共同親権とは?2026年4月施行の仕組みと選ぶときの考え方
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共同親権とは、離婚した後も、父母の双方が親権者であることをいいます。2026年4月1日に施行された改正民法で、協議離婚でも、父母の協議で「双方又は一方」を親権者に選べるようになりました(民法819条1項)。選べるようになっただけで、共同親権が標準になったわけではありません。この記事では、共同親権で父母が一緒に決めること、一方で決められること、子が行き来するわけではない点、選ぶときに考えたい項目を整理します。
共同親権で変わるのは「決め方」:父母が共同して親権を行う
共同親権のもとでは、親権は父母が共同して行うのが基本です(民法824条の2第1項)。婚姻中は父母の双方が親権者でしたから、離婚した後も、その形が続くイメージです。「共同して行う」とは、双方が署名や押印をそろえる必要があるという意味に限りません。法務省のQ&Aは、黙示の同意も含まれる趣旨だと説明しています。
大事な点は、次の3つです。
- 共同親権は、養育の時間の分け方とは別の話です。一緒に暮らす時間の長さは、親権の形とは別に、子の利益から決まります。
- 共同親権でも、日々の世話は同居して養育している親が単独で動けます。
- 親権の形(共同か単独か)と、養育費や親子交流の取り決めは、別々に定めます。法務省のQ&Aも、親子交流の頻度や養育費の額は、親権の形とは別に子の利益を基準に決まるとしています。
一緒に決めること、一方で決められること
どの場面で父母の合意が要るのかは、民法824条の2が3つの例外を置いて、振り分けています。例外に当たれば一方が単独で行えます。
| 区分 | 具体例 | 決め方 |
|---|---|---|
| 日常の行為 | 食事・服装、健康診断、給食の手続き、学校行事への参加の同意、国内の短期旅行、通常のワクチン接種、習い事、高校生のアルバイト | 一方が単独でできる(別居親にも認められる) |
| 急迫の事情 | DV・虐待からの避難、緊急の医療行為、入学手続の期限が迫っている場合 | 一方が単独でできる |
| 共同で決める事項 | 転居(同じ学区内でも原則)、入学・退学・転学、長期留学、生命に関わる医療、長期勤務の就職、子の財産管理、氏の変更、養子縁組 | 父母が協議して決める |
学校との関係では、学校が、父母の双方を名宛人とする明示の依頼がない限り、父母の一方を名宛人としてよいとされています。就学校の変更のような共同で決めるべき事項は、全ての親権者の共同の意思が必要です(法務省Q&A・行政手続・支援編)。
意見が割れたときの手続き:家庭裁判所に決めてもらう
共同で決めるべき特定の事項で父母の協議が調わず、子の利益のため必要があるときは、家庭裁判所が、一方が単独で行える旨を定められます(民法824条の2第3項)。これは親権行使者の指定と呼ばれる手続きで、離婚の前の別居中にも、離婚した後にも使えます。裁判所のQ&Aが示す要点は、次のとおりです。
- 対象は、「居所の決定」「在学契約の締結」「心身に重大な影響を与える医療行為」のように具体的な事項です。「子の教育一般」のような広い定め方では、指定の対象になりません。
- 特定の事項の親権行使者を、私的な文書(公正証書を含む)で定めることは想定されていません。家庭裁判所の手続きが必要です。
- 受験のように期限が迫る場合は審判の申立てが考えられ、二、三か月程度で結論が出ることもあります。ただし、重大な事項は調停で話し合うのが望ましいとされ、調停に付されることもあるので、余裕を持って申し立てます。
このほか、子がどちらの親と暮らすか、教育を誰が担うかで折り合いがつかないときには、監護者の指定や監護の分掌の調停という方法もあります。親権者と、日々の養育を担う「監護者」を分けて考える視点は、親権と監護権の違いの記事で詳しく扱います。監護者に定められた親は、子の監護・教育や居所の指定などを単独で行えます(民法824条の3)。
共同親権を選ぶかどうかを考える材料
共同親権と単独親権のどちらがよいかは、この記事では優劣を決めません。裁判所が判断する場面でも、一方を原則とせず、子の利益から個別に見ます。父母の合意がないことだけを理由に、共同親権を一律に認めないわけでもありません(法務省Q&A)。話し合いで決めるなら、次の項目を、一つずつ具体的に確かめると考えが整理できます。
