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慰謝料請求の弁護士費用の内訳:着手金・報酬金・実費の見方

この記事のもくじ
  1. 慰謝料請求の弁護士費用の内訳:項目ごとの意味
  2. 金額はどう決まる?報酬基準と見積書・委任契約書
  3. 見積もりの確かめ方:比べるときの7項目
  4. 費用倒れを避ける考え方:手元に残る額を自分で計算する
  5. 費用の工面:法テラスの立替えと弁護士費用保険

不倫の慰謝料請求を弁護士に頼むときの費用は、主に法律相談料・着手金・報酬金・実費・日当に分かれます。弁護士費用に全国一律の定価はなく、各事務所が報酬基準を作って決めています。だから「相場」を探すより、見積書と委任契約書でどの段階で、何を基準に、いくらかかるかを確かめ、受け取れる見込みの額と並べて手元に残る額を自分で計算するのがいちばん比べやすい方法です。

慰謝料請求の弁護士費用の内訳:項目ごとの意味

日弁連は、弁護士に払う費用の種類として着手金・報酬金・手数料・法律相談料・顧問料・日当・実費などを挙げ、依頼するときは総額でどの程度かかるかをよく確かめるよう呼びかけています。慰謝料請求で出てくるものを並べます。

早見表:慰謝料請求でかかる弁護士費用の項目
項目 いつ払うか 中身(日弁連の説明に沿って) 慰謝料請求で確かめること
法律相談料 相談のとき 依頼の前の法律相談の費用 初回の相談料の有無、時間の区切り
着手金 依頼したとき 結果に関係なく払う。不成功でも返還されない 交渉だけか、調停・訴訟まで含むか
報酬金 事件が終わったとき 成功の度合いに応じて払う。全く不成功なら不要 何を「得た利益」と数えるか、何%か
実費 事件の途中 印紙代・郵便切手代・記録の写しの費用・交通費など 預り金として先に払うか、精算の時期
日当 出張などのとき 遠方の裁判所への出頭など、拘束される時間への対価 1回あたりの額、オンライン期日の扱い
手数料 依頼したとき 争いのない事務的な手続(書類の作成など)の費用 示談書の作成・点検だけを頼む場合の額

裁判所に納める印紙代や郵便料は弁護士の報酬とは別の実費で、自分で訴える場合にもかかります。訴訟の手数料の決まり方は不倫の裁判費用の内訳の記事で扱っています。

金額はどう決まる?報酬基準と見積書・委任契約書

日弁連の「弁護士の報酬に関する規程」は、弁護士の報酬は経済的利益、事案の難易、時間と労力などの事情に照らして適正で妥当なものでなければならないとしています(2条)。そのうえで、報酬の種類・金額・算定方法・支払時期などを示した基準を作り、事務所に備え置くこと(3条)、依頼しようとする人から申出があれば見積書を作って渡すよう努めること(4条)を定めています。

慰謝料請求では、着手金や報酬金を「経済的利益の額」に一定の割合をかけて計算する事務所と、金額を定めた事務所があります。どちらの方式でも、次の3つが見積書に書かれていれば比べられます。

  1. 計算のもとになる額:請求額なのか、実際に受け取った額なのか。
  2. 段階ごとの扱い:交渉から調停・訴訟に移るときに着手金を追加で払うのか、差額だけか。
  3. 最低額の定め:割合で計算した額が小さいときに、最低いくらと決めているか。

日弁連は2008年度に弁護士へのアンケートをもとにした報酬の目安を公表していますが、調査から年数がたっているため、この記事では金額の目安として使いません。今の費用は、相談する事務所の報酬基準と見積書で確かめてください。

受任するときは報酬と費用の説明、委任契約書の作成が弁護士の義務とされています(弁護士職務基本規程29条・30条、報酬規程5条)。契約書に途中解約の清算方法が書かれているかも見ておきます。依頼は民法上の委任なので、依頼者はいつでも解除できます(民法651条1項)。ただし、相手に不利な時期に解除したときは損害の賠償が問題になることがあります(同条2項)。途中で終わったときは、それまでの仕事の割合に応じて報酬を請求できるのが原則です(648条3項)。

