親権とは?2026年4月からの共同親権・単独親権の決め方
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親権とは、未成年の子を育て、守り、子の財産を管理する、親の権利と義務をまとめた言葉です。民法818条1項は、親権は子の利益のために行使しなければならないとしています。2026年4月1日に施行された改正で、離婚後の親権者は、これまでの「父母のどちらか一方」から、**父母の「双方又は一方」**を選べる仕組みになりました。ただし、共同親権が原則になったわけではなく、どちらにするかは子の利益から個別に判断されます。この記事では、親権の中身、改正後の決め方、決めた後の変更の入口を、条文と法務省の資料で整理します。
親権とは:子の世話と財産管理をする、親の責任
親権の中身は、大きく2つに分けられます。
- 身の回りの世話と教育(監護・教育):食事や健康の世話、しつけ、学校の選択、子の居所を決めること、子が働くときの許可などです(民法820条〜823条)。
- 子の財産の管理と、財産に関する契約での子の代理:預金口座の開設や、契約を子に代わって結ぶことです(民法824条)。
婚姻中は、父母の双方が親権者で(民法818条2項)、親権は父母が共同して行います。離婚するとこの前提が変わるので、離婚のときに、離婚後の親権者を誰にするかを決める必要が出ます。
親権者かどうかは、戸籍に記録されます。住民票には記録されません(法務省Q&A)。
2026年4月の改正で何が変わったか
改正は、民法等の一部を改正する法律(令和6年法律第33号)によるもので、2026年4月1日に施行されました。離婚後の親権の決め方の変わった点は、次の表のとおりです。
| 項目 | 2026年3月31日まで | 2026年4月1日から |
|---|---|---|
| 協議離婚での親権者 | 父母のどちらか一方を定める | 父母の「双方又は一方」を協議で定める |
| 裁判で離婚するとき | 裁判所が一方を定める | 裁判所が「双方又は一方」を定める |
| 親権者の変更の請求者 | 子の親族 | 子自身または親族 |
| 親権の行使 | 離婚後は親権者が単独で | 双方が親権者なら共同が基本(日常の行為・急迫の事情は単独可) |
誤解されやすいのは、「共同親権が原則になった」という受け止め方です。法務省のQ&Aは、双方(共同)を原則、一方(単独)を例外とする関係ではなく、個別の事情に即して子の利益の観点から判断する、としています。また、子が複数いる場合は、子ごとに判断します。
改正は、施行前に離婚した人にも関係します。すでに離婚している父母も、施行後は、家庭裁判所に親権者の変更を申し立てて、双方を親権者とすることを求めることができます(法務省Q&A)。一方で、法定養育費など、施行前の離婚には適用されない新ルールもあります。数字をまとめた記事は離婚の法改正2026年4月施行の記事にあります。
親権者の決め方:協議・調停・審判・裁判
親権者は、離婚の方法に応じて、次のように決まります。
- 協議離婚:父母の話し合い。 双方か一方かを、協議で決めます(民法819条1項)。
- 話し合いがまとまらないとき:家庭裁判所。 家庭裁判所が、父または母の請求で、協議に代わる審判をします(同条5項)。離婚調停(夫婦関係調整調停)の中で親権者を話し合うこともできます。調停の申立ての費用は、収入印紙1,200円分と連絡用の郵便切手です(裁判所)。
- 裁判離婚:裁判所が定める。 離婚の判決の中で、裁判所が親権者を双方か一方と定めます(同条2項)。
離婚の届出を受理できる条件は、民法765条1項が定めています。未成年の子がいるときは、親権者の定めがされているか、親権者の指定を求める審判・調停の申立てがされていることが要ります。親権者を決める前に届出を先に出したいときの記載方法は、市区町村の窓口で確かめてください。
裁判所が双方か一方かを判断するときの物差し
裁判所は、子の利益のため、父母と子との関係、父と母との関係、その他一切の事情を考慮します(民法819条7項)。そのうえで、次のどちらかに当たるときなど、双方を親権者とすると子の利益を害すると認められるときは、父母の一方を親権者と定めなければなりません。
- 父または母が子の心身に害悪を及ぼすおそれがあると認められるとき
- 父母の一方が他方から身体への暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動を受けるおそれの有無、協議が調わない理由などを考慮して、父母が共同して親権を行うことが困難であると認められるとき
法務省のQ&Aは、この2つは例示で、これ以外でも子の利益のために単独親権とできること、DVは身体的なものに限らないこと、医師の診断書などの客観的な証拠が必須ではないことも述べています。DVや虐待の不安があるときの手続きは、窓口への相談を先にしてください(番号は浮気・不倫の相談先一覧の記事)。
