弁護士費用の仕組み:離婚・不倫の相談料・着手金・報酬金・実費の違い
この記事のもくじ
弁護士費用は、法律相談料・着手金・報酬金・手数料・実費・日当に分かれ、全国一律の定価はありません。各事務所が報酬基準を作って決めるので、金額を比べる前に「どの項目が、どの段階で、何を基準にいくら動くのか」をそろえて確かめることが大切です。依頼する前に、見積書と委任契約書でその答えを書面にしてもらえば、あとで「思っていた金額と違う」という行き違いを減らせます。
弁護士費用の6つの項目:いつ・何に対して払うか
日弁連は、弁護士に払う費用の種類を次のように説明しています。浮気・不倫や離婚の依頼に引き寄せて、表にしました。
| 項目 | 払う時期 | 中身(日弁連の説明) | 浮気・離婚の依頼での出方 |
|---|---|---|---|
| 法律相談料 | 相談のとき | 依頼者に対して行う法律相談の費用 | 弁護士会の窓口は30分で5,500円前後が目安 |
| 着手金 | 依頼した段階 | 結果に関係なく払う。報酬金の内金や手付けではない | 慰謝料の請求や離婚条件の交渉、調停を頼むとき |
| 報酬金 | 事件が終わった段階 | 成功の度合いに応じて払う。全面敗訴なら払わない | 計算のもとになる額は事務所の報酬基準で決まる(請求した額か、受け取れた額かなど) |
| 手数料 | 依頼した段階 | 当事者間に実質的な争いがない事務的な手続の費用 | 合意済みの離婚協議書・示談書の作成や点検 |
| 実費 | 事件の途中 | 事件処理のために実際に出ていく費用 | 印紙代、郵便切手、記録の写し、交通費など |
| 日当 | 出張が要るとき | 交通費・宿泊費とともにかかる | 遠方の裁判所へ出向くとき |
着手金は「結果が出なくても戻らない」お金で、報酬金は「成功の度合いで変わる」お金です。この2つを取り違えると、依頼後の支払い見込みが大きくずれます。日弁連は、裁判所に納める費用や交通費などの実費は別にかかるとも説明しています。
離婚・不倫の依頼では、段階ごとに動く項目が変わる
同じ「離婚を頼む」でも、どこまで頼むかで支払う項目は変わります。典型的な段階を並べます。
| 頼む範囲 | 主に動く項目 | 契約前に聞くこと |
|---|---|---|
| 相談だけ | 法律相談料 | 時間(30分など)の区切りと、延長したときの扱い |
| 合意済みの内容を書面にする | 手数料 | 書面の作成だけか、点検や公正証書の手続きまで含むか |
| 相手との交渉 | 着手金、報酬金、実費 | 交渉が不成立のときの着手金の扱い |
| 離婚調停・訴訟 | 着手金、報酬金、実費、日当 | 交渉から調停へ進むとき、着手金を追加で払うか |
実費の例を挙げると、離婚調停の申立てには収入印紙1,200円分と連絡用の郵便切手が要ります(切手の額は裁判所ごとに違います)。この裁判所への納付は、弁護士の報酬とは別の実費です。
家庭裁判所の離婚調停で手続代理人になれるのは、原則として弁護士です(家事事件手続法22条)。家庭裁判所の許可を得て弁護士でない人が代理人になる例外はありますが、一般的な選択肢ではありません。調停まで見据えて代理を頼むなら、費用の表は弁護士に頼む前提で組むことになります。調停の費用の内訳は離婚調停の弁護士費用の見方で詳しく扱います。
金額はどう決まる?報酬基準と見積書
日弁連の「弁護士の報酬に関する規程」は、報酬の決め方について次のように定めています。
- 報酬は、経済的利益、事案の難易、時間と労力などに照らして適正で妥当なものでなければならない(2条)
- 報酬の種類・金額・算定方法・支払時期などを示した基準を作り、事務所に備え置かなければならない(3条)
- 依頼しようとする人から申出があれば、報酬見積書を作って交付するよう努める(4条)
- 受任するときは、報酬とその他の費用を説明しなければならない(5条1項)
