離婚裁判の費用:印紙・郵便料・弁護士費用の内訳と調べ方
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離婚裁判の費用は、裁判所に納める手数料(印紙)、郵便料、弁護士費用と実費の3つに分けて考えます。離婚だけを求める訴えの手数料は13,000円、離婚とあわせて請求する金銭の額を300万円とするなら20,000円です(裁判所の手数料額早見表の人事訴訟欄。慰謝料をあわせる場合は筆者の計算)。このうち、家庭裁判所に納める費用は公的に決まっていて自分で調べられますが、弁護士費用は事務所ごとに違い、公的な料金表がないので、見積もりを書面で取って比べます。
離婚裁判の費用は3つに分けて見る
| 費用 | 払う先 | 決まり方 | 調べ方 |
|---|---|---|---|
| 手数料(収入印紙) | 裁判所 | 訴額と手続の種類(人事訴訟か民事訴訟か)で法律が決める | 裁判所の手数料額早見表 |
| 郵便料 | 裁判所 | 裁判所ごとに違う。郵便切手か、保管金の電子納付 | 提出先の家庭裁判所 |
| 弁護士費用 | 依頼した弁護士 | 委任契約で決まる | 複数の事務所の見積もり |
| 実費 | 市区町村などの窓口 | 戸籍謄本の取得費、証拠のコピー代、交通費など | 各窓口の案内 |
調停から続けて訴えを起こす場合は、調停の申立てで収入印紙1,200円分と切手を納めています。調停側の費用は離婚調停の費用で扱っています。ここでは、訴えの段階の費用を順に見ます。
手数料(印紙代)の調べ方:離婚と慰謝料をあわせるときの額
手数料は、次の順に調べます。
- 訴額を決める:離婚のような財産権上の請求でない請求は、訴額を160万円とみなします(民事訴訟費用等に関する法律4条2項)。
- 慰謝料などの金銭の請求をあわせるか決める:離婚と、その原因となった事実による金銭の請求を一つの訴えでするときは、多いほうの額が訴額になります(同条3項)。
- 早見表の人事訴訟欄を見る:2026年5月21日から、地方裁判所・簡易裁判所に出す民事訴訟の手数料は書面と電子で額が分かれましたが、人事訴訟の欄は一つです。
- 附帯処分の加算を確かめる:財産分与や養育費などをあわせて求める場合は、加算が生じることがあります。裁判所の離婚訴訟の案内は、収入印紙の額を「請求内容により異なるので提出先の家庭裁判所に確認」と案内しているので、加算の額は提出先で聞きます。
- 調停で納めた分を引く:調停の不成立の通知から2週間以内に訴えるときは、調停の申立てで納めた手数料に相当する額は納めたものとみなされます(同法5条1項、家事事件手続法272条3項)。
| 求める内容(請求額は例) | 訴額 | 手数料 | 調停の1,200円分を差し引いた納付額 |
|---|---|---|---|
| 離婚のみ | 160万円(みなし) | 13,000円 | 11,800円 |
| 離婚+請求額を100万円とした場合 | 160万円(多いほう) | 13,000円 | 11,800円 |
| 離婚+請求額を200万円とした場合 | 200万円 | 15,000円 | 13,800円 |
| 離婚+請求額を300万円とした場合 | 300万円 | 20,000円 | 18,800円 |
| 離婚+請求額を500万円とした場合 | 500万円 | 30,000円 | 28,800円 |
手数料は裁判所の手数料額早見表(令和8年9月15日改訂)の訴えの提起欄・人事訴訟の列から読み、差引額は筆者の計算です。請求額が早見表の区切りの間にあるときの読み方は、提出前に家庭裁判所の窓口で確かめます。控訴のときの手数料は、同じ早見表の控訴の提起欄(人事訴訟)で、訴額160万円なら19,500円、300万円なら30,000円と読めます(筆者の読み取り)。
不倫相手だけを被告にして地方裁判所や簡易裁判所に出す慰謝料の訴えは、2026年5月21日以後は書面と電子で額が違う別の欄になります。古い解説にある「300万円なら印紙2万円」は、この場合には当てはまりません。内訳は不倫の裁判費用の内訳で見られます。
郵便料と実費:裁判所ごとに違う費用
郵便料は、裁判所からの書類の送付に使うもので、金額は裁判所ごとに違います。裁判所は、郵便切手で納めるほか、保管金としての電子納付も案内しています。提出先の家庭裁判所のページで、納め方と額を確かめます。
実費は、訴状に添える書類を集めるために市区町村などへ払う費用が中心です。夫婦の戸籍謄本、年金分割を求める場合の情報通知書(年金事務所などで請求します)、証拠書類のコピー(裁判所用と被告用で2部)、期日に通う交通費が挙がります。額は窓口によって違うので、事前に問い合わせます。
