不倫で脅迫されたとき:110番と#9110の使い分けと最初にすること
不倫や浮気のことで「ばらす」「家族に言う」「払わなければ許さない」と脅されて怖いとき、最初に見る分かれ道は一つです。いま命や身体に危険が迫っているなら110番。そこまでではなく、これからどうすればよいか相談したいなら、#9110(警察相談専用電話)か最寄りの警察署です。この記事は、その使い分けと、返事をする前にやることを順に示します。
- 危険が迫っている:110番(24時間)
- 緊急ではない相談:#9110。受付時間は都道府県警察ごとに異なり、時間外は当直や音声案内で対応されます
- 脅してくる相手が配偶者で、暴力もある:浮気を問い詰めたら暴力を受けた:DVの相談窓口と安全のための準備に先に進んでください
ほかの窓口の番号と受付時間は浮気・不倫の相談先一覧:悩み別の窓口と番号・受付時間の早見表にまとめています。
110番と#9110を、場面で分ける
110番は、事件や事故が起きているとき、また目の前に危険が迫っているときの通報用です。#9110は、緊急の対応を必要としない警察への相談全般を受ける窓口で、受付は平日の8時30分から17時15分が目安です。都道府県警察によって異なり、土日祝や時間外は、一部を除いて当直か音声案内で対応されます(警察庁の犯罪被害者白書の資料による)。
| いまの場面 | 先に使う窓口 |
|---|---|
| 相手が家や職場の前にいる、刃物や暴力をほのめかされた | 110番 |
| 「今から行く」と言われ、身の危険を感じる | 110番 |
| 「会社にばらす」と何度もメッセージが来るが、いまは安全な場所にいる | #9110、または最寄りの警察署 |
| 金銭を要求されている。払うべきか分からない | #9110、警察署。支払いの前に相談する |
| 性的な画像をばらまくと言われた | #9110に加え、性犯罪被害相談電話(#8103) |
| 配偶者から暴力と脅しを受けている | 110番(緊急時)、DV相談+、DV相談ナビ(#8008) |
身の危険を感じるなら、迷わず110番を使ってください。#9110が平日の日中が基本で、夜間は当直や音声案内になる点だけは覚えておいてください。夜中に不安が強まったときは、24時間つながる#いのちSOSやよりそいホットライン、暴力が絡むならDV相談+の電話(24時間)があります。番号の正本は浮気・不倫の相談先一覧です。
- 目の前に危険がある、暴力や押しかけが起きている → 110番
- 危険は迫っていないが脅しが続いている → #9110か最寄りの警察署(平日の日中が目安)
- 夜間や休日で不安が強い → 当直や音声案内の案内に従う。暴力が絡むなら DV相談+(電話は24時間)
- 迷う → 110番で状況を伝え、聞き取りに答える
「脅された」は法律でどう扱われるか
刑法222条は、本人または親族の生命・身体・自由・名誉・財産に害を加える旨を告げて脅迫した者を、2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金としています。「会社にばらす」「家族に言いふらす」「ネットに晒す」という言葉は、名誉に害を加える旨の告知に当たりうるものです。「会って話さなければ家族に言う」のように、義務のないことをさせようとして脅した場合は強要(223条)、脅して金を払わせた場合は恐喝(249条)が問題になります。
注意したいのは、これらが当てはまるかどうかは、実際の言葉と状況で警察や裁判所が判断するという点です。慰謝料を請求する権利そのものは法律で認められており、請求の書面が届いたことだけで脅迫とは言えません。一方で、事実であっても公然と人の不倫を広めれば、名誉毀損(230条)になりえます。「本当のことだから」で済むとは限りません。
自分が不倫をした側であっても、脅されてよいことにはなりません。罪を犯したかどうかと、脅迫を受けたかどうかは、別々に判断されます。
返事をする前にやること
- 安全な場所に移る。 相手が近くにいるおそれがあるなら、人のいる場所や自宅の中の安全な部屋で連絡を取る。
- 返信・支払い・会う約束を保留する。 相手の期限に合わせる必要はありません。「確認して連絡する」とだけ返すか、返さずに相談先に聞きます。一人で会いに行くことは避けます。
