DVから逃げる準備:持ち出すもの・相談先・住所を知られない手続き
この記事のもくじ
DVから逃げることを考え始めたら、荷造りより先に相談するのが基本です。避難のタイミングや行き先、持ち出すものは、状況によって変わるからです。いま危険が迫っているなら110番。避難の方法を相談したいなら、24時間の電話があるDV相談+(0120-279-889)か、近くの配偶者暴力相談支援センターにつながる#8008です。相手に見られる端末や履歴には注意して、連絡するときは安全な場所と時間を選んでください。
窓口の表は浮気・不倫の相談先一覧:悩み別の窓口と番号・受付時間の早見表にあります。ここでは、逃げる前後の準備を5つの手順に分けて示します。
手順1:窓口で、避難の選択肢を聞く
配偶者暴力相談支援センターの業務は、DV防止法3条3項で、相談、緊急時の安全確保と一時保護、自立のための就業・住宅・援護の情報提供、保護命令の情報提供、保護施設の利用の情報提供などと定められています。一時保護は、被害者だけでなく同伴する家族も対象です。
内閣府は、センターへは事前に電話で連絡してから相談に行くことを勧めています。受付時間は施設ごとに違い、一時保護を受けられるかは、センターなどが必要性を判断します。一時保護の施設によっては、受け入れる子どもの性別や年齢に制限がある場合があると、内閣府は案内しています。
今まさに暴力を受けて逃げる場面では、内閣府は最寄りの警察署や交番に駆け込むことを緊急避難の入口として挙げています。
電話で聞きたいことの例です。
- 今夜から避難したい場合、どこに行けばよいか
- 子どもを連れて行けるか
- 避難先を、相手や家族にどう知られないようにするか
- 仕事、学校、保育所をどうするか
相談の連絡は、相手が見られない端末や、公衆電話などを使います。連絡手段が安全かどうかも、最初に窓口へ聞けます。家族と共有している端末やアカウントは避けます。
手順2:持ち出すものを、選んで準備する
持ち出す物を一覧にした公的な資料は、このページの出典にしていません。以下は、避難後の手続で必要になる書類をもとに、筆者が整理した例です。実際の準備は、窓口で相談して決めてください。
| 区分 | 例 |
|---|---|
| 本人を確認する物 | 運転免許証・マイナンバーカード・健康保険証 |
| お金 | 現金、自分名義の通帳・キャッシュカード、印鑑 |
| 子どもの物 | 健康保険証、母子健康手帳、学校や保育所の連絡先、常用薬 |
| 暴力の記録 | 診断書、けがの写真、メッセージの画面保存、日時のメモ |
| 手続の書類 | 賃貸借契約書、保護命令の決定書の写し、警察への相談の記録 |
| 日用品 | 着替え、充電器 |
荷物を持ち出す日までに、相手に気づかれない方法で少しずつ集めます。全部をそろえられなくても、命を優先して構いません。足りない物は、避難後の手続でそろえ直せるものが多くあります。
- 本人と子どもの安全(ここが最優先)
- 身分を確認できる物と、現金・通帳
- 子どもの健康保険証・常用薬
- 暴力の記録と、手続の書類
手順3:避難先と、相手に知られない手続きを決める
避難先は、窓口と相談して決めます。公的な一時保護、親族や友人の家、自分で借りる住まいなど、選択肢は状況で変わります。
避難したあと、相手が新しい住所を知る経路の一つが、住民票や戸籍の附票です。総務省の「DV等支援措置」は、DV・ストーカー行為等・児童虐待などの被害者で、市区町村が必要性を確認した人について、加害者からの住民基本台帳の閲覧や、住民票・戸籍の附票の写しの交付の請求を制限する仕組みです。
手順は次のとおりです。
- 警察、配偶者暴力相談支援センター、児童相談所などの相談機関に、まず被害を相談する
- 住民票のある市区町村などに、「住民基本台帳事務における支援措置申出書」を出す(様式は各市区町村に確認)
- 市区町村が、相談機関の意見や、保護命令の決定書の写し、ストーカー規制法の警告書面などで必要性を確認し、結果を連絡する
- 支援措置は、連絡した日から1年。期間が終わる1か月前から延長の申出ができ、延長後も1年ごと