3条と4条から、事務所は報酬基準を持っているはずで、頼む側は「報酬基準を見せてください」「見積書を出してください」と求められます。ここでの「経済的利益」は、請求する側なら受け取れた額、請求された側なら減らせた額のように、事件ごとに中身が変わる考え方です。割合で計算する事務所も、金額を決めている事務所もあるので、計算のもとになる額を言葉で確かめてください。
委任契約書で確かめる9つの点
依頼すると決めたら、委任契約書に何が書かれているかを見ます。報酬規程5条4項は、契約書に書く事項として、受任する法律事務の表示と範囲、報酬の種類・金額・算定方法・支払時期、委任契約の解除ができる旨、中途で終わったときの清算方法を挙げています。これに、費用の行き違いを防ぐ項目を足して、チェックリストにします。
- 受任する範囲はどこまでか(交渉だけか、調停や訴訟も含むか)
- 着手金の額と、結果が出なかったときの扱い
- 報酬金の計算方法と、計算のもとになる額(請求額か、受け取った額か)
- 段階が進むときの追加費用(交渉から調停へ、調停から訴訟へ)
- 実費の扱い(預り金か、後払いか、余ったときの返し方)
- 日当がかかる場面と1回あたりの額
- 支払い時期と、分割に応じるかどうか
- 途中で解約したときの清算方法
- 担当する弁護士の名前と、連絡の取り方
なお、報酬規程5条3項は、法律相談や簡易な書面の作成のように受任した事務が軽いときなどは、委任契約書を作らなくてよい場合があるとしています。相談や簡単な書面作成だけを頼むときは契約書が出てこないことがあるので、金額と範囲は見積書やメールなど書面で残してもらうと安心です。
確かめるときの言い方の例:「交渉で終わった場合と、調停まで進んだ場合のそれぞれで、着手金・報酬金・実費の見込みを書面で出してください。報酬金は何を基準に計算しますか。」
費用の質問は、相談の場でしてよい
費用を聞くのは失礼ではありません。報酬規程は事務所に説明の義務を課しているので、質問はその説明を引き出す手段です。相談の前に、準備の仕方を弁護士に相談する前の準備で整えておくと、30分の相談時間のうち費用の確認に使える時間が増えます。
相談料を抑えて最初の一歩を踏み出したいときは、弁護士の無料相談の使い方で、自治体・弁護士会・法テラスの違いを確かめられます。手元のお金が足りないときの選択肢は弁護士費用が払えないときにまとめています。慰謝料請求に絞った費用の計算は慰謝料請求の弁護士費用の内訳が詳しく、ここでは全体の仕組みまでにとどめます。窓口の番号は浮気・不倫の相談先一覧にあります。
よくある質問
Q. 相談しただけで、依頼したことになりますか?
相談と依頼は別です。相談では法律相談料だけがかかり、依頼は委任契約書を交わして成立します。日弁連の報酬規程は、弁護士が法律事務を受任したときに報酬を含む委任契約書を作ると定めています。その場で決めず、見積書と契約書の案を持ち帰って考えて構いません。
Q. 着手金と手数料はどう違いますか?
日弁連の説明では、着手金は争いのある事件を依頼した段階で払う費用、手数料は当事者に実質的な争いがない事務的な手続(契約書の作成など)を頼むときの費用です。離婚の条件がすでに決まっていて書面の作成と点検だけを頼むなら手数料、相手と交渉してもらうなら着手金、という分かれ方が基本です。事務所の報酬基準でどちらの扱いかを聞いてください。
出典・参考にした公的な情報
- 弁護士費用(報酬)とは(日本弁護士連合会)
- 弁護士の報酬に関する規程(会規第68号)(日本弁護士連合会)
- 弁護士に法律相談をしたい(相談時間・相談料の目安)(日本弁護士連合会)
- 夫婦関係調整調停(離婚)(裁判所)
- 家事事件手続法 第22条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。