判決では、裁判所が訴訟費用の負担を決めます(民事訴訟法67条)。原則は負けた側が負担します(61条)。ただし訴訟費用の範囲は民事訴訟費用等に関する法律2条で決まっており、手数料、旅費・日当・宿泊料、書類の作成・提出の費用などが挙がる一方、自分で依頼した弁護士の報酬は、裁判所が選任を命じた場合を除き入っていません。裁判の流れは離婚裁判の流れにあります。
弁護士費用の内訳と、見積もりの比べ方
弁護士費用は、相談料、着手金(依頼するときに払う)、報酬金(結果に応じて払う)、実費、期日に出向く日当などで構成されるのが一般的です。額と計算の基準は、事務所と交わす委任契約で決まります。公的な料金表はなく事務所ごとに違うので、相場の数字ではなく、同じ条件で複数の事務所に見積もりを出してもらって比べます。
見積もりを比べるときの共通の項目(依頼の範囲、報酬金の基準、途中でやめたときの精算など)は離婚の弁護士費用にあります。訴訟に固有の点は、次の3つです。
- 判決まで進む場合と、和解で終わる場合の金額の差(和解でも報酬金が出るか)
- 控訴した場合に、着手金などが別にかかるか
- 判決のあとに相手が支払わないとき、強制執行の手続の費用が別になるか
見積もりの内訳は書面でもらい、項目ごとに質問すると食い違いを防げます。弁護士を選ぶときの確かめ点は離婚の弁護士の選び方にあります。
払えないとき・費用を抑えたいとき
費用が心配なときは、次の道があります。
- 調停で足りるかを考える:調停は収入印紙1,200円分と切手で申し立てられ、合意できれば訴えは不要です。進むかどうかの判断は離婚調停が不成立になったらで整理しています。
- 訴訟上の救助:訴訟の準備や追行に必要な費用を支払う資力がない人、または支払うと生活に著しい支障が出る人に、裁判所が手数料などの支払いを猶予する制度です。勝訴の見込みがないとはいえないときに限られます(民事訴訟法82条)。
- 法テラス:資力が十分でない人のために、代理人に支払う報酬と実費の立替えや、法律相談を行います(総合法律支援法30条1項2号)。「立替え」なので原則は返すお金で、「無料で頼める」制度ではありません。条件と使い方は法テラスで離婚の相談をするにはで確かめてください。
- 暴力を受けている疑いがあるとき:配偶者からの暴力の被害防止に関する法律相談は、法テラスの業務に含まれています(同条1項5号)。安全を先にする進め方はDVがあるときの離婚調停にあります。
裁判には時間もかかります。令和7年に終わった人事を目的とする訴えは、2年以内に終わったものが84.8%、3年を超えたものが3.6%でした(司法統計年報 家事編 第63表。筆者の計算。離婚以外も含む)。期間が延びれば、弁護士の日当や交通費が増えることもあるので、見積もりの段階で、期日が増えた場合の扱いを聞いておくと安心です。離婚手続の全体は浮気・不倫が原因の離婚にまとめています。
よくある質問
Q. 離婚裁判の印紙代は、慰謝料を請求すると高くなりますか?
離婚だけの訴えは、訴額を160万円とみなして手数料を決めます(民事訴訟費用等に関する法律4条2項)。慰謝料などの金銭の請求をあわせるときは、多いほうの額によります(同条3項)。請求額が160万円以下なら手数料は変わらず、300万円とした場合は早見表の人事訴訟欄で20,000円です(筆者の計算)。
Q. 裁判に勝てば、弁護士費用も相手に払ってもらえますか?
判決で負担が決まる「訴訟費用」の範囲は、民事訴訟費用等に関する法律2条に列挙されています。手数料、旅費や日当、書類の作成・提出の費用などが並ぶ一方で、自分で依頼した弁護士の報酬は、裁判所が選任を命じた場合を除き、項目に入っていません。
Q. 和解で終わったとき、費用は誰が負担しますか?
和解で費用の負担を特に決めなかったときは、各自が負担します(民事訴訟法68条)。和解の条項に、費用の扱いを書くかどうかは、和解を受ける前に確かめておきます。
出典・参考にした公的な情報
- 手数料額早見表(令和8年9月15日改訂)(裁判所)
- 手数料(訴えの提起等の手数料・額の考え方)(裁判所)
- 離婚訴訟(提出先・費用・必要書類)(裁判所)
- 民事訴訟費用等に関する法律 第2条・第4条・第5条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 民事訴訟法 第61条・第67条・第68条・第82条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 家事事件手続法 第272条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 総合法律支援法 第30条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 夫婦関係調整調停(離婚)(裁判所)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。