浮気の誓約書に違反されたら:違約金や離婚を考える前の整理
誓約書を書いたのに浮気が続いていた、と分かったときは、まず**「どの条項に、いつ、どう違反したか」を記録し、誓約書の原本を確かめる**ことから始めます。そのうえで、①誓約書に書いた違約金を求める、②誓約書の後の不貞行為について慰謝料を求める、③離婚を考える、の3つの道を分けて整理し、どれを選ぶかを弁護士に相談すると話が進みやすくなります。違反を知った直後に問い詰めて新しい念書を書かせたり、職場や周囲に知らせたりするのは、こちらが責任を問われるおそれがあるので避けてください。2度目の裏切りに気持ちが追いつかないのは自然なことで、今日すべてを決める必要はありません。
誓約書に違反されたら最初にすること
違反が分かった日から数日のうちにすることを、順番に並べました。
- 自分と子どもの安全を確かめる:問い詰めたときに相手が激しく怒ったことがあるなら、話し合いより先に距離を取ります。
- 誓約書の原本を取り出して読み直す:どの条項に当たるのか、違約金の定めがあるか、期間や例外(業務上の連絡など)が書かれていないかを確かめます。
- 違反の事実を記録する:いつ、何があり、どうやって知ったかを書き出します。書き方の型は浮気の記録ノートの付け方にまとめています。
- 記録と誓約書の写しを別の場所に保存する:原本をなくしたり、相手に処分されたりする事態に備えます。
- 相談の予約を入れる:違約金・慰謝料・離婚のどれを考えるにしても、弁護士に一度見てもらうと方針が立てやすくなります。
| 違反の例 | 誓約書のどこを見るか | 残す記録 |
|---|---|---|
| 浮気相手とまた会っていた | 関係の解消・接触禁止の条項 | 自分が見た日時・場所、自分あてに届いた連絡 |
| 連絡だけは取り続けていた | 接触禁止の範囲(電話・SNS・人を介した連絡など) | 気づいた経緯と日付。画面を見たならその状況 |
| 別の相手と浮気していた | 「誰とも不貞な関係を持たない」という条項があるか | 新しい相手と時期が分かる記録 |
| 職場で業務を超えて2人きりで会っていた | 業務上の連絡の例外の書き方 | 例外に当たらない事情(時間・場所・内容) |
記録を集めるとき、配偶者のスマホやSNSにパスワードを入れてログインするのは、不正アクセス禁止法が禁じる行為に当たるおそれがあります。自分で集めてよい範囲は浮気の証拠集めで違法になりうることで確かめてください。
違約金・慰謝料・離婚:3つの道の違い
誓約書に違反されたときに考える手段は、根拠も期限も別々です。どれか一つを選ぶ必要はなく、組み合わせて考えることもあります。
| 道 | 根拠 | 期限の考え方 | 主な相談先 |
|---|---|---|---|
| 違約金を求める | 誓約書での約束。違約金は賠償額の予定と推定される(民法420条) | 約束にもとづく債権として、一般に民法166条(知った時から5年・行使できる時から10年)で考える | 弁護士 |
| 慰謝料を求める | 不法行為(民法709条・710条)。配偶者と浮気相手は連帯して責任を負う(719条) | 損害と加害者を知った時から3年、行為の時から20年(724条) | 弁護士 |
| 離婚を考える | 協議離婚は理由を問わない(763条)。裁判では不貞な行為が理由の一つ(770条1項1号) | 期限はないが、慰謝料の時効とあわせて考える | 弁護士、家庭裁判所の手続案内 |
違約金については、極端に高い金額だと、公序良俗(民法90条)との関係で効力を争われることがあります。誓約書の条項そのものに不安があるときは、浮気の誓約書に効力はある?違約金や離婚の約束が問題になる場面を読んでから相談に行くと、聞くことを絞れます。慰謝料の請求の段階(話し合い・内容証明・調停・訴訟)は不倫慰謝料の請求方法で扱っています。
離婚を考える場合、話し合いでまとまらなければ、家庭裁判所の夫婦関係調整調停(離婚)を使えます。申立ての費用は収入印紙1,200円分と、連絡用の郵便切手(額は裁判所ごとに違います)で、調停の中で慰謝料についても話し合えます。裁判で離婚を求める場合、不貞な行為があっても、裁判所は一切の事情を考えて婚姻を続けるのが相当と認めれば請求を退けることができる(770条2項)ので、見通しは弁護士に確かめてください。全体の流れは浮気・不倫が原因の離婚にまとめています。
相手が配偶者か浮気相手かで変わる点
誓約書を書いたのが配偶者か浮気相手かで、考える順番が少し変わります。
| 違反した人 | 主に考えること | 気をつける点 |
|---|---|---|
| 配偶者 | 関係を続けるか、離婚を考えるか。違約金や慰謝料はその後に | 夫婦の一方が他方に持つ権利の時効は、婚姻の解消から6か月を経過するまでは完成しない(民法159条)。婚姻中や離婚から6か月の間に、配偶者への権利の時効が完成することはない |
| 浮気相手 | 違約金と、誓約書の後の不貞行為についての慰謝料 | 請求額が140万円以下なら簡易裁判所、超えると地方裁判所が第一審(裁判所法33条)。140万円以下の民事の争いは、認定を受けた司法書士も代理できる(司法書士法3条) |
