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不倫の慰謝料が払えないとき:分割払いの決め方と自己破産で残るもの

この記事のもくじ
  1. 不倫の慰謝料が払えないとき、まず何をすればいい?
  2. 分割払いにしてもらうことはできる?
  3. 減額の相談と、払わずに放置した場合は別の記事で
  4. 自己破産すれば慰謝料は払わなくてよくなる?

不倫の慰謝料が払えないときは、払えない額をその場で約束せず、払える範囲を数字で示したうえで、分割や額の相談を弁護士と一緒に進めるのが基本です。分割払いは相手との合意しだいで、合意した内容は示談書や公正証書にします。払わないまま放っておくと、訴訟を経て給料などを差し押さえられることがあります。自己破産すれば多くの債務の責任は免れますが、破産法には免責されない請求権の一覧があり、不倫の慰謝料がそこに当たるかが争われることもあるので、破産で解決すると決めつけないことが大切です。

不倫の慰謝料が払えないとき、まず何をすればいい?

最初にするのは、払えないという事実を、数字で説明できる形にすることです。「無理です」とだけ伝えると、払う気がないと受け取られ、相手が裁判に進むきっかけになることがあります。

  1. 家計の数字を書き出す。 毎月の手取り、家賃や住宅ローン、光熱費、子どもにかかる費用、他の借入れの返済額。そこから毎月いくらなら払い続けられるかを出します。
  2. すぐに用意できるお金を確かめる。 預貯金、解約できる保険、手放せる物。頭金として一部を先に払えるかを考えます。
  3. その場で金額を約束しない。 電話や対面で「いくらなら払えるのか」と迫られても、「家計を整理して、書面でお返事します」と伝えます。支払いを約束すると、相手の権利を認めた「承認」に当たると判断されて時効がその時から新たに進み直すことがあり(民法152条)、約束した事実は後から覆しにくくなります。
  4. 相談先を決める。 請求への返事の前に、弁護士に家計の数字と請求の書面を見せます。

内容証明郵便で請求が来ている場合の読み方と返事の準備は不倫の内容証明が届いたら:中身の確かめ方と返事をする前の準備で扱っています。

弁護士に頼む費用が心配な場合は、法テラス(日本司法支援センター)の制度があります。法テラスは、費用を払う力がない人などを対象に、法律相談や、弁護士への依頼費用の立替えを業務とし、立替えには裁判の前の和解の交渉で特に必要と認められるものも含まれます(総合法律支援法30条1項2号)。立替えた費用は原則として返す仕組みで、収入などの基準があります。

分割払いにしてもらうことはできる?

分割にするかどうかは、請求している相手との合意で決まります。払う側が一方的に分割を決めることはできませんが、払える額の根拠を示して、分割を申し出ることはできます。相手にとっても、払われないまま裁判をするより、約束どおり払われる見込みのある分割を選ぶ理由はあります。

分割払いの合意で決める項目
項目 決めること 払う側が確かめる点
総額 慰謝料の合計額 調査費用などの名目が別に含まれていないか
頭金 最初に払う額と期日 用意できる額か
毎月の額と期日 何回で、毎月何日に、いくらか ボーナス月の増額を入れるなら、ボーナスが減った場合も払えるか
支払い方法 振込先、振込手数料をどちらが持つか 記録が残る方法か
遅れたときの扱い 遅れたら残りを一度に払う約束、遅延損害金 1回遅れただけで残りの全額になる条項か
清算の範囲 この支払いで、この件の請求はすべて終わるか 後から別の名目で請求されない書き方か
書面の形 示談書(私文書)か、公正証書か 公正証書にするなら強制執行の条項が入るか