見積もりの確かめ方:比べるときの7項目

2つ以上の事務所の見積もりを比べるときは、合計額だけを見ると取り違えます。同じ条件にそろえてから比べるために、次の項目を表にしておきます。

  • 着手金に含まれる範囲(書面の送付、交渉、調停、訴訟のどこまでか)
  • 次の段階に進んだときの追加着手金の有無と額
  • 報酬金の計算方法と、何を経済的利益とするか
  • 実費の預り金の額と、余ったときの返し方
  • 日当がかかる場面と1回あたりの額
  • 支払いの時期と分割の可否
  • 途中で解約したときの清算方法

確かめるときの言い方の例:「交渉で終わった場合と、訴訟まで進んだ場合のそれぞれについて、着手金・報酬金・実費の見込みを書面で出していただけますか。報酬金は、受け取った額をもとに計算するのか、請求額をもとに計算するのかも教えてください」

選ぶときの費用以外の確認点(見通しの説明・連絡のとり方など)は、不倫慰謝料を弁護士に頼むときの選び方の記事にまとめています。

費用倒れを避ける考え方:手元に残る額を自分で計算する

費用倒れとは、弁護士費用と実費の合計が、受け取れたお金を上回るか、ほとんど同じになってしまうことです。慰謝料の額は事情ごとに裁判所や当事者の合意で決まり、公的な相場の統計はありません(理由は不倫慰謝料の相場はなぜ一律に言えないかの記事)。そこで、弁護士から聞いた見通しの幅を使って、次の表を自分で埋めます。

行 入れる数字 交渉で終わる場合 訴訟まで進む場合
A 受け取れる見込みの額(弁護士の説明の幅の下の方)
B 着手金(追加分を含む)
C 報酬金(Aをもとに計算)
D 実費・日当
E 手元に残る額=A−B−C−D

Aに楽観的な額を入れると判断を誤るので、説明された幅の下の方を使うのがこつです。Eが小さいか、マイナスになりそうなら、依頼の範囲を書面の送付と交渉に絞る、示談書の点検だけを頼む、請求額によっては認定司法書士に頼む(司法書士や行政書士にも頼めるかの記事)といった選び方があります。

お金だけで決めない人もいます。謝罪や関係の解消、けじめをつけることが目的なら、Eが小さくても依頼する意味を感じるかもしれません。請求する目的と負担の整理は慰謝料請求で後悔しないための記事にあります。

費用の工面:法テラスの立替えと弁護士費用保険

手元のお金が足りないときの道は主に2つです。

  • 法テラス(日本司法支援センター)の立替え:収入や資産が一定の基準以下の人のために、弁護士の報酬や実費を立て替える業務があり、裁判の前の和解の交渉で特に必要と認められるものも対象に含まれます(総合法律支援法30条1項2号イ)。立替えなので、原則として後から返していきます。弁護士には、事案に応じて法律扶助制度などを依頼者に説明する決まりがあります(弁護士職務基本規程33条)。条件は弁護士費用が払えないときの記事で確かめてください。
  • 弁護士費用保険(弁護士費用特約):自動車保険・火災保険・傷害保険などの特約で、対象となる事故などで弁護士に頼むときに、相談料や弁護士費用が保険会社や共済から支払われる仕組みです。不倫の慰謝料が対象になるかは契約の内容によるので、加入している保険の約款か保険会社の窓口で確かめます。

依頼した弁護士の対応に不安があって解約や変更を考えるときは、依頼した弁護士を変えたいときの記事で、解約の前に確かめることを整理しています。

慰謝料の請求の流れ全体を確かめたいときは、浮気・不倫の慰謝料とは?請求できる場面・金額の決まり方・進め方の全体像に戻って読んでください。

よくある質問

Q. 慰謝料が取れなかったら、着手金は返してもらえますか?

日弁連の説明では、着手金は依頼した段階で払うもので、結果が不成功に終わっても返還されないお金です。報酬金の前払いでも手付でもありません。一方、報酬金は成功の度合いに応じて払うもので、まったく成功しなかった場合は払う必要がないとされています。途中で解約したときの扱いは別で、委任契約書の清算の定めを確かめます。

Q. 請求された側でも弁護士費用の考え方は同じですか?

費用の項目は同じですが、報酬金の計算のもとになる「得た利益」の中身が変わります。請求する側では受け取った額、請求された側では請求額から減った額を基準にする事務所もありますが、決まった型はなく、どう計算するかは事務所の報酬基準と委任契約書に書かれます。見積もりのときに、何を利益として数えるのかを言葉で確かめてください。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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