不倫で生まれた子の認知と養育費:手続きの流れと相談先
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不倫でできた子の認知は、父親が自分から届出をする方法(任意認知)と、父親が応じないときに家庭裁判所の認知調停を使う方法の2つが基本です。認知で法律上の親子関係ができたあとに、養育費を父母の話し合いで決め、まとまらなければ家庭裁判所の調停や審判で決めます。この記事では、認知の仕組み、調停の申立て先・費用・書類、養育費の決め方を、条文と裁判所の案内にそって順番に説明します。母が結婚している場合は扱いが違うので、途中で分けて書きました。
認知とは何か:子と父親の法律上のつながりをつくる手続き
結婚していない男女の間に生まれた子と父親の間には、生まれたというだけでは法律上の親子関係ができません。認知は、父親を法律上の父として確定させる手続きです。民法の定めを整理すると、次のとおりです。
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 779条 | 嫡出でない子は、その父または母が認知できる |
| 781条 | 認知は、戸籍法の定めによる届出でする。遺言でもできる |
| 783条1項 | 父は、胎内にいる子も認知できる。ただし母の承諾が必要 |
| 784条 | 認知は、子の出生の時にさかのぼって効力を生ずる |
| 785条 | 認知をした父または母は、認知を取り消せない |
| 787条 | 子・その直系卑属・これらの法定代理人は、認知の訴えを提起できる。父または母の死亡の日から3年を過ぎると提起できない |
認知によって、父親には子を扶養する責務が生じます。2026年4月1日に施行された民法817条の12は、父母は子が自己と同程度の生活を維持できるよう扶養しなければならないと定め(1項)、婚姻関係の有無にかかわらず、子に関する権利の行使や義務の履行について互いに人格を尊重し協力しなければならないとも定めています(2項)。父親が認めたくない事情や、家族に知られたくない事情があっても、この仕組みは変わりません。
任意認知の流れ:父親が届出をする場合
父親が認知に応じる場合は、父が戸籍法に従って届出を出します。次の順番で進めます。
- 父親が認知する意思を持っていることを、母(または子の法定代理人)と父親が確かめる。
- 認知の届出書を、市区町村の戸籍窓口で受け取る。届出先と必要書類は、窓口で聞いて確かめる。
- 生まれる前に認知する場合は、母の承諾を得る(783条1項)。
- 届出後、養育費・親子交流・親権者の取り決めに進む。
胎児のうちに認知するか、生まれたあとにするかは、母の事情と父親の意向によります。母が既婚の場合、生まれた子は夫の子と推定されるため(772条)、胎児認知は効力を持たない場合があります(783条2項)。この点は後の見出しで触れます。
文例(父に認知を求めるとき):「子の認知をお願いしたいと思っています。届出に必要な手続きは私も調べますが、あなたの考えを聞かせてください。養育費の話は、認知のあとに落ち着いてしたいです。」
父親が応じないとき:認知調停と、その先の手続き
父親が認知に応じない、連絡が取れない、話し合いがこじれる場合は、家庭裁判所の認知調停を使います。裁判所の案内は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申立人 | 子、子の直系卑属、またはこれらの法定代理人(母が子の代理人として申し立てる) |
| 申立先 | 相手方(父)の住所地の家庭裁判所、または当事者が合意で定める家庭裁判所 |
| 費用 | 収入印紙1200円分と、連絡用の郵便切手(郵便料は裁判所ごとに異なる) |
| 主な書類 | 申立書とその写し各1通、子の戸籍謄本、相手方(父)の戸籍謄本、進行に関する照会回答書、送達場所等届出書 |
| 鑑定 | 親子関係を明らかにするため鑑定を行う場合がある。費用は原則として申立人の負担 |
認知調停は、話し合って合意すれば終わりではありません。父子関係について当事者の合意があり、原因について争いがなければ、家庭裁判所が必要な事実を調べたうえで「合意に相当する審判」をします(家事事件手続法277条)。当事者や利害関係人は、2週間の不変期間内に異議を申し立てられます(279条)。調停で合意できなければ、認知の訴え(民法787条)を起こす道があり、訴えの前に調停を申し立てる必要があるのが原則です(家事事件手続法257条)。
調停の申立て方が分からないときは、家庭裁判所の手続案内で聞けます。案内は手続の方法の説明で、どうすべきかの判断はしません。詳しい使い方は家庭裁判所の手続案内とはにまとめています。
| 任意認知 | 認知調停 | |
|---|---|---|
| 進め方 | 父が戸籍法の届出をする | 子側が家庭裁判所に申立て |
| 父の同意 | 必要(父自身が届け出る) | 合意があり、裁判所が事実を調べて審判 |
