離婚とお金・家 / 手順

養育費調停の流れ:申立て・費用・決まらないときの審判

この記事のもくじ
  1. 養育費調停でできること:請求・増額・減額
  2. 申立てに必要なもの:申立先・費用・書類
  3. 申立てから成立までの流れ
  4. 審判に移ったら:決まり方と不服があるとき
  5. 決まったあとにすること

養育費を決めたい、あるいは決めた額を増減したいときの調停は、家庭裁判所の「養育費請求調停」で、収入印紙は子1人につき1,200円分と連絡用の郵便切手で申し立てられます。調停で合意できなければ不成立となり、自動的に審判の手続に移って、裁判官が養育費を決めます。離婚や慰謝料の調停のように、不成立のあと別に訴えを起こす必要はありません。この記事では、申立先、費用、書類、当日の流れ、審判への移行を順に説明します。

養育費調停でできること:請求・増額・減額

養育費請求調停は、次のような場面で使います。

  • 離婚のときに養育費を決めていなかったので、これから取り決めたい。
  • 取り決めた養育費が払われないので、未払い分も含めて取り決め直したい。
  • 再婚、収入の変化、子の進学などの事情の変更があり、増額または減額を求めたい(いわゆる養育費減額調停・増額調停)。

申立人は父または母です。子を監護している親は、もう一方の親に対して養育費の支払を求めて申し立てられます。支払う側の親が、事情の変更を理由に減額を求めて申し立てることもできます。裁判所のQ&Aも、一度決めた養育費の増額・減額は、まず元の配偶者との話し合いで取り決め、進まなければ養育費請求の手続で話し合えると案内しています。再婚が絡む場面は再婚したら養育費はどうなる?減額が問題になる場面と手続きで整理しています。

法定養育費(2026年4月1日以後に取り決めなしで離婚した場合の、子1人あたり月2万円)が生じている場合でも、調停で本来の額を取り決められます。支払う側の収入が乏しいときは、裁判所は支払能力を考えて法定養育費の免除や支払の猶予を命じることもできます。

申立てに必要なもの:申立先・費用・書類

申立先は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所か、父母が合意で定めた家庭裁判所です(家事事件手続法245条)。自分の住所地の家庭裁判所に出せるとは限りません。相手が遠方にいるときは、後で述べるウェブ会議が使える場合があります。

申立ての早見表:費用と主な書類(養育費請求調停)
項目 内容
収入印紙 子1人につき1,200円分(子が2人なら2,400円分。筆者の計算)
連絡用の郵便切手 裁判所ごとに額と組み合わせが違う。申立先の裁判所のサイトで確かめる。郵便料は電子納付もできる
申立書 申立書とその写し1通。書式と記載例は裁判所のサイトにある
戸籍謄本 対象となる子の戸籍謄本(全部事項証明書)
収入の資料 申立人の源泉徴収票・給与明細・確定申告書・非課税証明書などの写し
事情説明書(養育費) 裁判所の書式。養育費に関する事情を書く
進行に関する照会回答書 裁判所の書式。調停の進め方について答える
送達場所等届出書 裁判所の書式。書類の送り先を届け出る

審理に必要なときは、追加の書類を求められることがあります。弁護士の費用は事務所ごとに違い、依頼するかどうかは任意です。

申立書の写しは、原則として相手方に送られます(家事事件手続法256条1項)。申立書に、相手を責める言葉や、相手に知られたくない情報を書かないよう気をつけます。DVの被害を受けていたなどの理由で現住所を相手に知られたくないときは、住所の非開示を申し出る制度が裁判所のQ&Aで案内されています。危険を感じているときは、先に浮気・不倫の相談先一覧:悩み別の窓口と番号・受付時間の早見表の窓口に連絡してください。

申立てから成立までの流れ

調停の進み方を、順に示します。

  1. 申立書などを用意して家庭裁判所に提出する:窓口に持参するか、郵送で出します。
  2. 裁判所から期日の連絡が来る:第1回の調停の日時が決まり、相手方にも申立書の写しなどが送られます。
  3. 調停で話し合う:調停委員会は、裁判官1人と、民間から選ばれた調停委員2人以上で構成されます。双方から事情を聞き、解決案の提示や助言を行います。調停は勝ち負けを決めるのではなく、話し合いによる合意を目指す手続です。
  4. 合意できたら調停が成立する:合意の内容が調書に記載されると、調停が成立します。養育費のような別表第二の事項では、調書の記載は確定した審判と同じ効力を持ちます(家事事件手続法268条1項)。払われないときは、調停調書をもとに強制執行を申し立てられます。
  5. 合意できなければ不成立になり、審判に移る:養育費の調停が不成立で終わると、調停を申し立てた時に審判の申立てがあったものとみなされ、引き続き審判で審理されます(家事事件手続法272条4項)。

