子どもと親権 / Q&A

離婚後の子供の苗字はどうなる?変えるときの家庭裁判所の手続き

この記事のもくじ
  1. 離婚で子供の苗字が自動では変わらない理由
  2. 手続の流れ:家庭裁判所の許可から入籍届まで
  3. 家庭裁判所への申立て:誰が・どこへ・いくらで
  4. 許可が出たあとの入籍届:どこへ・何を添えて
  5. 子どもの苗字を変えるときに考えておくこと

離婚しても、子どもの苗字は自動では変わりません。親が結婚前の苗字に戻っても、子どもは離婚前の苗字のままです。子どもを親と同じ苗字にしたいときは、家庭裁判所に「子の氏の変更許可」を申し立て、許可が出たら市区町村に入籍届を出す、という二段階の手続になります。費用は子ども1人につき収入印紙800円分と連絡用の郵便切手です。

離婚で子供の苗字が自動では変わらない理由

民法767条1項は、婚姻によって氏を改めた夫または妻は、協議離婚で婚姻前の氏に戻ると定めています。変わるのは夫または妻の氏で、子の氏ではありません。子の氏を別に定めているのが民法791条で、子が父または母と氏を異にする場合には、子は家庭裁判所の許可を得て、戸籍法の定めに従って届け出ることで、その父または母の氏を称することができるとしています。

つまり、親が離婚して旧姓に戻っても、子どもが親と同じ苗字になるためには、手続が必要です。変更先は「その父または母の氏」で、自由に選んだ新しい苗字にする手続ではありません。

親が離婚後も結婚中の苗字を使い続けたいとき(婚氏続称)は、離婚の日から3か月以内に戸籍法の届出をします(民法767条2項)。この期限は、親自身の苗字の話で、子の氏の変更とは別の手続です。離婚後の手続の全体は離婚後の手続き一覧:戸籍・氏・保険・年金・手当の順番で確かめられます。

手続の流れ:家庭裁判所の許可から入籍届まで

手続の流れ:子の氏の変更
順番 手続 窓口 費用・期限
① 離婚後の親の苗字を決める 旧姓に戻るか、婚氏続称にするか 市区町村 婚氏続称は離婚の日から3か月以内(民法767条2項)
② 子の氏の変更許可の申立て 申立書と戸籍謄本を出す 子の住所地の家庭裁判所 収入印紙800円分(子1人)+郵便切手
③ 家庭裁判所の許可(審判) 許可の審判書が出る 家庭裁判所 許可後は入籍届へ進む
④ 入籍届 許可の審判書の謄本を添えて届け出る 市区町村の戸籍窓口 戸籍法98条・38条2項
⑤ 周りへの連絡 学校・園・医療機関・保険などへ苗字の変更を伝える 各窓口 ―

家庭裁判所の許可が出ただけでは、戸籍の氏は変わりません。入籍届を出して初めて、子が親の氏を称する戸籍の記載になります。

家庭裁判所への申立て:誰が・どこへ・いくらで

裁判所の案内(子の氏の変更許可)によると、申立ての基本は次のとおりです。

項目 内容
申立人 子ども本人。15歳未満のときは法定代理人が代わって申し立てる
申立先 子の住所地の家庭裁判所(複数の子の場合は、そのうち1人の住所地でよい)
費用 収入印紙800円分(子1人につき)。ほかに連絡用の郵便切手(裁判所ごとに異なる)
主な書類 申立書、子の戸籍謄本(全部事項証明書)、父・母の戸籍謄本(離婚の場合は離婚の記載があるもの)
追加の書類 手続の中で親権行使者が指定されている場合は、その書面(審判書謄本と確定証明書、または調停調書謄本など)。審理に必要な場合は、追加の書類を求められることがある

手数料が調停の1,200円ではなく800円なのは、子の氏の変更許可が「家事事件手続法別表第一」の審判に当たるためです。調停と違い、相手方と話し合って合意をつくる手続ではなく、子どもの氏の変更を家庭裁判所に許可してもらう手続です。

共同親権の場合の連名の扱い:2026年4月1日に施行された民法改正(令和6年法律第33号)で、離婚後に父母の双方を親権者とすることができるようになりました。裁判所の案内は、共同親権の場合は、原則として父母が連名で申し立てるとしています。父母の協議が調わないときは、親権行使者の指定の手続が考えられるとされ、裁判の手続で親権行使者が指定されている場合は、その一方が単独で申し立てられます。