書面の形は、とくに大事です。公証人が作る公正証書のうち、金銭の一定額の支払いについて、払わないときは直ちに強制執行に服するという陳述が書かれたもの(執行証書)は、裁判の判決と同じく強制執行のもとになります(民事執行法22条5号)。日本公証人連合会も、この条項があれば裁判をしなくても強制執行ができると説明しています。払う側から見れば、分割の約束を守れなくなったとき、裁判を経ずに給料などを差し押さえられることがあるということです。だからこそ、最初に出した家計の数字から、無理のない額で約束することが大切です。

示談書全体で確かめる条項は不倫の示談に請求された側が応じるとき:示談書で確かめる条項、分割払いの決め方を受け取る側の視点も含めて整理したものは慰謝料の分割払いの決め方:受け取る側・払う側と不払いに備える書面で扱っています。

減額の相談と、払わずに放置した場合は別の記事で

払えない事情は、主に分割や支払い時期の相談で使う材料で、請求額そのものを見直してもらう相談では、関係の時期や既婚と知っていたかなど責任の大きさに関わる事情が問題になります。この2つは分けて考えます。額の見直しで整理する事情は不倫の慰謝料の減額が検討される事情で扱っています。

連絡を絶って払わずにいても請求はなくなりません。訴訟、判決、強制執行へと進み、給料が差し押さえられると勤務先にも事情が知られます。その流れは請求された慰謝料を払わないとどうなる?で詳しく扱っています。ここでは、払えない人が動く順番に絞って先へ進みます。

自己破産すれば慰謝料は払わなくてよくなる?

そうとは限りません。破産法253条1項は、免責許可の決定が確定すると、破産者は原則として破産債権の責任を免れると定めたうえで、ただし書で免責されない請求権を挙げています。不倫の慰謝料に関係しうるのは次の号です。

  • 2号「破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権」:不倫の慰謝料がこれに当たるかは、条文だけでは決まりません。「悪意」をどう考えるかと、その件の事情によって争われることがあります。
  • 4号 夫婦の協力扶助・婚姻費用・子の監護・扶養の義務に係る請求権:離婚に伴って約束した養育費や、別居中の婚姻費用はここに入り、免責されません。「離婚の慰謝料が払えない」ときに、養育費もまとめて破産で整理できると考えるのは誤りです。
  • 6号 破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権:破産を申し立てるなら、慰謝料を請求している人も債権者として名簿に載せます。知りながら載せなかった請求権は、免責されない扱いになりえます(破産手続の開始を知っていた債権者のものを除く)。

破産は、慰謝料だけでなく生活全体に影響する手続です。慰謝料のほかにも借金があって返済が回らない場合は、破産を含めた債務の整理を弁護士に相談し、慰謝料の扱いもそのなかで確かめます。受け取る側から見た破産と免責の流れは不倫の慰謝料と相手の破産:免責されない場合の考え方と確かめることで整理しています。

よくある質問

Q. 親が代わりに慰謝料を払ってくれると言っています。頼んでもいいですか?

民法474条1項は、債務の弁済は第三者もできると定めているので、親が代わりに払うこと自体はできます。ただ、親には払う義務がないお金なので、贈与なのか貸し借りなのかを親子で決め、貸し借りなら返し方も書き留めておきます。示談書には誰が払っても支払いとして扱うことを書いておくと、後で行き違いが起きにくくなります。

Q. 借金をしてでも、請求された額を一括で払ったほうがいいですか?

一括で払えば話が早く終わることはありますが、新しい借金の返済に追われて生活が立ち行かなくなれば、別の問題を抱えることになります。借りる前に、分割の相談ができないか、額そのものに相談の余地がないかを弁護士に確かめてください。消費者金融やカードで借りて払うことは、最後の手段にしてください。

Q. 離婚の慰謝料と養育費の両方を払えそうにありません。どちらを優先すればいいですか?

どちらも約束した以上は払う責任がありますが、性質が違います。養育費は子どもの生活のためのお金で、破産法253条1項4号でも、子の監護に関する義務の請求権は免責されないものとして挙げられています。払える額の全体を示したうえで、それぞれの額と払い方を弁護士と一緒に組み立て直すのが現実的です。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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