調停では、算定表(令和元年版)が養育費の目安として使われます。算定表は、支払う側と受け取る側の年収、子の人数と年齢から幅を読む表で、標準的な額を簡単に出すためのものです。裁判所の最終判断と常に一致するわけではありません。

当日までに準備しておくこと

  • 収入の資料(直近の源泉徴収票や確定申告書など)。給与明細は特定の月の額にすぎないため、源泉徴収票の支払金額(控除前)が基準になります。
  • 子にかかっている費用のメモ(保育料、学費、医療費など)。
  • 離婚した日、取り決めの有無と内容、これまで受け取った金額。
  • 相手への請求の意思を伝えた日付が分かる書面。過去の分の考え方は養育費はさかのぼって請求できる?取り決めなしの離婚の過去分と請求日の残し方にまとめています。

相手の収入の資料がそろわない場合でも、調停が不成立になって審判に移れば、家庭裁判所は必要があると認めるとき、当事者に収入や資産の状況に関する情報の開示を命じることができます。正当な理由なく開示しない、または偽って開示したときは、10万円以下の過料の定めがあります(家事事件手続法152条の2)。

遠方・顔を合わせたくないとき

裁判所のQ&Aは、相手と同じ空間では安心して話せない場合や、遠方で出向くのが困難な場合など、家庭裁判所が相当と認めれば、当事者の意見を聴いてウェブ会議を利用できると案内しています。DVなどで相手と顔を合わせたくないときは、裁判所構内で顔を合わせないよう工夫されることが少なくないとされています。不安な点は、申立先の家庭裁判所に事前に相談できます。

審判に移ったら:決まり方と不服があるとき

審判では、裁判官が収入や子の状況などの資料をもとに、養育費を決めます。審判の内容は、金銭の支払を命じる場合、執行力のある債務名義と同じ効力を持ちます(家事事件手続法75条)。審判に不服があるときは、告知を受けた日から2週間以内に即時抗告ができます(同法86条)。

調停が成立しそうにない場合でも、家庭裁判所が事件の解決のために必要と認めるときは、不成立で終わらせる代わりに、職権で「調停に代わる審判」をすることがあります。当事者は2週間以内に異議を出すことができ、異議が出されると、この審判は効力を失います(同法286条)。

調停の進め方や、算定表に当てはめた額の見方に迷うときは、離婚に詳しい弁護士に相談する選択肢があります。相談の際は、収入の資料、子の年齢、これまでの取り決めの書面を持参すると話が進みます。費用は事務所ごとに違うため、相談前に料金表で確かめます。

決まったあとにすること

養育費が決まったら、次のことを確認します。

養育費と婚姻費用、財産分与、慰謝料を含めたお金の全体像は、浮気が原因の離婚とお金:婚姻費用・養育費・財産分与・慰謝料の全体像で見渡せます。

よくある質問

Q. 養育費の調停は、弁護士に頼まないとできませんか?

必須ではありません。裁判所のQ&Aでも、弁護士に依頼することもできるが、依頼しなくても調停の手続はできるとされています。申立書の書式と記載例は裁判所のサイトにあり、手続で分からない点は家庭裁判所の手続案内で聞けます。

Q. 相手が調停に来なかったらどうなりますか?

調停は双方の出席と協力を前提にした話し合いなので、相手が出席しない場合や合意できない場合は、不成立として終了します。養育費の調停は、不成立になると引き続き審判の手続で審理が行われます。審判では、家庭裁判所が収入などの資料をもとに養育費を定めます。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

養育費を公正証書にする手順:強制執行できる文言と費用

養育費の強制執行の流れ:給与の差押えの手続きと必要な書類の一覧

再婚したら養育費はどうなる?減額が問題になる場面と手続き

浮気が原因の離婚とお金:婚姻費用・養育費・財産分与・慰謝料の全体像