養育費算定表の使い方:表の選び方・収入の読み取り・幅の扱いの手順
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養育費の算定表は、①子の人数と年齢で表を選ぶ、②縦軸と横軸の年収を求める、③2本の線が交わる枠を読む、④枠(1万円〜2万円の幅)の中で額を決める、の4段階で読みます。裁判所の説明書には使用例があり、権利者(子を育てている親)が年収202万8,000円、義務者(支払う親)が715万2,000円、子が7歳と10歳の2人なら、表3の「10〜12万円」の枠を読みます。この記事は、算定表を読む手順の正本として、表の選び方、年収の数え方、幅の扱いを順に示します。
手順の全体像:4段階で読む
算定表は、平成30年度の司法研究(令和元年12月23日公表)で示された「標準算定方式・算定表(令和元年版)」です。裁判所のページが案内している算定表は、2026年10月23日時点でこの令和元年版です。縦軸は養育費を支払う側(義務者)の年収、横軸は支払いを受ける側(権利者。未成年の子がいる場合は子を引き取って育てている親)の年収を示します。縦軸の左欄と横軸の下欄が給与所得者、縦軸の右欄と横軸の上欄が自営業者の年収です。
| 段階 | やること | つまずきやすい点 |
|---|---|---|
| ① 表を選ぶ | 子の人数(1〜3人)と、各子が0〜14歳か15歳以上かで、表1〜9から選ぶ | 15歳の境目をまたぐ子がいる組み合わせで、表を取り違える |
| ② 年収を求める | 給与は源泉徴収票の支払金額、自営は確定申告書の課税される所得金額(調整あり) | 給与明細の月額を12倍する、児童手当を足す |
| ③ 枠を読む | 義務者の年収から右へ、権利者の年収から上へ線を伸ばし、交わる枠の金額を読む | 目盛りと年収が合わないときは、近い目盛りを基準にする |
| ④ 幅の中で決める | 養育費は1万円または2万円の幅。子が複数なら按分も考える | 幅を超える額は特別な事情が必要 |
ステップ1:子の人数と年齢で表を選ぶ
養育費の算定表は、子の人数と年齢の組み合わせで表1から表9に分かれています。裁判所の説明書が示す表の区分は次のとおりです。
| 子の人数 | 年齢の組み合わせ | 表 |
|---|---|---|
| 1人 | 0〜14歳 | 表1 |
| 1人 | 15歳以上 | 表2 |
| 2人 | 第1子・第2子とも0〜14歳 | 表3 |
| 2人 | 第1子15歳以上、第2子0〜14歳 | 表4 |
| 2人 | 第1子・第2子とも15歳以上 | 表5 |
| 3人 | 3人とも0〜14歳 | 表6 |
| 3人 | 第1子15歳以上、第2子・第3子0〜14歳 | 表7 |
| 3人 | 第1子・第2子15歳以上、第3子0〜14歳 | 表8 |
| 3人 | 3人とも15歳以上 | 表9 |
年齢の区分が表の選択を左右するのは、15歳以上の子のほうが、子にあてられるべき生活費の割合が大きいと標準化されているためです(このあとのステップ4で数字を示します)。子が4人以上の場合は、この9枚の表には載っていません。
ステップ2:年収を求める(給与所得者・自営業者・手当の扱い)
義務者と権利者、それぞれの年収を求めます。裁判所の説明書にある数え方は次のとおりです。
- 給与所得者:前年度の源泉徴収票の「支払金額」(控除される前の金額)が年収にあたります。給与明細は特定の月の額にすぎず、歩合給が多い場合は変動が大きく、賞与や一時金も含まれません。確定申告していない他の収入があれば、その額を加えて給与所得として計算します。
- 自営業者:確定申告書の「課税される所得金額」が年収にあたります。この金額は、税法上の控除がされた結果なので、実際には支出していない費用(基礎控除、青色申告控除、支払がされていない専従者給与など)を加えて年収を定めます。
- 児童扶養手当・児童手当:子のための社会保障給付なので、権利者の年収に含める必要はありません。
相手の年収の資料が手元にないときは、調停で資料の提出を求めることになります。2026年4月に新設された家事事件手続法152条の2により、家庭裁判所は婚姻費用や養育費の審判事件で、当事者に収入・資産の状況に関する情報の開示を命じられます。正当な理由なく開示しなかったり、虚偽の情報を開示したりすると、10万円以下の過料の定めがあります。調停事件にも準用されています(258条3項)。
ステップ3:交わる枠を読む:裁判所の使用例で確かめる
裁判所の説明書の使用例を、そのままたどります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 子 | 7歳と10歳の2人(権利者が養育) |
| 権利者の年収 | 給与所得者、源泉徴収票の支払金額 202万8,000円 |
| 義務者の年収 | 給与所得者、源泉徴収票の支払金額 715万2,000円 |
