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養育費とは?決め方・算定表・2026年からの法定養育費まで

この記事のもくじ
  1. 養育費とは何か:親の責務としてのお金
  2. 決め方の順番:話し合い・公正証書・調停・審判
  3. 取り決めておく項目:額だけでは足りない
  4. 金額の考え方:算定表は「標準的な額」を読む道具
  5. 2026年4月からの法定養育費:取り決めまでのつなぎ
  6. 払われないとき・迷うとき:次に読む記事と相談先

養育費とは、離婚後に子どもを育てる費用(民法766条の「子の監護に要する費用」)を、父母で分け合うお金のことです。額は、父母の話し合いで決めるのが基本で、まとまらなければ家庭裁判所の調停・審判で決めます。目安として使われるのが、裁判所が公表している算定表です。2026年4月1日からは、養育費の取り決めをしないまま離婚した場合の「法定養育費」もできましたが、これは取り決めまでのつなぎで、適正な額の基準ではありません。

養育費とは何か:親の責務としてのお金

民法766条1項は、父母が協議上の離婚をするとき、子の監護をすべき者、父または母と子との交流、子の監護に要する費用の分担などを、協議で定めると規定しています。この「子の監護に要する費用の分担」が、一般に養育費と呼ばれるものです。決めるときは、子の利益を最も優先して考慮しなければなりません。

2026年4月1日に施行された改正で、民法817条の12が新しく置かれました。父母は、子が自分と同程度の生活を維持できるよう扶養する責務を負い、婚姻関係の有無にかかわらず、子の利益のために互いに人格を尊重し協力しなければならないという内容です。離婚しても、子に対する扶養の責務は消えません。

浮気が原因の離婚では、「浮気した相手にお金を渡したくない」という感情が生じやすくなります。しかし養育費は、子どもの暮らしの費用を父母で分けるお金で、配偶者への慰謝料とは別のものです。慰謝料の仕組みは不貞行為の慰謝料は民法の何条?709条・719条・724条と最高裁の考え方で説明しているので、ここでは養育費に絞ります。

なお、離婚する前の別居中の子どもの生活費は、養育費ではなく婚姻費用に含まれて扱われます。離婚の成立で切り替わる点は婚姻費用はいつまで?離婚の成立や同居の再開で終わる場合にまとめています。

決め方の順番:話し合い・公正証書・調停・審判

養育費を決める道筋は、次の4段階です。決める前から、「払われないなら会わせない」と考える人もいますが、養育費と親子交流は別の問題です(養育費を払わないなら面会させない?養育費と親子交流の関係)。

早見表:養育費の決め方の4段階
段階 どこで・誰が 決めたあとの強さ かかる実費
1. 話し合い 父母の間 合意書だけでは、取り決めた全額の差押えに裁判手続を経る必要がある(2026年4月以後に生じた分の一部は先取特権の仕組みあり) なし(書面づくりの実費のみ)
2. 公正証書 公証役場。父母が公証人の前で 強制執行を認める旨の文言があれば、裁判をせず強制執行できる 公証人手数料(公証役場で見積もり)
3. 調停 家庭裁判所の調停委員会 調停調書は強制執行の根拠になる 収入印紙は子1人につき1,200円分+郵便切手
4. 審判 家庭裁判所の裁判官 審判書も強制執行の根拠になる 調停が不成立なら審判に移る

話し合いで決まるなら、書面に残します。口約束だけだと、払われなくなったとき、約束の内容そのものから争いになります。公正証書は、金銭の支払いについて強制執行に服する旨の陳述(強制執行認諾)が書かれていれば、裁判を起こさずに強制執行へ進める形です。日本公証人連合会は、公証人は養育費の額を算定しないとも案内しており、額は父母が算定表などを使って決めておく必要があります。作り方は養育費を公正証書にする手順:強制執行できる文言と費用で扱います。

話し合いがまとまらない、または相手が応じないときは、養育費請求調停を家庭裁判所に申し立てます。申立先は相手方の住所地の家庭裁判所か、当事者が合意で定める家庭裁判所です。調停が不成立になると、手続は自動的に審判へ移り、裁判官が一切の事情を考慮して決めます。手順の詳細は養育費調停の流れ:申立て・費用・決まらないときの審判にあります。

離婚そのものがまだなら、夫婦関係調整調停(離婚)の中で養育費を一緒に話し合えます。全体の流れは離婚の方法は4種類:協議・調停・審判・裁判の流れと選び方です。

取り決めておく項目:額だけでは足りない

養育費の書面に書く項目は、月額だけではありません。あとから争いになりやすいのは、次の項目が抜けているときです。

  • 月額と支払日・振込先:毎月いつ、どの口座へ払うか
  • 始まり:離婚の月から、など日付で書く
  • 終わり:何歳まで、あるいは大学卒業までなど。書き方で争いが生じやすい部分なので、養育費はいつまで?20歳・大学卒業など終わりの決め方で別に説明します
  • 月額とは別の費用の分担:入学金、医療費、習い事など、特別にかかる費用の扱い
  • 変更のしかた:収入や進学など事情が変わったときに、話し合いか調停で見直すこと

