浮気・不倫が原因の離婚 / 手順

離婚裁判の流れ:浮気を理由に訴えるときの訴状・証拠・判決

この記事のもくじ
  1. 離婚裁判の流れ:調停の次に何が起きるか
  2. 訴状:何を書き、何を添えるか
  3. 浮気を理由にする主張と証拠の考え方
  4. 判決・和解・控訴・離婚届
  5. 自分で進めるか、弁護士に頼むか

離婚裁判は、調停が不成立で終わったあとに、家庭裁判所へ訴状を出して始める手続です。浮気を理由にするときは、民法770条1項1号の「配偶者に不貞な行為があったとき」を理由に挙げ、その事実を資料で示していきます。流れは、訴状の提出、期日、判決か和解、そして離婚届の提出です。この記事では、裁判所の案内と条文に沿って、各段階で何をするかを手順にします。

離婚裁判の流れ:調停の次に何が起きるか

離婚の訴えは、人事訴訟という手続で、原則として夫または妻の住所地を管轄する家庭裁判所に出します(人事訴訟法4条)。調停を扱った家庭裁判所と違う場合は、調停を扱った家庭裁判所が訴訟を扱うこともあります。

流れ:離婚裁判の6段階
段階 すること 書類・費用など
1 調停 先に家庭裁判所で調停を行う(調停前置) 収入印紙1,200円分+郵便切手。不成立の通知を受ける
2 訴状の提出 家庭裁判所に離婚の訴えを出す。通知から2週間以内なら調停申立て時に出したものとみなされる 訴状2部、戸籍謄本、証拠のコピー。手数料は離婚のみで13,000円
3 被告の答弁 訴状を受け取った側が答弁書で、認めるか認めないかとその理由を出す 呼出状の期日までに提出
4 期日の審理 主張と証拠を出し合う。必要に応じて当事者尋問や証人尋問 証拠は「甲第○号証」と番号を付ける
5 判決または和解 裁判所が判決を出す、または和解で離婚を成立させる 判決に不服なら控訴(2週間)
6 離婚届 判決確定または和解成立の日から10日以内に市区町村へ届出 判決謄本と確定証明書、または和解調書謄本

期間は、令和7年(2025年)に終わった人事を目的とする訴え8,930件のうち、1年以内が48.4%、2年以内が84.8%、3年を超えたものが3.6%でした(司法統計年報 家事編 第63表。筆者の計算。認知など離婚以外の訴えも含みます)。裁判所に出す手数料などの費用は、離婚裁判の費用で分けて見られます。調停の段階は原則として飛ばせず(257条の調停前置)、まず離婚調停が不成立になったらの流れが入口になります。

訴状:何を書き、何を添えるか

裁判所のホームページに、離婚訴状の書式と記入例があります。書式は、チェックを付ける欄と、具体的な事情を書く欄でできています。裁判所は公平を保つ立場から、書き方や証拠についての助言はしないと案内しているので、判断が必要な部分は自分か弁護士が決めます。

請求及び申立ての趣旨には、原告と被告の離婚に加えて、求める項目にチェックを付けます。未成年の子がいれば親権者の指定、慰謝料、財産分与、養育費、年金分割の割合などです。離婚と同時に求められるのは、離婚の原因となった事実による損害賠償請求も同じで、一つの訴えにできます(人事訴訟法17条)。親権者の項目は、原告、被告、原告及び被告双方のどれかを選ぶ書式です。2026年4月の民法改正後は、裁判上の離婚でも裁判所が父母の双方または一方を親権者と定め(民法819条2項)、どちらにするかは子の利益のために一切の事情を考慮して判断します(同条7項)。

請求の原因には、婚姻の届出日、子の氏名と年齢、調停の経過(事件番号と結果)、離婚の原因を書きます。離婚の原因は、被告の不貞行為、被告の悪意の遺棄、被告の生死が3年以上不明、その他婚姻を継続し難い重大な事由の4つから選び、具体的な内容を別の欄に項目ごとに書きます。記入例では、不貞行為と、婚姻を継続し難い重大な事由の両方がチェックされています。どの理由を並べるかは事案で変わるので、弁護士と決めます。

浮気を理由にするときの「具体的な内容」は、日付と資料を結びつけて書きます。次は、記入例の枠組みを参考にした書き方の例です。

3(1) 不貞行為について 被告は、令和○年○月ごろから令和○年○月ごろまで、○○(氏名が分かれば氏名、勤務先など)と継続して性的関係を持っていた。原告は、令和○年○月○日、○○(カード明細、メッセージの画面など)によってこれを知った(甲第○号証)。原告が令和○年○月○日に尋ねたところ、被告は○○と述べた(甲第○号証)。

添付するのは、訴状2部、夫婦の戸籍謄本とそのコピー、年金分割を求める場合の情報通知書とそのコピー、証拠書類のコピー2部です。被告が複数のときは人数分が必要です。不倫相手も被告にして慰謝料を求めるかどうかは、人事訴訟法17条の「原因である事実によって生じた損害」に当たるかなど、判断が絡みます。どの裁判所に出せるかは慰謝料請求の管轄はどこ?、不倫相手を被告にする訴えの流れは不倫の裁判で訴えるときの流れで扱っています。

浮気を理由にする主張と証拠の考え方

浮気を理由にする訴えの中心は、「不貞な行為があったこと」を示すことです。「不貞な行為」の意味は不貞行為とは?で整理しています。民法770条2項は、1号から3号の理由があっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは請求を棄却できると定めているので、不貞行為の有無に加えて、夫婦関係全体の事情も審理の対象になります。

