「会社にばらす」と言われたとき:不倫の脅しへの対応と相談先
不倫のことで「会社にばらす」と言われると、仕事や生活を失う不安が一気に押し寄せます。まず押さえたいのは、「会社に言う」と告げて何かを要求する行為は、刑法の脅迫・強要・恐喝に当たりうる、という点です。 相手の言い分に不倫の事実が含まれていても、脅す手段が許されるわけではありません。いまの返事は急がず、届いたものを残し、警察か弁護士に相談してください。
状況に合う窓口です。
- 相手が会社や自宅に来る、危害をほのめかされている:110番
- 緊急ではないが脅しが続いている:#9110(受付時間は都道府県警察ごとに異なり、夜間・休日は当直や音声案内になる)
- 不安で眠れない、消えたい気持ちがある:#いのちSOS 0120-061-338(24時間365日)、よりそいホットライン 0120-279-338(24時間)
- 弁護士費用や相談先が分からない:法テラス・サポートダイヤル 0570-078374(平日9時〜21時、土曜9時〜17時。祝日・年末年始を除く)
110番と#9110の使い分けは不倫で脅迫されたとき:110番と#9110の使い分けと最初にすることに、番号の一覧は浮気・不倫の相談先一覧:悩み別の窓口と番号・受付時間の早見表にあります。
誰が「ばらす」と言っているかで、分かれ道が変わる
同じ「会社にばらす」でも、相手が誰かで、何が起きているかが違います。
| 言っている人 | よくある形 | 先に考えること |
|---|---|---|
| 不倫相手本人 | 別れ話のあとに「会社に言う」「奥さんに言う」。連絡をやめない | 別れたあとのつきまといと重なる。連絡の記録をまとめて警察へ |
| 不倫相手の配偶者 | 慰謝料の請求と一緒に「払わなければ会社に」と告げる。会社に電話や訪問をする | 請求そのものと、会社を持ち出す言い方を分ける。弁護士に相談 |
| 自分の配偶者 | 怒りのなかで「会社に連絡する」と言う | 配偶者との話し合いの問題。暴力や監視があれば窓口を先に |
| 第三者(知人・同僚) | 「黙っていてほしければ」と金銭や頼みごとを持ちかける | 恐喝・強要のおそれ。金銭を渡す前に警察へ |
配偶者から暴力や脅しを受けているときは、会社の話より先に安全の確保が必要です。浮気を問い詰めたら暴力を受けた:DVの相談窓口と安全のための準備を開いてください。
脅迫(刑法222条)、強要(223条)、恐喝(249条)、業務妨害(233条・234条)のどれに当たりうるかの条文と刑の重さは、不倫で脅迫されたとき:110番と#9110の使い分けと最初にすることで整理しています。この記事で押さえるのは、「会社にばらす」という言い方が、名誉に害を加える旨の告知になりうる点と、会社に押しかける・何度も電話をかける行為が業務妨害の問題になりうる点です。
当てはまるかどうかは、実際の言葉と状況で判断され、最後は捜査機関と裁判所が決めます。慰謝料を請求する権利は法律で認められており、請求書が届いたことだけで脅迫とは言えません。ただ、「請求する」ことと、「会社に言うと脅す」ことは別の行為です。
返事をするとき・しないときの具体的な動き
脅されているとき、相手のペースで返事を急ぐほど、判断が荒くなります。次の順で動いてください。
- 届いたものを消さずに保存する。 メッセージ、メール、留守電、着信履歴、手紙の封筒まで残します。画面保存は日時が見える形で、相手のアカウント名やアドレスも写します。
- 電話や対面で話すのを避け、やりとりを文面にする。 声や場の勢いで、言いたくないことを言わされるのを防げます。電話が来たら、「文面でお願いします」とだけ伝えて切って大丈夫です。
- 返事は短く、感情を入れない。 次のような文面なら、事実も金額も認めず、相手を刺激しません。
文例:「ご連絡は受け取りました。内容を確認します。今後のご連絡は、このメッセージでお願いします。」
文例:「お金や今後のことは、いまお答えできません。必要な相談をしてから、こちらから連絡します。」
- 支払い、念書、誓約書、会う約束を、その場で決めない。 「いま書けば会社には言わない」と迫られたときほど、保留にします。
- 相手の要求と、日付を一覧にする。 「○月○日、会社に連絡すると告げられた」「○月○日、100万円を要求された」のように並べます。警察や弁護士が状況をつかみやすくなります。
- 返さない選択もある。 脅しの内容によっては、返事をしないまま警察や弁護士に相談するほうが安全です。
自分が不倫をしていた側であっても、脅されてよいことにはなりません。責任を問う道は、慰謝料の請求などの法律上の手続きにあります。気持ちが追い詰められているときは、浮気や不倫で死にたいほどつらいとき:今すぐ話せる相談先も読んでください。
- 危険が迫っている → 110番
- 脅しが続いているが、いまは安全 → 記録を保存し、#9110か最寄りの警察署へ
- 金銭・誓約書・会う約束を求められている → その場では応じず、警察か弁護士へ
- 請求書や内容証明が届いた → 内容を保存し、弁護士に相談(費用は法テラスに相談)
- 会社に連絡が入った → 下の見出しの手順へ
実際に会社へ連絡が来た、来そうなとき
脅しが現実になったときの動きを、場面ごとに整理します。