条文には、浮気や不倫の有無を親権者を決める理由とする規定はありません。浮気との関係は浮気した親は親権をとれない?の記事で扱います。子どもの意見の扱いは、家庭裁判所が子の意思を把握するよう努め、15歳以上の子の陳述を聴かなければならない、というのが条文の形です(家事事件手続法第65条・第169条2項)。「子が選べる」という話ではありません。
共同親権にすると、親権の行使はどうなるか
双方が親権者の場合、親権は父母が共同して行います(民法824条の2第1項)。ただし、次の場合は一方が単独で行えます。
- 他方が親権を行うことができないとき
- 子の利益のため急迫の事情があるとき
- 監護および教育に関する日常の行為(同条2項)
「日常の行為」の例として、法務省のQ&Aは、食事や服装、健康診断、給食の手続き、学校行事への参加の同意、通常のワクチン接種、習い事などを挙げています。日常の行為に当たらない例は、転居(同じ学区内でも原則当たらない)、入学・退学・転学、長期留学、生命に関わる医療、氏の変更、養子縁組などです。協議が調わないときは、家庭裁判所に、特定の事項について一方が単独で行える旨を定めてもらえます(同条3項)。
また、親権者と別に、子の監護をすべき者(監護者)を父母のどちらかに定めることもできます。監護者は、子の監護・教育、居所の指定などを単独で行えます(民法824条の3)。共同親権を選ぶ際の考え方は共同親権とは?の記事で詳しく扱います。
決めた後に変えたいとき、親の責務と親子交流
親権者は、父母の合意だけでは変更できません。家庭裁判所の調停か審判が必要で、請求できるのは子自身またはその親族です(民法819条6項)。調停では、変更を希望する事情、現在の親権者の意向、これまでの養育状況、双方の経済力や家庭環境、子の年齢・就学の状況などの事情が聴かれます(裁判所)。申立ての費用は、収入印紙が子1人につき1,200円分です。流れは親権者変更の手続きの記事にあります。
親権がどちらにあっても、親の責務は変わりません。民法817条の12は、父母が子の人格を尊重し、年齢や発達に配慮して養育し、子が自己と同程度の生活を維持できるよう扶養することを求め、さらに、婚姻関係の有無にかかわらず、父母が互いに人格を尊重し協力することも定めています。離れて暮らす親と子の交流については、離婚時の協議で定め、まとまらなければ家庭裁判所が定めます(民法766条、817条の13)。
子どもへの虐待が心配なときは、児童相談所虐待対応ダイヤル 189 にかけると、近くの児童相談所につながります。別居を考えている場合の子どもの扱いは別居するとき子供をどうする?の記事に、浮気が子どもに与える影響とその小さくし方は浮気と子供の記事にあります。親権や子の問題を含む離婚の相談先の選び方は離婚の相談先の選び方の記事で確かめられます。
よくある質問
Q. 離婚後は共同親権が原則になったのですか?
いいえ。民法819条は、協議離婚では父母の協議で「双方又は一方」を親権者と定めるとしており、法務省のQ&Aも、双方を原則、一方を例外とする関係ではないと説明しています。どちらが認められやすいということもなく、子の利益の観点から個別の事情で判断されます。
Q. 親権者でなくなると、子どもの養育費を払わなくてよいのですか?
養育の責務は親権の有無で変わりません。民法817条の12は、父母が子を扶養する責務を定めています。親権者でない親も、子が自分と同程度の生活を維持できるように扶養する責務を負うので、養育費の取り決めは親権者とは別に行います。
Q. 離婚届を出すときに、親権者が決まっていないとどうなりますか?
民法765条1項は、夫婦間に成年に達しない子がある場合、離婚の届出は、①親権者の定めがされていること、または②親権者の指定を求める家事審判か家事調停の申立てがされていること、のいずれかを認めた後でなければ受理できないと定めています。決まらないうちに届を出したいときは、先に調停か審判を申し立てることになります。届出書への書き方は、戸籍の届出を扱う市区町村の窓口で確かめてください。
出典・参考にした公的な情報
- 民法 第766条・第817条の12・第817条の13・第818条・第819条・第824条・第824条の2・第824条の3(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 民法等の一部を改正する法律(令和6年法律第33号)について〔令和8年4月1日施行〕(法務省)
- 父母の離婚後等の子の養育に関する見直しQ&A(民法編)(法務省)
- 父母の離婚後等の子の養育に関する見直しQ&A(行政手続・支援編)(法務省)
- 家事事件手続法 第65条・第169条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 戸籍法 第76条(離婚の届出)(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 親権者変更調停(裁判所)
- 夫婦関係調整調停(離婚)(裁判所)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。