日本公証人連合会は、離婚後に事情が変われば養育費の額や支払方法を協議で変更でき、まとまらなければ家庭裁判所の調停を申し立てられると案内しています。「一切解決済み」といった条項にも、将来事情が変わったときの変更を一切認めない効果まではないとしています。再婚による減額が問題になる場面は再婚したら養育費はどうなる?減額が問題になる場面と手続きにまとめました。

金額の考え方:算定表は「標準的な額」を読む道具

金額の目安に使われるのが、家庭裁判所が公表している養育費・婚姻費用算定表(令和元年版)です。令和元年12月23日に公表された司法研究の成果で、父母の年収と、子の人数・年齢から、標準的な月額の枠(1万円から2万円の幅)を読み取る仕組みです。裁判所の説明書は、算定表は標準的な額を簡易迅速に算定する目的のもので、最終的な金額は様々な事情を考慮して決まるため、算定表の額と常に一致するわけではないと明記しています。

表の選び方・収入の読み取り方は養育費算定表の使い方:表の選び方・収入の読み取り・幅の扱いの手順に、実際に決まった額の分布は養育費の相場の調べ方:算定表と司法統計で見る金額の分布にまとめています。

取り決めをしておく理由を、国の調査から確認しておきます。厚生労働省の令和3年度全国ひとり親世帯等調査(令和3年11月1日時点)では、離婚による母子世帯で養育費の取り決めをしている割合は46.7%、離婚した父親から養育費を「現在も受けている」割合は28.1%でした。調査は推計値で、「現在も受けている」の割合は、取り決めのない世帯も含めた母子世帯全体に対する数字です。書面で取り決めておくことが、受け取りを続ける土台になります。

2026年4月からの法定養育費:取り決めまでのつなぎ

2026年4月1日の改正で、養育費の取り決めをせずに協議離婚した場合でも、子を主に監護する親が、他方の親に法定養育費を請求できるようになりました(民法766条の3)。額は子1人あたり月2万円で、離婚の日から、父母が養育費を定めた日、養育費の審判が確定した日、子が成年に達した日のいずれか早い日までです。

押さえておく点は3つです。

  1. 2026年3月31日以前に離婚した人には使えない。 経過措置で、施行日前の離婚には適用されません。
  2. 「相場」ではない。 裁判所は、取り決めをするまでの暫定的・補充的なもので、養育費の額の基準や標準ではないと説明しています。算定表の枠と比べて安心する数字ではありません。
  3. 支払う側が、支払能力がない、または払うと生活が著しく窮迫することを証明すれば、全部または一部を拒める。

詳細な条件と数字は法定養育費とは?2026年4月以後の離婚で取り決めがない場合の仕組みと、離婚の法改正2026年4月施行:共同親権・法定養育費・財産分与の変更点にあります。

払われないとき・迷うとき:次に読む記事と相談先

養育費が払われなくなったときの手段は、取り決めの形で変わります。調停調書・審判書・公正証書があるなら、給料や預金の差押えへ進めます。2026年4月以後は、養育費の先取特権という新しい仕組みも加わりました。手段の使い分けは養育費を払わない相手には:先取特権・強制執行と相談先の使い分けで扱います。

どこに相談すればよいか分からない場合は、養育費・親子交流相談支援センターのような養育費の専門の相談先があります。番号と受付時間は浮気・不倫の相談先一覧:悩み別の窓口と番号・受付時間の早見表にまとめています。弁護士への依頼を考えるなら、離婚で弁護士に相談するタイミング:浮気発覚・別居前・調停前の3時点が判断の材料になります。

よくある質問

Q. 浮気をした親にも、養育費の支払いを求めることはできますか?

養育費は、子を育てる費用を父母で分け合うお金で、浮気の有無が要件として条文に書かれているわけではありません。民法817条の12は、父母は婚姻関係の有無にかかわらず子を扶養する責務を負うと定めています。浮気への怒りは慰謝料の問題、子どもの暮らしの費用は養育費の問題と、切り分けて考えます。

Q. 養育費を決めないまま離婚してしまいました。あとから決められますか?

離婚後でも、子を監護している親は、他方の親に養育費の分担を求める調停や審判を申し立てられます。裁判所の案内では、話合いがまとまらないとき、調停か審判を使えるとされています。過去の分の請求の仕方と請求日の残し方は[養育費はさかのぼって請求できる?取り決めなしの離婚の過去分と請求日の残し方](/yoikuhi-sakanoboru/)で別に説明しています。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

養育費算定表の使い方:表の選び方・収入の読み取り・幅の扱いの手順

養育費の相場の調べ方:算定表と司法統計で見る金額の分布

法定養育費とは?2026年4月以後の離婚で取り決めがない場合の仕組み

浮気が原因の離婚とお金:婚姻費用・養育費・財産分与・慰謝料の全体像