会社に電話や訪問があった。 相手が会社で騒ぐ、電話を何度もかけるといった行為は、会社の業務を妨げる行為として刑法234条などの問題になりえます。会社として警察に相談することもできます。自分が何をされたのかを、日時と相手の言葉で書き出しておきます。
会社に事実が伝わった。 会社が処分をするかどうかは、就業規則の懲戒の定めと、行為の性質・事情によります。労働契約法15条は、懲戒が客観的に合理的な理由を欠き、かつ社会通念上相当と認められない場合は、権利の濫用として無効になると定めています(解雇は16条で同じ形の定め)。私生活での行為が懲戒の対象になるかは、会社ごとの規則と具体的な事情で変わるため、就業規則を読み、弁護士にも確かめてください。会社が不倫をどう扱いうるかは不倫が会社にバレるとどうなる?懲戒の考え方と就業規則の確かめ方にまとめています。
就業規則と社内窓口を、先に自分で確かめる。 会社に事実が伝わりそうなときは、慌てて上司に話す前に、就業規則の次の3か所を読みます。
- 懲戒の種類と、懲戒の事由が書かれた条文(私生活上の行為がどう書かれているか)
- 事情を聞かれたときの手続(弁明の機会や、聴取の担当部署が書かれているか)
- 相談窓口(人事、コンプライアンス、ハラスメントの窓口の有無)
聴取を求められたら、その場で長く説明せず、日付と事実だけを短く答え、聞かれた内容と答えをあとでメモに残します。脅しが原因で会社に伝わったのであれば、それも日付つきで説明できるように、前の節の記録を持っていってください。
自分から先に会社へ話すかどうか。 先に話すと決める人もいれば、話さずに警察を通す人もいます。どちらが合うかは、職場の規模、相手との関係、すでに何が伝わったかで変わるため、一人で決めずに弁護士に相談してから動いてください。
相手の職場に、自分が連絡したくなったとき。 仕返しの気持ちで相手の勤務先に連絡すると、自分が名誉毀損などの問題を抱えることがあります。気持ちが動いたときは浮気相手を晒す・家に乗り込む前に:加害側にならないための線を読んでください。
警察と弁護士、どちらに先に相談するか
脅しの相談は、警察と弁護士で役割が違います。
| 相談先 | できること | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 警察(110番・#9110・警察署) | 犯罪の相談を受ける。被害の届出や告訴の相談に応じ、必要な対応を検討する | 脅しの文面がある、金銭を要求された、押しかけられた |
| 弁護士 | 法的な判断、慰謝料請求への対応、相手とのやりとりの代理 | 請求書が届いた、請求と脅しの区別がつかない、会社への影響を相談したい |
| 法テラス | 制度や相談窓口の案内、弁護士費用の立替えなどの入口 | 費用が心配、誰に頼めばよいか分からない |
警察は、犯罪になりうる行為(脅迫、強要、恐喝、業務妨害など)が対象で、不倫の慰謝料の額や請求の適否を決める場ではありません。警察に相談できる範囲は#9110とは?浮気・不倫のトラブルで警察に相談できることに詳しく書いています。両方に相談することもでき、実際に両方を使う人が多い場面です。相談前の準備は、脅しの文面、日付、要求の一覧、自分の時系列メモがあれば足ります。
よくある質問
Q. 不倫が事実なら、脅されても警察は相手にしてくれませんか?
脅迫が成り立つかどうかは、告げられた内容と状況で決まり、不倫が事実かどうかとは別です。刑法222条は、名誉などに害を加える旨を告げることを対象にしています。事実を認めるかどうかを迷っていても、脅しの文面と日時を持って相談することはできます。
Q. 会社にばらされたら、解雇されますか?
知られただけで自動的に解雇になるわけではなく、会社が懲戒や解雇をするかどうかは、就業規則の定めと、行為の性質・事情で変わります。労働契約法は、懲戒(15条)も解雇(16条)も、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は無効としています。私生活の行為がどう扱われるかは会社ごとに違うため、就業規則の懲戒の章を読み、弁護士にも確かめてください。
Q. 「慰謝料を払わなければ会社に連絡する」と言われました。払うべきですか?
慰謝料の請求は、正当な権利として認められる場合があります。けれども、払わなければ会社に知らせると迫る言い方は、脅迫や恐喝の問題になりうるため、請求の中身と言い方を分けて考える必要があります。支払いの約束やサインは、その場でせず、記録を持って弁護士に相談してください。
出典・参考にした公的な情報
- 刑法 第222条・第223条・第233条・第234条・第249条・第250条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 労働契約法 第15条・第16条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 犯罪被害者白書 資料9 相談・支援窓口(令和7年4月現在)(警察庁)
- 法テラス・サポートダイヤル(法務省)
- まもろうよ こころ 電話相談(#いのちSOS・よりそいホットライン)(厚生労働省)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。