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慰謝料請求の管轄はどこ?不倫の訴えを出す裁判所の分かれ目

この記事のもくじ
  1. Q. 慰謝料請求の管轄は家裁・地裁・簡裁のどこ?3つの分かれ目
  2. Q. 不倫相手への慰謝料も、離婚訴訟と一緒に家庭裁判所に出せる?
  3. Q. どこの地域の裁判所に出す?相手の住所地と、それ以外の候補
  4. Q. 示談書や誓約書に「管轄」の条項があったら?合意管轄と移送
  5. Q. 訴えでなく調停にするときの申立先は?

慰謝料請求の訴えをどの裁判所に出すかは、離婚の訴えと一緒に請求するか、慰謝料だけを請求するかでまず分かれます。離婚の訴えとあわせるなら家庭裁判所が審理できます(人事訴訟法17条)。慰謝料だけなら、請求額が140万円以下は簡易裁判所、140万円を超えると地方裁判所です(裁判所法33条・24条)。そのうえで、どの地域の裁判所に出せるかを、相手の住所地などから決めます。

Q. 慰謝料請求の管轄は家裁・地裁・簡裁のどこ?3つの分かれ目

訴えの種類で整理すると、次の表のとおりです。「管轄」は、事件をどの裁判所が扱うかの決まりで、種類(家裁・地裁・簡裁)と土地(どこの地域の裁判所か)の2つの面があります。

請求のしかた 種類の管轄 根拠
配偶者への離婚の訴えと、その原因の不貞行為による慰謝料を一緒に請求 家庭裁判所 人事訴訟法17条1項、裁判所法31条の3
慰謝料だけを請求(請求額140万円以下) 簡易裁判所 裁判所法33条1項1号
慰謝料だけを請求(請求額140万円超) 地方裁判所 裁判所法24条1号

離婚の訴えは家庭裁判所の専属管轄で(人事訴訟法4条)、慰謝料の請求は本来は地方裁判所・簡易裁判所で扱う財産上の請求です。人事訴訟法17条は、離婚の訴えと「その請求の原因である事実によって生じた損害の賠償」の請求を一つの訴えでできるとし、その場合は家庭裁判所が慰謝料についても審理できると定めています。裁判所の離婚訴訟のページも、離婚に伴う慰謝料の訴訟をあわせて起こせると案内しています。

分かれ図:慰謝料の訴えを出す裁判所
  1. 離婚の訴えを起こす(または家裁で離婚訴訟が続いている)か?
    • はい → 家庭裁判所で一緒に審理できる(人事訴訟法17条)。不倫相手の分も含められるかは要件次第
    • いいえ → 2へ
  2. 請求額は140万円を超えるか?
    • 超えない → 簡易裁判所
    • 超える → 地方裁判所
  3. どこの地域の裁判所か → 相手の住所地が基本。義務履行地・不法行為地・合意した裁判所も候補(民事訴訟法4条・5条・11条)

Q. 不倫相手への慰謝料も、離婚訴訟と一緒に家庭裁判所に出せる?

条文の要件に当たれば出せます。人事訴訟法17条の対象は、離婚の訴えの「原因である事実によって生じた損害の賠償」の請求で、請求の相手を配偶者に限る言葉は条文にありません。そのため、不倫相手への慰謝料も、離婚の原因になった不貞行為による損害の請求として家庭裁判所で一緒に審理される場合があります。ただし、当たるかどうかは請求の組み立てと事案で判断されるので、一緒に出すかは弁護士に確かめてから決めます。

すでに離婚訴訟が家庭裁判所で続いている場合は、その家庭裁判所に慰謝料の訴えを出すこともできます(17条2項)。また、地方裁判所や簡易裁判所で慰謝料の訴訟を起こした後に、離婚訴訟が家庭裁判所に係属したときは、地裁・簡裁は相当と認めれば申立てによりその訴訟を家庭裁判所へ移送でき、移送を受けた家庭裁判所は審理を一緒にします(8条)。

状況 選べる動き 条文
これから離婚の訴えを起こす 離婚と慰謝料を一つの訴えで家庭裁判所へ 人事訴訟法17条1項
家裁で離婚訴訟が続いている 慰謝料の訴えを同じ家庭裁判所へ 同17条2項
地裁・簡裁に慰謝料訴訟、家裁に離婚訴訟 家庭裁判所への移送を申し立てる 同8条
離婚はしない・すでに離婚した 慰謝料だけを地裁・簡裁へ 裁判所法24条・33条

