動産会社に確かめます。
売る時期:離婚の前か、後か
どちらが正解というより、次のような違いがあります。
| 観点 | 離婚前に売る | 離婚後に売る |
|---|---|---|
| 夫婦の関係 | 夫婦のまま手続する | 元配偶者として連絡が続く |
| 財産分与 | 代金を離婚協議書に書き込める | 離婚後の財産分与として話し合う(期限は離婚から5年、2026年3月以前は2年) |
| 引渡しまでの住まい | 別居か同居かで調整が要る | 先に引っ越した後の空き家の管理を決める |
| 税金の特例 | 住んでいる間は居住用の扱い | 住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る |
迷ったときの目安は、ローンが重いか、連絡が取れるかの二点です。ローンが重く、早く整理したいなら離婚前に動き出す人が多く、連絡が重いなら、間に弁護士を入れる選択もあります。
代金の分け方:数字の例
売却代金の分け方は、売却額からローン残高と売却費用を引いて、残りを分ける形が基本です。売買代金が400万円を超える場合、仲介手数料の上限は、報酬告示から導いた筆者の計算で、課税事業者なら「売買代金(税抜)×3%+6万円」に消費税を加えた額です。以下は仮定の数字です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 売却額 | 3,000万円 |
| ローン残高 | 2,100万円 |
| 仲介手数料の上限(3,000万円×3%+6万円=96万円、税込) | 105万6,000円 |
| その他の費用(引越し、登記費用など、仮に) | 30万円 |
| 手元に残る額 | 764万4,000円 |
仮に折半と決めたなら382万2,000円ずつです。分け方は話し合いで決めるもので、2分の1と決まっているわけではありません。割合の考え方は財産分与の割合は2分の1が原則?にあります。
売った代金を分ける形は、家そのものを渡す形と税金の見え方が違います。国税庁のタックスアンサーNo.3114は、財産分与で土地や建物を渡すと、渡した側に譲渡所得の課税が問題になると説明しています。どの形が自分に有利かは、税務署か税理士に確かめてください。
不動産会社を選ぶときのチェック
- 宅建業の免許があるか。国土交通省の検索システムで商号や免許番号から調べられます。
- 査定の根拠を説明してくれるか。
- 媒介契約の種類と有効期間、途中で解約したときの費用を、書面で説明してくれるか。
- 離婚を理由に急かさないか。
売らずに住み続ける場合の取り決めは離婚後も今の家に住み続けるには:名義・ローン・使用の取り決め、三つの選択肢の全体は財産分与で家はどうする?売る・住み続ける・名義を移す3つの選択肢で比べられます。
よくある質問
Q. 離婚前と離婚後のどちらに売る方が良いですか?
一概にどちらとは言えません。離婚前は夫婦のまま手続を進められる反面、気持ちの面で連絡が重くなりがちです。離婚後は元配偶者と連絡を取る必要が残り、財産分与の請求は離婚から5年(2026年3月31日以前の離婚は2年)という期限があります。ローンの状況と連絡のとりやすさで選びます。
Q. 売却益には税金がかかりますか?
売って利益が出たときは譲渡所得の課税が問題になります。国税庁のタックスアンサーNo.3302は、マイホームを売ったときに最高3,000万円まで控除できる特例を紹介し、夫婦など特別の関係がある人への売却は対象外としています。住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る、という期限もあります。共有名義の扱いなど個別の判断は税務署か税理士に確かめてください。
Q. 不動産会社を選ぶとき、何を確かめればいいですか?
宅建業の免許は国土交通省の「宅地建物取引業者情報検索」で調べられます。査定額だけでなく、根拠の説明、媒介契約の種類、仲介手数料の上限の説明を比べます。比べ方はこの記事の「不動産会社を選ぶときのチェック」にまとめました。残債との差が気になる場合は[住宅ローンが残る家の財産分与](/bunyo-loan/)も参照してください。
出典・参考にした公的な情報
- 宅地建物取引業法 第3条・第34条の2・第46条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額(報酬告示)(国土交通省)
- 標準媒介契約約款(国土交通省)
- 媒介契約について(東日本不動産流通機構(レインズ))
- 宅地建物取引業者情報検索(国土交通省)
- No.3302 マイホームを売ったときの特例(国税庁)
- No.3114 離婚して土地建物などを渡したとき(国税庁)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。