法務省のQ&A(民法編)は、氏の変更や養子縁組は子の身分関係に関する行為であり、「監護及び教育に関する日常の行為」には当たらないとしています。共同親権を選んだ場合に、子の氏の変更を一方の親だけで進めることは、原則としてできません。共同親権の仕組みは共同親権とは?2026年4月施行の仕組みと選ぶときの考え方で、親権者の決め方は親権とは?2026年4月からの共同親権・単独親権の決め方で説明しています。

許可が出たあとの入籍届:どこへ・何を添えて

戸籍法98条1項は、民法791条1項から3項によって父または母の氏を称しようとする者は、その父または母の氏名と本籍を届書に記載して届け出なければならないと定めています。これがいわゆる入籍届です。

  • 届出先:戸籍法25条1項は、届出は届出事件の本人の本籍地または届出人の所在地でしなければならないと定めています。つまり、子の本籍地の市区町村のほか、届出人が住んでいる市区町村の窓口でも受け付けられます。
  • 添える書類:戸籍法38条2項は、届出事件について裁判または官庁の許可を必要とするときは、届書に裁判または許可書の謄本を添付しなければならないと定めています。家庭裁判所の許可の審判書の謄本が、この書類にあたります。
  • 届書に書く内容:親の氏名と本籍(戸籍法98条1項)。ほかの記載事項や必要な本人確認書類は、窓口で確かめます。

戸籍法98条には、婚氏続称の届出(離婚の日から3か月以内、民法767条2項)のような数字の期限は書かれていません。ただし、許可が出ても入籍届を出すまでは子の戸籍の氏は変わらないので、許可の審判書を受け取ったら、早めに戸籍窓口へ届け出るのが現実的です。提出の時期の扱いは、窓口に確かめてください。

子どもの苗字を変えるときに考えておくこと

  • 子どもの気持ち:苗字が変わると、学校や友だちの間で理由を聞かれることがあります。年齢に応じて、事前に話しておくと安心です。話し方は離婚を子供にどう伝える?年齢別の伝え方の例と避けたい言葉を参考にしてください。
  • 変更のタイミング:転校や進級のタイミングと合わせるかどうか。転校する場合の手続は離婚・別居で子供が転校するとき:手続きと学校への伝え方にまとめています。
  • あとで戻すこと:民法791条4項は、この手続で氏を改めた未成年の子は、成年に達した時から1年以内に戸籍法の定めに従って届け出れば、従前の氏に戻れるとしています。
  • 周りへの連絡:学校・保育園・習い事・医療機関・預貯金・保険などで、苗字の変更を連絡する先を書き出しておきます。

離婚前後に子どもに関して決めることの全体は、浮気と子供:影響を小さくするために親ができることと決めることで確かめられます。離婚届を出す前の注意は離婚届の書き方と出し方:証人・親権の欄で注意することにあります。

よくある質問

Q. 親が旧姓に戻ると、子供の苗字も一緒に変わりますか?

変わりません。民法767条が離婚で婚姻前の氏に戻ると定めているのは夫または妻で、子の氏は別に791条が定めています。子の氏を親と同じにしたいときは、家庭裁判所の許可を得たうえで、入籍届を出す手続が要ります。

Q. 子供が15歳以上の場合、本人が申し立てますか?

申立人は子ども本人で、15歳未満のときは法定代理人が代わって手続します(民法791条3項、裁判所の案内)。15歳以上であれば、子ども自身が申立人として手続を進めることになります。

Q. 離婚前の別居中でも、子供の苗字を変えられますか?

父母が婚姻している間は、子が父母の氏を称する場合に家庭裁判所の許可は要りません(民法791条2項)。離婚前に「親の苗字に変える」手続が必要になる場面は多くありません。まず離婚後の苗字を決め、子の氏が親と異なる状態になるときに、この記事の手続を使います。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

離婚・別居で子供が転校するとき:手続きと学校への伝え方

離婚後の手続き一覧:戸籍・氏・保険・年金・手当の順番

親権とは?2026年4月からの共同親権・単独親権の決め方

浮気と子供:影響を小さくするために親ができることと決めること