#9110とは?浮気・不倫のトラブルで警察に相談できること
#9110(警察相談専用電話)は、緊急の対応を必要としない、警察への相談全般を受ける全国共通の番号です。かけた場所を管轄する都道府県警察につながり、受付は平日の8時30分から17時15分が基本ですが、各都道府県警察で異なります(警察庁「犯罪被害者白書」資料9、令和7年4月現在)。浮気・不倫のことで警察に相談できるのは、脅し、つきまとい、押しかけ、暴力、画像の拡散など、犯罪になりうる行為が起きているときです。不倫があったか、慰謝料をどうするか、離婚するかは、警察が決める話ではありません。
状況別の窓口です。
- 命や身体に危険が迫っている、相手が目の前にいる:110番(24時間)
- 緊急ではないが、脅しやつきまといが続いている:#9110(受付時間は都道府県警察ごとに異なり、夜間・休日は当直や音声案内)
- 画像のことで脅されている:性犯罪被害相談電話 #8103(24時間・通話無料)
- 配偶者から暴力を受けている:DV相談+ 0120-279-889(電話は24時間。チャットは12時〜22時)
番号の全体は浮気・不倫の相談先一覧:悩み別の窓口と番号・受付時間の早見表で確かめられます。
#9110・110番・警察署は、何が違うのか
110番は命や身体の危険が迫っているときの通報、#9110は緊急ではない相談、最寄りの警察署や交番は資料を見せながらの相談や被害の届出、という分担です。場面ごとの使い分けの表と、110番で伝える内容は不倫で脅迫されたとき:110番と#9110の使い分けと最初にすることにあります。この記事は、#9110に電話してから先に何が起きるかに絞ります。
#9110に特有の点は3つです。
- かけた場所を管轄する警察本部の総合窓口につながる。 引っ越してきたばかりでも、いま電話をかけている場所の警察本部が出ます。
- 受付は平日の8時30分から17時15分が基本。 夜間・休日は当直や音声案内になるので、夜に急ぎの危険があるなら110番です。
- 通話料の記載は、警察庁の資料にない。 無料とは言えないため、かけるときは通話料がかかるものとして考えます。
最寄りの警察署へ行く場合は、先に電話で日時と持ち物を聞いておくと、その日に話が進みやすくなります。
警察庁の資料によると、令和7年(2025年)に全国の警察が取り扱った相談は276万8,438件で、そのうち「家庭・職場・近隣関係」の相談は28万1,726件でした。身近な人間関係のトラブルで警察に相談する人は、決して少なくありません。同じ年に警察が受けた相談等は、配偶者からの暴力事案が9万8,289件、ストーカー事案が2万2,881件(警察庁)で、浮気・不倫をきっかけにした揺さぶりも、こうした窓口で扱われる場合があります。
浮気・不倫のトラブルで、相談できる場面とできない場面
警察の役割は、警察法2条に書かれたとおり、犯罪の予防・鎮圧・捜査、個人の生命・身体・財産の保護などです。この範囲に入る行為かどうかで、相談できるかどうかが分かれます。
| 場面 | 警察に相談 | 関わる法律の例 | あわせて考える窓口 |
|---|---|---|---|
| 「会社にばらす」「家族に言う」と脅された | できる | 刑法222条(脅迫)、223条(強要) | 弁護士。「会社にばらす」と言われたとき |
| 別れた不倫相手がつきまとう、何度も連絡してくる | できる | ストーカー規制法2条・4条(警告) | 別れた不倫相手のストーカー行為に悩んだら |
| 家や職場に押しかけられた、帰ってと言っても居座られた | できる | 刑法130条、234条 | 緊急なら110番 |
| 性的な画像で脅された、ネットに載せられた | できる | 私事性的画像記録提供等被害防止法 | #8103、リベンジポルノの被害・脅しにあったら |
| 配偶者に暴力を受けた | できる | DV防止法ほか | DV相談+、#8008 |
| 浮気の証拠を集めたい、尾行したい | 調査はしてもらえない | - | 探偵、弁護士 |
| 不倫の慰謝料を請求したい、払いたくない | 金額や請求の判断はしない | 民法709条・710条 | 弁護士、法テラス |
| 離婚したい、子どもの親権を決めたい | 話し合いは扱わない | 民法 | 弁護士、家庭裁判所 |
つまり、警察に相談できるかどうかは、浮気や不倫という「出来事」で決まるのではなく、その周りで起きている「行為」で決まります。「不倫された」だけでは相談の対象になりにくく、「不倫のことで脅されている」は相談の対象になります。
迷う場面もあります。たとえば、不倫相手の配偶者から慰謝料の請求書が届いたとき、請求の中身そのものは民事の問題です。ただ、請求書の文面に「会社に知らせる」といった言い方が混ざっていれば、その部分は警察への相談の材料になります。請求と脅しを分けて見る目は、弁護士と一緒に持つのが安全です。
| 質問 | はい | いいえ |
|---|---|---|
| 命や身体の危険が迫っている | 110番 | 次へ |
| 脅す、つきまとう、押しかける、画像を使う、といった行為が起きている | #9110か最寄りの警察署 | 次へ |
| 金額・離婚・親権など、お金や手続きの話が中心 | 弁護士・法テラス・家庭裁判所 | 窓口の一覧で確認 |
かけ方と伝え方:電話の前に整えること
#9110に電話するときは、長く話せなくても、次の順で伝えると要点が届きます。