離婚の訴えは、原則として先に家庭裁判所の調停を経る必要があります(家事事件手続法257条)。離婚裁判そのものの流れは離婚裁判の流れの記事にあります。

Q. どこの地域の裁判所に出す?相手の住所地と、それ以外の候補

種類が決まったら、土地の管轄を決めます。民事訴訟法4条により、訴えは原則として被告の住所地を管轄する裁判所に出します。これに加えて、同法5条は、財産権上の訴えは義務履行地(1号)、不法行為に関する訴えは不法行為があった地(9号)の裁判所にも起こせるとしています。

金銭を払う場所について、民法484条1項は、特別の意思表示がなければ債権者の現在の住所でするとしています。この2つの条文を組み合わせると、慰謝料を請求する側の住所地の裁判所も候補になる余地があります。どの候補を選ぶかは、期日に通う負担や相手の出方も考えて弁護士と決めます。

離婚の訴えと一緒に家庭裁判所に出す場合は、人事訴訟法4条により、夫または妻の住所地を管轄する家庭裁判所です。裁判所の離婚訴訟のページは、調停を扱った家庭裁判所が異なる場合にその家庭裁判所で扱うことがある、とも案内しています。

確かめるためのメモの例:「請求する相手=不倫相手(住所:〇〇市)/自分の住所:△△市/不貞行為があった場所:□□市/請求額:〇〇万円 → 地裁か簡裁か、どの市の裁判所が候補か」

Q. 示談書や誓約書に「管轄」の条項があったら?合意管轄と移送

当事者は、第一審に限り、合意で管轄裁判所を決めることができます(民事訴訟法11条1項)。この合意は、一定の法律関係に基づく訴えについて書面(電磁的記録を含む)でしないと効力がありません(同条2項・3項)。示談書や誓約書に「本件に関する紛争は〇〇地方裁判所を第一審の管轄裁判所とする」といった条項があるときは、その合意も候補に入ります。条項の作り方は不倫の示談書の書き方の記事にあります。

管轄のない裁判所に出してしまった場合は、申立てか職権で、管轄のある裁判所へ移送されます(16条1項)。地方裁判所は、自分の管轄区域内の簡易裁判所が扱える事件でも、相当と認めれば自ら審理できます(16条2項)。逆に、簡易裁判所は、事件が自分の管轄でも相当と認めれば、申立てまたは職権で地方裁判所へ移送できます(18条)。簡易裁判所と地方裁判所の分かれ目の140万円は訴額で見るので、遅延損害金は含めずに数えます(民事訴訟法9条2項)。140万円前後の請求で迷うときは、どちらに出すかを手数料の違いとあわせて考えます。手数料の調べ方は不倫の裁判費用の内訳の記事、訴えの手順は不倫の裁判で訴えるときの流れの記事にまとめています。

Q. 訴えでなく調停にするときの申立先は?

話し合いで解決を目指すなら調停もあります。離婚した元配偶者との間の慰謝料なら、家庭裁判所の慰謝料請求調停で、申立先は相手方の住所地の家庭裁判所か、当事者が合意で定めた家庭裁判所です(家事事件手続法245条1項)。離婚する前なら、離婚調停(夫婦関係調整調停)の中で慰謝料も話し合えます。手続と費用は慰謝料請求調停の記事で確かめてください。

訴訟の途中で和解をすすめられることも少なくありません。判決との違いは、次に読む不倫の裁判で和解をすすめられたときの記事にまとめています。慰謝料の請求全体の流れは浮気・不倫の慰謝料とは?請求できる場面・金額の決まり方・進め方の全体像を参考にしてください。

よくある質問

Q. 不倫相手が遠くに住んでいます。自分の近くの裁判所に訴えられますか?

訴えは原則として被告の住所地の裁判所に出しますが、民事訴訟法5条は、財産権上の訴えを義務履行地の裁判所に、不法行為に関する訴えを不法行為があった地の裁判所にも起こせると定めています。金銭の支払いは民法484条で原則として債権者の住所でするとされているので、自分の住所地の裁判所が候補になる余地があります。実際に出せるかは、訴える前に弁護士や提出先の裁判所で確かめます。

Q. 地方裁判所に出すべき額なのに、間違えて簡易裁判所に出したらどうなりますか?

民事訴訟法16条1項により、管轄のない裁判所に出された訴えは、申立てか職権で管轄のある裁判所へ移送されます。訴えがすぐに無効になるわけではありませんが、移送の分だけ時間がかかるので、時効が近いときは特に、提出前に訴額と裁判所を確かめておきます。

Q. 慰謝料請求調停はどこの家庭裁判所に申し立てますか?

家事調停は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所か、当事者が合意で定めた家庭裁判所に申し立てます(家事事件手続法245条1項)。裁判所の慰謝料請求調停のページも同じ申立先を案内しています。訴えの管轄とは決まりが違うので、混同しないようにします。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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