整理表:主張と、それを示す資料の例
主張すること 示す資料の種類 気をつける点
不貞行為があった(いつ頃、誰と、どのくらい) 写真、カード・交通系の利用明細、メッセージの画面、探偵業者の報告書、本人が認めた書面 日時と相手が分かる形にする。資料ごとに何を示すかを一文で添える
婚姻関係は不貞の時点で続いていた 同居の事実、家計の共有、家族行事の記録 相手が「夫婦関係は冷めていた」と反論したときの備え。論点は「婚姻関係の破綻」とは?で扱う
離婚の条件(親権・養育費・財産分与) 源泉徴収票、預貯金の通帳の写し、子の世話の記録 訴状と一緒に出す証拠書類にも使える

人事訴訟には、通常の民事訴訟と違う決まりがあります。当事者が自白した事実を証明不要とする規定は適用されず(人事訴訟法19条1項)、裁判所は当事者が主張しない事実を考慮し、職権で証拠調べもできます(20条)。相手が浮気を認める発言をしていても、それだけに頼らず、資料で示す準備をする意味はここにあります。

証拠は「甲第1号証」のように番号を付け、コピーを2部(裁判所用と被告用)出します。相手が持っている書類を出させたいときは、文書提出命令の申立てがあります。申立てでは、文書の表示、文書の趣旨、文書の所持者、証明すべき事実、提出義務の原因を明らかにします(民事訴訟法221条)。認められるかは裁判所の判断です。当事者本人の尋問では、裁判所が出頭を命じられます(人事訴訟法21条)。

自分で証拠を集めるときは、相手のスマホへのログインやGPSの取り付けなど、禁じる法律がある行為があります。出す前に浮気の証拠集めで違法になりうることを読み、資料の種類は浮気の証拠になるもの一覧で確かめてください。

離婚訴訟は、特別な事情がない限り公開の法廷で行われます。浮気の詳細を話すことになる尋問は、私生活上の重大な秘密に関わり、公開の法廷で陳述すると社会生活を営むのに著しい支障が生じることが明らかなど、一定の要件を満たすときに限って、裁判官の全員一致で公開しない決定ができます(22条)。住所を相手に知られたくないときは、秘匿の申立ての制度があります(認められないこともあります)。

判決・和解・控訴・離婚届

手続は、判決か和解で終わります。令和7年に終わった人事を目的とする訴えのうち、判決が40.4%、和解が35.1%、取下げが21.9%でした(司法統計年報 家事編 第61表。筆者の計算。離婚以外も含む)。離婚の訴えでも、和解によって離婚を成立させることができます(人事訴訟法37条)。和解の考え方は、慰謝料の訴訟を扱った不倫の裁判で和解をすすめられたらも参考になります。

判決に不服があるときは、判決書の送達を受けた日から2週間以内に控訴します(民事訴訟法285条)。家庭裁判所の判決への控訴は、高等裁判所が担当します(裁判所法16条1号)。

判決や和解で離婚が決まっても、市区町村への離婚届は必要です。離婚の日は、和解のときは和解成立の日、判決のときは判決確定の日です。届出の義務があるのは原告で、和解成立の日または判決確定日から10日以内(その日を1日目と数える)に出します。判決の場合は判決謄本と判決確定証明書、和解の場合は和解調書謄本を添えます。正当な理由なく期間内に届け出ないと、過料の制裁を受けることがあると裁判所は説明しています。離婚届には、相手の署名押印や証人は不要です。

決まった養育費や慰謝料が支払われないときは、地方裁判所での強制執行や、家庭裁判所の履行勧告(無料。強制力はない)があります。手続は決まった慰謝料が支払われないときに整理しています。

自分で進めるか、弁護士に頼むか

裁判所は、訴状の書式と記入例を用意しており、離婚の裁判を本人だけで進めることもできます。ただ、主張の組み立て、証拠の選び方、尋問への備え、和解を受けるかどうかの判断は、一つひとつが結果に響きます。次のような場合は、弁護士に依頼する選択肢があります。

  • 相手が浮気を否定していて、事実を資料で示す必要がある
  • 親権、財産分与、慰謝料など、争点が複数ある
  • 相手が弁護士をつけている
  • 期日への出頭と、書面の提出期限に対応する時間を確保しにくい

弁護士を選ぶときは、離婚事件の取扱いの有無、費用の内訳、連絡の取り方を最初の相談で確かめると比べやすくなります。費用の見方は離婚裁判の費用、確かめる点は離婚の弁護士の選び方にあります。調停の次の段階の判断は調停に代わる審判とは?も合わせて読むと、異議から訴えへ進む道筋が分かります。離婚手続全体の地図は浮気・不倫が原因の離婚にまとめています。

よくある質問

Q. 調停をせずに、いきなり離婚の裁判を起こせますか?

家事事件手続法257条は、調停を行える事件で訴えを起こそうとする人は、まず家庭裁判所に家事調停を申し立てなければならないと定めています。調停を申し立てずに訴えを起こしたときは、裁判所が職権で事件を調停に付すのが原則です(同条2項。相当でないと認めるときを除く)。

Q. 離婚裁判にはどのくらいの期間がかかりますか?

司法統計で、令和7年に終わった人事を目的とする訴えの8,930件を見ると、1年以内に終わったものが48.4%、2年以内が84.8%、3年を超えたものが3.6%でした(筆者の計算)。認知などの訴えも含む数字なので、離婚の裁判だけの平均ではなく、規模感として読んでください。

Q. 離婚裁判では、相手が浮気を認めれば、それだけで離婚が認められますか?

人事訴訟では、当事者が自白した事実を証明不要とする民事訴訟法の規定などが適用されません(人事訴訟法19条1項)。相手の言葉だけでなく、それを示す資料があるかが問われます。認められるかどうかは裁判所の判断なので、見通しは弁護士に確かめてください。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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