証拠の集め方と線引き / 悩み整理

暴力がある相手の浮気の証拠集め:安全を先にする理由と相談先

この記事のもくじ
  1. 暴力がある相手の浮気は、証拠より安全を先にする理由
  2. 相談先でできること
  3. 保護命令の入口:何が要件で、どこに申し立てるか
  4. 記録を残すなら、浮気より暴力の記録から
  5. 離婚や調停を考えるときの順番

暴力や脅しがある相手の浮気を確かめたいときは、証拠を集めるより先に、自分と子どもの安全を確保することを考えてください。浮気を調べていると相手に気づかれたとき、暴力が強まるおそれがあるからです。証拠は後からでも集め方を考えられますが、けがや命の危険は取り返しがつきません。まず、安全な場所から相談窓口に連絡するところから始めます。

いま危険が迫っているときは 110番 に通報してください。そこまでではなくても、次の窓口で相談できます。

  • DV相談+:0120-279-889(電話は24時間。チャットは12時〜22時)
  • DV相談ナビ:#8008(近くの配偶者暴力相談支援センターにつながる。受付はつながった先の時間内)
  • 警察相談専用電話:#9110(受付時間は都道府県警察ごとに異なる。夜間・休日は当直や音声案内で対応)

ほかの窓口と受付時間は浮気・不倫の相談先一覧:悩み別の窓口と番号・受付時間の早見表にまとめています。

暴力がある相手の浮気は、証拠より安全を先にする理由

浮気の証拠を集める作業は、相手のスマホを見る、帰宅時刻を書き留める、明細を確かめるといった、相手の行動に近づく動きを含みます。暴力や脅しのある相手の場合、それが見つかったときに何が起きるかを予測できません。浮気を問い詰めたことをきっかけに暴力を受けたという場面も、このサイトでは別の記事で扱っています(浮気を問い詰めたら暴力を受けた:DVの相談窓口と安全のための準備)。

安全を先にする理由は、ほかにもあります。

  • 相手が監視しているかもしれない:スマホの履歴、位置情報、家計の動きを相手が見ていると、相談や証拠集めが伝わりやすくなります。
  • 暴力の記録のほうが、身を守る手続では意味を持つ:後で触れる保護命令は、浮気の有無ではなく、暴力や脅迫を受けたことと今後の危険が前提になります。
  • 離婚の話でも、浮気の証拠だけが道ではない:協議や調停では、夫婦の合意があれば離婚の理由の証明は求められていません。

法律上の「配偶者からの暴力」は、身体への暴力だけでなく、これに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動も含みます(DV防止法1条1項)。内閣府の説明では、精神的暴力や性的暴力などがこれに当たり、脅迫に当たる言動も含まれるとされています。殴られていないから相談できない、ということはありません。

安全を先にする順番
  1. 危険が迫っていれば110番。そうでなければ安全な場所と端末から窓口に連絡する
  2. 窓口で、いまの危険の程度と、避難・保護命令・一時保護の選択肢を聞く
  3. 暴力・脅しの記録を、相手に見つからない形で残す
  4. 安全の見通しが立ってから、離婚・調停・浮気の扱いを弁護士と考える

相談先でできること

配偶者暴力相談支援センターは、都道府県などに置かれた公的な窓口です。DV防止法3条3項は、その業務として、相談や相談機関の紹介、心身の回復のための指導、緊急時の安全の確保と一時保護、自立して生活するための就業・住宅などの情報提供と助言、保護命令の制度を使うための情報提供と助言、保護のための施設の利用についての情報提供などを挙げています。一時保護を受けられるかは、センターなどが必要性を判断します。

**DV相談+(プラス)**は内閣府の事業で、電話は24時間受け付けています。公式サイトの案内では、詳しく話を聞いたうえで相談員が必要と判断した場合、面接や同行などの支援、安全な居場所の提供も行うとされています。男性の相談にも対応しています。

警察は、緊急時の110番のほか、#9110や最寄りの警察署で相談を受けています。暴力を受けた、脅されたといった場面で、相手への対応や身を守る方法を一緒に考えてもらえます。

相談の内容 まず考えたい窓口
いま暴力を振るわれている・危険が迫っている 110番
家を出たい・避難先を知りたい・保護命令を考えたい 配偶者暴力相談支援センター(#8008)
夜間や休日に話を聞いてほしい DV相談+(0120-279-889)
脅されている・つきまとわれているが、緊急ではない #9110、最寄りの警察署
子どもが暴力や怒鳴り声にさらされている 児童相談所虐待対応ダイヤル 189

保護命令の入口:何が要件で、どこに申し立てるか

保護命令は、裁判所が配偶者に対して、被害者に近づくことや電話・メッセージを送ることなどを禁じる命令です。申し立てる先は家庭裁判所ではなく地方裁判所です(DV防止法11条)。

