離婚後も今の家に住み続けるには:名義・ローン・使用の取り決め
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離婚後も今の家に住み続けるには、名義が誰か、ローンを誰が払うか、いつまで住むかの三つを先に決め、書面に残します。この三つが曖昧なまま離婚すると、ローンを払う人が払えなくなったときや、再婚などで事情が変わったときに、住む人が家を失うおそれがあります。この記事では、名義の場合ごとに取り決める項目と、書面にするときの注意を説明します。
まず確認:名義とローンの組み合わせで話が変わる
最初に、登記事項証明書で所有名義を、ローンの契約書で債務者・連帯保証人・連帯債務者を確認します。組み合わせは大きく四つです。
| 家の名義 | ローンの名義人 | 主な課題 |
|---|---|---|
| 自分 | 自分 | 自分の収入で払い続けられるか。相手が連帯保証人なら外す方法を金融機関に聞く |
| 自分 | 相手 | 相手が払えなくなると自分の家に抵当権の手続が進むおそれ。支払いの確実さを書面で補う |
| 相手 | 相手 | 相手が売りたくなったときに住み続けられるか。使用の期間と条件を書面に残す |
| 共有 | 双方または一方 | 持ち分の整理と、ローンの責任を分ける方法を決める |
どの場合も、離婚しても、名義や連帯保証が自動で変わるわけではありません。財産分与の条文(民法768条)は夫婦の間の財産の分け方を定めますが、金融機関との契約を書き換えるものではないためです。日本公証人連合会も、多くの銀行のローン約款では、無断で名義を変更すると残りの一括返済を求められると説明しています。
取り決める項目:チェックリスト
住み続ける人が、書面で押さえたい項目です。
- 住む人と、その家に一緒に住む人。 子ども、親族など。
- ローンを払う人と、払う額・時期。 払う人が元配偶者のとき、その支払いを養育費と別に扱うかどうか。
- 払えなくなったとき、遅れたときの連絡と対応。 金融機関から通知が来たときの連絡先。
- 名義を移す時期。 完済後に移すのか、離婚時に移すのか。
- 使用の期間と終わりの条件。 子が成人するまで、再婚するまで、など。
- 費用の分担。 固定資産税、火災保険料、修繕費、管理費・修繕積立金。
- 途中で売る場合の分け方。 売却代金から何をどの順で引くか。
- 相手や自分が亡くなったときの扱い。
家の名義を相手に残し、自分が使用する形では、民法593条の使用貸借(無償で使用収益して、契約終了時に返還する契約)に近い関係になる場合があります。使用貸借は、期間の定めがあれば期間満了で終わり、借主の死亡でも終わると、民法597条が定めています。「いつまで住めるか」が条文から決まるわけではないので、合意の内容が重要です。
事情が変わりやすい3つの場面と、先に決めておくこと
住み続ける取り決めが崩れやすいのは、次の場面です。
| 場面 | 起こりがちな問題 | 先に書いておくこと |
|---|---|---|
| ローンを払う元配偶者が再婚・転職した | 収入が減って返済が遅れる | 遅れたときの連絡、肩代わりするときの精算の方法 |
| 子どもが成人した、進学で家を出た | 住み続ける理由が薄れる | 期間が終わったときに売る、名義を移す、買い取るのどれか |
| 住む側が再婚・同居人が増える | 使用の条件が変わる | 再婚したときは期間を終える、などの条件 |
条件は多いほど安心とは限りません。守れない条件を並べると、後で揉める種が増えます。守れる範囲に絞り、変更したいときは話し合って書面を作り直す、と決めておく方が続きます。
書面に残す:協議書と公正証書
取り決めは口約束ではなく、書面にします。書面の種類は次の二つです。
- 離婚協議書:夫婦で作る合意書です。作り方の例は離婚協議書の書き方:浮気の慰謝料・養育費・財産分与の条項の例にあります。
- 公正証書:公証人が作る公文書です。日本公証人連合会は、公文書は真正に成立したものと強く推定され、公正証書は反証がない限り完全な証拠力を持つと説明しています。ただし、内容が真実であることまで保証するものではなく、作られたことと、その時に当事者がそう述べたことの証明が強い、という意味です。作り方は離婚公正証書の作り方:公証役場での流れと強制執行できる条項にあります。
住宅ローンが残る家について、日本公証人連合会は、ローン完済後に所有権を移す約束をして、離婚時に所有権移転請求権の仮登記をしておく方法を紹介しています。仮登記が自分の場合に使えるかは、公証人か弁護士に確かめてください。名義の変更を登記しないと第三者に対抗できないおそれもある、とも説明されています。
条項の文例(一般的な形の例)です。個別の事情に合わせた作成は、弁護士や公証人に相談してください。
文例:「乙(住み続ける側)は、離婚後、本件建物に居住し、甲(ローンの名義人)は、別紙返済予定表のとおり、毎月の返済を行う。甲が返済を二か月以上怠ったときは、直ちに乙に通知する。」
税金と、住まいに困ったときの先
名義を移す場合の税金は、立場で違います。国税庁のタックスアンサーNo.4414は、離婚で財産をもらっても原則として贈与税はかからないが、多すぎる部分などには課税される、と説明しています。No.3114は、土地や建物を財産分与で渡した側に、譲渡所得の課税が問題になると説明しています。登録免許税など登記の費用も別にあるので、法務局や司法書士に確かめます。税の判断は税務署か税理士の仕事です。
住み続けるのが難しいと分かったときの選択肢として、売却があります。売る場合の流れと、査定を取るときに確かめる点は離婚で家を売るときの流れ:査定・売却の時期・代金の分け方にあります。
自分が家を出る側になるなら、公営住宅などの調べ方を離婚後の住まい探し:公営住宅やひとり親向けの支援の調べ方で確かめられます。ローンが残る家の名義とオーバーローンの整理は住宅ローンが残る家の財産分与にあります。
よくある質問
Q. 名義が夫のままでも、離婚後に私と子どもが住み続けられますか?
住み続けること自体は、夫婦(元夫婦)の合意でできます。ただし、ローンの名義人が夫で、夫が払えなくなると、住み続けられなくなるおそれがあります。ローンを誰がいつまで払うか、払えなくなったときどうするかを、書面に残しておくことが大切です。
Q. 住み続ける代わりに家賃を払う必要がありますか?
決まりはなく、取り決めの内容によります。無償で住む形は、民法593条の使用貸借にあたる場合があり、期間の定めがなければ目的に従った使用が終わったときに終わります(同法597条2項)。有償にするか無償にするかも、書面に書いておくと食い違いを防げます。
Q. 住み続けるつもりでしたが、やはり売ることになったら?
売る場合の流れは[離婚で家を売却するときの流れ:査定・売る時期・代金の分け方](/rikon-ie-baikyaku/)にまとめています。最初の取り決めの段階で、売ることになる条件(払えなくなったとき、子が成人したとき)を書いておくと、話し直しが少なくなります。
出典・参考にした公的な情報
- 民法 第593条・第597条・第768条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 離婚の公正証書(住宅ローンが残る家・清算条項のQ&A)(日本公証人連合会)
- 公正証書とは(証拠としての強さ)(日本公証人連合会)
- No.3114 離婚して土地建物などを渡したとき(国税庁)
- No.4414 離婚して財産をもらったとき(国税庁)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。