審判離婚とは?調停に代わる審判が出たときの異議と2週間のルール
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調停に代わる審判は、調停が成立しない場合に、家庭裁判所が職権で出す解決案となる判断です。離婚の事件で出たときは、当事者のどちらかが告知から2週間以内に異議を申し立てれば、審判は効力を失います。異議を出さずに期間が過ぎると、確定判決と同じ効力を持ちます。「審判離婚」という言葉で調べる人の多くは、この手続の流れと、届いたときに何をすればよいかを知りたいはずなので、条文の順に整理します。
調停に代わる審判とは:調停が成立しないときの裁判所の判断
家事事件手続法284条1項は、調停が成立しない場合に相当と認めるときは、家庭裁判所が、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を考慮して、職権で、事件の解決のために必要な審判をすることができると定めています。これが「調停に代わる審判」です。調停委員会で調停をしていたときは、審判の前に調停委員の意見を聴かなければなりません(同条2項)。審判では、金銭の支払いなどの財産上の給付や、子の引渡しを命じることもできます(同条3項)。
調停に代わる審判は、ほかの「審判」と混同されやすいので、区別しておきます。
| 名前 | どんな場面か | 異議・不成立の後 |
|---|---|---|
| 調停に代わる審判(284条) | 調停が成立しないとき、裁判所が職権で出す | 2週間以内の異議で効力を失う。離婚は訴えを起こす道へ |
| 別表第二の事項の審判(婚姻費用・養育費・財産分与・親権者変更・親子交流) | 調停が不成立になったとき、自動で始まる審判手続 | 審判の結果に不服があれば、2週間以内の即時抗告(86条) |
| 合意に相当する審判(277条) | 認知など。離婚と離縁の訴えは対象外 | 離婚には使われない |
離婚の調停で出る審判は、一番上の「調停に代わる審判」です。婚姻費用などの調停が不成立になったときの流れは離婚調停が不成立になったらで整理しています。離婚の手続の種類をまとめて比べたいときは、離婚の方法は4種類が入口です。
異議の流れ:2週間で効力を失う
審判を受け取った当事者は、審判の内容に不服があれば、家庭裁判所に異議を申し立てられます(286条1項)。その後の流れを時系列にします。
| 時点 | 起きること | 根拠 |
|---|---|---|
| 審判の告知を受けた日 | 異議の期間(2週間の不変期間)が進み始める | 286条2項(279条2項・3項の準用) |
| 2週間以内に異議なし | 確定判決と同じ効力を持つ。離婚の内容が定まる | 287条 |
| 2週間以内に適法な異議あり | 審判は効力を失い、家庭裁判所が当事者に通知する | 286条5項 |
| 異議が期間を過ぎるなどで不適法 | 家庭裁判所が異議を却下する。却下には即時抗告ができる | 286条3項・4項 |
| 失効の通知を受けた日から2週間以内に訴え | 調停を申し立てた時に訴えたものとみなす | 286条6項 |
最後の行は、調停不成立のときの2週間のルール(272条3項)と同じ考え方です。この訴えの手数料は、調停の申立てで納めた額に相当する分を納めたものとみなす扱いがあります(民事訴訟費用等に関する法律5条1項。離婚の調停なら1,200円分)。訴えに進むときの流れは離婚裁判の流れ、費用は離婚裁判の費用にあります。
離婚の審判の特徴:共同の申出ができず、取下げもできない
離婚の調停の審判には、ほかの調停にはない特徴が2つあります。
- 共同の申出が使えない:離婚・離縁以外の調停では、当事者が書面で「調停に代わる審判に服する」と共同で申し出ると、異議を出せなくなります(286条8項から10項)。離婚の調停はこの対象から外れているので、離婚の審判には、どちらの側にも異議の道が残ります。
- 審判の後は、調停の申立てを取り下げられない:285条1項の定めです。審判が出たら、続けるか、異議を出すかを選ぶことになります。
なお、審判の告知は公示送達(掲示によって届いたことにする方法)ではできず、告知できないときは審判は取り消されます(285条2項・3項)。相手方が所在不明の場合には、この手続は使えません。
数字で見る位置づけと、「審判離婚」の読み方
令和7年(2025年)に終わった婚姻関係事件57,491件のうち、「調停に代わる審判」で終わったものは5,090件で、8.9%でした(司法統計年報 家事編 第16表。割合は筆者の計算)。ほかの区分との並びは離婚の方法は4種類の表にあります。この表の「婚姻関係事件」は離婚以外の調停も含むので、離婚の調停の何割が審判で終わるかを示す数字ではありません。また、審判のうち異議が出された件数は、この表からは読み取れません。
司法統計の別の表では、「調停に代わる審判による審判離婚」という区分名が使われています。審判離婚は、この審判が確定して離婚が成立する場合を指す言い方、と受け取れば足ります。異議が出れば審判は失効するので、「審判が出た=離婚が決まった」ではありません。
審判書が届いたときの手順
- 告知を受けた日を記録する:2週間はこの日から進みます。審判書の到着日、受け取った日が分かる封筒や受領の記録を残します。
- 主文を読む:離婚するか、親権者は誰か、養育費、財産分与、慰謝料などの内容が、主文(結論部分)に書かれています。
- 受け入れるか、異議を出すかを決める:受け入れるなら異議を出さずに2週間を過ごします。異議を出すなら、家庭裁判所の案内に沿って期間内に提出します。方式や書式は、審判書に添えられた案内か、窓口で確かめます。
- 異議を出した場合は、訴えの準備に入る:離婚を求める側は、失効の通知から2週間以内に訴えを起こせば、調停の申立て時に訴えたものとみなされます。
- 早めに相談する:期間が短いので、弁護士に相談する時期は、審判書を受け取った直後が目安です。時期の考え方は離婚で弁護士に相談するタイミングにあります。
異議を出さずに離婚が成立したときは、市区町村への届出や、氏、戸籍、保険、年金の手続が続きます。一覧は離婚後の手続き一覧で確かめ、届出の期限と添付書類は、裁判所からの案内と市区町村の戸籍窓口で最新のものを見てください。離婚手続全体の地図は浮気・不倫が原因の離婚にまとめています。
よくある質問
Q. 審判離婚になれば、離婚はそのまま決まりますか?
決まりません。調停に代わる審判に対しては、当事者のどちらかが告知から2週間以内に家庭裁判所へ異議を申し立てると、審判は効力を失います(家事事件手続法286条5項)。異議がないまま期間が過ぎたときに、確定判決と同じ効力が生じます。
Q. 異議を出すときに、理由を書く必要はありますか?
合意に相当する審判の異議は理由が限られていますが、調停に代わる審判の異議は、条文上、理由に制限が書かれていません。提出の方式や書き方は、審判書に添えられる案内か、審判をした家庭裁判所の窓口で確かめます。
Q. 審判が出たあとで、調停の申立てを取り下げられますか?
できません。家事事件手続法285条1項は、調停に代わる審判がされた後は、調停の申立ての取下げをすることができないと定めています。続けるか異議を出すかを決める必要があります。
出典・参考にした公的な情報
- 家事事件手続法 第86条・第272条・第277条・第279条・第284条〜第287条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 民事訴訟費用等に関する法律 第5条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 家事調停の手続(調停に代わる審判・不成立の場合)(裁判所)
- 夫婦関係調整調停(離婚)(裁判所)
- 令和7年 司法統計年報(家事編)第16表(最高裁判所)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。