- 連絡と協議が続けられるか。 学校、医療、進路など、共同で決める事項が出たとき、現実に連絡をとり合って決められる関係かどうか。連絡の手段(メール、アプリなど)と返事の期限を決めておけるか。
- 暮らしの拠点と学区。 子の生活の拠点をどちらにするか、転居や転校のときにどう伝えるか。
- 養育費と親子交流。 取り決めを守る見込みがあるか。法務省のQ&Aは、養育費を長期間、合理的な理由なく支払わなかった事情は、共同親権への変更が認められない方向に働くと述べています。
- 相手の言動への不安。 暴言や人格否定の繰り返しは、共同して親権を行うことが困難と評価されうると、法務省のQ&Aは述べています。
- 子ども自身の気持ち。 子の意見は、適切な形で考慮されます。年齢に応じた伝え方は離婚を子供にどう伝える?の記事にあります。
暴力や脅しの不安があるとき、相手と協議すること自体が危険なときは、話し合いに進む前に窓口へ相談してください(DV相談ナビ #8008。一覧は浮気・不倫の相談先一覧の記事)。裁判所が判断する場面では、DVのおそれ、子の心身への害のおそれがあると認められるときは、単独親権としなければなりません(民法819条7項)。
浮気が離婚の原因のとき、共同親権の話はどう進むか
浮気を理由に離婚する場合でも、共同親権か単独親権かは、浮気の有無ではなく、子の利益から判断されます。条文に、浮気や不倫を理由に単独親権とする規定はありません。浮気した親の親権は浮気した親は親権をとれない?の記事で扱います。
実務では、離婚の協議書や調停調書に、次の項目を並べて決めておくと、後でもめにくくなります。
- 親権者(双方か一方か)と、監護者を誰にするか
- 子の住所と学校、転居や転校のときの連絡方法
- 医療や進路など、共同で決める事項と、その連絡の方法
- 養育費の額、支払日、払い方
- 親子交流の頻度、場所、受け渡しの方法
離婚の届出や、決めた後の変更を含む親権全体の説明は親権とは?2026年4月からの共同親権・単独親権の決め方の記事にあります。親権の選択は、将来、変えたいと思っても、家庭裁判所の手続きが必要になります。話し合いの前に弁護士へ相談するなら、離婚で弁護士に相談するタイミングの記事も参考にしてください。浮気が子どもに与える影響は浮気と子供の記事へ。
よくある質問
Q. 共同親権にすると、子どもは父母の家を行き来するのですか?
そうとは限りません。裁判所のQ&Aは、共同親権でも子を父母が交替で監護しなければならないわけではなく、子に関する全ての事項を父母が共同で決める必要もないと説明しています。法務省のQ&Aは、監護を分担して子が双方の家で養育されることも、基本的に父母の一方の家で養育されることもありうるとし、法務省のパンフレットは、平日は一方、土日祝日は他方が担当する定めや、週ごとの交互の監護を、監護の分担の例に挙げています。どの形にするかは、子の利益を最優先に別途定めます。
Q. 共同親権を選んだ後で、単独親権に変えられますか?
家庭裁判所に親権者の変更を申し立てる方法があります。民法819条6項は、子の利益のため必要があるときに、子またはその親族の請求で変更できると定めています。法務省のQ&Aは、共同親権とした後に虐待やDVの事実が分かった場合や、養育費が支払われない場合の扱いも取り上げているので、事情に近い項目を確かめてください。
Q. 共同親権だと、パスポートの申請は片方の親だけでできますか?
法務省のQ&A(行政手続・支援編)は、パスポートについて、双方の同意が必要という現行の取扱いが離婚後の共同親権でも同様で、同意しないときは不同意の書面を出せると説明しています。手続きの細部は、申請する旅券窓口で確かめてください。
出典・参考にした公的な情報
- 民法 第766条・第817条の12・第819条・第824条の2・第824条の3(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 民法等の一部を改正する法律(令和6年法律第33号)について〔令和8年4月1日施行〕(法務省)
- 父母の離婚後等の子の養育に関する見直しQ&A(民法編)(法務省)
- 父母の離婚後等の子の養育に関する見直しQ&A(行政手続・支援編)(法務省)
- 父母の離婚後等の子の養育に関する見直しパンフレット(法務省)
- 裁判所 よくある質問(家事事件)(裁判所)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。