- 結論:「不倫のことで、相手から脅されています」「別れた相手がつきまとっています」
- いつから、どのくらいの頻度か
- 具体的に何をされたか(言葉、行動、場所)
- 保存してあるもの(メッセージ、着信履歴、写真など)
- 自分が望むこと(相談したい、被害を届けたい、注意してほしい、など)
文例:「不倫の関係だった相手から、別れ話のあとに、会社に知らせると何度もメッセージが届いています。この2週間で10回以上あり、画面を保存してあります。どうすればよいか相談したいです。」
持っていくものは、政府広報オンライン(取材協力:警察庁)が、ストーカー相談の際の持ち物として挙げているものが参考になります。日時・場所・状況のメモ、送られてきた物、着信履歴・メール・留守電、SNSのスクリーンショット、撮影した映像を、削除せずに持参します。不倫をしていた事実を話すことに抵抗があるかもしれません。ただ、脅しを受けた経緯を説明するのに必要な範囲で話せば足り、細部まで話す必要はありません。
相談のあと、警察で何が起こりうるかも知っておくと安心です。
- 相談・助言:まず話を聞いてもらい、被害を防ぐための助言を受けます。
- 警告・禁止命令(ストーカー規制法):つきまとい等が反復されるおそれがあるとき、警察本部長等が、被害者の申出または職権で警告できます(4条)。
- 被害の届出・告訴:被害を警察に申告するのが被害届、犯人の処罰を求める意思を示すのが告訴です。告訴は書面または口頭で、検察官か司法警察員にします(刑事訴訟法230条・241条)。名誉毀損のような親告罪では、犯人を知った日から6か月を過ぎると告訴できなくなります(同法235条)。
どの対応が取られるかは、内容と証拠で変わり、「相談すれば全件が同じ対応になる」わけではありません。ただ、相談の記録が残ること自体が、あとで状況が悪化したときの支えになります。
警察のあとに必要になる、ほかの窓口
警察は、犯罪にかかわる部分を扱います。その外側の問題は、別の窓口に分けて進めます。
- 暴力が続く、住まいを離れたい:DV相談+、配偶者暴力相談支援センター(#8008)。浮気を問い詰めたら暴力を受けた
- 脅しの中身を弁護士と確認したい:弁護士会、法テラス。弁護士の無料相談を使うには
- 気持ちがつらい:#いのちSOS 0120-061-338(24時間365日)、よりそいホットライン 0120-279-338(24時間)。浮気や不倫で死にたいほどつらいとき
- 110番と#9110の使い分けを事例で見たい:不倫で脅迫されたとき:110番と#9110の使い分けと最初にすること
#9110につながらないときは、最寄りの警察署に電話するか、直接訪ねてください。警察庁の案内では、携帯電話からも使えますが、ダイヤル回線と一部のIP電話では使えません。その場合は、警察庁の一覧に載っている、住んでいる地域の警察本部の相談窓口の番号に直接かけます。
よくある質問
Q. 夜や休日に#9110にかけたらどうなりますか?
警察庁の資料では、受付は平日の8時30分から17時15分が基本で、各都道府県警察で異なります。時間外は当直または音声案内で対応されます。命や身体の危険があるなら、時間にかかわらず110番です。夜に話したいだけなら、24時間つながる別の窓口(#いのちSOS、DV相談+など)があります。
Q. 浮気が本当にあったかを、警察に調べてもらえますか?
警察の仕事は、犯罪の予防・捜査や、個人の生命・身体・財産の保護など(警察法2条)です。不倫があったかどうかの調査、慰謝料の請求、離婚の話し合いは、その範囲に入らず、弁護士や家庭裁判所の領域です。脅迫やつきまとい、押しかけなど、浮気をめぐって起きた犯罪の疑いがある行為は、相談の対象になります。
Q. #9110と最寄りの警察署に行くのは、何が違いますか?
#9110は、かけた場所を管轄する都道府県警察本部の総合窓口につながる電話相談で、緊急ではない相談全般を受けます。警察署では、直接顔を合わせて資料を見せながら話せます。電話で状況を整理してから署に行く、署の相談窓口に電話して日時を決める、という使い方もできます。
出典・参考にした公的な情報
- 犯罪被害者白書 資料9 相談・支援窓口(令和7年4月現在)(警察庁)
- 警察相談専用電話「#9110」(各警察本部の相談窓口電話番号一覧)(警察庁)
- 令和7年における相談取扱状況について(警察庁)
- 警察法 第2条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 刑事訴訟法 第230条・第235条・第241条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 刑法 第130条・第222条・第223条・第230条・第234条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- ストーカー行為等の規制等に関する法律 第2条・第4条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- ストーカー規制法の概要・相談の際の持ち物(政府広報オンライン)(内閣府)
- 悩みがある方・困っている方へ 電話相談窓口(#いのちSOS・よりそいホットライン)(厚生労働省)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。