- 届いたものを消さずに残す。 メッセージ、メール、留守番電話、着信履歴、送られてきた物は削除しません。
- 日時と言葉をメモする。 電話や対面で言われたことは、思い出せるうちに日付・時刻・場所・言葉をそのまま書きます。
- 窓口に連絡する。 記録を持って#9110か警察署へ。
警察に相談するときは、日時・場所・状況のメモ、送られてきた物、着信履歴・メール・留守番電話、SNSの画面保存などを、削除せずに持っていくと状況を伝えやすくなります。保存のしかたとして、画面を撮るだけでなく、相手の名前や表示、日時が一緒に写るようにしておくと、後で見返したときに誰からいつ届いたかが分かります。
記録の例
10月12日 21時過ぎ、〇〇から電話。「払わなければ会社に言う」と言われた。通話は約3分。着信履歴を画面保存した。
このくらいの短さで構いません。感情の整理ではなく、後から事実を伝えるための記録として書きます。
警察に相談するときに伝えること
- 誰から、いつから、どんな手段で脅されているか
- 脅しの内容(何をすると言われているか、何を要求されているか)
- 相手との関係(配偶者、不倫相手、不倫相手の配偶者など)。話しにくくても、危険の程度を判断する材料になります
- 家族や職場に知られたくない事情があること、連絡してよい時間と手段
- 持参した記録の種類
警察署や警察本部の窓口の受付時間は都道府県ごとに違うので、いま危険が迫っているなら110番を使ってください。脅しの内容によって、どの制度で対応するかは担当者が判断します。
暴力・つきまとい・画像が絡むとき
脅しの背景によって、見るべき記事が変わります。
- 暴力がある:浮気を問い詰めたら暴力を受けた:DVの相談窓口と安全のための準備。配偶者暴力相談支援センターやDV相談+が使えます
- 「会社にばらす」と言われている:「会社にばらす」と言われたとき:不倫の脅しへの対応と相談先
- 別れた不倫相手につきまとわれている:別れた不倫相手のストーカー行為に悩んだら:警察への相談と記録
- 性的な画像を握られている:リベンジポルノの被害・脅しにあったら:削除の相談先と警察への届け出
- #9110でできることを詳しく知りたい:#9110とは?浮気・不倫のトラブルで警察に相談できること
暴力から逃げる準備はDVから逃げる準備:持ち出すもの・相談先・住所を知られない手続きに、裁判所に申し立てる命令は保護命令とは?配偶者からの暴力で申し立てる手続きと相談先にあります。
お金や示談の話は、警察とは別の問題です。慰謝料の請求や支払いを巡る交渉は、弁護士の仕事です。弁護士会の法律相談センターの使い方:予約・費用・離婚相談の流れで、予約の仕方と準備を確認できます。警察は脅しの被害に対応し、弁護士は金銭や示談の話に対応する、という分担になります。
よくある質問
Q. 慰謝料の請求書が届いたのですが、これも脅迫ですか?
書面で金額や期限を示して請求すること自体と、会社や家族にばらすと告げて迫ることは、分けて考えます。脅迫罪は、生命・身体・自由・名誉・財産に害を加える旨を告げた場合を対象にしています。どちらに当たるかは文面と状況で変わるため、届いた書面や画面をそのまま弁護士会の相談や警察に見せて確かめてください。
Q. 相手に返信せず無視してよいですか?
返すかどうかは、警察や弁護士に相談してから決めても遅くありません。急かされて返信すると、やり取りが増えて記録が混ざったり、相手の要求が強まったりすることがあります。届いた内容は消さずに残しておき、返信の要否そのものを相談先に聞いてください。
Q. 警察に相談すると、不倫のことが家族や職場に伝わりませんか?
相談のとき、家族や職場に知られたくない事情があることを最初に伝え、連絡方法を決めておくことができます。電話をかけてよい時間帯や、自宅に連絡が行かない方法は、担当者と相談して決めてください。
出典・参考にした公的な情報
- 刑法 第222条・第223条・第230条・第249条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 犯罪被害者白書 資料9 犯罪被害者等に対する相談窓口(警察相談専用電話(警察庁)
- DV相談について(DV相談ナビ・DV相談+)(内閣府男女共同参画局)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。