家庭裁判所の手続案内とは?調停の申立て方を無料で聞ける窓口
家庭裁判所の家事手続案内は、離婚調停などの家庭裁判所の手続について、「使えるのか」「どの申立てをするのか」「費用や書類は何か」を無料で説明してもらえる窓口です。ただし、「慰謝料はいくらもらえるか」「離婚した方がよいか」といった法律相談や身上相談には応じていません。手続の入口を知る窓口と、判断の相談をする窓口を分けて使うのが、この窓口の上手な使い方です。
手続案内でできること、できないこと
裁判所は、家事手続案内を、家庭内や親族間の問題で家庭裁判所の手続を利用できるかどうか、利用できるならどのような申立てをすればよいかを説明・案内するものと説明しています。手続の流れ、申立てに必要な費用、添付書類の説明も含まれます。1件あたりの目安はおおむね20分以内です。
| 聞けること(手続の案内) | 聞けないこと(法律相談・身上相談) |
|---|---|
| 離婚調停を申し立てるには何をするか | 慰謝料は幾らくらいもらえるか |
| どの家庭裁判所に申し立てるか | 離婚した方がよいか |
| 申立てに必要な費用と添付書類 | 証拠は足りているか、勝てるか |
| 調停の流れ | 相手との条件の交渉の進め方 |
左の列は裁判所の説明に沿った内容、右の列のうち上の2つは裁判所のページが挙げている例です。下の2つは、判断を求める質問という点で同じ種類のものとして、筆者が加えました。
名称は、以前は「家事相談」でしたが、2008年1月から「家事手続案内」に改められました。利用は多く、令和7年の司法統計では、全国の家庭裁判所での家事手続案内の件数は444,782件でした。
受付の方法は裁判所ごとに違う:東京家庭裁判所の例
受付時間や方法は、家庭裁判所ごとに異なります。東京家庭裁判所のページには、次のように書かれています。
- 費用は無料で、予約は不要
- 電話による手続案内は行っていない
- 受付は月〜金曜日の8時30分〜12時、13時〜17時(土日祝日、12月29日〜1月3日は受付なし)
- 11時〜12時と15時〜17時は混雑し、長く待つことがある
- 1階の窓口で番号札を取り、番号で呼ばれる
- 月・水・金曜日の17時〜19時に、案内と申立ての受付を行う夜間の窓口がある(祝日などを除く。台風や地震で中止になることがある)
ほかの家庭裁判所の方法は、東京と同じとは限りません。電話で聞けるところ、予約が要るところもありえるので、申立先の家庭裁判所の公式サイトで受付時間を確かめてから行きます。所在地と電話番号は、裁判所の「裁判所の所在地・電話番号」の一覧にあります。
窓口で質問するときは、次のようにまとめて伝えると、20分の案内を使い切れます。
質問の例:「夫(妻)と離婚の話し合いがまとまりません。家庭裁判所の調停を申し立てたいのですが、どの裁判所に出せばよいですか。必要な書類と費用も教えてください。申立書の書式はどこでもらえますか。」
離婚調停の申立てまでの流れ
夫婦関係調整調停(離婚)は、離婚するかどうか、親権や養育費、財産分与、年金分割の割合、慰謝料などを話し合う手続です。裁判所のページに沿って、申立ての流れを並べます。
- 申立先を決める:相手方の住所地の家庭裁判所、または当事者が合意で定める家庭裁判所です。「申立書提出先一覧」で調べます
- 申立書を用意する:裁判所が公開している書式と記載例を使います
- 添付書類をそろえる:夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)、事情説明書(夫婦関係調整)、子についての事情説明書、進行に関する照会回答書など。年金分割を申し立てるなら、年金分割のための情報通知書(発行から1年以内)も要ります
- 費用を納める:収入印紙1,200円分と、連絡用の郵便切手です。郵便料は裁判所ごとに額が違い、保管金として電子納付もできます
- 申立書を出す:窓口に持参するか、郵送します
