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請求された慰謝料を払わないとどうなる?訴訟・判決・差押えの流れ

この記事のもくじ
  1. 請求を払わないと進む流れ:請求から差押えまでの5段階
  2. 訴訟を放置するとどうなる:欠席と判決
  3. 判決のあとの強制執行:給料・預金はどこまで差し押さえられるか
  4. 約束した慰謝料を払わなかった場合と、時効の考え方
  5. 払わない選択をする前にすること:払えない事情があるなら先に相談する

請求された慰謝料を払わないでいると、相手は調停や訴訟に進むことができ、判決などの債務名義を得れば、給料や預金を差し押さえられることがあります。ただし、請求書が届いた段階では強制力はなく、払わないだけで直ちに差押えになるわけではありません。差押えの前には、裁判所の手続を通ることになります。問題は、その途中で呼出状や訴状を放置し、争う機会を自分で手放してしまうことです。この記事では、払わなかった場合の流れを段階ごとに示し、早めに相談する理由を整理します。

請求を払わないと進む流れ:請求から差押えまでの5段階

請求から差押えまでは、多くの場合、次の順で進みます。段階ごとに、起きることと自分に残る選択肢が違います。

払わないで進んだ場合の5段階
段階 起きること 自分にできること
1 請求 内容証明郵便や手紙で支払いを求められる。強制力はない 中身を確かめ、返事の仕方を相談する
2 調停・訴訟の申立て 裁判所から呼出状や訴状が届く 期日に出る、答弁書を出す、話し合う
3 判決・和解・調停成立 判決が出る、または和解や調停で額と払い方が決まる 内容を争う、分割などを提案する
4 確定 不服申立ての期間が過ぎると判決が確定する 期間内に控訴や異議を出す
5 強制執行 給料や預金の差押えを裁判所に申し立てられる 差押えの範囲を確かめ、払い方を相談する

1段階目の請求では、払う義務があるかどうかが決まっているわけではありません。請求の書面は、相手の言い分を書いたものです。内容証明郵便が届いたときの確かめ方は不倫の内容証明が届いたら:中身の確かめ方と返事をする前の準備にあります。

2段階目に進むと、手続の種類で出頭の求め方が変わります。調停は、裁判官と調停委員2人以上による話し合いの場です。呼出しを受けて正当な理由なく出頭しないと、民事調停では5万円以下の過料に処される定めがあります(民事調停法34条)。調停の準備は慰謝料の調停を申し立てられたら:呼出状が届いた後の準備で、訴状が届いた場合は不倫で訴えられて訴状が届いたら:答弁書の期限と弁護士への相談で扱っています。

訴訟を放置するとどうなる:欠席と判決

訴状が届いて何もしなかった場合に、裁判所は次のように扱います。裁判所の案内では、答弁書を出さず最初の期日にも出ないと、原告の言い分どおりの判決が出ることがあるとされています。

民事訴訟法の定めで言うと、被告が相手の主張した事実を争うことを明らかにしない場合、その事実を自白したものとみなす扱いがあります(159条1項)。期日に出ない場合も同じです(同条3項)。争わなかった事実が、判決の前提になるわけです。

ここで押さえておきたいのは、次の3点です。

  1. 判決が出ても、すぐ確定するとは限らない。 控訴は、判決の送達を受けた日から2週間以内にします(285条)。
  2. 確定を待たずに執行される場合がある。 財産権の請求に関する判決には、裁判所が必要と認めるとき、仮執行の宣言が付けられます(259条)。
  3. 額は元本だけとは限らない。 金銭を払わない債務については、遅れた分の損害賠償も問題になります(民法419条)。判決でどう扱われるかは、事件ごとの内容によります。

請求が間違っているなら、争う場で主張しなければ、判断材料として出てきません。身に覚えがない請求に見えるときは、身に覚えのない不倫の慰謝料請求が来たら:詐欺を疑うときの確かめ方で、書面の真偽を先に確かめます。

判決のあとの強制執行:給料・預金はどこまで差し押さえられるか

強制執行は、確定判決、仮執行宣言つきの判決、執行認諾文言つきの公正証書などの債務名義をもとに、執行文の付された正本で行われます(民事執行法22条・25条)。調停が成立した場合も、裁判所の案内では、調停調書は確定判決と同じ効力があり、強制執行もできるとされています。

給料や預金の債権を差し押さえる手続(債権執行)は、裁判所の差押命令で始まります(143条)。差押命令は、債務者本人と、給料を払う勤務先や預金のある銀行などの第三債務者の両方に送達されます(145条)。給料を差し押さえられると、勤務先に裁判所から書類が届くことになります。