| 両方 | 配偶者との今後と、浮気相手への請求を分けて考える | 配偶者と浮気相手の責任は連帯なので、どちらにいくら求めるかは弁護士と整理する |
誓約書を公正証書にしていて、違約金に強制執行認諾の文言がある場合は、違反という事実を文書で示して執行文を得たうえで、強制執行に進む流れになります。手続きは浮気の誓約書を公正証書にできる?公証役場でできること・できないことで扱っています。
違反を知った後に避けたい対応
裏切られた怒りから、相手を追い詰める行動に出たくなるのは無理もありません。ただ、次の行動は、こちらの立場を悪くするおそれがあります。
| 避けたい対応 | 問題になりうる点 | 代わりにすること |
|---|---|---|
| その場で新しい誓約書や念書に署名させる | 脅して書かせれば強要(刑法223条)、書面の取り消し(民法96条) | 記録を残し、書面のことは日を改めて考える |
| 「違約金を払わないと会社に言う」 | 脅迫(刑法222条)、払わせれば恐喝(刑法249条) | 請求は書面か弁護士を通す |
| 浮気相手のことをSNSや職場で広める | 名誉毀損(刑法230条)。事実でも問題になりうる | 誰にも広めず、相談先にだけ話す |
| 浮気相手の家に押しかける | 住居侵入・不退去(刑法130条) | 会う必要があるなら、人目のある場所で時間を決める |
| 配偶者のスマホに無断でログインして調べる | 不正アクセス禁止法3条 | 自分が見たこと、自分あての連絡だけを記録する |
相手から脅されたり、身の危険を感じたりするときは、書面の話より安全を先にしてください。連絡先は浮気・不倫の相談先一覧:悩み別の窓口と番号・受付時間の早見表にまとめています。
続けるか終えるかを考えるための材料
約束を破られた後は、「もう一度信じるか」「ここで終えるか」の間で気持ちが揺れます。どちらを選ぶにしても、次の問いに一つずつ答えていくと、判断の材料がそろってきます。
- 違反は一度きりか、誓約書の後もずっと続いていたか
- 違反を知ったとき、相手は事実を認めたか、隠そうとしたか
- 相手は浮気相手との関係を自分から断つ行動をとったか
- 子どもの生活、住まい、お金について、離婚した場合の見通しを調べたか
- 自分の心身の状態は、今大きな決断ができる状態か
浮気を繰り返す相手との今後は浮気癖は治る?繰り返す相手と続けるかを判断するための材料で、許せない気持ちの扱い方は浮気が許せないときの整理で扱っています。もう一度やり直す方向なら、謝罪を言葉でどう受け取るかも問題になります。した側が書く謝罪の手紙については不倫の謝罪文の書き方を、全体の流れは浮気が発覚したらすることを参考にしてください。
よくある質問
Q. 誓約書に違約金を書いていなかった場合、違反されても何もできませんか?
違約金の定めがなくても、誓約書は「一度は関係を断つと約束した」という経緯を示す材料になります。誓約書の後に新たな不貞行為があれば、それを理由に慰謝料を求めることや、離婚を考えることは別にできます。どの手段がとれるかは事情によるので、誓約書と違反の記録を持って弁護士に相談してください。
Q. 違約金を払ってもらったら、もう慰謝料は求められませんか?
違約金は、損害賠償の額を前もって決めたものと推定されます(民法420条3項)。そのため、違約金のほかに慰謝料も求められるかは、誓約書でその違約金を何の代わりとして定めたかで変わりえます。受け取る前に、誓約書の文言を弁護士に見てもらうと、後で「もう払った」と言われる事態を避けやすくなります。
Q. 相手が「誓約書の後は連絡していない」と違反を認めないときはどうすればいいですか?
問い詰めて認めさせようとするより、自分が見たことや自分あての連絡など、手元にある記録を日付順に整理するほうが先です。相手が否定している場合こそ、記録がそろっているかで相談先での話の進み方が変わります。自分で調べるときは、相手のアカウントにログインするなど、禁じる法律がある方法をとらないでください。
出典・参考にした公的な情報
- 民法 第90条・第159条・第166条・第420条・第709条・第710条・第719条・第724条・第763条・第770条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 刑法 第130条・第222条・第223条・第230条・第249条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 裁判所法 第33条(簡易裁判所の裁判権)(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 司法書士法 第3条(業務)(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 夫婦関係調整調停(離婚)(裁判所)
- 不正アクセス行為の禁止等に関する法律 第3条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。