  • 申し立てられる人:配偶者から身体に対する暴力、または生命・身体・自由・名誉・財産に害を加えると告げる脅迫を受けた人(住まいから出ていくよう命じる退去等命令は、身体に対する暴力か、生命・身体に対する脅迫を受けた人)
  • 出される場面:さらに暴力や脅迫を受けて、生命または心身に重大な危害を受けるおそれが大きいとき(10条1項)
  • 主な種類と期間:被害者への接近禁止命令は1年。電話等禁止命令や子・親族への接近禁止命令は、被害者への接近禁止命令とあわせて出される。住まいから出ていくよう命じる退去等命令は2か月(住まいの所有者や借り主が被害者だけの場合は6か月)
  • 申立書に書くこと:暴力や脅迫を受けた状況、重大な危害のおそれがあると考える事情、配偶者暴力相談支援センターや警察に相談したかどうか(12条)。相談していない場合は、公証人の認証を受けた書面を付ける必要があります
  • 費用:内閣府の説明では手数料1,000円と、書類を相手に送るための費用などの予納が必要です
  • 違反したとき:保護命令に違反した人は、2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金です(29条)

申立書に相談の有無を書く欄があることからも、先に支援センターや警察に相談しておくことは、保護命令の入口にもなります。センターは申立先の裁判所や申立書の書き方についても助言しています。発令されるかは裁判所が判断し、原則として相手が立ち会える期日を経ることも、申し立てる前に知っておきたい点です。手続の詳しい流れは保護命令とは?配偶者からの暴力で申し立てる手続きと相談先で扱います。

記録を残すなら、浮気より暴力の記録から

安全の見通しが立ち、記録を残せる状況なら、優先したいのは浮気の証拠ではなく、暴力や脅しの記録です。警察庁の情報サイトは、警察に相談に来る時点で、証拠となる物や記録した物があれば持参するよう案内しています。日時・場所・状況のメモ、送られてきた物、着信履歴やメール、SNSの画面の保存、通話の録音、撮影した映像などが、その「記録した物」の例にあたります(例は筆者の整理)。配偶者からの暴力でも、同じような記録が相談の場で状況を伝える助けになります。

  • けがをしたら、その日のうちに写真を撮り、受診したら医療機関名と日付を残す
  • 怒鳴られた・脅された日時と言葉を、思い出せる範囲でそのまま書く
  • 脅しのメッセージや着信履歴は消さず、画面を撮って別の場所にも保存する
  • 記録は、相手が触れない場所(信頼できる家族、職場、相談窓口に相談したうえでの保管)に置く

してはいけないのは、相手のスマホのアカウントに入る、車にGPS機器を付けるなど、法律に触れるおそれのある方法で浮気を調べることです(浮気の証拠集めで違法になりうること)。発覚したときの危険が大きいうえ、後の手続で自分が責められる理由にもなりえます。

離婚や調停を考えるときの順番

離婚の調停(夫婦関係調整調停(離婚))は、裁判所の案内で申立書や戸籍謄本などの書類が挙げられており、浮気や暴力の証拠の添付は求められていません。証拠がそろっていなくても、申し立てること自体はできます。そのうえで、相手と顔を合わせないための工夫やウェブ会議の利用を、申立先の家庭裁判所に相談できます。住所を知られたくない場合の秘匿の手続もあります。進め方はDVがあるときの離婚調停:顔を合わせない工夫と安全のための申出にまとめています。

子どもがいる場合、2026年4月からの民法819条7項では、父母の一方が他方から暴力などを受けるおそれがあり、共同で親権を行うのが難しいと認められるときなどは、裁判所は一方を親権者と定めなければならないとされています。詳しくはDVがあるときの親権:単独親権と定めなければならない場合を見てください。また、子どもが同居する家庭での配偶者への暴力は、児童虐待防止法2条4号で心理的虐待の一つに挙げられています。

浮気の証拠は、安全を確保し、弁護士と離婚や慰謝料の方針を決めた後で、必要な範囲を考えれば足ります。探偵に調査を頼むかどうかも、その段階で考えることができます。探偵の調査の仕組みは浮気調査とは?探偵に頼む流れ・費用の仕組み・選ぶときの確認点にあります。いまは、ひとりで抱えずに、まず窓口に話すことを優先してください。

よくある質問

Q. 浮気の証拠がないと、暴力のある相手と離婚できませんか?

協議や調停で離婚する場合、夫婦が合意すれば、裁判のような離婚の理由の証明は求められていません。合意できずに裁判で離婚を求めるときは理由が問われますが、民法770条は不貞な行為だけでなく「婚姻を継続し難い重大な事由」も挙げています。浮気の証拠がそろっていなくても進め方はありうるので、暴力の記録と一緒に、相談窓口や弁護士に今の状況を話してみてください。

Q. 殴られてはいないのですが、怒鳴る・物を投げる・脅すといった行為でも相談してよいですか?

相談できます。DV防止法の「配偶者からの暴力」には、身体への暴力だけでなく、これに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動も含まれます。配偶者暴力相談支援センターやDV相談+は、身体の暴力がない段階の相談も受けています。なお保護命令の申立ては、身体に対する暴力か、生命・身体・自由・名誉・財産に害を加えると告げる脅迫を受けたことが前提になります。

Q. 相談したことを相手に知られないか心配です。

相手がスマホや家計を見ている場合は、発信や閲覧の履歴が残ります。家族と共有していない端末や公衆電話を使う、通話やチャットの後に履歴を残さないなど、自分の状況に合わせて工夫してください。どう連絡すれば安全かも、相談の最初に窓口へ聞くことができます。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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