延長を忘れると支援措置が切れるので、更新の時期を控えておきます。同じ住所の家族も、一緒に申し出られます。
住民票を移さないままだと、児童手当、保育所、学校などの手続に影響が出ることがあります。移したうえで支援措置を申し出る方法もあり、どちらが合うかは窓口で相談します(別居で住民票を移す?移さない?手当・学校・安全で変わる判断)。
手順4:避難後のお金・保育の制度を確かめる
- 国民年金の保険料:日本年金機構によると、DVで配偶者と住居が異なる人は、配偶者の所得にかかわらず、本人の前年所得が一定以下なら、全額または一部が免除されます。初回は、配偶者暴力相談支援センター等が出す「配偶者からの暴力の被害者の保護に関する証明書」が必要で、申請先は年金事務所、毎年申請します。年金記録の秘密保持も、あわせて相談できます。
- 児童手当:こども家庭庁によると、申請は現在住んでいる市区町村で、原則として申請した月の翌月分から支給され、申請が遅れると遅れた月分は原則受けられません。DV等で住民票の住所地と異なる市区町村で受給している人は、現況届の提出が引き続き必要です。避難先で何を出せばよいかは、窓口で伝えて確かめます。
- 保育所:保育を必要とする事由に、虐待やDVで保育が困難と認められることが入っています(子ども・子育て支援法施行規則1条の5)。住所地の市区町村の保育課で、状況を伝えて確かめます。
- 子どもの転校:転校の手続と、学校への伝え方は離婚・別居で子供が転校するとき:手続きと学校への伝え方で扱っています。
手順5:避難したあとの安全を保つ
避難したあとも、相手がつきまとう、連絡してくることはあります。接近や連絡を禁じる裁判所の命令が保護命令とは?配偶者からの暴力で申し立てる手続きと相談先です。申立てには、支援センターや警察に相談した事実が材料になります。
相手が元交際相手や不倫相手などで、配偶者ではない場合は、保護命令ではなくストーカー規制法の警告や禁止命令が入口になります(別れた不倫相手のストーカー行為に悩んだら:警察への相談と記録)。
離婚や慰謝料の話は、安全が整ってから弁護士と考えれば間に合います。最初の相談で迷ったら、浮気を問い詰めたら暴力を受けた:DVの相談窓口と安全のための準備から読み直してください。
よくある質問
Q. 住民票の閲覧制限をすれば、新しい住所は知られませんか?
知られない保証まではありません。支援措置は、加害者からの住民票の写しなどの請求を制限する制度で、第三者からの請求も本人確認や請求事由を厳しく審査します。それでも、住所が知られる経路は他にもあるため、窓口で自分の状況に合う対策を相談してください。
Q. 子どもを連れて逃げてもよいですか?
子どもを連れた避難の相談は、配偶者暴力相談支援センターが受けています。センターの業務には、被害者と同伴する家族の緊急時の安全確保と一時保護が含まれます。親権や監護の扱いは、避難後に弁護士や家庭裁判所の手続で整理します。先に窓口へ相談してから動いてください。
Q. お金がなくても避難できますか?
相談はできます。自立のための就業・住宅・援護などの制度の情報も、センターが提供・助言するとDV防止法3条3項が定めています。国民年金の保険料や保育所の利用にも、DV被害者への特例や事由があります。
出典・参考にした公的な情報
- 配偶者暴力相談支援センター一覧と相談の案内(内閣府男女共同参画局)
- DV相談について(DV相談ナビ・DV相談+)(内閣府男女共同参画局)
- 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律 第3条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- DV等支援措置(住民基本台帳事務における支援措置)(総務省)
- 配偶者からの暴力を受けた方の国民年金保険料の特例免除(日本年金機構)
- 配偶者から逃げたい場合(被害者の要望別支援方法)(内閣府男女共同参画局)
- 児童手当制度のご案内(こども家庭庁)
- 子ども・子育て支援法施行規則 第1条の5(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。