| 選ぶ表 | 表3(子2人、第1子・第2子とも0〜14歳) |
| 権利者の目盛り | 「200」と「225」があるが、「200」に近いので「200」を基準にする |
| 義務者の目盛り | 「700」と「725」があるが、「725」に近いので「725」を基準にする |
| 読む枠 | 横軸200を上に、縦軸725を右に伸ばした交点は「10〜12万円」の枠内 |
この例の目盛りは25万円刻みで、年収が目盛りの間にあるときは近いほうを基準にします。この使用例では、202万8,000円が「200」に、715万2,000円が「725」に近いとして読んでいます。結果の「10〜12万円」は、子2人分を合わせた標準的な月額の幅です。
ステップ4:幅の中で決める・子ごとに分ける
養育費の表は、支払う親の年収が少ない場合は1万円、それ以外は2万円の幅を持たせてあります。幅のどこで決めるかは、父母の話し合いや、調停・審判で考慮される事情で決まります。説明書は、通常の範囲の事情は幅の中ですでに考慮されているとしています。
子が複数のとき、それぞれの子ごとの額を求めたい場面(子の一方だけが進学する、子ごとに口座を分けるなど)では、算定表の額を「子の指数」で按分することが考えられると、説明書が示しています。指数は、親を100としたときの子の生活費の割合で、0〜14歳が62、15歳以上が85です。
説明書の例では、子が10歳と15歳で養育費の全額が5万円なら、10歳の子が約2万円(5万円×62÷147)、15歳の子が約3万円(5万円×85÷147)です。同じ式を、別の額に当てはめてみます。
筆者の計算:10歳と15歳の子がいて、養育費の月額が11万円と決まった場合の按分は次のとおりです。
- 10歳の子:110,000円×62÷147=約46,395円
- 15歳の子:110,000円×85÷147=約63,605円
- 合計:46,395円+63,605円=110,000円
説明書の使用例では、子の年齢がどちらも0〜14歳で指数が同じなので、10万円とすると「2分の1の各5万円」になります。いずれも、算定表の枠から読んだ額を子ごとに分ける考え方の一例で、実際の取り決めは父母の合意か、家庭裁判所の判断で決まります。
算定表で足りない事情と、婚姻費用の表との違い
算定表は標準的な額を簡単に算定する目的のもので、裁判所の最終判断が常に一致するわけではありません。私立学校の学費、大きな病気や障害のある子の医療費、父母の収入の見方に争いがあるときなどは、算定表の枠だけでは話が終わらないことがあります。その場合は、調停で資料を示して話し合うことになります。
話し合いが難航しそうなときは、離婚の手続を扱う弁護士に、資料の整え方から相談する選択肢があります。相談の時期は離婚で弁護士に相談するタイミング:浮気発覚・別居前・調停前の3時点で整理しています。
算定表は、離婚前の別居中の生活費(婚姻費用)にも別の表があります。婚姻費用は表10〜19で、夫婦のみの場合の表10もあります。養育費の表とは数字が違うので、取り違えないようにします。読み方は婚姻費用算定表の見方:収入と子どもの数から目安を読む手順に分けて説明しています。
2026年4月から始まった法定養育費(子1人あたり月2万円)は、養育費を取り決めるまでのつなぎで、算定表から読む額とは別のものです(養育費とは?決め方・算定表・2026年からの法定養育費まで)。実際に決まった額の分布は養育費の相場の調べ方:算定表と司法統計で見る金額の分布で、算定表との関係を見られます。
よくある質問
Q. 手取りの月収から算定表を読んでもよいですか?
算定表で使う年収は、給与所得者なら源泉徴収票の「支払金額」(控除される前の金額)です。裁判所の説明書は、給与明細は特定の月の額にすぎず、歩合給の変動が大きい場合や賞与・一時金が含まれない点に注意が必要としています。手取りの月収を12倍して読むと、実際より低い枠を読むことになります。
Q. 算定表の金額より高い、または低い額を主張できるのは、どんなときですか?
裁判所の説明書は、通常の範囲の事情は算定表の幅の中ですでに考慮されているので、幅を超える額の算定が必要になるのは、算定表によることが著しく不公平になる特別な事情がある場合に限られると考えられるとしています。特別な事情にあたるかは個別の判断になるため、調停で資料を示して話し合うか、弁護士に相談してください。
出典・参考にした公的な情報
- 養育費・婚姻費用算定表について(説明書)(裁判所)
- 養育費・婚姻費用の算定に関する実証的研究(平成30年度司法研究、令和元年12月23日公表)(裁判所)
- (表3)養育費・子2人表(第1子及び第2子0〜14歳)(裁判所)
- 養育費請求調停(裁判所)
- 家事事件手続法 第152条の2・第258条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。