審理に必要なときは、追加の書類を求められることがあります。書き方や添付書類の組み合わせで迷ったときが、手続案内に聞くタイミングです。浮気の事情を申立書のどこに書くかは離婚調停の申立書の書き方で扱っています。
調停の種類は離婚だけではありません。裁判所は、婚姻費用の分担請求調停、財産分与請求調停、年金分割の割合を定める調停、慰謝料請求調停なども挙げています。どの調停が自分の状況に合うかを聞くのも、手続案内の役目です。
窓口に行く前に知っておく、調停の基本
手続案内で聞く内容を絞るために、調停そのものの特徴を先に押さえておくと、案内の時間を有効に使えます。裁判所の説明は次のとおりです。
- 調停は、勝ち負けを決める手続ではなく、話し合ってお互いが合意することで解決を図る手続です
- 調停を進めるのは、裁判官1人と、民間から選ばれた調停委員2人以上で構成する調停委員会です
- 弁護士に依頼することもできますが、必須ではありません。依頼しなくても調停の手続はできます
- 調停は双方の出席と協力が前提です。相手が出席しない場合や、合意できない場合は、不成立として終了します。離婚を求めるなら、そのあと離婚訴訟を起こす必要があります
- 相手と同じ空間では安心して話せない、遠方で出向くのが難しいといった事情があるときは、家庭裁判所が相当と認めればウェブ会議が使えます
最後の点のように、事情に応じた配慮を求められる場面があります。不安なことは、申立先の家庭裁判所に相談できます。暴力があるときの申出はDVがあるときの離婚調停にまとめています。
案内を受けるときに持っていくものは、裁判所のページに決まりが書かれていません。次のようなものがあると、話が早く進みます。
- 相手の現住所が分かるもの(申立先を決めるため)
- 結婚した日、別居した日、子どもの年齢などを書いたメモ
- 話し合いたい項目(離婚、親権、養育費、財産分与、慰謝料など)の一覧
手続案内で足りないとき、次に行く窓口
手続案内の外にある質問は、別の窓口へ移します。
| 聞きたいこと | 向いている窓口 |
|---|---|
| 慰謝料の見通し、離婚した方がよいか | 弁護士(弁護士会の法律相談センター、法テラス) |
| 費用が心配で弁護士に頼めない | 弁護士費用が払えないときの選択肢 |
| 誰に何を頼めるか | 弁護士・司法書士・行政書士の違い |
| 暴力や脅しがある | 警察、配偶者暴力相談支援センター(番号は浮気・不倫の相談先一覧) |
調停で本人の代わりに話す代理人を立てたいなら、弁護士に頼むことになります。弁護士に相談する前の準備は、弁護士に相談する前の準備で用意できます。
よくある質問
Q. 家庭裁判所の手続案内は、電話でも聞けますか?
裁判所ごとに違います。東京家庭裁判所は、電話による手続案内は行っておらず、窓口での案内だけです。ほかの家庭裁判所の受付時間や方法は、裁判所の所在地と電話番号の一覧から、申立先の家庭裁判所のウェブサイトで確かめます。
Q. 弁護士をつけなくても、離婚調停は申し立てられますか?
申し立てられます。夫婦関係調整調停(離婚)の申立人は夫または妻で、費用は収入印紙1,200円分と連絡用の郵便切手です。弁護士が必要になるのは、調停で本人の代わりに代理人を立てたいときです。家事事件手続法22条は、家庭裁判所で手続代理人になれるのは原則として弁護士と定めています。
出典・参考にした公的な情報
- 家事手続案内(裁判所)
- 家事手続案内(東京家庭裁判所)(裁判所)
- 夫婦関係調整調停(離婚)(裁判所)
- 夫婦関係・男女関係の調停(調停の種類)(裁判所)
- 家事調停の手続(調停の基本)(裁判所)
- 裁判手続Q&A(家事事件)(裁判所)
- 令和7年 司法統計年報(家事編)第7表(最高裁判所)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。