給料は、全額を差し押さえられるわけではありません。民事執行法152条1項は、支払期に受けるべき給付の4分の3に相当する部分は差し押さえてはならないと定めています。ただし、その額が政令で定める額を超えるときは、政令の額に相当する部分が禁止の範囲です。民事執行法施行令2条は、毎月払いの給料について33万円と定めています。つまり、1回の支払いが44万円以下なら4分の3が、それを超えると33万円が差押えの禁止される範囲になり、残りが差押えの対象です。たとえば支払いが40万円なら30万円が禁止の範囲で、差押えの対象は10万円、60万円なら33万円が禁止の範囲で27万円が対象になります(筆者の計算の目安。実際の範囲は差押命令で決まります)。賞与も同じ4分の3の考え方で、政令の額は33万円です(施行令2条2項)。

養育費や婚姻費用には、差押禁止の範囲を2分の1にする特例(152条3項)がありますが、不倫の慰謝料には使えません。預貯金は、口座の残高が差押えの対象です。

相手が債務者の財産を知らないときのために、裁判所を通じて調べる手続もあります。債務名義を持つ債権者は、一定の要件のもとで、債務者に財産を明らかにさせる財産開示手続を申し立てられます(197条)。預貯金については、銀行等に情報の提供を命じる手続もあります(207条)。

約束した慰謝料を払わなかった場合と、時効の考え方

示談や調停で額と払い方を決めたあとに払わなかった場合は、約束の形で結果が変わります。

約束の形 払わなかった場合
示談書(当事者間の書面のみ) 債務名義にならないため、相手は調停や訴訟で債務名義を得る必要がある
執行認諾文言つきの公正証書 訴訟を経ずに、強制執行を申し立てられる(民事執行法22条5号)
調停調書・和解調書 確定判決と同じ効力があり、強制執行の根拠になる

時効についても整理します。慰謝料の請求権は、損害と加害者を知った時から3年、不法行為の時から20年で消滅します(民法724条)。ただし、裁判上の請求や調停の申立てがあると、その手続が終わるまでは時効は完成せず(147条1項)、確定判決で権利が確定すると、時効期間は10年になります(169条1項)。「払わないで時間が過ぎれば済む」とは言えない、ということです。

払わない選択をする前にすること:払えない事情があるなら先に相談する

払わない理由は、人によって違います。身に覚えがない、額が重すぎる、そもそも払えない、気持ちの上で払いたくない。理由に応じて、動き方も違います。

どの場合も、最初の相談を早めに済ませておくと、期日や期限に合わせて動けます。相手が強制執行に進むと、勤務先への通知や口座の差押えという形で、生活に直接かかわってきます。そうなる前に、手続の段階ごとに自分が取れる手を知っておくことが、この記事の目的です。相談先の選び方は慰謝料請求された側の弁護士の選び方:費用と相談で聞くことにまとめています。

よくある質問

Q. 請求書が届いただけで、給料を差し押さえられることはありますか?

強制執行は、確定判決や調停調書、執行認諾文言つきの公正証書など、債務名義と呼ばれるものがあって初めて始められます(民事執行法22条)。内容証明郵便や請求書が届いた段階では、まだ債務名義はありません。ただ、その後に訴訟で判決が出れば、状況が変わります。

Q. 請求された額が高すぎると思うので払わないのは、問題ですか?

払うかどうかを決める前に、請求の根拠や額を争うことは認められています。問題になるのは、争う意思を示さず放置して、相手に手続を進められることです。額に納得できないときは、書面で理由を伝えるか、調停や訴訟の場で主張します。何を根拠にするかは、減額の事情の整理から始めます。

Q. 慰謝料を払わないまま何年も過ぎたら、時効で払わなくてよくなりますか?

時効の期間は、損害と加害者を知った時から3年、不法行為の時から20年です(民法724条)。ただし、訴訟や調停が始まれば時効は進みにくくなり、判決が確定すれば新たに10年になります。時効が完成しているかどうかは、起算の日や途中の事情で変わるため、弁護士に確かめます。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

不倫で訴えられて訴状が届いたら:答弁書の期限と弁護士への相談

慰謝料の調停を申し立てられたら:呼出状が届いた後の準備

不倫の慰謝料が払えないとき:分割払いの決め方と自己破産で残るもの

決まった慰謝料が支払われないとき:強制執行の仕組みと必要な書面