| 費用 | 届出自体の費用は窓口で確かめる | 収入印紙1200円分+郵便切手(鑑定は別) |
| 時間 | 手続きは短い | 期日を重ねるため時間がかかる |
認知のあとの養育費:決め方と法定養育費
父が認知した場合の養育費は、民法788条により、離婚のときの子の監護の定め(766条〜766条の3)が準用されます。決め方は次の順番です。
- 父母の話し合い:金額、支払い日、いつまで払うか、振込先を決める。
- 書面にする:口約束で終わらせず、合意の内容は書面に残す。公正証書にするかは、弁護士や公証役場、自治体の相談で確かめる。
- 養育費請求調停:話し合いがまとまらなければ、家庭裁判所に申し立てる。費用は収入印紙が子1人につき1200円分と郵便切手。申立人の収入に関する資料(源泉徴収票、給与明細など)が要る。不成立なら、審判の手続きに移る。
- 算定表で目安を知る:裁判所の養育費・婚姻費用算定表は、父母の収入から目安を読み取る表です。使い方は養育費算定表の使い方で書いています。
2026年4月1日以後に認知をした場合は、取り決めをしていなくても、子を主に監護する親が、他方の親に対して月額2万円(子1人あたり)を請求できる法定養育費の仕組みがあります(民法766条の3、法務省令)。これは取り決めまでの暫定的な金額で、適正な養育費を示すものではないと裁判所も案内しています。決まった養育費の額が法定養育費より高くても、安くても、取り決めた日で法定養育費は終わります。相談先は、法的な判断が必要なら弁護士や法テラス、取り決めの進め方なら養育費・親子交流相談支援センター(養育費・親子交流の相談先)です。電話番号や受付時間を知りたいときは、浮気・不倫の相談先一覧を開いてください。
母が結婚している場合:夫の子と推定される点に注意
妊娠した人が婚姻中の場合は、前の見出しの流れがそのまま使えません。民法772条1項は、妻が婚姻中に懐胎した子を夫の子と推定します。この推定を争えるのは、父・子・母・前夫です(774条)。不倫相手は否認権者に入っていません。嫡出否認の訴えは、父は子の出生を知った時から、子と母は出生の時から、いずれも3年以内に起こす必要があります(777条)。
裁判所は、婚姻中や離婚後300日以内に生まれた子でも、母の夫が母と性的交渉がなかったことが明白な場合などは、実の父を相手とした認知調停を申し立てられるとしています。ただ、どの手続きをどの順で使うかは事情によって変わります。親子関係を整理する手続きは、弁護士に相談してから進めるほうが安全です。産むかどうかを迷っている段階は不倫で妊娠したときの相談先と制度を、父親側の責任は不倫相手が妊娠したと言われた男性へを読んでください。
次に読む:認知を求められた側の男性が事実をどう確かめるかは、不倫相手が妊娠したと言われた男性へで扱っています。
よくある質問
Q. 認知してもらえれば、養育費は受け取れますか?
認知で法律上の親子関係ができると、父親には子を扶養する責務が生じ、養育費の取り決めの対象になります。ただ、金額や支払い方は父母の話し合い、まとまらなければ家庭裁判所の調停・審判で決まるもので、認知しただけで自動的に金額が確定するわけではありません。取り決めがない間のつなぎとして、2026年4月1日以後の認知には法定養育費の仕組みがあります。
Q. 一度認知した父親は、あとから取り消せますか?
民法785条は、認知をした父または母はその認知を取り消すことができないと定めています。子や母などが認知の無効を争う訴えは別に定められています(786条)。事情が複雑なときは、届出の前に弁護士へ相談してください。
Q. 母が結婚している場合も、同じ方法で認知できますか?
同じではありません。婚姻中に懐胎した子は夫の子と推定されます(民法772条)。裁判所の案内によれば、夫と母に性的交渉がなかったことが明白な場合などは実の父を相手にした認知調停を申し立てられるとされていますが、ほかに親子関係不存在などの手続きも絡みます。個別の事情が大きく影響するので、弁護士に相談して順番を決めてください。
出典・参考にした公的な情報
- 民法 第772条・第777条・第779条〜第788条・第817条の12・第819条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 家事事件手続法 第257条・第277条・第279条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 認知調停(裁判所)
- 養育費請求調停(法定養育費の案内を含む)(裁判所)
- 民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後の子の養育に関する見直し)について(法務省)
- ひとり親家庭等への支援(養育費・親子交流の相談)(こども家庭庁)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。